夏休み明けに登校しぶりになりがちな子の傾向を、現役小学校教諭の舟山由美子先生に聞きました。今回は、学校へ行きたがらなくなってしまった子どもへの親の接しかたについて伺います。
まずは、責めずに子どもの思いを聞く
夏休み明けから、登校しぶりの状態が続いている場合、子どもに対して何をすればよいのでしょう。
「決して責めたり叱ったりしてはいけません。まずは子どもの思い、言い分をよく聞きましょう」(舟山先生)
親は学校に行かないことを「悪いこと」だと思い、子どもを責めてしまいがちですが、子ども自身は、頭では「行かなければならない」とわかっているものなのだとか。
「特に普段から、子どもに一方的に指示・命令ばかりしているなという自覚があるかたは、子どもの話を止めたり、遮ったりせず、とにかく一所懸命聞きましょう」(同)
ポイントは、自分の意見をはさまずに、『そうなんだ』と相づちを打ち、共感する姿勢を見せること。それだけで子どもの気が済んで、改善されることも多いのだそうです。
「ただしこういうとき、子どもの話は1が10になったり、10が1になったりすることも多いもの。親もうすうす気づいていても、早く学校に行ってもらいたいがゆえに、子どもの言葉を額面通りに受け止めてしまいがちです。一歩引いた気持ちで、冷静に聞くことが大切です」(同)
もちろん、子どもの生活リズムなどに心当たりがある場合は、それらを改善することが基本なのは言うまでもありません。
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子どもの話から、本当の理由を推測する
それでもまだ登校しぶりが続くようなら、子どもの話をもとに親が学校に行きたくない理由を推測していくことも必要になってくるでしょう。考えられる理由としては、主に以下のようなことが挙げられます。
①友だち関係でトラブルなどがある
②勉強についていけていない
③親に対する信頼度が低下している
「このような理由を推測できたら、それをもとにして、担任の先生や、学校カウンセラー、市区町村の教育相談に行き、解決策を探っていくことをおすすめします」(同)
また、1年生ぐらいだと、自分の思いをうまく説明出来なかったり、親も忙しく、なかなか理由がわからなかったりすることもあるもの。こうした第三者機関への相談を積極的に考えていくことも大切かもしれません。
学校に様子を見に行くという方法も
学校に行きたくない理由によっては、まず担任に直接相談するという人も多いでしょう。
「そんな時、一方的に学校のせいにするという姿勢で来られる保護者のかたも、少なからずいらっしゃるのは事実。しかし、そうではなくて『うちの子も引っ込み思案なので、心配しすぎかもしれないんですが』などと、学校と家庭で協力し合って解決していきたい、という姿勢で相談しに行ってみてください。こんな風に出られて気を悪くする教師は、まずいませんし、そのほうが協力を得やすく、早く解決する可能性が高いと思います」(同)
それでも、どうしても気になることがあれば、学校に行って、子どもの様子を実際に自分の目で見るという方法もあるそうです。
「今の学校は、一般の人も見学できるような公開日を設けるなど、昔と違って学校外の人に対してかなり敷居が低くなっています。『ときどき教室に行って、見ていてもいいですか?』と頼めば、ダメだと言う教師は少ないのではないでしょうか。私も日ごろから、保護者のかたに『いつでもいらしてください』と言っています」
子どもたちも、最初は「○○ちゃんのお母さんだ」などとざわつきますが、すぐに気にしなくなるのだとか。実際に教室でクラスの様子を目にすると、子どもがどう過ごしているのか、どういう存在なのかということがよく見えてきて、解決の糸口をつかむきっかけにもなるそうです。
次は、上に挙げた学校に行きたくない理由の3つめ、親子関係が登校しぶりの原因となっているケースについて詳しく伺う予定です。
この記事の監修・執筆者
ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。
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