【子ども乗せ自転車も車道通行がマスト?】正しい通行ルールと安全な走り方で、自転車事故を防ごう![専門家監修]

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令和4年11月に、自転車に乗る際の基本ルール「自転車安全利用五則」が新しくなりました。改正ポイントや子ども乗せ自転車の安全な利用法を日本交通安全教育普及協会の彦坂 誠先生にうかがいました。

文/こそだてまっぷ編集部 イラスト/種田瑞子

目次

自転車事故の割合は増加している

警察庁のデータによると、交通事故の件数は年々減少傾向にあるものの、自転車が関連した事故件数は令和3年には全交通事故の約2割を占めています。事故の相手は約8割が自動車で、出会い頭衝突による事故が半数以上と最も多く発生しています。このような事故では自転車側が一時不停止や安全不確認などの違反をしている事例が多く、自転車事故を防ぐには利用者が基本的な安全ルールを守ることが求められます。

自転車は車道通行が原則

こうした交通事故の現状を踏まえて自転車の安全利用を促進するため、令和4年11月1日、中央交通安全対策会議交通対策本部決定により、自転車に乗る際の基本ルールである「自転車安全利用五則」が新しくなりました。

●新しくなった自転車安全利用五則●

1.車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先

2.交差点では信号と一時停止を守って、安全確認

3.夜間はライトを点灯

4.飲酒運転は禁止

5.ヘルメットを着用

自転車による交通死傷事故を防止するため、「車道が原則」などの守ってもらいたい内容が明確に盛り込まれています。自転車は「車両」の仲間なので、歩道と車道が区別されているところでは、車道の左側を通行しなければなりません。歩道は歩行者のためのもので、あくまでも例外として通行が許されているにすぎません。子ども乗せ自転車でも、この原則は同じです。

●自転車が歩道を通行できる例外とは?●

1.普通自転車歩道通行可の標識・標示がある場合

2.13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転している場合

3.道路工事や連続した駐車車両などで車道左側部分を通行困難、または著しく交通量が多く、道が狭いなどのために接触事故の危険性があると認められる場合

この例外に当てはまらない場合は、自転車は車道を通行するということになります。

※この記事で記載している「自転車」とは「普通自転車」を指します。
参考:警視庁「自転車の交通ルール」

↑「自転車及び歩行者専用」の標識があるところは大人でも自転車で通行することができる。

“車道寄り”を“徐行”が、歩道通行のルール

自転車は車道通行が原則ですが、歩道を通行できる場合は、徐行(すぐに停止できる速度)で、歩道の車道寄り、または指定された部分を通行します。自転車が歩行者の通行の妨げになる場合は、一時停止などして、歩行者を優先しなくてはなりません。

もともと、自転車は車に比べると急ブレーキが効きにくく、すばやく危険回避ができる乗り物ではありません。さらに、子ども乗せ自転車は、子どもや荷物などもあり、重くて扱いづらい乗り物なので慎重に運転する必要があります。

歩道の車道寄りを通行中にほかの自転車とすれ違うときは、相手を右に見てすれ違います。その際、十分に速度を落とし、周囲の歩行者にも注意しましょう。

歩道も横断歩道も歩行者が優先

歩道を通行中に、前方を歩く歩行者に対してベルを鳴らすかたがいますが、自転車のベルは、「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所や、緊急的な危険回避等のときしか使用してはいけません。本来、歩道や横断歩道は「歩くための道」、つまり歩行者のための場所なので、優先すべき歩行者に対してベルを鳴らしてはいけません。

自転車対歩行者の事故の約4割は、歩道で起きています。自転車で歩道を通行する際は、加害者になるリスクも十分にあることを理解し、最大限の注意を払いましょう。

横断歩道も歩行者のためのものです。横断歩道を自転車で通行する場合は、歩行者がいないなど歩行者の通行を妨げるおそれのない場合を除き、自転車から降りて押し歩きをしましょう。

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電動アシスト自転車は信号待ちにも注意!

電動アシスト自転車は、発進時のこぎ出しが軽く加速しやすいので、交差点で信号待ちからの急発進に注意が必要です。交差点や横断歩道付近で、青信号になった途端に飛び出して歩行者とぶつかってしまうことが十分に考えられます。また、ペダルに足を乗せているだけでもアシスト力が働き、意図せずに走り出してしまうこともあるので、信号待ちをしている際はブレーキをしっかりかけ、ペダルから足を降ろし、青信号に変わっても急発進しないようにしましょう。

電動アシスト自転車の場合、本体の重量も重く、子どもを乗せていると運転者の体重と子どもの体重がプラスされ、100kg程度の重さになります。この重量の自転車が歩行者にぶつかると、歩行者が転倒して頭を打つなど、場合によっては死亡事故にもつながりかねません。電動アシスト自転車を利用するかたは、暴走行為にならないよう安全に利用しましょう。

子ども乗せ自転車は“転倒防止”がポイント!

子ども乗せ自転車は「幼児二人同乗用自転車」といって、運転者本人に対して小学校就学始期に達するまでの幼児2人まで乗せることができます。最も気をつけなくてはならないのは、子どもを乗せた状態で転倒しないことです。そのためには次のことを守りましょう。

◆子どもは幼児2人まで

◆停めるときや子どもを乗せたり降ろしたりするときは平たんな場所で

◆後席に身体の大きい子ども、前席に身体の小さい子どもを乗せる

◆乗せる際は後席→前席の順番、降ろす際は前席→後席の順番で

◆前だっこはNG。おぶるときは背中に

◆座席に座るとき、「足乗せ」に足をかけて登らせない

(足乗せが折れることがあり、子どもの足が後輪に巻き込まれる危険があります)

◆首のすわっていない乳児は乗せない

◆子どもを乗せたら、絶対に目や手を離さず、いつでも支えられる体勢で

チャイルドシートは前乗せ? 後ろ乗せ?

これから子ども乗せ自転車を購入しようというとき、チャイルドシートを前乗せタイプにするか、後ろ乗せタイプにするか悩みますね。子ども一人を乗せるなら、後ろ乗せのほうが安定するのでオススメです。しかし、子どもが2人になったときにオプションとして前席のチャイルドシートを後づけすると、構造上チャイルドシートがハンドル軸からずれ、走行中にハンドルをとられやすくなり、それなりに腕力も必要です。

前乗せタイプなら、チャイルドシートがハンドル軸の真上に設置されているものが多いので、後づけするものよりはバランスが取りやすいといえます。

↑後ろ乗せタイプ(左)は前席のチャイルドシートがハンドル軸からずれてしまう。前乗せタイプ(右)はチャイルドシートがハンドル軸の真上にある

子ども乗せ自転車を購入する際、最初から2人の子どもを乗せるなら、前乗せタイプを選ぶといいでしょう。また、後ろ乗せタイプを購入後、子どもが2人に増えた場合は、安全のために、前乗せタイプに買い替えることも検討してみましょう。

自転車を利用する際は、正しい交通ルールを知って、正しく実践することが大切です。そのためにも「自転車安全利用五則」をもう一度しっかり確認しましょう。ルールを守って自転車事故を防ぎ、安全に利用したいですね。

この記事の監修・執筆者

一般財団法人日本交通安全教育普及協会 彦坂 誠

内閣府の参加・体験・実践型交通安全教育事業の企画運営・講師をはじめとし、警察庁の交通安全教育事業や調査研究に従事。警察大学や各自治体の交通安全講習会などでも講師を務める。実務経験30年以上。

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