あれほど素直だったのに、最近子どもが言うことを聞いてくれなくなったと悩んでいる保護者も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、年中から小学校低学年ごろの子どもの保護者を対象に、最近なぜか言うことを聞いてくれない子どもとどう向き合ったらいいのかについて解説します。
文/マムズラボ
子どもが言うことを聞かない理由5つ
なぜ子どもは保護者の言うことを聞いてくれなくなるのでしょうか? それは、子どもにも言うことを聞けない理由や事情があるからです。まずは、その理由について解説します。
保護者のことばが聞こえていないから
子どもに保護者の声が「聞こえていない」ことが考えられます。この「聞こえていない」には2種類あります。
ひとつは、保護者に注意を向けていなくてスルーしている状態です。遊びに夢中だったり、ほかに気を取られていたりして、耳には声が届いているけれど脳に情報が届いていない可能性があります。
もうひとつは、「物理的に聞こえていない」状態。つまり、保護者の声が小さいか、子どもの耳の機能になんらかのトラブルを抱えている可能性があります。普段はよく聞こえていても、風邪や中耳炎などで一時的に聴力が衰えることがあります。「そんなことはあるはずがない」と思わずに、体に異常がないかを確認しましょう。
保護者が言っていることが理解できないから
聞こえていても「言うことを聞かない」とき、保護者は「反抗している」と思ってしまいがちですが、子どもにしてみれば実は「わからないので行動できない」という状態かもしれません。
筆者は、最近ある方に「そのペンを直しておいて」と言われましたが、どう見ても壊れていないのでどうすればいいのかわからなくなったことがあります。あとで、「片づける」を「直す」と言う地域があることを知りました。ことばの意味がわからないと、大人でも行動できません。
これは大人の例ではありますが、子どもも同様にまだことばの意味がわからない可能性もあるため、言うことを聞けないことがあるのです。
ことばは理解できているがうまく行動できないから
聞こえているし、本人もやろうとしているけれど、うまくできないために、保護者には「言うことを聞かない」ように見えていることも考えられます。
大人にはかんたんにできることでも子どもには難しいと感じられることは少なくありません。また、「失敗」が「わざと」のように思えてイライラしてしまう保護者も多いでしょう。
さらに、本人なりにやってみた結果、うまくできなくて落ち込んだりふてくされてしまったりなどの態度が、保護者には反抗しているように見えることもあります。
自分のやり方を認めてほしいから
イヤイヤ期の子どもはもちろん、独立心と意欲にあふれた子どもはなんでも自分でやりたがります。そういう子が保護者の指示どおりにそのまま動くということは難しいでしょう。
本人は反抗したいのではなく「自分のやり方でやらせてほしい」と思っているだけなのに、「言うことを聞かない」と思われてしまうケースもあります。
「試し行動」をしているから
保護者がどのくらい自分を受け入れてくれるかを確認するために、無意識に反抗的、乱暴、わがままな態度を取る「試し行動」をしていることもあります。
「言うことを聞いてくれない」「急に乱暴になった」というときは、子どもに大きなストレスがかかっていないかどうか振り返ってみてください。下の子が生まれた、引っ越しをした、保護者が仕事をはじめた、クラス替えがあった、家族が入院したなど、大きな変化はありませんでしたか?
もしかしたらそれが原因のひとつかもしれません。
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【理由別】子どもが言うことを聞かないときの対応策
それでは、それぞれの理由ごとに対応をご紹介します。ひとつの方法だけでなく複数の方法を組み合わせ、子どもに合った方法を見つけましょう。
保護者のことばが聞こえていないとき
子どもが見えないところから声をかけて、本当に聞こえているか確認してみましょう。目を合わせて「聞こえる?」と聞くと、聞こえていなくても頷いてしまう子どももいるからです。「耳のトラブルかも?」と疑わしいときは病院に相談してください。
耳の機能に問題がなくても、耳から情報が入りにくいタイプの子もいます。絵や写真を見せて視覚的に伝える、保護者がやっているところを見せて誘うなど、ことば以外のものを使って伝える工夫をしてみましょう。
たとえば、朝の予定をイラスト入りの表にして見えるところにはっておいたり、歯みがきをしてくれないとき、大人が歯みがきをしているところを見せて、「いっしょにやろう」と誘ったりといったやり方もあります。
保護者が言っていることが理解できないとき
ことばをたくさん使えるようになってきても、大人のことばがすべてわかるわけではありません。
「捨ててね」ではできなかった子が、「ゴミ箱にポイしてね」で行動できた、ということもあります。保護者の言うことが理解できない場合は、ていねいに説明したり、別のことばに言い換えたりしてみましょう。
また、一度にたくさんのことを伝えられると、混乱してしまうこともあります。指示は1回に1つ、具体的に伝えるのがオススメです。
ことばは理解できているがうまく行動できないとき
大人の場合は、わかればできるだろうと思い込みがちですが、「わかる」と「できる」は違います。「保護者のことばが理解できている」ということ、それを「実行できる」ということの間には、実は大きな隔たりがあります。そのため、まずはやり方を教えながら、いっしょにやってみるのがオススメです。
たとえば、遊んだおもちゃを片づけてほしい場合、「片づけよう」という声かけでは片づけという作業を丸投げされたようで、子どもはどこから手をつけていいのかわからず、行動できないことがあります。「車はここにしまうよ」「積み木のおうちはどこだっけ?」など、一つひとついっしょにやっていけばきちんと片づけられるはずです。
「わかっていてもできない子」のなかには、「失敗したらどうしよう」と恐れて動けない子どももいます。失敗しても叱らない、子どもだからできなくて当然、という姿勢で見守ってあげましょう。
自分のやり方を認めてほしいとき
「自分のやり方でやりたい!」というのは、基本的によいことです。ですが、保護者としては失敗するのが目に見えているので、「こっちの言うことを聞いて」と言いたくなってしまいます。
そういうときでも、まずは本人の好きなようにさせてみましょう。失敗しないと間違いに気づけないこともあります。失敗しても叱らずに「なぜ失敗したのか、次にどうすればいいのか」を考えさせることが重要です。
しかし、生活をしていればそうも言っていられないこともあります。
大人のやり方に合わせてほしい場合は「今回は急いでいるからママ(パパ)のやり方でやるけど、時間のあるときに君のやり方でやってみよう」などと、その子の意欲を無視していないことを伝えてあげましょう。
「試し行動」をしているとき
自分がどこまで許されるか試す「試し行動」というと、「愛情不足?」などと心配してしまう保護者が多いのですが、子どもは誰でも試し行動をすることがあります。試し行動は反抗そのものが目的ではありません。愛情や信頼関係を確認するのが目的です。
試し行動をする子どもが、何を確かめたいのかを考えてみれば対応は難しくありません。信頼関係ができていることをしっかり伝えましょう。
「しっかり愛情を伝えているはずなのに……」と悩む保護者も多いのですが、どのくらいの愛情を受け取れば「自分は愛されている」と実感できるかは一人ひとり違います。保護者が与えたい愛情を与えるのではなく、子どもが欲しがるだけの愛情を与える、というつもりでいるといいかもしれません。
具体的には
・ダメなことはダメと冷静に伝え、決して感情的に叱らないこと
・「大好きだよ」「ママとパパの宝物だよ」などのことばや、ぎゅっと抱きしめる、手を握るなどのスキンシップでしっかり愛情を伝え続けること
この2つを心がけていると、やがて納得して反抗的な態度は収まることが多いようです。
言うことを聞かない子どもにイライラするのは子育てをがんばっている証拠
忙しい毎日、効率を重視すればどうしても大人の都合が優先になりがちです。そんなときは、自分たちの行動を一歩引いて客観視してみましょう。
また、「子どもが言うことを聞いてくれない」と悩むのは、子どもをきちんと育てたいという気持ちの表れです。つまり、それだけ毎日がんばっている証拠。子どもに合った対策を見つけ、子育てを楽しみましょう!
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