【イヤイヤ期専門保育士監修】イヤイヤ期って何もの!? 正しい対応とは

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子どものイヤイヤ期ってなぜ起こるの? わかっていてもついイラっとしてしまう…。
そんなイヤイヤ期のお悩みについて、【イヤイヤ期専門保育士】の中田 馨先生にお話をうかがいました。

全3回の連載、第1回目は、「イヤイヤ期とは? 保護者の対応方法は? イヤイヤ期がない子って?」…などなど、イヤイヤ期の基本に迫ります。

お話/中田 馨(中田家庭保育所 施設長)

目次

1 イヤイヤ期は「自分でしたいけれどうまくできない!」期

1歳半~3歳ごろにあらわれる成長過程

1歳半~3歳ごろに迎える子が多い「イヤイヤ期」。成長過程のひとつで、お子さんが成長しているという証でもあります。

イヤイヤ期が起こる大きな理由は以下の2つ。

・まだことばで自分の気持ちをうまく伝えきれない

・自分でなんでもやりたい! という思いはあるのに、身体能力・器用さが伴わない

思うように自分のやりたいことができないため、「イヤ!」という自分のもっていることばや行動で表現している段階といえます。

決して大人の対応が気に入らなくて「イヤ!」と言っているわけではないので、保護者の方は安心してくださいね。お子さんは、「ぼくは・わたしは、○○したいんだ!」という気持ちでいっぱいなのです。

成長に伴い、イヤイヤ期は終わりを迎える

お子さんの成長につれて、先ほど挙げた大きな理由が解消されていきます。

加えて、以下のような理由で、お子さんが自分で気持ちの切り替えができるようになるため、保護者が待つ時間や声かけが減ってくることにより、イヤイヤ期は終わりを迎えます。

・大人のことばが理解できるようになってくる

・こうすればできるかもしれないと見通しがたつようになってくる

・少し手伝ってもらえばできるかもしれない、という理解が深まってくる

2 保護者の対応~冷静さをもって【共感し・待つ】~

第一歩として、イヤイヤ期は「お子さんがとても成長している時期である」と心えましょう。

子どもが無理難題を言っていると思ったとしても、まずは「そうか~イヤだったね。これがしたかったね」と共感する姿勢を取りたいものです。

大人でも、何か嫌なことが起こったときには、気持ちの切り替えがすぐにできないことがありますよね。それと同様に、子どもの気持ちが落ち着くまで待つことを心がけて。

そのためには、保護者が冷静でいることがとても大切です。

とはいえ、とくに自分の子の場合、心と心の距離が近いために、子どもの感情に引っ張られがちなもの。

責任をもって育てている大切なお子さんなので、「この子の言うことを理解したい」「自分の言うことを理解してほしい、伝えなきゃ」と思うのは当たり前のことです。

ですから、お子さんと同じようにイライラしてしまうことも多々あることと思いますが(私自身の子育てでもそうでした)、冷静になって、子どもの感情に同調しないだけで対応がまったく変わってきます。

たとえばスーパーで他人の子がひっくり返って泣いていても「かわいいな~」と、落ち着いて見られることはありませんか?

イヤイヤ期に限らず、子育て全般にいえることですが、そのくらい一歩引いた心もちでお子さんの訴えに向き合えるのが理想です。

「深呼吸」で冷静さを取り戻す

自分の息が聞こえるくらいしっかりとした深呼吸を3回ほど試してみてください。

「よし、私、冷静になれた。落ち着いた」と思ってから、お子さんをだっこしたり対応したりするようにしましょう。

余裕がないときほど、あれこれと言ってしまうものですが、そんなときは黙って「無」になりましょう。

「よくこんなに泣けるなあ。自分はもうこんなに泣けないかも。子どもの体力ってすごいわ~」と観察するくらいの気持ちになれればすてき!

また、安全が確保されているのであれば、同じ部屋のなかで、少し距離を取ってみましょう。

精神的な距離を空けることが難しい場合は、物理的な距離を取るとよいですよ。

聞いてくれる人に話す

まわりの大人(パパママどうし・両親)、児童館、公園、保育所の一時預かり、地域のサポートや電話相談など、話を聞いてくれる人に、悩みやグチを打ち明けてみましょう。

ここで大切なのは、アドバイスをせず、ただただ話を聞いてくれる人を選ぶことです。

「疲れた」と言えるところで、積極的に悩みを打ち明けていきましょうね。

怒り過ぎても大丈夫!

「つい、子どもに強く言っちゃった…」「怒り過ぎちゃった」。

そんなときもあるでしょう。

大人からすると、子どもに無茶を言われているのですから、怒ってもいいんです。

怒り過ぎてしまったと思ったときには、お互いが落ち着いてから、「さっきは怒り過ぎてごめんね」とギューッと抱きしめましょう。

そんなにかんたんに親子の絆は崩れませんから、あとのフォローをすれば、だいじょうぶです!

3 覚えておきたい保護者のことばかけ

決定事項は「○○するよ」

お子さんの自主性や気持ちを尊重することはとてもすばらしいことです。

ただ、手洗い・うがいや、歯みがき、就寝など、必ずやるべき場面では「○○するよ」という声かけをしましょう。

「○○する?」と聞くと、「イヤ!」と返ってきてしまいますからね。

たとえばトイレのあとには「手を洗おうか?」ではなく「はい、手を洗おうね。行くよ~」と決定事項として進め、習慣化してしまえば、お子さんもやるものだと理解してだんだんとできるようになってきます。

否定・禁止のことばを使い過ぎない

危険なときなどの禁止のことばは、ときとして必要です。

ただ、とくに否定のことばを常用することは避けてほしいです。

普段から「ダメダメ!」と言っていると、お子さんは、何がダメなのか、わからなくなってしまいます。

魔法のことば「少しお手伝いしましょうか?」

お子さんの「自分でやりたい!」という思いは尊重したいものです。

それでも「大人がやってしまったほうが早く済むな~」「まだこの子には難しいことかな」という場面はいたるところで訪れることでしょう。

そんなときにオススメなのが、

「少しお手伝いしましょうか?」

のことばです。

ポイントは「少し」です。

たとえ、その手助けでほとんど保護者が完成させてしまう場合でも「少し」がミソなのです。

「自分でできた」「少しの手助けでやり遂げられた」という自信につながり、また、「少しだけ手伝ってもらえば、自分にもできるんだ!」という理解も深まります。

自分の子どもが幼かったころにも使い、保育所の子どもたちにもかなり有効な、魔法のことばです。

4 イヤイヤ期がないと心配?

イヤイヤ期に悩む方がいる一方で、「うちの子、イヤイヤ期がないけれど大丈夫…?」と心配されている保護者の方もいることでしょう。

イヤイヤ期がないと感じる場合は、以下の可能性が考えられます。

ご家庭の様子と照らし合せてご確認ください。

イヤイヤ期があるけれど、気づいていないパターン

発達や個性によって、子どものイヤイヤの出方は千差万別です。その場合、子どもにとってはイヤイヤであっても、イヤイヤ期には見えない子もいます。

他にも、いくつかの理由で子どものイヤイヤ期に気がついていない場合が考えられます。

保護者の捉え方

保護者が“かんしゃくを起こすことがイヤイヤ期”と考えていると、子どもが少しくらい「イヤ!」と言っても、「子どもはこういうもの」と、日常として捉えていることがあります。

言葉の発達が早い子

自分で表現したり大人の言葉を理解したりできるため、イヤイヤをする必要がないことあります。

保護者の受けとめ方がうまい

子どもが保護者の受けとめ方に十分満足していて、イヤイヤを出す必要がないことがあります。

それでもイヤイヤ期がないかも、と思ったら…

子どもが「うれしい」「楽しい」「悲しい」といった感情をストレートに表現できているか、好きな遊びに集中できているかを確認しましょう。

問題なければ、まず心配はありませんよ!




いかがでしたか?

イヤイヤ期への向き合い方や、今日からできることばかけは、ぜひ試してみてください。

第2回(9月16日公開予定)は、アンケートで聞いた「みんなのイヤイヤ期エピソード」

第3回(9月23日公開予定)では、アンケートで多かった声について、再び中田先生にご回答いただきます。

どうぞお楽しみに!

この記事の監修・執筆者

イヤイヤ期専門保育士 中田 馨

認可保育園・中田家庭保育所 施設長。自宅が家庭保育所を運営している環境に生まれ育つ。著書に、『イヤイヤ期専門保育士が答える 子どものイヤイヤこんなときどうする? 100のヒント』『発達サインで分かる! 0・1・2歳児がごきげんになるあそび100』(実務教育出版)など。朝日新聞出版「AERA dot.」、小学館「HugKum」などで0~2歳対象の育児コラムを連載。一般財団法人離乳食インストラクター協会代表理事を務め、保護者や保育士などの専門家に対して食育指導も行っている。

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