【平熱35度台は「冷え」のサイン】体を温める食材、冷やす食材[冷えとり&温活の権威/川嶋朗]

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近年、病気とまではいえないものの、「なんとなく体調がすぐれない」、「体力や気力が落ちてきた気がする」など、体や心の健康に不安を持つ人が多く見られます。

実は、これらの身心の不調は「冷え」が引き起こしていることが多いのです。

平熱が35度台という人の場合、確実にからだが冷えているといってよいでしょう。

『人生100年時代の冷えとり大全120 気になる症状や不調を予防・改善!』(Gakken)では、なぜ「冷え」るのか、西洋医学と漢方医学の考え方などをもとに、そのメカニズムを解説しながら、「冷え」を克服し、冷えにくいからだをつくる方法を紹介しています。

今回は、その中から「体を温める食材、冷やす食材」に関する部分について、一部内容を抜粋してご紹介します。

「冷えは万病のもと」といわれるように、冷えてよいことはひとつもありません。冷えを克服することで、現在お悩みの身心の不調が改善するかもしれません。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。

目次

西洋医学の「冷え」の考え方

西洋医学(生理学)で、「冷え」を定義すると「循環不全や代謝低下によって起きる熱生産不足」ということができます。
 
からだが冷えると血管はきゅっと収縮します。収縮する分、血液が通る道が狭くなるので、当然、血行は悪くなります。すると、全身の細胞に酸素や栄養素が行き届かなくなるため、新陳代謝や免疫の低下を招きます。老廃物や有害物質も回収されにくくなり、やがて血液もドロドロの状態になります。

この有害物質のなかには、脂肪もあります。よく肉料理が冷えたとき、脂が白くかたまって浮いているのを見ます。実際に血管のなかで脂が白くかたまるわけではありませんが、同じようにイメージするとわかりやすいでしょう。

冷えて体内の温度が低いと、脂(コレステロールなど)が血管の内壁に張り付いてかたまってしまい、やがて動脈硬化の状態になり、体調の不調だけでなく、心筋梗塞や脳卒中など、深刻な病気の引き金にもなります。

そのほかにも、冷えと血流の滞りは相互関係にあり、どちらかが低下すればもう一方も低下するため、さまざまな病気を引き起こす要因になると、西洋医学では考えられています。

そして「冷え」のサインは低体温として現れます。平熱が35度台という人は、確実に体が冷えているといえるでしょう。

健康で理想的な体温は?

では、健康で理想的な体温はどれぐらいでしょうか。

日本人の場合、平熱で36度以上が基本。脇の下で測ったときに36.5度程度といわれます。

人間の体内では絶えず新陳代謝が起きていて、呼吸や食べた物の消化・吸収のほか、古くなった細胞が新しく生まれ変わったりしています。それをスムーズに行うためにはさまざまな酵素が活動しているのですが、その酵素が最も活発に活動する体温が36.5~37度なのです。

季節の旬の食材をうまくとり入れる

漢方医学では、食材にはからだを温める効果のあるもの、冷やす効果のあるものがあると考えます。具体的に、からだを温めるために、どのような食材を選べばよいか、ご紹介します。

食べ物には「旬」といって、その食べ物が一番美味しく、たくさん採れる時期があります。基本的に冬が旬のものはからだを温め、夏が旬のものはからだを冷やす効果があります。

今は冬でも夏の野菜がスーパーに並びますが、トマトやキュウリなど、本来、夏が旬の野菜は水分が多く、からだの熱をとって冷ます効果があり、先人たちは旬のものを食べることで自然にからだを調節していました。
 
夏が旬のもの、冬が旬のものとして代表的な野菜と果物を挙げておきます。

■夏が旬のもの
【野菜】トマト、キュウリ、ナス、レタスなど
【果物】バナナ、マンゴー、パイナップルなど

■冬が旬のもの
【野菜】ネギ、カブ、レンコンなど
【果物】リンゴ、カキ、ミカンなど

食材が採れる場所や色の濃さで見分ける

どの食材がからだを温めて、どの食材がからだを冷やすのか、いちいち覚えるのは大変です。
そこで、旬のほかに、食材を見分けるための目安を紹介しましょう。

寒い地域で採れるものはからだを温める

ひとつはその野菜が採れる場所や原産地です。

基本的に、寒い地域で採れるものはからだを温め、暑い地域で採れるものはからだを冷やします。

例えば、東北地方で採れるリンゴやサクランボ、タラやサケはからだを温める食材です。一方、南国の果物であるバナナやマンゴーはからだを冷やす食材です。

土のなかでできるものはからだを温める

もうひとつの見分け方の目安は、土のなかでできるものはからだを温める食材である、というものです。

その代表例は、根菜類やイモ類です。

■土の中でできるもの
【イモ類】ジャガイモ、サツマイモ、ヤマイモなど
【根菜類】ニンジン、ゴボウ、レンコン、タマネギ、ショウガ、ニンニクなど
※ダイコンは土中でできますが、水分が多いので冷やす食材です。

色の濃いものはからだを温める

食材の色で見分ける目安もあります。

基本的に「赤・黒・橙色」など、色の濃い食材はからだを温めます。黒ゴマ、ニンジン、味噌などが挙げられます。

一方、「白っぽいもの」はからだを冷やす食材が多いです。例えば、白砂糖、モヤシ、ダイコン、牛乳など。以下に代表的なものをまとめます。

■色が濃くてからだを温める食材
肉類(羊肉、鶏肉)、魚介類(サケ、エビ)、ニンジン、カボチャ、トウガラシ、赤ワインなど

■白っぽくてからだを冷やす食材
白砂糖、白パン、牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、レタス、白菜、タケノコなど

冷やす食材を温める食材に

からだを冷やす食材も調理の仕方を工夫したり、温めたりすることで、からだを温める食材に変えることができます。
 
トマトやレタスなど、水分が多く、夏が旬の野菜には、からだを冷やす効果があります。体調によって、生サラダで摂取したほうがよい場合もありますが、からだを温めるためには、加熱して温野菜にすれば温める食材になります。スープや煮物などにするとよいでしょう。

豆腐も冷奴で食べればからだを冷やすことになりますが、湯豆腐にすれば温める食材になります。水分が多く、冷やす食材のダイコンも、温める食材の塩につけてたくあんにすることで温めるものになります。

果物はドライフルーツにして摂取

南国産や夏が旬のフルーツは、水分が多く、本来は、からだを冷やす食材です。

しかし、「水分が少なく、身がギュッと引き締まっているもの」はからだを温めるので、ドライフルーツにすることで温める食材に。果物のほか、野菜も干し野菜にすれば温め食材に。そのほか、ナッツ類、チーズなども「身がギュッと引き締まった食材」に当てはまります。

■ドライフルーツ・干し野菜
レーズン、ドライマンゴー、乾燥カボチャ、乾燥レンコンなど
■ナッツ類、その他
くるみ、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、落花生、燻製、チーズなど

スパイスも体を温める

ショウガやコショウ、トウガラシなどのスパイスはからだを温めるパワーの強いものです。うまくとり入れれば、冷やす食材も温め食材になります。

例えば、白菜は冷やす食材ですが、トウガラシと塩とニンニクでつければキムチという温め食材に。ネギやシソなどの薬味も温める効果が高いので、うまく利用しましょう。

この記事の監修・執筆者

神奈川歯科大学大学院統合医療教育センター長。 川嶋朗(かわしま・あきら)

統合医療SDMクリニック院長。
北海道大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学大学院医学研究科修了。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを経て現職。自然治癒力を重視し、西洋医学と相補代替医療を統合した医療を日本の医療系の大学で実践中。神奈川歯科大学大学院に統合医療学講座を開設。2025年に日本臨床統合医療学会を設立。NHKほかテレビ出演多数。著書に『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社)、『毎日の冷えとり漢方』(河出書房新社)など多数。『人生100年時代の冷えとり大全120 気になる症状や不調を予防・改善!』(Gakken)が発売中。

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