子どもたちは毎日の生活や遊びの中で、頻繁にけがをします。
家庭でできる手当ては? 病院に行ったほうがよいけがは?
そんな身近な疑問にお答えする連載です。
今回は、よくある顔まわりのけがの手当てについて、みやのこどもクリニックの宮野孝一先生にお伺いしました。
監修/みやのこどもクリニック 院長 宮野孝一
1 こんなときどうする? 鼻血が出た
子どもの鼻の粘膜の表面は、大人と違って静脈の塊が集積しているので、出血しやすいです。
少しの刺激や乾燥(クーラー、暖房など)でも出血します。
短時間で止血できる場合は心配ないので、落ち着いて手当てをしましょう。
まずはCheck!
□鼻血が出た原因
□頭をぶつけたあとに出た鼻血ではないか
□出血量と時間
手当ての仕方
(1)小鼻をつまんで止血
子どもを座らせて5~10分程度、小鼻をやや強めにつまみます。座れない場合は抱きかかえるか、鼻血が出ている側を下にして、寝かせます。
口に落ちた血は、飲み込まずに吐き出させましょう。
!上を向かせたり、首の後ろをたたいたりするのはNG。
(2)ガーゼや脱脂綿を鼻に詰める
出血がある程度止まってから、ガーゼか脱脂綿を鼻に詰めます。鼻の奥まで詰めずに、先端が出ているくらいにとどめて。
固まった血は、鼻をかんだり無理にはがしたりすると再出血するおそれがあるので、血が止まりきるまではそっとしておきましょう。
あれば、抗生剤の軟こうを塗ったガーゼを詰めると、あとでガーゼを取るときに、再出血しづらいです。
(3)鼻を冷やす
冷やしたぬれタオルか、ハンカチなどに包んだ氷のうを鼻に当てます。血管が縮んで血が止まりやすくなり、痛みも和らぎます。
こんなときは救急車を呼ぶ・急いで病院へ
- 止血をしても15分以上、血が止まらない(内臓疾患が考えられる)
- 頭をぶつけたあとに鼻血が出た(頭蓋骨内での出血のおそれ)
- 意識がもうろうとしている
2 こんなときどうする? 鼻に異物が入った
穴があると入れたくなるのが子どもの性(さが)…!?
水や虫の侵入だけでなく、豆や植物のタネ、拾ったBB弾などを詰めてしまうこともあります。
まずはCheck!
□入ったものは何か
□痛みはあるか
□出血の有無
手当ての仕方
(1)鼻をかませる
異物が入ったのと反対側の小鼻を押さえて、強めに鼻をかむと、出てくることがあります。
!あまり強くかませると、鼻とつながった耳の気圧が変わり、耳が痛くなることがあります。
(2)くしゃみを出させる
ティッシュペーパーで作ったこよりなどで刺激して、くしゃみをすると、異物が出てくることがあります。
!無理に指やピンセットで取ることはやめましょう。さらに奥に押し込んだり、気管に落ちてしまったりする危険性があります。
こんなときは病院へ
- 異物が出てこない
- 出血している
- 鼻をかむのが難しい場合
いつもと違う様子でよく鼻をいじる、苦しそうに口呼吸をしている、鼻や鼻水からにおいがする、風邪でもないのに鼻水が出る…などの場合は、鼻に異物が入っている場合があります。
3 こんなときどうする? 目に異物が入った
まずはCheck!
□入ったものは何か、どこに入っているか
□痛みはあるか、どの程度か
□目の充血や出血の有無
手当ての仕方
目に見える異物が刺さっている場合は、触ったり水で流したりせずに、急いで救急車を。それ以外の場合は、下記の応急手当てを行い、場合によっては救急車を呼ぶか病院へ行きます。
(1)患部を洗う
流水か、しみないタイプの目薬、洗面器にためた水で、まばたきしながら目を洗います。
薬品は10分以上・2リットル以上の水で。蛇口やシャワーの水で洗い流すのが難しい場合や幼い子の場合は、ヤカンなどの水で流しましょう。
(2)異物を取り除く
(1)のあと、清潔な手で、上まぶたならひっくり返して、下まぶたは「あかんべ」のように下げて、異物が残っていないか確認します。確認できる異物がある場合は、ぬらしたガーゼ、または綿棒の水分で吸収するように、そっと拭き取ります。
こんなときは救急車を呼ぶ・急いで病院へ
- 異物が刺さっている(清潔なガーゼかタオルで覆い、すぐに救急車を呼ぶ。傷が広がるので触ったり目を動かしたりさせない)
- 出血している
- 薬品、油、熱湯が入った
- 目を開けられないほど痛がる、まぶしがる
- ひどく痛がる、異物が見当たらないが痛がる
- 異物が確認できるが、取れない
4 こんなときどうする? 耳に異物が入った
何が入ったかによって、手当ての方法が異なります。
まずはCheck!
□入ったものは何か、どこにあるか
□痛みはあるか
□出血の有無
手当ての仕方
■水が入った場合
水が入った側の耳を下にして、片足で跳び、振動で水を出します。難しい場合は耳にタオルを当てて、頭を軽くたたきます。
綿棒か、ティッシュペーパーで作ったこよりをさし込む場合は、ちぎれない程度の太さにしましょう。
子ども本人が気にしない場合は、1日程度なら様子を見てもOK。お風呂などで再び水に触れた拍子に、出ていくことも。
■虫が入った場合
まずは、虫が入った方の耳を上に向けることが基本です。
出てこない場合は、明るいほうへ飛ぶ虫の性質を利用して、暗くした部屋で懐中電灯の光を当てます。
または、少量のベビーオイルを垂らして、中で虫を殺しても。
!動かなくなったの虫はピンセットなどで取り出すと耳を傷つけるおそれがあるため、病院へ。ただ、虫が耳の中で飛び回るとブンブンとうるさく不快なため、ベビーオイルも有効な手段です。
こんなときは病院へ
- 何が入ったか確認できない
- 異物が確認できるが、取り出せない
- 出血している
- 不快感や違和感を訴える、しばらくしても落ち着かない
- 虫が入って取り出せない
- 耳だれが出ている
異物が目に見えるとご家庭で取り除きたくなるところですが、顔まわりは、粘膜や繊細な部位が多い所です。
無理に触ると傷がひどくなる場合があるので、病院を受診することも選択肢に入れておきましょう。
この記事の監修・執筆者
みやのこどもクリニック院長。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医であり、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの診療にも積極的に取り組む。
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