【子どもが学校に行きたがらない…】「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」とは?

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【子どもが学校に行きたがらない…】「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」とは?

不登校児童生徒数やいじめ重大事態の発生件数が過去最多となり、文部科学省が「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を発表しました。その目標である、安心して学べる、「誰一人取り残されない学びの保障」の取り組みとはどのようなものなのでしょうか? 

本記事では、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」の内容をご紹介します。

文/マムズラボ

目次

不登校児童生徒数やいじめ重大事態の発生件数が過去最多

不登校児童生徒数やいじめ重大事態の発生件数が過去最多

文部科学省が「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を発表した背景には、不登校といじめの増加があります。

現在、小・中学校の不登校児童生徒数は、約30万人にのぼっており、過去最多を更新し続けているのが現状です。

また、児童などの生命や心身もしくは財産などに重大な被害が生じた疑いがあると認められる「いじめ重大事態」の発生件数も923件あり、これも過去最多となっています。

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不登校に対する緊急対策

不登校に対する緊急対策

不登校に対する緊急対策から見ていきましょう。不登校で深刻なのは、数が多いことだけでなく、そのうち約11万4千人もの児童・生徒が学校内外の専門機関などで相談・指導を受けていないということです。

そこで、文部科学省は、令和5年3月に不登校対策として「COCOLOプラン」をとりまとめました。

不登校対策「COCOLOプラン」

「COCOLOプラン」は、学びの多様化に対応するため、学校に対する教職員の優先配置を行い、外部の専門家を加えて組織的に対応するとともに、安心して学べる学校づくりをめざすものです。以下の3つを軸にしています。

1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
3.学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
(※1)

COCOLOプランの主な取り組み

「COCOLOプラン」の3つの「めざす姿」を実現するために、以下のような取り組みが行われます。

「不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える」

不登校の児童生徒を含めたすべての児童生徒に対して、学びたいと思ったときに学べる環境を提供するためには、「一人一人のニーズに応じた多様な学びの場」を整え、確保する必要があります。

そのため文部科学省は、不登校特例校や校内教育支援センター(スペシャルサポートルームなど)の設置を促進し、こども家庭庁とも連携を行って、多様な学びの場や居場所を確保します。

「心の小さなSOSを見逃さず、『チーム学校』で支援する」

「心の小さなSOS」を見逃さないために、一人一台端末を活用します。端末で「心の健康観察」を実施することで、教師が児童生徒の心や体調の変化に早期に気づきやすくすることをめざす取り組みです。

また、担任や教師だけではなく、スクールカウンセラーや養護教諭などを含めた「チーム学校」で素早い支援を行い、早期に最適な支援を行えることをめざします。

さらに、学校教育と福祉などが連携することで、子どもだけではなく保護者も必要なときに相談などの支援を受けることが可能です。

「学校の風土の『見える化』を通して、学校を『みんなが安心して学べる』場所にする」

学校風土とは、授業の満足度や、教師や学校職員への信頼感、学校生活への安心感などといった学校の全体の雰囲気のことを指します。

学校が安心して学べる場になるよう、学校風土を計測するツールを文部科学省から学校に提示、トラブルが起きても学校がしっかりと対応し、公平で納得できる決まりやルールを守るようにします。

また、障がいや国籍、言語の違いなどにかかわらず、子どもたち一人ひとりの「個性」や持ち味を活かし、誰もが活躍できる機会や出番をつくることや、自分と異なる意見を認め合う雰囲気をつくることも重要なポイントとしている取り組みです。

実効性を高めるために不登校対策推進本部を設置

「COCOLOプラン」の取り組みを実現させるために、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」を文部科学省内に設置します。

「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」は、文部科学大臣が本部長となり、こども家庭庁も参画します。

ここで一人ひとりの児童生徒が不登校になってしまった要因や、学びの状況などを分析・把握する調査を行い、進捗状況を管理しながら取り組みを改善していくのです。

いじめに対する緊急対策

いじめに対する緊急対策

ここからは、「いじめに対する緊急対策」の内容をご紹介します。

文部科学省によると、令和4年度の小・中・高等学校および特別支援学校でのいじめの認知件数は、過去最多の約68万2千件、そのうち重大事態の発生件数も過去最多の923件となってしまいました(※2)。

いじめにおける重大事態は、下記のように定義されています。

「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める」事態及び「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める」事態(※3)

「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」の「いじめに対する緊急対策」では、重大化を防ぐためにいじめの早期発見・早期支援を強化し、「自治体の体制づくり」も行います。

いじめの早期発見の強化

いじめ早期発見のため、アプリを活用して「心の健康観察」を行うことで、子どもの心や体調の変化を早期発見し、早期支援できる体制を整えます。

また、子どものSOS相談窓口を一人一台端末に集約して周知するだけでなく、より課題を抱える重点配置校へのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置充実を行い、支援体制を整えることでいじめの早期発見の強化をめざします。

自治体の体制づくり

国は、重大事態に至るケースのいじめの背景や原因を分析し、未然防止や重大事態への対応をするための「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の改訂を実施すると発表しました。

そのうえで、いじめ認知件数が低いにもかかわらず重大事態発生件数が多い自治体には、国の個別サポートチームを派遣し、改善していきます。

こども家庭庁では、いじめ解消の仕組みづくりに向けた取り組みを推進し、第三者目線でいじめの重大事態調査を行うため委員の人選などをアドバイスする「いじめ調査アドバイザー」の活用などを行います。

不登校やいじめがあった場合には放置せず相談を

不登校やいじめがあった場合には放置せず相談を

不登校やいじめは、子どもの学びや心に深刻な影響を与えます。文部科学省は、不登校やいじめの増加に対応するために、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を発表しました。

このパッケージでは、不登校の児童生徒に多様な学びの場を提供し、いじめの早期発見と支援を強化し、学校の風土を改善することをめざしています。不登校やいじめがあった場合には、放置せずに相談をしましょう。

【引用元・参考元】
(※1)文部科学省「COCOLOプラン」
(※2)令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策について(通知)
(※3)文部科学省「『重大事態』の解説(案)」

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