Q.親野智可等先生、「勉強楽しい」→「勉強つまらない」に変わってしまうのはなぜなのでしょう?
A.親野
勉強がつまらなくなっていくのは、
『勉強』と『怒られる』が関連付けられるせいです。
『ここ間違ってるじゃない』
『前も教えたでしょ』
などと言われながら勉強していると
子どもの中に
『勉強すると叱られる』→『勉強ってつまらない』
という刷り込みができてしまいます。
大人の対応がまずいから『勉強って楽しくない』になってしまうのです。
これは、いちばん避けるべきこと。
子どもが勉強って楽しいと思う気持ちを大事にしてあげたいものです。
私は『楽勉』と言っていますが、いわゆる勉強だけではなく、
ひらがなカルタや算数パズル、興味のあることを図鑑で調べたり
読書をしたり、これらが当てはまります。
勉強は楽しくやらないと。
『なんで勉強するの?』と疑問に思うということは
『ぼく勉強苦手だな』『勉強って楽しくないね』
という気持ちの表れですから。
勉強が好きじゃないというのなら、
得意なものを1教科でも作ってあげることです。
その子の得意なものをもっと得意にしてあげることをお勧めします
Q.不得意なものを放っておくのは、なかなか勇気がいりそうですが…。
A.親野
「ほかは全部勉強ができるけれどもこれだけは苦手」、
というのなら苦手を克服すれば良いと思いますが、
現在、活躍している学者でもスポーツ選手でも
どんな分野であっても、全ての人が好きで得意なものを伸ばしてきたはずです。
もともと苦手なものを伸ばしてスペシャリストになった人は
いないのではないでしょうか。
さかなクンなどは良い例です。
小さい頃から魚が大好きだったから、
親御さんは一生懸命応援してあげました。
水族館にいったり、図鑑を見たり、釣り堀に行ったり。
さかなクンは、魚を極めることで学ぶ術を身につけました。
魚が好きだから、環境に興味を持って環境の勉強をしたりと
他のことも関連付けて学んでいきました。
昔は算数ができなかったようですが、今はできる。
算数が苦手だって、今は大学准教授です。
子どものときに苦手が直らなくても、どうってことないんです。
イチロー選手だってノーベル賞をとった学者だって
多くのスペシャリストは、
好きで得意なものを伸ばしてきたのです。
これからは、どんな分野でもいいから『これ』という突出したものが必要です。
ジェネラリストではなくスペシャリストです。
たとえば公務員でも。
『私は経理が得意です。ものすごいです』
そういう人が活躍していける。
突き抜けたものがないと埋没してしまいます。
そういう生き方はどこで身につけるのかというと、
子どものときからです。
子どものときから『歴史が好きです』というのなら
歴史をぐんぐんやって伸ばしてあげてください。
途中で飽きてしまってもいいんです。
歴史に飽きてしまえば、他のことをやればいい。
やったことは絶対に無駄になりません。
脳科学で言われていることですが、
何かに熱中していると脳が鍛えられます。
『頭がいい』というとき、
脳神経細胞ニューロンの数は変わりませんが、
それを結びつける接合部分のシナプスが多いということを指します。
そのシナプスが増えるのは、喜んで頭を使ったときなんです。
なんでもいいんです。
魚なら魚、歴史なら歴史。好きなキャラクターでも構いません。
それらの好きなものについて、喜んで頭を使っていると
脳の性能がどんどん良くなっていくんです。
シナプスが増えて脳の性能が良くなっていれば、
そこに勉強を入れたときもどんどん入る。
そして、たとえそれに飽きて別のことをやったとしても、
すでに脳の性能が良くなっているからどんどん入ってきます。
能力に自信もあるし、学び方を知っているからどんどん伸びます。
『もうそれはいいから、これをやりなさい』
といって好きなことをやめさせると、脳の性能を上げることはできません。
子どものころから得意を伸ばす方向で。
そういう生き方を子どものうちからさせるべきです
親野先生ありがとうございました。
お子さんは何が好きでしょうか?
「そういえば、猫が好きみたい」
「あのアニメ夢中で見ているのよね」
必ず何か好きなものがあるはずです。
それをもう一歩深めるための「楽勉」を始めてみてはいかがですか?