【イヤイヤ期専門保育士が答えます!】イヤイヤ期Q&A

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【イヤイヤ期専門保育士が答えます!】イヤイヤ期Q&A

子育て中のほとんどの方が経験する、子どものイヤイヤ期。
これまで2回にわたってイヤイヤ期ってなに? うちではこんなに大変だった! などなど、イヤイヤ期にまつわるお話を紹介してきました。

最終回の今回は、第2回のアンケートで多かったイヤイヤのシーンについて、第1回に解説いただいた【イヤイヤ期専門保育士】の中田 馨先生に、再びお話をうかがいました。
今日から実践できる考え方や対応は、必見です!

お話/中田 馨(中田家庭保育所 施設長)

目次

1 イヤイヤ期Q&A

ハグする親子

中田先生に、イヤイヤへの対応や考え方を一問一答形式でお答えいただきました。

いちばん大切なことは、まずは子どもに共感することです。

「そうか、○○したかったんだね・したくなかったんだね」と気持ちに寄り添いながら、対応しましょう。

もちろんいろいろな状況やパターンがありますので、「絶対こうしてください」というものではなく、ひとつの選択肢として、取り入れてみてくださいね。

Q1 歯を磨かせてくれません

●よくない声かけ×⇒「ムシバイキンがいて汚いから歯磨きしよう」とマイナスのことば
●かけたいことば○⇒「歯磨きでピカピカにしよう!」などの誘いかけ

プラスのイメージのことばかけをすると、けっこう乗ってきてくれますよ。

仕上げ磨きは手鏡を持たせて行うと、何をされているのかが見えて安心します。また、歯茎に歯ブラシが当たると痛いので、歯茎に指を当てて、歯だけにブラシが当たるようにすると◎(歯科衛生士さんに教えてもらいました)。

嫌な記憶として残り、そのあと嫌がることにつながってしまう可能性があるので、はがいじめはできる限り避けて。もしも一度、嫌な思いをしてしまった場合は、時間がかかってしまうかもしれませんが、ちょっとずつ変えていきましょう。

Q2 どうしても寝たくないみたいです

習慣づくまで淡々と対応することが大切です。

2歳ぐらいになると、体力がついてくることもあり、寝る時間が遅くなりがち。一度生活リズムの見直しを。お昼寝が長いのであれば1時間ほどに減らしたり、夕方までお昼寝しているようなら、15時ころまでには起こすようにしたりしましょう。

夜に焦点を絞ると、「3冊絵本を読む」「読んだら電気を消して『寝るよ』」など、寝るまでのルーティーンを決めましょう。

「寝なさい」と言われても眠れるものではないんです。お布団入ってゴロンしよう、と声をかけたら、眠れなくても、寝ることは決めごととして淡々と対応します。

また、この時期、保護者のかたはお子さんといっしょに寝てしまうことをオススメします。

親としては子どもが寝たあとに家事を片づけたり、自分の時間として使ったりしたいですよね。でも、お子さんが寝ない時期にはあきらめて朝まで寝るようにしてしまったほうがよいです。朝型に切り替えて、思いきって寝てしまえば、気持ちも楽になります。

お母さんが寝かしつけをしている横でお父さんがテレビをみている…という声もよく聞くのですが、できればいっしょに寝かしつけをするか、別の部屋で、起きている気配を感じさせないようにしてください。

Q3 オムツを絶対に替えさせてくれません

「オムツを変えてスッキリさんしよう~!」と、まずはプラスの声かけを。

どうしても替えさせてくれないときは、トイレの前でお子さんをひざに乗せて「替えてから遊ぼうね」とだっこして待ちます。「替えたくなったら教えてね、待っているよ」と伝えます。

“それ以外のことは今はできません”という状況をつくってしまいます。

子どもも、こちらの本気を感じて、あきらめて替えさせてくれることでしょう。

Q4 着替えさえてくれません

お子さんを追いかけて着替えさせているときはありませんか?

お子さんにとっては「お母さん・お父さんが反応してくれた!」と、うれしくて大喜びかも…。

そんなときは、オムツ替えと同じで、着替えだけに集中できる場所(脱衣所など)に移動して、「着替えようね」「今は着替えてほしいな、着替えが終わったら○○して遊ぼうね」と伝えて待ちましょう。

「どの服だったら着られる?」と聞いてみるのもひとつの手ですよ。

Q5 服のこだわりが強いです。お気に入りの服は洗濯中なんですが…

お子さんの気持ちに共感しつつ、現状の説明に徹しましょう。

「着たかったね。でも洗濯して乾いていないから着られないの」という以上に説明しようとすると、子どもも意地になってしまうことがあります。

「びちょびちょで着られないから、じゃあどうしようか?」といっしょに考えてみてもいいですよ。

最初は時間がかかりますが、ここで乾かして対応してしまうと、「言えば乾かしてくれるんだ」と、要求が続くことになってしまうので、しかたがないとあきらめてもらうことも必要です。

Q6 ごはんの好き嫌いや食べないなど、栄養面が心配です

ごはんを食べない子

好みが偏っていると、栄養面でも心配ですよね。ただ、大人が必死になって、怖い顔をしていることもあるんです。すぐに食べられるようになるわけではないので、長期戦を覚悟してください。

子どもは初めての食べ物や初めての調理方法、切り方を目にすると「知らない…!」と警戒してしまう場合があります。まだ経験が少ないので、予想や判断がつかないために好き嫌いが多いという理由もあります。

とりあえずは、「この子、食べ物の好き嫌いがわかるんだ!」と考えてみて。これは成長のひとつです。

いちばんよい方法は、親がおいしそうに食べること。

食べなくても「知らない食材」にならないように、食卓には上げ続けて、親がおいしく食べる姿を見せましょう。

もしお子さんが食べたことのある食材で初めての食べ方をする場合は、食材や、知っている調理方法の写真を見せるなど、同じものと伝えてみてくださいね。

Q7 お風呂のよい誘い方はありますか?

「スッキリ、ピカピカにしようね」と基本はプラスの声かけを。

なぜお風呂が嫌なのかを考え、お子さんが嫌だと思う理由をできるだけ排除します。

お風呂で遊べないからイヤ! なのであれば、お風呂の前におもちゃを並べて「○○ちゃんがリーダーで、お風呂へレッツゴー!」と誘い、おもちゃと順番に体も洗いましょう!

遊び感覚で誘うと、入ってみたくなるかもしれません。

Q8 一人遊びがなかなかできず、親に遊んでほしがるので何もできません

きっとこれまで、保護者のかたがしっかりいっしょに遊んでこられたのではないでしょうか。

年齢的には、まだ一人で遊ぶのが難しい子もいますが、少しの時間、一人で遊んでいてほしいときもありますよね。

そんなときは、「今から洗濯物を干すから、遊んで待っていてね。終わったら必ず戻って来るね」などと、具体的に今からする行動を伝えて待っていてもらいましょう。

そして待っていてくれたら「ありがとう」を忘れずに。そのあとは、お子さんの要望に応える遊びをいっしょにしてくださいね。

じょじょに「待っていてね」の時間を意識的に延ばしていくといいですよ。

Q9 子どもが自分で失敗したのに(自分で転んだ/遊びがうまくいかなかったなど)当たられます

「わたし(保護者)のせいじゃないのに~」と思っても、まずはお子さんの気持ちに共感を。

たとえば「転んで痛い!」という訴えなら、「転んで痛かったね。…でも見て! ケガしてないよ。すごくじょうずに転んだのね~!」なんて、答えてみましょう。

いたいのとんでいけも有効ですし、お子さんが気持ちを切り替える手助けとして、プラスにとらえられるようなことばをかけられるとベストです。

Q10  自分でうまくできないのに、手伝うと泣いたり、手伝われるのがイヤだったり…。いったいどうすればいいの?

第1回でお伝えした魔法のことばがオススメです。

「“少し”お手伝いしてもいい?」と、ちょっとだけ下手に出てみましょう。

結果、ほとんど大人がやるとしても、「少し」がポイントです。

できたら、「自分でできたね~!」と、自分でできた満足感を味わえるように、存分に認めることを忘れずに!

Q11 泣き過ぎて子ども自身が切り替えられないときは、どうしたらいいですか?

大泣きする子

だっこして、泣いている理由に寄り添い、共感します。

泣き過ぎて暴れるなどだっこが難しいときは、寝転がれる安全な場所で、近くから声をかけるだけでかまいません。

お子さんがパニックになっているような状態なら、落ち着くまでは何も言わずに、近くにいてあげましょう。パニックになっているときにいろいろ言われると、余計に焦ったりパニックになったりしますよね。

泣き方が少し収まってきたところで「嫌だったね」とだっこを。

すかさず、「ところで今日のおやつなんだけど、」「お母さん、今から積み木で遊ぼうと思うんだけど、どうかな?」と、お子さんが気持ちを切り替えられるような話題をふってみてください。

お子さんが落ち着くまで、十分に気持ちは受けとめているので、次の行動に移れるように誘いましょう。

お子さんも意地になって自分では切り替えが難しくなっているので、大人から「もう終わっていいよ」と切り替えの合図を出してあげてください。案外スッと「やる」と答えたりしますよ。

Q12 子どもができないことや危険なことなので、説明するのですが納得しません

長い説明をすべて理解するのは難しい年齢です。

「お母さん・お父さんはこれをしてほしくない」と保護者の気持ちとして(Iメッセージといいます)伝えます。

とくに危険なことは「危ないからやめて」など、お子さんに伝わりやすいかんたんなことばで伝えるだけ。そして言いながら、体で止めます。

お子さんと目を合わせてしっかりと真剣に伝えます。

Q13 イヤイヤスイッチがどこにあるかわからず、急に爆発することがあります

イヤイヤの理由がわからないこともありますよね。

そんなときは爆発させておけばOK!

無理に止めようとして止まるものではないので、そばで見守りましょう。お子さんは“どうしようもない感情の行きどころ”を、イヤイヤをしながら学んでいる最中なのです。

少し落ち着いたらQ11のように、だっこ→違う話題を出す という流れを試してみてくださいね。

Q14 子どもがやりたかったことに、うっかり大人が手出しをしてしまい、かんしゃくが収まらないことがあります

謝りましょう。

やっちゃった~ということ、私もよくあります。「本当にごめんね、間違えちゃった」と、真摯に反省し、お子さんに謝って伝えるしかありません。

大人と子どものスピードが違うことを、普段の生活では忘れがちなんですね。日ごろから「大人は新幹線、子どもは普通列車」というイメージを念頭に置くのがオススメです。

でも、やっちゃうんですよね~(笑)。

「うっかり○○しちゃった」を繰り返さないよう、お子さんの「やりたい!」を日々、把握していきましょう。

Q15 時間がないのに出かける準備が進まず、親も焦ってイライラ…

子育てしていると、これがずーっと続きます!

時間がないときほど、手を出さず、口も出さずに待つのがいちばん早いです。

「早く!」と言われることでパニックになる子も多いです。

「早く!」はグッとこらえて、「ここで待っているね」「靴下がはけたらここに来てね」と伝えるほか、Q10の「少しお手伝いしようか?」も効果的ですよ。

Q16 下のきょうだいが生まれたときにイヤイヤ期が重なって荒れ模様に…

上のお子さんの用事を優先することが基本です。

でも待ってもらう場面も出てきますよね。そんなときには「待ってくれてありがとうね」「待ってくれたから弟くん・妹ちゃんも喜んでいるわ」と、ねぎらいのことばを、必ずかけてください。

「お兄ちゃんなのに」「お姉ちゃんだから」は禁句です。

Q17 「ママがいい!」の一点張りです

大好きなお母さんにしがみつく子

いいじゃないですか!(笑)

あと10年もないですよ~。うちの子も私にベッタリでしたので、大きくなってそんなこともなくなった今、とってもさびしいです。

「ママも○○ちゃんがいいの!」今は全面的に受け入れるのが得策です。

そのうちに全面的に受け入れられて幸せな気持ちで満たされると、自然と落ち着いてきますよ。

決して、困ったり遠ざけたりするような対応はやめましょうね。

でも、ときにはパパにお願いしたい場面もありますよね。

日ごろから、なるべくパパにもそばにいてもらい、「パパにもやってもらおうよ」と、いっしょにいることが当たり前の状態をつくっておきましょう。

Q18 思いつく限りの対応をしてもイヤイヤが止まらないとき。とくに外出先で、虐待と思われないか心配です

周りの方への迷惑を考えて「どうにか泣きやませなければ!」と思ってしまいがちなものですが、「早く泣きやませよう」というあせりは、お子さんにも伝わります。

泣きやませることに必死になっているときは、お子さんの気持ちに寄り添うのが難しくなります。

あせってあれこれしがちですが、このときできることはお子さんの嫌な気持ちに「そうか、そうか。イヤか~」と共感し、落ち着くまで待つのみです。そんな保護者のかたを見て、虐待だなんて誰も思いません。

もし言えるようであれば、「今イヤイヤ期で、すみません~」と言ってしまうと、少し楽になるかもしれません。声をかけてくれる方もいらっしゃると思いますよ。

Q19 要望に応えた1秒後に次のイヤイヤが始まります

いい意味で知らん顔しちゃいましょう。

「そんなにイヤイヤばっかり言われたら困るよ」と目を見て伝えましょう。

お子さんのすべての要望に完璧に応える必要はありません。むちゃな要望もあることでしょう。

「そっか~イヤだったね。じゃあ、私はここで洗濯物を畳んでいるから、イヤじゃなくなったらおいで」と、安全が確保されている状態で、少し距離を取ってみてください。

いかに気にかけながら、知らんふりをするかが大切です。

2 中田先生からのメッセージ

イヤイヤ期は成長期です。お子さんが、どんどんいろいろなことができるようになりたいと思っている向上心のあらわれなので、まずはお子さんのその気持ちを受けとめることが大事です。

親としては、これから社会に出て行く子どもたちに教えたいこと、伝えなくてはならないことがたっぷりありますね。そのため、お子さんが親の意思と異なることをすれば、悩むのは当然のことです。

ただ、教える・伝えることの完璧をめざすと、親子ともにパンクしてしまうので、自分の理想が100点満点だとしたら、半分に下げて、50点満点にしてみてください。もちろん、30点だっていいんです。

保育所でも、保護者のみなさんとてもがんばっていらっしゃる。がんばり過ぎなくらいです。

「ここはできないから諦めよう」と気軽に思うことができれば、楽になれますよ。

でも、これは本当に難しいことでもあります。

私自身もそう思えるようになってきたのは、自分の子どもが中高生になったつい最近のことです。

それでも、早めに気づいてこの境地に到達できた人から、楽になれるので、お子さんの命を守るところはしっかりと、そして、緩められるところは、いっしょに緩めていきましょう!

この記事の監修・執筆者

イヤイヤ期専門保育士 中田 馨

認可保育園・中田家庭保育所 施設長。自宅が家庭保育所を運営している環境に生まれ育つ。著書に、『イヤイヤ期専門保育士が答える 子どものイヤイヤこんなときどうする? 100のヒント』『発達サインで分かる! 0・1・2歳児がごきげんになるあそび100』(実務教育出版)など。朝日新聞出版「AERA dot.」、小学館「HugKum」などで0~2歳対象の育児コラムを連載。一般財団法人離乳食インストラクター協会代表理事を務め、保護者や保育士などの専門家に対して食育指導も行っている。

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