朝起きられない子の対処法~うちの子、もしかして睡眠障害?~後編【医師監修】

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「朝、起きられないのはなぜ?~うちの子、もしかして睡眠障害? ~前編」では、その主な原因を紹介しました。病気が原因であれば、医療機関に相談する必要があります。ですが、一般的に「子どもが朝、起きられない」という問題はたいていの場合、睡眠不足や生活習慣を改善するだけで解消できます。前編に引き続き、子どもの睡眠の問題に詳しい阪野クリニックの阪野勝久先生に「子どもが朝、すっきり起きられるようになるために保護者は何に気をつけたらよいか」をアドバイスしていただきました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

子どもの睡眠時間は1日9時間を確保しよう

子どもが朝、すっきり起きるためには、十分な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠習慣を身につけ、睡眠の質を高めることが重要です。そのためには、生活習慣の見直し、食事や入浴、ストレスのコントロール、寝室環境の整備などに注意しましょう。

小学1、2年生の場合、1日9時間程度の睡眠をとりましょう。たとえば、「夜9時30分に寝て、朝6時30分に起きる」などの目標を決めて、それをめざしてみましょう。

起床する時刻を決めたら、毎日同じ時刻に起きることが大切です。学校が休みになる日曜日や祝日なども平日と同じスケジュールで起床することで、睡眠リズムを習慣づけることができます。

水分の摂り過ぎとカフェインに注意!

夜に水分を摂り過ぎると、夜、トイレに行きたくなって起きてしまったり、おねしょをしたりしてしまいます。夜中に何度も起きると、ぐっすり眠れず、睡眠の質が下がりますので、寝る前に水分を摂り過ぎないように気をつけましょう。そのためには夕食の塩分を控えることも大切です。

夕食は、就寝の3時間くらい前に済ませておきましょう。食べたものを消化するのに2~3時間かかるので、胃腸に負担がかかってしまいます。快眠のためには就寝の3時間前には食事を済ませておくのが理想です。

子どもに与える飲みものや食品については、覚醒作用があるカフェインを含んでいないものを選びましょう。日本茶や紅茶にはカフェインが含まれていることを知っている方は多いのですが、実はココアやチョコレートにもカフェインが含まれていることを、意識していない方が多いようです。とくに夕方以降は、カフェインを含んでいる飲みものや食品を摂らないようにしましょう。

入浴は、就寝の1~2時間前に

ぐっすり眠るためには、寝る1~2時間くらい前の入浴が有効です。お風呂に入ると深部体温(体の内部の温度)が上がり、風呂から出て1時間半後くらいから体温が下がり始めます。体温が下がってくるタイミングでベッドに入ると眠りにつきやすいです。

胃の負担を考えると、入浴も食事から1~2時間くらいは空けたほうがよいので、次のようなタイムテーブルを参考にしてはいかがでしょう。

【帰宅してから寝るまでのタイムスケジュール例】

18時30分……………夕食

19時30分~20時……入浴

21時…………………就寝

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寝る前のゲームはNG

夕方以降、とくに就寝前は、光の刺激を避けましょう。たとえば、寝る前にゲームをしたり、動画を見ていたりすると、目から入る光の刺激によって、体内時計が昼間の活動時間帯であると錯覚し、睡眠のリズムが乱れてしまいます。可能であれば、寝る少し前から、寝室の照明を徐々に暗めに調節していくのが理想的です。

就寝時刻になっても子どもがなかなか寝つけない場合は、お気に入りのルーティーンを見つけてあげるのもよい方法です。寝るときは絵本を読む、音楽を聴くなどを習慣にすると、眠りにつきやすくなります。

ストレスがあると寝つけないことも

子どもでも、悩みごとや気になることがあると寝つきが悪くなることがあります。成績が気になる、学校での人間関係が気になる、テストの点が悪くて保護者に叱られた…などがストレスになって眠れなくなってしまうこともあるのです。保護者は子どものストレスにも気を配りましょう。悩みがあるようなら、寝る前に子どもの話を聞く、子どもが安心して眠れるように添い寝をするなどが有効です。

寝室の室温は18~24℃で調節

寝室の温度は18~24℃くらいがよいとされています。快適な温度には個人差があるため、子どもの様子を見てエアコンなどで調節しましょう。冬季は乾燥を防ぐため、加湿器の使用を考えてもいいでしょう。

朝、起きたら日光を浴びる

朝起きたら、カーテンを開けて、日光を取り入れるようにしましょう。朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、睡眠覚醒リズムの安定化に役立ちます。十分な照度がない場合は、室内の照明をつけて明るくするのも有効です。タイマー機能つきの調光できる照明器具を活用すると睡眠覚醒リズムを整えるのに役立ちます。

睡眠日誌をつけることもオススメ

子どもの睡眠日誌をつけることも、おすすめします。睡眠日誌とは、就寝・起床時間や途中で目が覚めた時間などを記録するものです。日中の活動状況として、昼寝をした時間、眠気があった時間帯なども書き込みます。保護者が書いてもよいですが、簡単な項目ならお子さんといっしょに書きましょう。睡眠日誌を毎日つけると、睡眠の様子を客観的に把握することができます。

《睡眠日誌に記入する項目例》

・ベッドに入った時刻

・入眠時刻

・途中で目が覚めた回数

・目が覚めた時刻

・起床した時刻

・起床時の気分

・昼間の眠気があった時間帯

・昼寝の有無と時間帯

・居眠りをした時間帯

・その日の出来事…など

睡眠日誌テンプレート PDF(監修:阪野クリニック/ダウンロード後、印刷してご使用ください)
※このリンクは2022年9月現在のものです。リンクは予告なく終了する場合があります。

保護者自身も早寝早起きを心がけて

たとえ寝室の環境を整えても、家の中で家族が夜ふかしをしていたら、子どももなかなか眠りにつくことができず、質のよい睡眠を得ることができません。子どもが早寝早起きなどの生活習慣を身につけることが必要ですが、保護者自身が夜型で不規則なライフスタイルを送らないことも重要です。保護者も早寝早起きを心がけてくださいね。

この記事の監修・執筆者

阪野クリニック院長 阪野勝久

愛知医科大学医学部を首席で卒業。愛知医科大学病院の循環器内科を中心に内科の診療に従事。カナダ・マニトバ州立大学のSt. Boniface総合病院睡眠障害センターに2度留学して、いびき・睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など子どものいびき・睡眠障害の研究を行う。2011年に睡眠障害を専門のひとつとするクリニック(岐阜県)を開設し、内科と睡眠障害の専門医の立場から診療を行う。

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