【チャレンジを恐れない前向きな心を育む】自己有用感を高めるコツと伸ばし方の実例

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【チャレンジを恐れない前向きな心を育む】自己有用感を高めるコツと伸ばし方の実例

子どもの成長のために大切な感情のひとつ、「自己有用感」をご存じですか? 「自己有用感」が備わっていると、周りの人を大切にしながら、さまざまなことにチャレンジできる力がはぐくまれるといわれています。

今回は、子どもの「自己有用感」をアップさせるコツと実例をご紹介します。

文/マムズラボ

目次

「自己有用感」とは?

「自己有用感」とは、自分が誰かの役に立っていると思う感覚で、“他者からの評価”を指します。第三者から自分の存在を価値として認められることで感じることができ、はぐくまれます。

「ママに必要とされた」「先生に喜んでもらえた」など、第三者の存在があって初めて実感できるもので、人の役に立ちたいという思いが自然と生まれたり、周りを手伝うなど貢献する気持ちがそだちやすくなったりするそうです。子どもがよりよい社会の一員として未来を生きるための大切な資質や能力だともいわれています。

【関連記事】『よい子』は要注意! 親にとって都合のよい、自己実現力に欠ける子とは?の記事はこちら

「自己有用感」が高い人の特徴とは?

「自己有用感」が高い人は、肯定的でチャレンジ精神があり、人に対して思いやりを持てるなどの特徴があります。

・ものごとを前向きにとらえることができる
・さまざまなことに自ら取り組める
・自分以外の人のよさを認め、優しく接することができる
・周りの人に貢献する気持ちが高く、信頼されやすい
・自尊感情が高く、自信がある(※1)
・思いやりのある行動ができる(※1)
・他者と協同できる(※1)
・学習への意欲が高く、自主的・自律的な生活ができている(※1)

人の役に立ちたいと考えられるようになる

「自己有用感」が高いと、誰かのよいところを認められる心を持てるほか、人の役に立ちたいと考えられるようになる傾向があります。

・自分以外の人のよさを認めたり、優しく接したりすることができる
・周りへ貢献する意欲が高まる
・第三者から信頼されるとともに、感謝の気持ちが高まる

「自己肯定感」を高めることにつなげられる

「自己有用感」が高いと自分自身を認めることができ、“自己評価”である「自己肯定感」を高めることにつながるといわれています。自己肯定感が高い人は、ありのままの自分を受け入れることができ、今の自分を大切にすることができます。

・第三者と比較せず、ありのままの自分を受け入れられる
・ものごとを肯定的にとらえられる
・なにごとにも積極的に取り組むことで、学力も高まりやすい

自分自身を肯定する「自尊感情」が高くなる

いいこともわるいことも含めながら自分自身に肯定的な評価(自己評価)を持っており、自分を大切だと思える感情を「自尊感情」といいます。同じ意味合いで使われる言葉には「自己肯定感」「自己存在感」「自己効力感」などがあり(※2)、「自尊感情」が高いと、“生まれてきてよかった”“自分にはできることがある”と思えるようになります。また学習意欲が高まったり、よりよい人間関係を築く原動力にもなります(※1)。

「自尊感情」をはぐくむために大切なものが「自己有用感」だといわれています。

子どもの「自己有用感」を高めるポイント3つ

“親や先生がほめてくれる”と感じている子どもは、自己有用感に関する意識が高くなります。つまり、家庭や学校でがんばりや努力を認め、子どもと向き合うことが大切と言えます。自己有用感を高めるために子どもと向き合うときのポイントは、「子どもの話をよく聞く」「目標と役割を持たせる」「できたことはしっかり認め、ほめる」です。

1.子どもの話をよく聞く

子どもの考えや行動したことに関心を持ち、話をよく聞くことが、子どもと向き合うことにつながります。このとき、子どもの考えや行動を否定せず、受け入れて認めることが大切です。

子どもの目標がどこまで達成できたのかを聞き、大人が評価したりプロセスを認めたりすることは、行動を認めることにもつながります。結果が出るまでのプロセスは、子どもの考えや行動の積み重ねです。取り組んだ内容や結果にかかわらず、プロセスも認めるようにしましょう。

2.目標と役割を持たせる

子どもに目標と役割を与え、がんばりを見逃さずに認めたりほめたりすることで、自己有用感がはぐくまれます。家庭ではお手伝い、学校では係や当番活動、学校行事などで目標や役割を持つことができます。家庭でも学校でも、子どもが活躍できる体験の場を増やすことが大切と言えます。

3.できたことはしっかり認め、ほめる

単によかった・わるかったと評価するだけの “ほめる” では、「自己有用感」 をはぐくむことにはなりません(※2)。つまり、“行動や成果、目標に対して努力した過程”を認めていることを伝えることが大切になります。結果のよしあしにかかわらず、がんばりを認めていることや見守っていたことが伝わると、子どももうれしくなるでしょう。

また、結果にかかわらず認められると、次へチャレンジする意欲にもつながります。

子どもの「自己有用感」を高める具体的なほめ方3つ

最後に、子どもの「自己有用感」を高める具体的なほめ言葉をご紹介します。

1.子どもの考えを聞き、それに応じて細かい部分もほめる

子どもの考えや行動のうち、どんなところをがんばったか、聞きだしてほめてあげましょう。このとき、大人の基準でほめるのではなく、子どもの目線で細かくほめることで、子どもが“わかってもらえた”“ちゃんとほめてくれた”と感じることができます(※2)。

たとえば、洗濯ものをたたむお手伝いをしている子どもに“衣類に合わせたたたみ方をしている”という工夫が見られたときは、

「洋服ごとに分けていてすごいね」
「たたみ方が前より上手になっているよ、おかげで助かったよ」

と細かく伝えると、子ども自身がママパパの役に立てたことを実感できるでしょう。

また、子どもの行動が役に立ったり、子どもの行動で誰かが喜んだりしたことがあったら、

「手伝ってくれて、ママは本当に助かったよ」
「パパもうれしそうにしていたよ」

などと伝えてみてください。誰がそう感じたかを具体的に伝えることで、子どもの行動が誰かの役に立ったことがより伝わりやすくなります。

2.存在を認める言葉をつけ加える

子どもの自己有用感を高めるには、行動だけではなく、存在そのものを認め、ほめてあげることも大切です。

「あなたが元気でいてくれると、それだけでうれしいな」
「○○ちゃん(くん)のおかげで笑顔になれたよ」

など、存在を丸ごと受け入れ、認める言葉をかけてあげてください。

子どもは自分の存在価値を実感することで、自己有用感を抱くことができます。子どもの行動で家族の笑顔がまたふえたことを、その都度伝えてあげてくださいね。

3.いいこともわるいことも受け止めて丸ごとほめる

前述で、「結果のよしあしにかかわらずプロセスをほめることも大切」とお伝えしました。子どもの行動や考えが、たとえ思うような結果につながらなかったとしても、

「がんばっていたことを知っているよ」
「努力をみんな見ていたよ」

などと伝えることで、結果にかかわらず認められたと感じるはずです。自己有用感は他者からの評価で生じるため、よしあしを問わず丸ごとほめることで、自己有用感がはぐくまれるといえるでしょう。

子どもの存在そのものを受け止め、「自己有用感」をはぐくんでいこう


「自己有用感」が高まると、自分を大切に思うことができ、チャレンジを恐れない前向きな心がそだちます。子どもの自己有用感をはぐくむために、段からたくさん子どもとコミュニケーションを取り、寄り添い認めていけるとよいですね。

【引用】
(※1)栃木県総合教育センター「高めよう!自己有用感 ~栃木の子どもの現状と指導の在り方~ 第I章 自己有用感とは」
https://www.tochigi-edu.ed.jp/center/cyosa/cyosakenkyu/h24_jikoyuyokan/data/h24_jikoyuyokan_01.pdf
(※2)文部科学省国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター「生徒指導リーフ『自尊感情」?それとも、『自己有用感」?」https://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf18.pdf

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