【子どもを自転車事故から守るために】伝えておくべき交通ルールと注意点[専門家監修]

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「子どもの自転車事故の特徴は?」「安全に乗るには子どもは何に気をつけたらよい?」子どもが自転車に乗る際の注意点を日本交通安全教育普及協会の彦坂 誠先生にうかがいました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

交通安全の知識は保護者がくり返し具体的に伝えよう

小学生の自転車事故は、交差点などでの一時不停止や安全不確認が原因で多く発生しています。子どもに限らず自転車事故の約8割は信号機のない交差点で発生していて、住宅街にある見通しが悪い信号機のない交差点こそが要注意ゾーンです。こうした場所で一時停止する、安全確認をしっかり行うなどを習慣づけることが交通事故防止の第一歩です。

交通安全行動は、一度教えたからといってすぐに身につくものではありません。保護者がさまざまな場面でくり返し伝えることが大切です。普段から親子で近所を歩きながら「この交差点では一度止まって、右左から車や自転車、人が来ないかどうかを確認してね」「車が止まるまで待ってね」「車の運転手さんと目を合わせてね」というように具体的に何度も伝えるように心がけましょう。

道路標識を見る習慣と守る習慣

道路標識は自動車や自転車だけではなく、歩行者も知っておくべきものです。早い段階から子どもが道路標識を見る習慣をつけておくとよいでしょう。家の近所を子どもといっしょに歩きながら、道路標識を見つけて「この標識のある場所では、いったん止まるんだよ」などと具体的に伝えましょう。大人でも、道路標識を正しく理解していないことがありますので、保護者自身の気づきにもなります。

↑一時停止
↑車両進入禁止
↑車両通行止め
↑自転車通行止め
↑自転車及び歩行者専用
↑歩行者専用

子どもの交通事故を防ぐために知っておきたい道路標識には、「一時停止」「車両通行止め」「自転車及び歩行者専用」「横断禁止」などがあります。「車両進入禁止」や「歩行者専用」などは「自転車を除く」という補助標識がある場合が多く、あまり気にしない人も多いようですが、もし補助標識がなければ、当然自転車も通行できません。

なかでも重要なのは「一時停止」の標識です。信号機のない交差点などに設置されていますので、子どもにはきちんと覚えるように伝えましょう。一時停止標識の先は優先道路で、自動車などは止まってくれない、大変危険な場所です。歩いているときも注意が必要です。「赤い三角形のこの標識は特別な標識だよ」などと伝え、注目させるとよいでしょう。道路標識は、赤色が主に禁止的事項や速度規制などの決まりを表し、青色は主に許可されている事項や案内などを表しています。

親子で道を歩いているときや車に乗っているときに「あの標識は、なーんだ?」などとクイズごっこをしながら楽しく身につけていくのもオススメです。

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自転車は“きちんと止まれる”という視点で選ぶことが大切

子どもの自転車を購入する際は、成長の早さを考え、つい大きな自転車を購入しがちですが、子どもの体に合ったサイズの自転車を選びましょう。たとえば、サドルにまたがったときに両足先が地面に着くかどうか、ハンドルを持つ腕が伸び切ってしまっていないかなどがチェックポイントになります。

とくに、ブレーキレバーの幅が、子どもの手の大きさに合っているかどうかは重要です。幅が合っていないと指が伸び切ってしまい、しっかりとブレーキをかけられません。自転車は「きちんと止まれること」がとても大切で、ブレーキは最重要パーツです。ブレーキレバーの調整は自転車販売店などでやってもらえますので、相談してみましょう。

幼児のときにキックバイクに親しんでいる子どもは、足で止まろうとしがちです。しかし、一般的な自転車は足ではなく、手でブレーキをかけて止まる乗り物です。手でブレーキをかけて止まる練習を十分にしておきましょう。

実は、一見平らに見える歩道でも、路地に接する場所や横断歩道に接する場所では、車道に向かって傾斜がついていることが多く、ブレーキをしっかりかけて止まっていないと、歩道から車道へ飛び出してしまうおそれがあります。

子どもが自転車の乗り方を練習しているときに、上手に乗れたことをほめるのは上達するうえで大変よいことですが、事故防止の観点からは、しっかり止まれたことも同じぐらいほめることが大切です。

*キックバイク…幼児用の二輪遊具。自転車のようにまたがって乗り、足で地面を蹴って進む、ペダルがない乗用玩具。自転車とは異なり、公道の走行は認められていない。

自転車保険に加入しよう

近年、自転車運転者が重大な人身事故を起こして相手にけがをさせ、高額な賠償金の支払いを命じられる判決が出されています。たとえば、11歳の男子小学生が自転車で走行中に歩行中の女性と正面衝突し、けがをさせた事故では、約9500万円の支払いが命じられました。加害者が未成年であれば、その保護者が損害賠償の責任を負うことになります。

自転車には、自動車のような強制加入の自賠責保険がありません。しかし、最近では多くの自治体が「自転車損害賠償責任保険(自転車保険)」への加入を条例で義務づけています。お住いの地域が保険加入を義務づけていなくても保険に加入しましょう。

事故を起こしてしまったときは?

万が一、自転車で事故を起こしてしまった場合についても、子どもに決めごとをしておきましょう。交通事故を起こした場合、事故の当事者は、次のことをしなければならないと定められています。

負傷者を助け、保護する(119番通報)。負傷者の危険防止措置をする

警察官へ報告する(110番通報)。事故現場から立ち去ってはいけない

以上の義務を怠ると、ひき逃げ事件となってしまいます。

とはいえ、子どもが事故を起こして混乱している際に、上記のような行動をとるのは不可能でしょう。ですから、「もし、あなたが自転車で事故を起こして、だれかにけがをさせてしまったら、近くにいる大人の人に助けを求めてね」と伝えておきましょう。

歩行中・自転車乗用中の死傷者数を学齢別にみると、小学1年生、中学1年生、高校1年生がほかの学年に比べて数が多くなっています。子どもが入学する“ライフステージの変わり目”は、生活範囲や行動半径が急激に広くなり交通事故による死傷者数が跳ね上がる傾向がありますので、予防対策を万全にする必要があります。この春小学校に入学する子どもを持つ保護者のかたは、入学までに子どもといっしょに通学路を歩いて、危険な場所を確認しましょう。「この交差点では、必ずいったん止まって、車が来ないか確認をしようね」とその都度、具体的に伝えていくようにしましょう。

交通安全意識の醸成は一日にしてならず。根気よく「教え」「育む」ことが大切です。

この記事の監修・執筆者

一般財団法人日本交通安全教育普及協会 彦坂 誠

内閣府の参加・体験・実践型交通安全教育事業の企画運営・講師をはじめとし、警察庁の交通安全教育事業や調査研究に従事。警察大学や各自治体の交通安全講習会などでも講師を務める。実務経験30年以上。

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