
あなたは、「やめる」という言葉に
どんなイメージを持っていますか?
「逃げ」「中途半端」「意志が弱い」「諦め」……。
とくに日本人は、「やめる」ことをネガティブに捉えていると言われています。
年300日以上、世界中を旅しながら暮らしている「問道家(もんどうか)」マツダミヒロの著書『すべてやめれば、うまくいく 自分の時間を取り戻すための最高の習慣』(Gakken)から、やめるということのメリット、何をやめて何をやめるべきでないかの判断、具体的なやめ方のテクニックなどについて、一部内容を抜粋してご紹介します。
何かを「やめる」ことは、決してネガティブなことではありません。
今日からあなたも、「やめる」ことを始めてみませんか?
著者:マツダミヒロ
問道家。余白家。ライフトラベラー。大学卒業後、デザイン事務所を設立。その後、カウンセリングやコーチングの理論をベースに、自分自身と人に日々問いかけるプロセスを集約し、独自のメソッドを開発。質問するだけで、魔法にかかったようにやる気と能力が引き出され、行動が起こせるようになることから、「魔法の質問」と名づけ、質問家として活動を開始。1 年のうち300 日は海外に滞在するなど、自分らしく働き、自分らしく生き、大切な人たちと豊かな時間を過ごすことを大事にしている。
やめることは ネガティブなことではない

みなさん、こんにちは。マツダミヒロです。
ぼくは、「問道家(もんどうか)」という仕事をしています。
答えるだけで魔法にかかったようにみなさんの中に変化を起こすことのできる問いを「魔法の質問」といいます。
そんな魔法の質問を通して、世の中の1人でも多くの人が、本来やりたいこと、やるべきことに向かって歩みを進め、より豊かな人生を送ることができるようにしたいという思いで、これまでに国内外で50冊近い書籍を書き、世界各国で「自分らしく生きる」ための講演やセミナーを行ってきました。
最近は、時間と場所にとらわれないビジネススタイルを実践し、世界を旅しながら働く「ライフトラベラー」としての人生も楽しんでいます。
そんなぼくは、世界各国を旅しながら、その国に生きている人々と触れ合っていくうち、ふとあることに気づきました。それは「日本人は、やめることがとても苦手だ」というものです。
ヨーロッパで生活していると、現地で生活している人たちは、とてもメリハリのあるライフスタイルで生きていることがよくわかります。平日においては、夕方以降はきちんと家族と一緒に過ごす時間を確保し、土日に働くことはほぼありません。当然、残業だってしません。日曜日はそもそもスーパーなどが営業していないので、もし働こうと思ってもいろいろと不都合があるので、みんなたっぷりと休息することに意識を向けています。しっかり休んで、次の週に備えているのです。
ところが、日本はそうではありません。平日は残業が当たり前、休日を返上して土日に働いている人も大勢います。
言い換えれば、日本人は、そういった習慣を「やめられない」まま生きていると言えます。残業をやめる、週末に働くことをやめるといったことができないのです。
「そうは言っても、そうしないと成果を出せないのだからしょうがないじゃない」
という声も聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。
平日に集中して働いて、夜は休み、土日もしっかり休んでいる欧米人と、残業が当たり前で週末も働いている日本人、どちらが「生産性(プロダクティビティ)」が高いか、ご存知ですか?
じつは、日本人のほうが欧米人に比べ、圧倒的に生産性が低いというのが現実なのです。むしろ日本は生産性の国際ランキングでは、下位に位置しています。とくにアメリカと比べると、日本の生産性は2分の1程度と、大きな開きができてしまっているのです。
毎日残業をして、週末も返上して働いているのに、生産性が低い。なぜ日本人はこのような悪循環から抜け出せないのでしょうか。その理由は、日本人は自分のことよりも、周りの人のことを気にする傾向が強いからではないか、とぼくは考えています。
自分が何かを達成したいという願望よりも、周りにどう見られているかを気にしてしまうのです。もちろん、その気質のおかげで、日本人は「気遣い」や「心遣い」が圧倒的に身についている人が多いのですが、その反面、自分の意見を差し置いてでも他人の目や他人の意見を優先してしまうところがあります。
本当は続けたくないのだけれど、周りのために、会社のために、家族のために、地域のために、「やらなきゃ!」と頑張ってしまうのです。そして、そのように誰かのために自分を犠牲にして頑張ることが、社会的にも美徳とされる風潮があるため、多くの人が「やめたくてもやめられない」という状況に陥ってしまっているのではないでしょうか。
何かを「やめる」ことは、決してネガティブなことではありません。
日本人は、やめることを「途中で投げ出すこと」「諦めること」と結びつけて考えている人が多いようです。ところが、何でもかんでもやめずにいたら、あなたの人生は「やらないほうがいいこと」のために、消耗してしまうでしょう。
自分にとって本当に必要なものは何か、本当は不要なものは何かを見極め、より豊かな人生を創り出すために、何かをやめてみるということを学んでみてほしいのです。
本書では、やめるということのメリット、何をやめて何をやめるべきでないかの判断、具体的なやめ方のテクニックなどについて詳しく解説しています。
みんなが上手に「やめること」ができるようになれば、世の中にはもっと多くの幸せが生まれるとぼくは信じています。
今日からあなたも、「やめる」ことを始めてみませんか?
やめる力を鍛える

ぼくが何かをやめるときには、まず「現状に満足していますか?」と自分に問いかけます。
もし不満がある場合には、
「何を変えたいですか?」
「なぜ満足していないのですか?」
とさらに自分に質問してみてください。そうすると、このままでは良くないなと思っているものや、変えなければいけないなと思っているものが、心の中に思い浮かぶと思います。
ここまで質問を繰り返したときに、「やっぱり自分は現状に満足していないんだな」と感じたら、あなたは何かをやめるべきですが、そう感じないなら、やめるべきではありません。
あなたが現状に満足していて、今の状態がこの先もずっと続いて良い、それが自分にとって幸せな状態と思えるならば、「やめる」必要はありません。
「やめる」ときの5つの判断基準
あなたが現状に満足しておらず、何かを「やめる」必要性を感じているなら、それ
を本当に「やめる」べきかを以下の基準に照らしてチェックしましょう。
①自分が無理だと思っていないか
自分が無理だと思うことを手放すことです。長く続けた仕事や人間関係を見直すことで、新たなチャンスが生まれることも少なくありません。
②自分の価値観と合っているか
自分の価値観と照らし合わせることです。価値観に合わないことを続けると、精神的な負担が増し、最終的には自分が本当は何をしたいのかを見失うことにもつながるでしょう。
③自分のありたい姿とは何か
自分のありたい姿を想像することです。未来の自分がどのような生活を送りたいのかを考えたとき、それにふさわしくないと感じることはやめましょう。
④ライフプランから逆算して必要かどうか
ライフプランから逆算することです。長期的な計画を立て、それに向かうために必要な行動を整理することで、不要なことが明確になります。
⑤直感に従っているか
直感を大切にすることです。みなさんは、自分の直感を信じて何かを決断したことがありますか?
ぼくとしては、「やめる」かどうかを決めるときには、直感だけで決めてしまってもいいと思っているくらいです。なぜなら、頭で考えると損得や周りの声などやめないほうがいい理由がたくさん出てくるからです。
しかし、自分の感覚というのは正直ですので、「しっくりこないな」「なんか気が進
まないな」と直感的に感じたならば、それはやめる重要な要素になるのです。
マツダミヒロ的 やめるといいこと

人間関係は、わたしたちの生活のあらゆる場面に影響を与えます。
誰と時間を過ごすか、誰と関わるかによって、わたしたちの思考や行動、さらには心身の健康までもが左右されます。だからこそ、不要な人間関係や自分を疲弊させるような関係性は「やめる」ことが大切です。
例えば「無理して人に合わせること」や「嫌な人との付き合いを続けること」。これは、多くの人が何気なくやっていることかもしれません。
しかし、自分が心から関わりたいと思えない人と一緒にいることは、想像以上にエネルギーを消耗するものです。ぼくはそうした関係が、思考や身体にまで悪影響を与えると感じており、だからこそ「一生付き合いたいと思えるか?」を、関係を続けるかどうかの1つの基準にしています。
自分にとって何が大切かを優先する
心の中に「こうしなきゃ」「こうあるべき」といったノイズがあると、同じような価値観を持った人が引き寄せられてきます。
逆に、自分の感覚を信じて「したいからする」という選択をしていれば、自然と似たエネルギーを持った人と出会えるのだと思います。
「誰かに認めてもらおうと必死になること」や「他人の意見に流されること」も、気づかないうちに自分を見失う原因になってしまっていることがあります。
わたしたちはつい、周囲の期待や評価に応えようとして、無理を重ねてしまいがちです。でも、外側からの評価を追いかける生き方は終わりがなく、苦しさが続いてしまいます。だからこそ、まずは「自分がどうしたいか」「どうありたいか」を大切にする必要があると思います。
人生は有限。だから「やめる」

わたしたちの人生には限りがあります。時間もエネルギーも無限ではありません。だからこそ、何を手放し、何を続けるかを選び直すことが大切です。
ぼくがみなさんに「やめること」を勧めているのは、人生を軽やかにし、本来の自分が進むべき道に戻ってもらいたいからです。
「やめること」を恐れる気持ちはわかります。しかし、やめることは、後退ではなく前進です。
やめることは、新しい始まりの合図です。もし、今、手放したいのに踏み出せないものがあるなら、自分に問いかけてみてください。
「これは本当に、自分の人生に必要なのか?」と。
その問いが、あなたの次の一歩を後押ししてくれるはずです。
すべてやめれば、うまくいく 自分の時間を取り戻すための最高の習慣
マツダミヒロ(著)
定価 1,650円 (税込)
もうガマンするのやめちゃえば?
――やめることはネガティブではありません。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
仕事、人間関係、勉強、SNS、恋愛……
人生は「手放す」だけで自由に変えられる!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
・がんばることをやめる
・「無理して働く」をやめる
・「嫌な人と付き合う」をやめる
・「先のことで悩む」をやめる
・「~すべき」をやめる
・「自分を犠牲にする」をやめる
・「他人と比べる」をやめる
他にも、
【人間関係】無理な飲み会やイベントをやめる
【仕事・キャリア】会議は1時間という思い込みをやめる
【SNS】情報に振り回されるのをやめる
…具体的なシーンごとに「やめる」を提案!
やりたくないことはやらない。
それだけで人生は変わる。
人生を豊かにするために、「やめる」ことで【余白】をつくる!
やめることを選択して自分の人生を歩もう。
この記事の監修・執筆者

余白家。ライフトラベラー。大学卒業後、デザイン事務所を設立。その後、カウンセリングやコーチングの理論をベースに、自分自身と人に日々問いかけるプロセスを集約し、独自のメソッドを開発。質問するだけで、魔法にかかったようにやる気と能力が引き出され、行動が起こせるようになることから、「魔法の質問」と名づけ、質問家として活動を開始。現在、メルマガの読者は10万人を超え、夫婦で行っているラジオ番組「ライフトラベラーズカフェ」(Podcast)は、アップルのベスト番組に選ばれ、30万人を超す視聴者がいる。また、100以上のオンライン講座を提供し、世界を旅しながら、各国で「自分らしく生きる」講演・セミナー活動を行う。1年のうち300日は海外に滞在するなど、自分らしく働き、自分らしく生き、大切な人たちと豊かな時間を過ごすことを大事にしている。『すべてやめれば、うまくいく自分の時間を取り戻すための最高の習慣』(Gakken)が発売中。
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