目次
AI技術の進化や生成AIの登場により、世界中のあらゆることが急速なスピードで変化しています。
生活がより便利に、より快適になり、人々は余った時間を有効に使えるようになりました。
しかし、それと同時に今までは人間が担ってきたさまざまな仕事が消滅しています。
今子育て中の保護者にとっては、自分自身の仕事もさることながら、子どもたちが大人になる10年後や20年後、一体どのような職業が残り、求められているのか、「見当もつかない」「アドバイスをしてあげることができない」というのが本音ではないでしょうか。
とりあえずたくさん勉強して、偏差値の高い大学に入り、公務員や大企業に入れば勝ち組、という時代は終わりました。
「10年後、この仕事はなくなるの?」「将来、この資格で稼げるの?」
そんな悩みを持つ若者や子どもを持つ親に、ひろゆきが自分らしい生き方・新しい稼ぎ方をすすめる『僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方』(Gakken)から、一部内容を抜粋・再編集してご紹介します。
――ラクして稼ぐは、「悪」じゃない。自分を最優先にしよう。 ひろゆき
僕から伝えたいメッセージ
こんにちは。ひろゆきです。
僕はいまフランスのパリに住んでいて、遠隔で日本の番組に出演したり、YouTubeでライブ配信をしたり、掲示板サイトの管理人をしたり、世界の果てに置かれたりと、いろんな仕事をしています。
「いつも忙しそうですね」と言われることもありますが、僕は基本的に働くことが好きではないし、早起きは苦手だし、そもそもいままで稼いだお金をヨーロッパの銀行に預ければ金利だけで生活ができるので、ガツガツ働いているわけではありません。
幸いにも僕は自分が立ち上げたネット系サービスが成長し、まとまったお金と知名度を得ることができました。ただ、別にそれらがすべて失敗して普通の47歳のおじさんになっていたとしても、とくに気にもせずマイペースな生き方、働き方を続けていたはずです。
そんな僕が今回書き下ろしたのは、「これからの時代の働き方」をテーマにした本です。日本人は真面目な人が多く、とくに「働く」ということに関して洗脳されていることも多いと感じます。
そんなとき、この本を書くきっかけになった編集者にこう聞かれました。
「日本ってこれからどうなってしまうんでしょう? 消える仕事もあるとか聞くし、子育てするのが不安です… 。子どもには、どんなスキルや資格を身につけさせれば安心ですか? 教えてください!」
たしかに、国全体としては人手不足が深刻化し、そこそこ若ければだれでも職につける時代にはなりましたが、そうはいっても「会社で活躍できる自信がない」とか 「ブラック企業に酷使される人生は避けたい」とか、心配ごとは絶えません。
めちゃくちゃ能力が高くても、「日本の経済の先行きが見えない」とか、「AIが自分の仕事を奪うかもしれない」とか、「職場が外資に買収されたらどうしよう」といった不安を抱いている人もいるんじゃないでしょうか。
もし僕に子どもがいたら、たしかに不安にもなるだろうなと思いました。そこで、これから社会に出ていく子どもや若い人たちに、今から10 年後の2035年くらいまで、どんな心がまえやスキル、資格があれば生きていけるのか、僕なりの考えをまとめることにしました。
子どもを育てている人やこれから社会に出る若い人はもちろん、いままさに必死に働いている方にとっても、仕事や働き方を見直すきっかけになるかもしれません。
どうぞ肩の力を抜いて、お楽しみください。
「最強の働き方」は時代とともに変わる
自分らしい生き方や働き方をしたい―。
そう願う人は多いでしょう。でも世間体や親からの期待、能力的・経済的な理由など、さまざまな制約やしがらみから、そのような生き方をしたくてもできない人が大勢いるのも事実です。
でも、それって本当でしょうか? 能力や経済的な理由、制約やしがらみと思っていることは「全部思い込み」かもしれません。
自分に合った働き方、自分が望む働き方、あるいは苦痛やストレスの少ない働き方をしている人をみると、多くの人は羨望のまなざしで見つめます。
しかし、本当に自分らしく働くことは無理なのでしょうか?
よりストレスの少ない生き方を望むことは悪いことなのでしょうか?
もちろん苦痛やストレスのまったくない仕事などありませんし、100%の理想をかなえることも難しいです。でも、自分が本気で望みさえすれば、人生をもっと楽しんだり、幸福度を上げたりすることはできるはずなんですよね。
「働く」ということを主軸に置きながら、日本人にかけられた「洗脳」を解いていきたいなと思っています。
「レール」を外された現代人
何十年か前までの日本なら、「できるだけ偏差値の高い大学を出て、できるだけ大きな会社に就職し、定年退職まで会社にしがみつく」 という既定のレールの上に乗っかれば(もはや幻想ですが)、老後まで人並み以上の生活が約束され、悩みを打ち消すことができました。
だからこそ会社で多少理不尽なことがあっても、「みんな同じように我慢している」 「我慢さえできれば一生安泰」と自分に言い聞かせることができたのです。 現代の日本では、「会社に依存する生き方」「国の経済成長に依存する生き方」といった前提が、音を立てて崩れています。
すべての働き方を変えた、コロナの衝撃
20年後あたりの現代社会の教科書では、「2020年は日本人の働き方が大きく変わった年」として記述されているかもしれません。
なぜか? それは、コロナによるリモートワーク(官僚的な表現を使えばテレワーク)の普及です。
2019年の段階でリモートワークを導入している企業はわずか20 %にすぎませんでしたが、2020年には一気に50 %を超えました。物理的にその場にいないと成り立たない職種を除いて、頭脳労働系のホワイトカラーが一斉にオフィス街から姿を消したのは衝撃的な出来事でした。
打ち合わせは基本ビデオ会議となったことで全国の会社にオンライン会議用ブースの設置が進み、地方出張の習慣も廃れました。会社員にとってはサービス残業でしかなかった夜の付き合いも激減。接待を受けていた人たちは一抹の寂しさを感じているでしょうが、そんなことをしなくても仕事は回ることにみんな気づいてしまったのです。
なかでも大きな変化は1日2時間、通勤のために体力と時間を消耗することがいかに非効率なことであったか多くのホワイトカラーが知ってしまったことです。
2時間もあれば、子どもの宿題を見たり、ジムに通ったり、英語の勉強をしたりと自分のた めに時間を使うことができます。
コロナ禍が終わったいま、多くの企業は社員の出社を促す方向で動いています。「対面でないとコミュニケーションが不足したり、円滑なチームワークができない」といった理由からです。 もちろんそうした負の側面もあるのかもしれませんが、一度リモートワークの快適さを知ってしまった人を元のやり方に戻すことは容易ではないと思います。
僕のようにパソコン1台でノマド的な生活をする働き方は以前からありましたが、「自分もそんな働き方をしようと思えばできるんじゃないか?」と多くの人が気づけたことが、コロナ禍から得た恩恵だと思います。
出社命令を受けてフルリモートの会社へ転職を決意する人。これを機に副業や兼業を始める人。 山や海など自分が住みたかった場所に完全移住する人。 都市部と地方に二拠点構えてリモートと対面の仕事のバランスをうまくとる人。新しい働き方、新しい生き方の選択肢が一気に増えています。
これからどんな仕事をしようか考えている人は、就職にせよ独立にせよ、「リモートでできる」という前提で仕事を探してみるのもいいかと思います。とくに通勤やコミュニケーションが苦手な人にとって、リモートワークは救世主かもしれません。
「会社に依存しない」働き方
なによりこれからは会社という大きな組織に依存しない働き方が増えていきます。
たとえば、いま日本ではフリーランス人口が急増していて、2022年時点で257万人(総務省調べ)。フリーランスの総報酬額は20兆円で、正社員の総報酬額180兆円に対して9分の1くらいの存在感になっています。2017年時点ではその割合はわずか 25 分の1。たった 10 年足らずで、フリーランスは「珍しい働き方」から「当たり前の働き方」に変わりました。
よほどのスキルがないと独立できないと思われやすいですが、たとえば文章を書くことが好きな人なら在学中に仕事をはじめて練習がてらライターとしての実績を積んでいくこともできます。
大学を出たあとも仕事が軌道にのるまでは時間の融通の効くアルバイトとライター業を兼業する形でもいいわけです。隙間時間にさっとバイトができるタイミーのようなサービスも普及しはじめています。
公務員や大企業に入るだけが「勝ち組」じゃなくなる
ここまで見てきたように、これからの時代、働き方はどんどん多様化していきます。
日本経済が順調に成長していたころは、働き方を考えるときに「安定性」を指標にする人が多かったと感じます。かつての日本で安定を勝ち取るには公務員や銀行員、あるいは大企業の正社員になるのが一番。
そのためには必死で受験勉強をして、できるだけ偏差値の高い大学に入り、就活で勝ち抜き、組織の流儀に歯向かうことなくみんなと同じことをやりつづけることが求められました。
実際にそのレールで成功を収めた親世代は、まさにこの瞬間も、子どもに同じことを強要しているかもしれません。過熱する早期教育を見ていても、そんな印象を受けます。先行きが不安だからこそ早いうちからいい教育環境に身を置き、いい大学に入ることで就職活動を有利にして、 少しでも安定した仕事に就きたい、あるいは就かせたい。
その気持ちはよくわかります。「一流大学から大企業へ」という従来の勝ち組ルートがまったく機能しなくなったと言うつもりもありません。ただし、いまや「人生の勝ち筋はそれだけはない」ということは声を大にして伝えたいと思います。
たしかに18 歳前後の受験競争や22 歳前後の就活競争に勝ち残らないと、巨大な組織の一員として「長いものに巻かれろ」的な生き方をする選択肢は減ります。
でも、それはいまや無限に増えた人生のレールのひとつにすぎないし、今後日本が衰退していくことを考えれば、「長いもの」だと思っていたものが意外と長くなかったなんてことも十分ありうる話です。
そもそも死に物狂いで受験勉強をして大学に入り、日本の上場企業に就職したところで、ほかの先進国の半分くらいの給与しかもらえないのがいまの日本の現状。大企業も生き残りをかけ積極的に事業売却やリストラを行っています。
みんなと同じことをしていれば貯金ができ、20 代で結婚でき、車やマイホームが買えた、いわゆる「総中流社会」はとっくに終わっています。
若い人たちの多くはとっくに気づいていますが、残念ながら、上の世代でまだそのことに気づいていない人がたくさんいます。だからことあるごとに「定職につけ! 大企業へ行け!」とうるさいのです。
そろそろ「勝ち組 VS 負け組」の洗脳から逃れよう
円の価値が下がっているうえに日本では所得が減っているので、世界から見れば日本はすでに貧しい国です。
これからの日本でみんなと同じことしていても中流にすらなれない可能性が高いのです。 むしろ普通の人と違った視点やスキルや経験が、突如として価値が出る可能性のほうが高いのではと感じるくらいです。
実際、いま若い人で大金を稼いでいる人たちを見てみると、トップアスリートやコンテンツクリエイター、アプリやゲームの開発者、スタートアップ経営者、海外で働く人など、従来の規定路線を外れた人たちばかりです。
そもそも大金を稼ぐ必要ってあるんだっけ? という議論もあります。
都会の喧騒を離れてリモートワークで最低限のお金を稼ぎなから、質素な田舎暮らしを選ぶ人たちも増えています。そんな人たちを十把一絡げに「負け組」と呼ぶような価値観は、ずいぶん古い思考だなぁと感じます。
人生は「他人が決める勝ち負け」ではなく、「自分がどれだけ多くの幸せを感じられるか」で決まります。古い成功事例に囚われすぎてわざわざ不幸を感じるような生き方や働き方は、いい加減やめたほうがいいんじゃないでしょうか。
むしろこれからの時代の働き方を考えるとき、最も大きなキーワードとなるのが、「いかに選択肢を増やせるか」です。
たとえば、「就職先」の選択肢。
たとえば、「起業・副業・兼業」の選択肢。
たとえば、「住む場所」の選択肢。
たとえば、「働く時間やスタイル」の選択肢。
こうした選択肢をいくつも増やす努力をすれば、社会がどう変わろうと、勤め先が倒産しようと、「自分が幸せ」と思える生き方や働き方を選びやすくなるわけです。 もし日本では選択肢が見つからず、生きづらさを感じるようになったら、ぜひ世界に視野を広げてください。
価値観も稼ぎ方も生き方も、びっくりするくらい世界は広いです。
キャリア選択の幅を広げる「最強の資格」はコレ!
仕事の選択肢を広げたい。より高い給料の仕事がしたい。あるいは人生の一発逆転をしたい。
そんなときに多くの人が考えることは、資格を取ることかもしれません。
資格というものは基本的に、他人が見ても「その道のプロ」とわかるよう、専門性にお墨つきを与えるもの。
「この資格を取れば安泰」は時代遅れかも
ただ、資格に関して僕がよく感じることは、「この資格を取れば将来安泰」という考え方自体が、もしかしたら時代遅れかも、ということです。
たとえばカラーコーディネーターの資格を取ったところで、そもそもカラーコーディネーターという仕事はありません。配色に関するスキルはインテリアデザイナーやプロダクトデザイナー、CADオペレーター、ウェディングプランナー、フラワーアレンジといった、デザイン系の仕事に就く人が持っていたら有利な「知識」というだけで、資格を持っていなくても総合的なデザイン力で評価される世界ではマストな資格ではないかもしれません。
もちろん、就職で大きなアドバンテージになる資格はあります。医師や司法試験 (弁護士、検事、裁判官)、公認会計士、司法書士、税理士、不動産鑑定士のような最難関の国家資格になれば、将来生活に困るようなことは考えにくいでしょう。
ただ、それでもAIの発達と普及によって仕事が減ったり、収益化が難しくなることは十分考えられることです。たとえばDX先進国のエストニアでは税務処理の自動化がどんどん進んで、税理士の需要が激減しています。
訴訟社会のアメリカでは弁護士がたくさんいるわけですが、過去の判例に基づくアドバイスならAIのほうが圧倒的に早く手軽なので、アメリカ社会全体として賃金が上昇しているのに弁護士の収入は下落しているそうです。
免許取得のハードルが高い日本の薬剤師も、結局やっていることは薬に関する膨大な知識を暗記することと調剤なので、AIとロボットに置き換えたほうがはるかに正確で早く業務を回すことができます。人間の薬剤師がいきなり「全部不要!」となることは考えられませんが、規制緩和に伴い、採用の門戸が狭まっていく可能性はかなり高いと考えられます。
海外では大学が「専門性の証明」になる
日本では自分の専門性を証明するために資格を取るということが一般化していますが、アメリカやヨーロッパなど海外の多くでは「大学」がその機能を果たしています。
欧米では採用にあたって日本企業のように「この子は筋がよさそうだ」とか「鍛えがいがありそうだ」といった感覚的な採用の仕方はせず、応募者の出身学部や専攻をしっかり見ます。
たとえばアメリカでプログラマとして働きたいなら、大学でコンピュータサイエンスを専攻しているのが大前提。そもそもアメリカには世界中から超優秀なプログラマが集まってくるわけですから、日本のIT企業のように「未経験者歓迎!」「文系の学生でもOK!」みたいなことはありません。もし文系出身の人がアメリカでプログラマになりたいなら、大学に入りなおすか、日本企業でかなりの経験と実績を積んでヘッドハンティングされるくらいの力を身につける必要があります。
日本の高校生が大学受験をするときは大学の知名度を優先し、学部に関してはいまの自分で入れそうな学部を選ぶパターンが多いかもしれません。
ただ、もし将来的に海外に出る選択肢を残したいなら、自分のやりたいことは高校生までの間に見つけておくか、ホワイトカラーを目指すなら最初から経営学部や商学部のように汎用性の高い学部を選ぶといいでしょう。
最強の資格は「大卒」と「英語力」
これからの時代を「楽しく生きる」にせよ「しぶとく生きる」にせよ、僕が若い人全般におすすめする資格・スキルは2つあります。 それは「大卒カード(大学卒業資格)」と「英語力」です。
この2つを持っていることは絶対に有利です。もちろんこれらがなくても人生で幸せをつ かむ選択肢はいくらでもありますが、将来の不安を少しでも軽減したいなら、大学を卒業することと、英語を勉強しておくことをおすすめします。 この2つの強みを持っていることで、人生の選択肢にめちゃくちゃ大きな差が生まれると思っています。
英語については次章で取り上げるので、ここでは大学について話をしておきますね。
意外!? メリットも多いFラン大学
日本では高校卒業後の進路として専門学校という選択肢もあります。「名前を書けば受かるFラン大学に行って遊びまくるより、専門学校で2年間、ひとつのことをみっちり学んだほうが将来の役立つのではないか」という考え方もあるでしょう。
でも僕に言わせれば、専門学校に行くのもいいですが、奨学金を借りてでもFラン大学に行くほうがもっと役立つと感じます。
理由は2つ。
ひとつは先ほど言ったように「大卒」資格のほうが就職の選択肢が広がるからです。
専門学校はたしかに高等教育機関のひとつではありますが、アメリカだと「Vocational School」。「職業訓練校」くらいの意味です。
もうひとつは、日本の専門学校は即戦力育成を前提にしているので、学ぶことは基本的に実務に近いことです。だとすれば18歳から現場で見習いとして働けば、たとえ給与は安くても、勉強ができてお金ももらえて「一石二鳥」です。
仕事に余裕が出てきたら、通信制の大学などで学士を取る選択肢もありでしょう
「学士」こそ、ラクして取れるコスパ最強の資格
いまの日本の大学受験ではペーパーテスト不要のAO入試や一芸入試のような新しい選抜方法もあります。そして一度入学してしまえば、たいして勉強しなくても卒業できるのが日本の大学の「よさ」でもあります。
日本の大学生の中退率は年間たったの2%くらいだそうです。しかもそのうち学力振が原因で退学した人は7%ほど。ほかの大学に転籍するとか、やる気がなくなって欠席しまくり単位落としまくりとか、就職や起業をしたとか、経済的に厳しくなったといった理由がなければ、ほぼだれでも学士の資格はとれます。
さらに、日本企業は採用時に学生の人柄や適性を重視するため、成績を一切見ない会社がほとんど。最近は成績を見る会社も少しずつ増えているようですが、主流にはなっていません。
そう考えると、日本の学士(大学卒業資格)は、いまの日本でもっともコスパのいい資格ですよね。
「英語力」で日本を飛び出せ!
すでに海外に生活拠点を移した、いわゆる「教育移住」の子育て世代の日本人と話をすると、「子どもには日本企業に就職してほしくない」という発言をよく聞くようになりました。
こうした親御さんたちは別に「日本で暮らさないでね」 と思っているわけではありません。 ただ、日本企業より数倍稼げる求人が世界中にあるのに、「わざわざ日本企業を選ぶ=コスパが最悪」と見られているのです。
貧しい日本で賢く生き延びる方法
OECDの各国賃金比較によれば日本は 38 か国中 25 位です。まったく同じような仕事をしてもお隣の韓国では1.2倍くらい、アメリカでは2倍くらいの給与をもらえます。
ここ数年で日本企業の新卒給与は跳ね上がっていますが、それは深刻な人材不足のためであって、景気がよくなったわけではありません。それにスタートの給与が上がった分、メンバーシップ型雇用の会社では10 年、20年働いても給与が上がりにくい報酬体系になっていく可能性も十分考えられます。またジョブ型雇用の会社でも、成果に見合った報酬が支払われる保証もありません。
これからの時代の働き方を考える若者に改めて伝えたいことは、日本は貧しい国になり下がり、長期的には落ちていく一方だということです。
そんななかで、海外も視野に入れて「賢くスキルを身につけ」「上手に稼ぐ」ことは、たいへん理にかなっていることなんじゃないかと思います。
誤解のないように言っておくと、僕は日本脱出を積極的にすすめるわけでもないし、 日本が嫌いなわけでもありません。
いまの日本で生活を続けることが困難だと感じたり、生きづらさを抱えている人もたくさんいます。
周囲のサポートがなく片親で子育てしないといけないとか、非正規雇用の沼から抜け出せないとか、露骨な男尊女卑社会に嫌気がさしたとか、地域・会社・学校などでの同調圧力が辛いとか、自分(や子どもの)の個性を潰されるのが不満だとか、理由はいくらでもあります。
この状態のとき、日本で暮らし続ける可能性しか考えられない人は、 「人生、詰んだ… …」 と悲観しがちです。そういうあきらめの境地に至っている人に対して、「いやいや、まだ選択肢はたくさんあるよね。外に目を向けてみようよ」と言いたいだけです。
日本を捨てる覚悟なんて、全然いりません。 別に「お試し」で海外を経験してみて、合えばそのまま住めばいいし、「やっぱり日本がいい!」と思うなら、帰ってくればいいだけの話です。
子どもがいるなら英語だけは教えたい
バイリンガル教育のひとつと言われる「イマージョン教育」。これは、2つの言語を一度に習得させるための方法です。カナダで始まった手法ですが、カナダは英語とフランス語が公用語なので、納得ですよね。
たとえば、母国語が日本語で、第二言語として英語を学ばせたい場合、英語という外国語を文法とか会話で学ぶのではなく、「英語で」算数や理科、社会などの教科を教えます。
「大人になってから覚えればいいじゃん」と思うかもしれませんが、小さな子どもと大人では決定的な違いがあります。それは「吸収力」です。子どもの脳は神経回路が発達段階なので、ある情報をガンガン与えれば、脳はどんどん吸収していきます。
とくに「音(耳)」は小さいころに慣らさないと、聞き取れないものも出てきます。たとえば僕は大人になってから英語を学んだので、いまだにLとRの聞き分けや発音が苦手です。でも、子どもならなんなく習得してしまうんですよね。
だから、子どもの英語教育に関してはできるだけ早い段階でやったほうがいいんじゃないかと思っています。学校教育としてやるかは別として、子どもの将来の選択肢を増やすための教育としては理にかなっているんじゃないかと思います。日本で暮らす知人を見ても、お金に余裕のある世帯の半分くらいは自分の子どもたちをインターナショナルスクールに入れています。
私立の小学校では英語教育に力を入れていることをアピールする学校もありますが、オールイングリッシュの環境に勝てるわけがありません。
もしいまの僕に子どもがいて日本で子育てをするなら、おそらくインターナショナルスクールに入れると思います。お金がなくて無理なら、せめて英会話教室には早めに入れて「英語の耳」をつくることだけでもやっておくような気がします。
まずは世界を経験してもらいたい
お子さんのいる方が将来のワークスタイル、仕事に関してどんなことで悩むだろう? 何が心配かな? といろいろ考えながら、僕なりの考え方をつらつらと書いてきました。
僕が伝えたかったメッセージはけっこうシンプルで、
「自分が一番幸せになれるように、好きに生きるといいよ」
「意外だけど、海外っていう選択肢もあるんだよ」
「海外のハードルは全然低いよ」
こんなことが、みなさんに伝わるといいな… …なんて思います。
最後に大事なことだけ2つ強調しておきますね。
いろいろあるけど、
1 大卒
2 英語
のカードはとりあえず持っていて損はないよ、ということ。
さまざまなスキルや資格があるなかでも、この2つは比較的かんたんにクリアできるわりに、(世界に出るときにはとくに)あると有利な「付加価値材料」として使えるからです。
短期でも長期でもいいので、まず世界を経験してもらいたいです。
そういう人材が日本にどんどん増えていけば、古い慣習や価値観でガチガチに凝り固まった日本を少しずつよくしてくれるんじゃないかとうれしくなります。
若いみなさんが、日本を面白くしてくれるのがいまから楽しみです。
「僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方」(Gakken)では、今回ご紹介した内容以外にも、日本よりもオトクなこと、稼げる職業、住むための裏ワザなど、「日本人が海外で働く」超実践的な方法なども紹介しています。
【主な内容】
●「就職」ではなく「就社」になっていない?
●「会社に所属しない仕事」で人生をコントロールできる
●そろそろ「勝ち組VS負け組」洗脳から解かれよう
◎「働く義務」なんてない
●「利用しやすい人」認定されたらヤバい
●資本主義では「自動化」が最強の稼ぎ方
●「勤労の義務」っておかしくない?
●赤羽の団地で見た「働かない大人たち」
◎日本「オワコン論」は正しい?
●「エッセンシャルワークの人材不足」は技術の進化で解決しない
●10年後の「2035年」をイメージしてみる
●「刺身パックにタンポポを置くような仕事」でスキルは身につかない
◎「うまく生きている人」に共通すること
●人間にとって超重要な「開拓力」 → 独学力が高い
●独学をバックアップする「好奇心」 → 行動力がある
●「行動するかしないか」は成功できるかどうかではない → 失敗を恐れない
●「案外、なんとでもならない?」の気持ちで → こだわりすぎない
●人の価値観に洗脳されてない? → 人に好かれる力
◎キャリア選択の幅を広げる「最強の資格」
●やりたいことがない人におすすめの「簿記」
●最強の資格は「大卒」と「英語力」
●専門学校もいいけど、Fラン大学はもっとオススメ
●「学士」こそ、誰でもラクして取れるコスパ最強の資格
◎「英語力」で日本を飛び出せ!
●カフェバイトで50万円!空前の出稼ぎブーム
●人気沸騰で「英語強者」が勝つ傾向に
●「日本を捨てろ」と言いたいわけではない
●中国語は英語のあとで
◎世界のどこでも「職場」になる
●年収3000万円も夢じゃない「寿司職人」
●やっぱり効いてくる「大卒」資格
●少しでも「楽しく」「ラクに」生きればいいんじゃない?
●外国籍をとるための裏ワザ
●そろそろ減点主義はやめて、加点主義で
この記事の監修・執筆者
1976年、神奈川県生まれ。
東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。
1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。
YouTubeの公式チャンネル登録者数は158万人。動画再生回数は2億回以上(2024年11月時点)。Z世代から最も支持されているインフルエンサーの1人でもある。
「僕が若い人たちに伝えたい 2035年最強の働き方」(Gakken)が発売中。
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