シングルマザーで2人の息子さんを難関私立中高一貫校、そして公立大学医学部現役合格へと導いた藤田敦子さん。現在は一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会代表理事として、主に小学3年生までのお子さんのいるご家庭を対象に、“受験子育て”にまつわる相談を多く受けていらっしゃいます。
ここでは小学3年生までのお子さんがいらっしゃるご家庭向けに、親子関係や家庭学習、中学受験に関することなど、さまざまな視点から藤田さん流の“幸せな子育て&賢い子を育てる”ためのアドバイスを発信していきます!
取材・文/細川 麻衣子 写真提供/日本ぺたほめアカデミー協会
≪第10回(毎月1回公開/全12回)≫
寒さで外に出るのがおっくうになりがちな冬……ですが、そんな今こそ、親子で体を動かし、子どもの「できた!」を育てるチャンス♪ 「賢い子は、スポーツと学習のバランスがとれている子が、実はとても多いんです」という藤田さんは、ご自身の子育て経験からも、それを実感されるそう。
ここでは藤田さんがおすすめする、家庭でのスポーツとの付き合い方をご紹介します。
スポーツは❝学びの土台❞を整える!
1~2月は特に真冬日・冬日※が増えて冷え込むことで、外に出ることが減るご家庭も多いことでしょう。しかしそんな時期だからこそ、体を動かすスポーツは子どもの成長のために取り入れたいところです。子どもにとってスポーツは、体力向上や健康は促進はもちろん、なにより心の成長を促し、学習効果も高めてくれるので、季節を問わず取り組むことがポイントです。
【からだを動かす・スポーツが子どもにもたらす効果】
1.脳を活性化する
運動すると脳に酸素や栄養がたっぷり行き渡り、海馬(記憶をつかさどる部分)の働きが活発になります。
2.非認知能力を育てる
遊びや運動を通じて「挑戦する力」「協力する力」「あきらめない力」が育ち、机上の勉強だけでは得られない“生きる力”が身につきます。
3.集中力を高める
運動後は脳内にドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質が分泌され、気分が安定し、集中力が高まります。
4.感情のコントロールがしやすくなる
体を動かすことでストレスが発散され、イライラや不安が軽減されます。気持ちの切り替えが早くなり、失敗を引きずらず、なにごとにも前向きに取り組めるようになります。
5.生活リズムが整い、記憶が定着しやすくなる
適度な運動は睡眠の質を高めます。質のよい睡眠は生活リズムを整え&脳を成長させるので、結果的に記憶力を高めるなど、学習効果に良い好循環が生まれます。
このように、小学生にとってスポーツは良いことづくしです。学習面から考えても、まさに❝賢い子を育てる=スポーツは学びの土台を整える重要な要素❞と、いってよいでしょう。
我が家では❝自分と向き合う力❞、❝協調性を育む力❞、❝思考力を養う力❞、これらを意識しながら、子どもの成長に合わせてスポーツを取り入れて育てていました。
※真冬日:最高気温が0℃未満の日のこと。最低気温が0℃未満の日は「冬日」という。気象庁HPより
≪関連記事≫〈 運動会シーズン到来!〉子どもの運動神経が飛躍的に伸びる「ゴールデンエイジ期」、親子でできることとは?
❝自分と向き合う力❞を育てるスポーツは?
わが家では子どもの成長に合わせて、水泳・ランニング・鉄棒・とび箱などといった、ひとりで取り組むタイプのスポーツを、常に取り入れてきました。
ひとりで努力して取り組むことは……
・できなかったことが「できた!」になる=成功体験を積み重ねやすい
・こつこつと自分のペースでできる
これが魅力です。こうして続けることで❝自分と向き合う力❞を育てることができます。

【藤田家が取り組んでいたもの】
●水泳
体力向上はもちろん、呼吸やリズムを自分で整える力が育ちます。
息子は呼吸器が弱めだったこともあったので始めましたが、続けることで泳ぎに自信がついていき、小6の頃には大会で入賞するほどに上達! 受験期もあえて続けることで良い息抜きにもなり、勉強とのバランスをとっていました。
●ランニング
自分のペースを調整しながら、途中で苦しくなっても最後まで走り切る――という経験は、持久力だけでなく、気持ちを立て直す力・忍耐力を育てることにもつながります。
息子がマラソン大会に向けて練習をしていたとき、最初は私もいっしょに走ろうとしました。でも、思った以上に息子のペースが速く、とても追いつけなかったんです。翌日から私は自転車で並走しながらランニング練習の応援をすることに(笑)。冬の冷たい空気の中、黙々と前を向いて走り続ける息子を追いかけた、あの頃。私の自転車並走も含めて、とてもいい思い出です。
●鉄棒・とび箱・なわ跳び
これらは体幹やバランス感覚を育てます。できるようになるまで時間がかかるからこそ、達成感はひとしおです。
幼稚園の頃、とび箱を跳べるようになるために児童館の施設を借りて、ママ友&子どもたちといっしょに練習をしていました。目的はもちろん、息子たちがとび箱を跳べるように――でしたが、このときは「ママもいっしょに跳ぶ!」を目標に。ママになって気づきましたが、出産を経て久々のとび箱といったら……思った以上に跳べないんです(笑)。でも、だからいいんです! 親子でいっしょにとび箱を跳べるように練習するということが、子どもたちにとっては楽しく、大人にとっても良い運動になり、結果的に❝親子の絆❞を深められる時間になりました♪
もし、なかなか上達できなくても
「すごくカッコよく泳いでたね」
「(鉄棒の場合)昨日よりも足が上がっていたよ!」
「(とび箱の場合)助走を怖がらずにしっかり走れたね」
と、今回の良かったところをみつけて、しっかりほめてあげてください。結果だけでなくプロセスを充分にほめることができ、それを積み重ねられることこそ、❝ひとりで取り組むスポーツ❞の醍醐味です。
子どもの❝自分と向き合う力❞を、より育ててくれることでしょう。
❝協調性を育む力❞❝思考力を養う力❞を育てるスポーツは?
我が家では対戦相手がいるスポーツも息子たちに経験させたくて、サッカーやバレーボール、テニス、卓球などにも取り組んできました。
仲間といっしょに取り組むことで……
・コミュニケーション能力を育てられる
・集団でできること=社会の一員としての関わり合いを感じられる
対戦相手がいることで……
・計画的&戦略的に考えられる
人との関わりが自然に生まれるので、❝協調性を育む力❞、❝思考力を養う力❞を育ててくれます。
【藤田家が取り組んでいたもの】
●サッカー・バレーボール(集団球技)
集団球技はボールを追いかけるなかで、周りを見る力、声を掛け合う力、瞬間的に判断する力が求められます。チームの流れの中で自分の役割を考えて見つけ行動する、パスがつながらないなどうまくいかないときは「どうしたら次はうまくいくかな」と考える――こういった経験は、学校や日常生活はもちろん、将来の社会生活にもそのままつながっていきます。
我が家は、長男は3年生からバレーボール、次男が1年生からサッカーを始めました。いずれも良い経験でした。今では社会の一員としてさまざまな組織やコミュニティのなかでどう生きていくか――を考えられる大人になれたきっかけでもあったと、感じています。
●テニス・卓球(少人数・対面型)
対面型のスポーツは、一球一球に集中する力が求められます。ボールの速さやコースを瞬時に判断しながら自分の動きを考える経験は、思考力を育てていきます。また、相手の様子を見て打ち方を変えたり、ラリーを続けようと工夫したりする中で、❝相手を意識して行動する❞という感覚も身についていきます。大人数の球技が苦手な子にとっては取り組みやすく、自分のペースで挑戦しながらも考えて動く力を養える点が魅力です。
我が家は旅行先で必ずといってよいほど親子で楽しんでいました♪ 避暑地のホテルにはテニスコートが大体ありますし、温泉旅館には卓球台がありました。そこで❝親子ラリーを楽しむ&対戦!❞ということも、旅行の楽しみのひとつでした。
これらのスポーツを通しての経験は、子どもの❝協調性を育む力❞、❝思考力を養う力❞を育てるでしょう。
❝イメージトレーニング❞で効果UP!
ここまで、さまざまなスポーツをおすすめしてきましたが、我が家が最初からみんなスポーツ万能なスポーツ一家! というわけではありません。むしろ長男は、体の動かし方があまり勘のいい方ではありませんでした。
だからこそ、私は「このままではスポーツが嫌いになってしまうかも」と感じたので、そうなる前に「運動することを好きになってほしい」という思いから対策を考えました。
その方法は、コツを掴んで「できた!」を達成できるところまで、❝親子で楽しみながらトライする❞ということです。
水泳はスイミングスクールに通わせる前に、親子で市民プールに通い、❝ある程度泳げる❞ようになるまで練習しました。「出来ないから習う」ではなく、習いはじめの時点で「できる!」が少しでも子どもの心にあることがポイントなのです! 他の子と自分を比べて落ち込んだり、ネガティブな気持ちになったりしにくく、その後の自信にもつながりやすいからです。
なわとびは、「跳ぶ」と「まわす」を分けて教えてから、息子の手を持っていっしょにまわして、跳ぶコツが掴めるまで練習しました。~藤田さんのなわとび練習法はコチラ~
そしてもうひとつのおすすめは❝イメージトレーニング❞です。
息子たちが通っていた小学校は、高学年で日帰りスキー教室があったので、それまでにスキーができるようにしておきたいという目標がありました。また私自身、スキーが好きなので、子どもたちといっしょに楽しめたらいいな……という思いがありましたが、スキーは現地に行かないと練習ができませんよね。最初は私がゼロから教えるつもりでいましたが、息子2人を1人で教えるのもどうしよう⁉ と考えたりしていました。そこで、滑り始める前に、スキーを上手に滑っている人の映像を見せてみました。その後にスキーを始めてみたら……! 息子は二人とも、私が思った以上に早く滑れるようになっていました。
息子たちは、上手に滑る人の映像をイメージしながら練習したのもあり「すぐにできた!」というのです。これには驚きました。
今の時代は、お手本映像や初心者向けの情報を、スマホやタブレットでどこでもすぐに見ることができますね。挑戦してみたい! 上手になりたい!と思うスポーツがあるようでしたら、お手本になるものを事前に見せておいて、❝体を動かすイメージ❞をしてから実践してみると、上達も早まるかもしれませんね。
カンペキを求めすぎないことが大切
子どもとスポーツを始めるときに注意したいことは、ありがちですが、つい「上手にさせなきゃ!」「続けさせなきゃ!」と、ハードルを上げ過ぎないこと。子どもが健全に賢く育つには、スポーツは欠かせない要素だと思いますが、それがカンペキでなければならない理由はありません。(もちろん、「そのスポーツを極める」という目標がある場合は別です)
私の考える❝子どもを賢く育てる❞という点において、最も大切なことは、できない経験も含めて、親子でいっしょに挑戦してみることです。
「今日はここまでできたね」と振り返る時間を持つことで、子どもの中に小さな成功体験が残っていきます。その小さな積み重ねこそが、学びの土台となり、それがいずれ訪れる中学受験・高校受験・大学受験などの試練のとき、力を発揮します。
できないことに向き合い、工夫し、少しずつ前に進んできた経験がスポーツであると、勉強でつまずいたときにも同じ関わり方が自然とできていくんです。
スポーツは、親子の信頼関係をつくる、絶好の機会です。
冬だからこそできるスポーツ体験をはじめ、無理のない形でご家庭にあわせた❝継続❞ができる方法を取り入れてみてください。それが将来につながる大切な時間になる――と私は考えます。
次回2月は『これから中学受験を考えるご家庭に伝えたい! 「潰さない親」になるために――今できることとこれからの心得』をお届けします。お楽しみに♪
この記事の監修・執筆者
一般社団法人日本ぺたほめ®アカデミー協会代表理事。ぺたほめ®医専アカデミー代表。日本心理学会認定心理士・日本心理学会正会員。同志社大学文学部心理学専攻卒業。
息子二人を洛星中学校・高等学校卒業後、京都府立医科大学医学部医学科現役合格(現在は二人とも現役医師)に導いたシングルマザー。現在は、ご自身の子育てで培った「ぺたほめ®教育法」で多くの保護者から教育・育児相談を受けている。
子どものやる気と自信を育てる「ぺたほめ7日間無料メール講座」
著書『受験も人生も楽しめる! 3~9歳 理系脳・運動脳が育つぺたほめ親子あそび』1,650円(税込)/小学館
著書『母親が変わればうまくいく第一志望校に合格させた母親がやっている子育て39』1,650円(税込み)/講談社
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