夕食をすませ、お風呂に入れて、さああとは寝かしつけ! と思っても、なかなか子どもが寝てくれない。絵本を読んでも、だっこで歩き回っても、添い寝をしても、いろいろやってはみたけれど、どれもダメ。明日も早いのに…ってこと、ありますよね。子どもの寝かしつけに悩むママ・パパは意外と多いものです。そこで今回は、夜泣き専門保育士・清水悦子先生に、子どもの睡眠や寝かしつけの方法などについてお話を伺いました。
お話:清水 悦子(NPO法人赤ちゃんの眠り研究所 代表理事)
どうして寝てくれないの? 子どもの睡眠のヒミツ
朝日を浴びないと、体内時計がうまく働かない
寝つきが悪い原因には、体内時計のリセットができていないことが挙げられます。わたしたちの体には、生まれつき「体内時計」という時計があり、睡眠のリズムや体温の変化をコントロールしてくれるのです。
ただし、この体内時計は、24時間より少し長いリズムを刻んでいるため、そのままだと少しずつ後ろにズレていって昼夜が逆転してしまいます。
これをリセットするのが、朝の太陽の光です。朝日を浴びずに過ごすと、体内時計と一日の活動時間がズレてしまい、その影響で寝つきも悪くなってしまいます。
深い眠りに誘う「メラトニン」の分泌を促す
また、わたしたちが眠くなる時には「メラトニン」というホルモンが分泌されます。大人は、眠る少し前からこのホルモンが出始めますが、子どもの場合は、寝る直前に出てきます。そのため、「まだ眠くならないのかな…?」と勘違いして、明かるいリビングでテレビを見ながら眠くなるのを待ってしまうなどして、落ち着いて眠りに入れないケースも。朝起きたら部屋のカーテンを開け、太陽の光を浴びたり、午前中にお散歩をしたりすると、ちょうど夜にメラトニンが分泌され、寝つきをよくする効果もあります。
寝つきをよくする! 年齢別のポイント
【0歳児】夜泣きのピーク! 朝7時に起こすことからスタート!
0歳児は、昼夜を問わず、2、3時間おきに寝たり起きたりを繰り返しながら、3か月くらいから夜に少しずつ長く眠れるようになります。しかし、まだ夜中に起きてしまうことも多く、午前中と午後の2回のお昼寝も必要。子どもによる個人差もあり、睡眠不足が続くママ・パパも多いですね。
ただ、夜泣きがひどかったからといって、朝になっても寝たいだけ寝かしておくのはNG。朝はできるだけ7時頃には起こす習慣をつけていくことが、後々の睡眠リズムにつながっていきます。
【1歳児】動けて、眠りも深まる頃 体を動かすことを心がけて
1歳児は、歩けるようになって行動範囲が広がり、体力を使った分、睡眠も深くなってくる頃。個人差もありますが、午前中のお昼寝が必要ない子も増えてきます。
なかなか寝てくれない時は、運動不足が原因かも? お散歩をしたり、体を動かす遊びなどを取り入れて、ぐっすり眠れる環境も整えましょう。
【2、3歳児】イヤイヤ期だけど…毅然と対応し、ルーティンを作る!
眠りが少しずつ深くなってくる頃。しかし、なんでも自分でやりたがったり、生活習慣の様々なことを嫌がったりする「イヤイヤ期」でもあるため、寝てほしいという親の気持ちを察すると、「絶対にイヤ!」とばかりにがんばって、ママ・パパはもうへとへと…なんてことも。
しかし、こうした場面でも「きょうは仕方ないか…」と諦めずに、毅然とした態度をとることが大切です。おすすめなのは、眠る前のルーティンを作ること。例えば、8時になったらテレビを消して、おもちゃに「お休み」と言って、絵本を2冊読んで、そして寝る、という流れ。これを日々、淡々と繰り返して、習慣づけていきます。慣れてくると、ひとつひとつしていくうちに「寝るんだ」ということが、子どももわかるようになります。
【4歳児】意志を持った「寝たくない!」時期には、わが家のルールを!
自分の意志もはっきりしてきて、できることも増えてきます。見たいテレビやDVDなどがあって、「寝たくない!」という強い思いがある時は、自分で操作して見ることもできますから、ママ・パパの対応はなかなか大変です。
でも一方で、この時期は「ルールを守りたい!」という規範意識も強くなってくる頃です。そこで、家庭ごとに「何時に寝る」とか「何時に起きる」「寝る前にすること」なども含めた、「わが家のルール」を一緒に決めて、みんなで実行してみるとよいでしょう。
【5歳児】就学に向け早起きに! 朝の準備も自分で!
就学に向けて、という点がクローズアップされてくる頃です。小学生になると、朝起きる時間も早くなり、身支度なども自分でできるように習慣づけていかなければなりません。
そこでおすすめなのが、起きる10分くらい前にカーテンを開けて、太陽の光が差し込むようにすること。光を感じて起きる、という快適な目覚めができれば、1日を気持ちよく始めることができ、生活のリズムも整っていきます。
朝の準備や身支度も、「お支度ボード」を使うと便利です。例えば、「顔を洗う」「ごはんを食べる」「歯を磨く」「着替える」など、朝起きてからすることを、文字や絵で記し、ホワイトボードなどに貼ります。子どもの見やすい高さに貼っておけば、自分でも確認できますし、「次はなにをするんだっけ?」とママが声をかけることで、身につけていくことができます。朝の準備が自分でできるようになれば、子どもも自信がつき、ママの負担もグッと軽減されるはずです。
どの年齢でも明日からできる! 簡単3ステップ
多くのママ・パパが実践した、清水悦子先生おすすめの方法をご紹介します。
【ステップ1】朝は7時までに起こす!
生活リズムを整えるためには、朝の早起きが大前提。7時までに起こすことを心がけます。起こす際には、①カーテンを開けて、太陽の光を入れる、②いきなり抱き上げたりせずに、声をかけたり体をゆすったりする、③顔を拭いたり、着替えをしたりする、など朝の習慣を定着させていくことが大切です。
【ステップ2】お昼寝の時間を調整して、日中は活動的に過ごす
子どもの体調にもよりますが、あまり長い時間お昼寝せずに、日中は活動的に過ごすのがおすすめ。できるだけ午前中は、散歩や外遊びなどで太陽の光を浴びましょう。眠りを誘う、メラトニンの分泌が高まります。
【ステップ3】寝る前の30分は、スキンシップでいちゃいちゃ!
夜8時までに寝かせたい場合は、30分前の7時30分にベッドに移動し、親子で触れ合う「いちゃいちゃタイム」に。部屋の明かりを薄暗くしてゆったりと静かに過ごします。絵本を読んだり、その日の子どもの「よかった、すてきだった行動」などについて話したりしてもOK。寝る前の心と体の準備ができ、親子の絆が深まるだけでなく、薄暗い中で過ごすことで、眠りを誘うメラトニンも出て、寝つきがよくなります。
なかなか寝てくれないわが子に、苦戦しているママ・パパに、清水先生からのアドバイスは、「我慢ではなく、行動すること!」。簡単3ステップをまずは3~4日! できる範囲でトライして、ママ・パパ子どもの安眠を手に入れましょう。
この記事の監修・執筆者
大阪府出身。茨城キリスト教大学文学部児童教育学科准教授。NPO法人赤ちゃんの眠り研究所代表理事。夜泣き専門保育士。大学卒業後、理学療法士として都内の病院などに勤務。出産を機に退職。子どもの壮絶な夜泣きをきっかけに保育士資格取得。子育て家庭の睡眠サポートに取り組む任意団体「赤ちゃんの眠り研究所」を設立。著者『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)はシリーズ28万部を超えるロングセラー。『ワーママの毎日がラクになる! 子どもの「眠る力」の育て方』(日本能率協会マネジメントセンター)など、著書・共著多数。
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