【子どもを熱中症から守る!】家庭でできる対処法、予防法は?[医師監修]

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【子どもを熱中症から守る!】家庭でできる対処法、予防法は?[医師監修]

夏の暑さが厳しくなるなか、子どもたちは熱中症のリスクにさらされています。体温調節機能が未熟な子どもは、大人よりも熱中症になりやすく、重症化することも。この記事では、子どもの熱中症の予防法や症状、応急処置について解説します。いっしょに対策して子どもを熱中症から守っていきましょう。

文/ハイドジア

目次

なんで子どもは熱中症になりやすいの?

ハンディーファンを赤ちゃんに当てている様子

子どもは、大人に比べて暑さに弱く、熱中症になりやすいと言われています。「まだ小さいから大丈夫」と思ってしまいがちですが、実は注意が必要です。ここでは、ママパパが知っておきたい「子どもが熱中症にかかりやすい理由」について、紹介します。

まだ体の調整がうまくできないから

子どもは、体の中の「体温を調整する仕組み」がまだ十分に発達していません。暑いときに汗をかいて体の熱を外に逃がす力が、大人ほど強くないのです。特に赤ちゃんや幼児は、体に熱がこもりやすく、外で遊んでいると知らないうちに体温がどんどん上がってしまうことがあります。

体の大きさに比べて水分必要量が多いことも子どもの特徴です。そのため水分補給が不十分だと大人よりも脱水症になりやすく、熱中症のリスクが高まります。

また、体の表面から熱を逃がすために必要な皮膚の血流も、まだうまく働かないことが多く、気温の変化についていけずに体調を崩してしまうことも。子どもが「なんだかぼーっとしているな」「顔が赤いかも」と感じたら、早めに涼しい場所で休ませてあげることが大切です。

地面の暑さが大きな負担に

子どもは背が低いぶん、地面からの熱を大人より近くで受けています。真夏のアスファルトは大人が触れられないほど熱くなることも。ベビーカーの高さはアスファルトの照り返しの影響を受けやすいことに注意しましょう。

ママやパパが「少し暑いかな」と感じる程度でも、子どもにとってはかなりの負担になっているかもしれません。外ではこまめに日陰で休憩をとって、熱をため込まないようにしましょう。

「暑い」がうまく伝えられないことも

小さな子どもは、自分の体調をうまく言葉にできないことがあります。「のどが渇いた」「暑い」「気持ち悪い」などのサインを感じていても、それを口に出せないまま過ごしてしまうことも多いのです。

そのため、まわりにいる大人が気づいてあげることがとても大切です。顔が赤くなっていないか、汗をかきすぎていないか、元気がない様子かなど、子どものちょっとした変化を見逃さないようにしましょう。「お水飲もうか?」「ちょっと休憩しようか」と、やさしく声をかけるだけでも、熱中症の予防につながります。

これって熱中症?よくある症状をチェック

水を飲んでいる子どもとお母さん

子どもが「なんだか元気がないな」「ちょっと変かも」と感じたら、それは熱中症のサインかもしれません。熱中症にはいくつかの段階があり、初期の軽い症状から命にかかわる重い症状まで、あらわれ方もさまざまです。ここでは、よくある症状をレベル別に紹介します。日常の中で早めに気づいて、すばやく対応できるようにしましょう。

ふらつき・生あくびなど軽い症状

熱中症の初期症状として、ふらふらしたり、立ちくらみを起こしたりすることがあります。外遊びのあとに、子どもの動きが何となく鈍い、ふらつきがある、生あくびをしているという場合は要注意です。

この段階では、涼しい場所で休ませて、水分と塩分を補給すれば回復することが多いですが、様子をしっかり見守ることが大切です。

頭痛や吐き気など中くらいのサイン

熱中症が進行すると、頭が痛い、気持ちが悪いといった症状が出てきます。子どもが「頭がいたい」「おなかがムカムカする」と訴えてくれれば良いですが、言葉でうまく表現できない小さな子どもの場合、元気が無く顔色が悪かったり、食欲がなくなったりしたときは、体が危険を感じているサインかもしれません。

体を冷やすために、首やわきの下を保冷剤などで冷やす対策をしましょう。不安を感じたら無理をさせず、必要に応じて医療機関に相談してください。

ぐったり・反応が鈍いなどの危険サイン

熱中症が重くなると、子どもの様子に明らかな異変があらわれます。ぐったりして元気がなくなったり、話しかけても反応が鈍かったりする場合は、とても危険な状態です。体温が高く、皮膚が熱く乾いているときは、すでに汗が出なくなっている可能性もあります。

このような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。迷ったときは救急車を呼ぶ判断も必要です。命に関わることもあるため、「少し様子を見よう」は禁物です。早めの行動が、子どもを守ることにつながります。

熱中症かも…と思ったときの対応

汗をかいて寝ている赤ちゃんにハンディファンを当てているお母さん

「もしかして熱中症かも」と感じたら、すぐに対応することがとても大切です。症状が軽いうちに正しく対処すれば、多くの場合は自宅で回復できます。ここでは、子どもに熱中症のサインが見られたとき、ママパパがすぐにできる応急処置の方法を紹介します。

まずは涼しい場所に移そう

子どもに熱中症の症状が出たら、暑い場所から離れて涼しい場所へ移動させましょう。屋外にいる場合は、日陰や風通しの良い場所へ。室内なら、エアコンが効いた部屋が理想です。

子どもは体が小さい分、周囲の温度の影響を受けやすく、熱が体にこもりやすい状態です。そのため、なるべく早く環境を変えてあげることで、体温の上昇を食い止めることができます。

首や脇を冷やして体を冷ます 

涼しい場所に移動したら、次は体を冷やすことが大切です。特に「首」「脇の下」「脚の付け根」などは太い血管が通っているため、ここを冷やすと効率よく体温を下げることができます。

保冷剤があればタオルにくるんで当てたり、なければ冷たいペットボトルや濡れタオルでも代用できます。赤ちゃんや小さな子の場合は、直接肌に当てすぎないように注意しながら、様子を見て行ってください。

うちわや扇風機で風を送るときに、皮膚の表面を濡らすと効果的です。子どもが嫌がらないように、声をかけながら落ち着いて対応しましょう。

水分補給で少しずつ元気をとりもどす

体を冷やしながら、ゆっくり水分をとらせてあげましょう。熱中症になると、体の中の水分や塩分が失われてしまっているため、こまめな補給が必要です。

麦茶や湯冷ましでも構いませんが、汗をたくさんかいているときは、塩分も含まれた経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。飲むのを嫌がる場合は、スプーンやストローで少しずつ与えるとよいでしょう。

無理にたくさん飲ませようとせず、子どもの様子を見ながら、ゆっくりと回復をサポートしていくことが大切です。

心配なときは迷わず病院へ

水分をとってもぐったりしている、呼びかけに反応が鈍い、吐き気が続くなどのときは迷わず病院を受診しましょう。熱中症は進行が早く、放っておくと命に関わることもあります。

「このままで大丈夫かな」と少しでも不安を感じたら、自己判断せずに医療機関に相談することが大切です。特に小さな子どもは体力の回復が追いつかないことも多いため、早めの受診が安心につながります。

症状によっては救急車を呼ぶ判断も必要です。ママパパの「おかしいな」という直感が、子どもの命を守ることにつながります。

おうちでできる!熱中症の予防習慣

一人で水分補給をしている子ども

暑い季節の外遊びやお出かけは、子どもにとって楽しい時間。でも、そのぶん熱中症のリスクも高まります。子どもは汗をかきにくかったり、体の声を伝えにくかったりするため、小さな変化も見逃せません。ここからは、おうちで続けやすい予防習慣を紹介します。

水分&塩分をこまめにとろう

普段からお水や麦茶のほか、たくさん汗をかいたときは、塩分も含まれた経口補水液やスポーツドリンクを飲む習慣を作りましょう。

「遊ぶ前」「遊んだ後」「お風呂の前後」「寝る前」など、タイミングを決めて習慣づけると、子どもも自然と水分補給ができるようになるのでおすすめです。

涼しい服装と帽子でおでかけ

外出するときは、暑さを少しでもやわらげる服装を心がけましょう。通気性のよい綿素材のTシャツや、汗を吸いやすい薄手の服がおすすめです。色は白やパステルカラーなど、熱を吸収しにくい明るめのものを選ぶと安心です。

帽子も熱中症対策につながります。直射日光を防ぎ、頭や顔への熱のダメージをやわらげてくれるでしょう。

また、暑い日は無理に外出せず、できるだけ午前中や夕方など涼しい時間帯を選ぶのも、立派な熱中症対策になります。

エアコンや日陰を上手に使おう

室内でも油断は禁物。気温や湿度が高い日には、エアコンや扇風機を活用して、室温を快適に保つことが大切です。設定温度の目安は26〜28度。冷やしすぎに注意しながら、空気の流れをつくることで、熱がこもりにくい環境になります。

外では、日陰をこまめに選んで休憩をとることがポイントです。ベビーカーに日よけカバーをつけたり、携帯用の扇風機を使ったりするのも効果的です。公園の木陰や屋根のある場所を見つけたら、子どもといっしょに休む習慣をつけましょう。

暑さに強くなる体をつくるには?

熱中症を防ぐには、毎日の生活習慣も大切です。十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動をとり入れることで、暑さに負けない体づくりができます。

朝ごはんをしっかり食べることで、体のリズムが整い、汗をかく力や体温調節の働きも高まります。また、日ごろから少しずつ外遊びやお散歩などで体を暑さに慣らしておくと、急な気温の上昇にも対応しやすくなります。

無理せず、楽しみながら続けられる工夫をして、家族みんなで「夏に負けない体づくり」を目指しましょう。

親子でいっしょに、暑い夏を乗りきろう

プールで遊んでいる子供達の様子

子どもは大人よりも暑さに弱く、熱中症のリスクも高くなりがちです。でも、ちょっとした工夫と気配りで、そのリスクをぐっと減らすことができます。水分補給や涼しい服装、外出時の対策など、日常の中でできることを積み重ねることが、何よりの予防になります。

「ちょっと暑いかも」「少し元気がないかも」と感じたときには、無理をさせず、すぐに休ませる勇気も大切です。ママやパパの気づきが、子どもの命を守ることにつながります。

家族みんなで声をかけ合いながら、笑顔で元気に夏を過ごしましょう。

この記事の監修・執筆者

総合母子保健センター愛育クリニック 院長 渋谷 紀子

東京大学医学部卒。NTT東日本関東病院小児科部長などを経て、現職。日本小児科学会認定専門医・指導医、日本アレルギー学会認定専門医。主な監修書籍に、『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研教育みらい)、『はじめてママ&パパの0-6才病気とホームケア』(主婦の友社)などがある。

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