シングルマザーで2人の息子さんを難関私立中高一貫校、そして公立大学医学部現役合格へと導いた藤田敦子さん。現在は一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会代表理事として、主に小学3年生までのお子さんのいるご家庭を対象に、“受験子育て”にまつわる相談を多く受けていらっしゃいます。
ここでは小学3年生までのお子さんがいらっしゃるご家庭向けに、親子関係や家庭学習、中学受験に関することなど、さまざまな視点から藤田さん流の“幸せな子育て&賢い子を育てる”ためのアドバイスを発信していきます!
取材・文/細川 麻衣子 写真提供/日本ぺたほめアカデミー協会
≪第11回(毎月1回公開/全12回)≫
中学受験は、学力だけでなく親子関係も大きく揺るがす試練の時間です。わが子を思うあまり、気づかぬうちに❝子どもを潰す親❞になってしまうことも……。今回は、多くの中学受験に挑戦する親子を見てきた藤田敦子さんに、中学受験を走り切れる子に育てるために、今からできることを伺いました。
3年生の2月は親子関係の土台をつくる時期
中学受験を目指すご家庭は、一般的に小学3~4年生頃に通塾を始めることが多いといわれています。5~6年生に入塾すると受験向けの学習内容が本格化するので、その前に基礎学力と学習習慣を整えるためです。徐々に受験特有の問題形式や長時間学習に慣れていく時間を確保し、子どもの負担を急激に増やさない狙いもあることでしょう。
特に、3年生の2月(4年生になる少し前)というタイミングで、お子さんが通塾しはじめるご家庭はとても多いですよね。これは、中学受験用のカリキュラムとして、3年生の2月をスタートと打ち出している大手の塾が多いからでしょう。
「とりあえず受験勉強のスタートから塾に入れたから、合格できるはず」そう思ってしまう保護者の方も、実は少なくありません。
また、「これまではいっぱい遊ばせてあげたんだから、ここからは切り替えて勉強だよ」「受験のために生活を変えていかないと……」などと、子どもに対してプレッシャーをかけたり、親自身が力んでしまったりするケースも、本当に多いと感じています。でも、そのような感覚は、実は要注意です!
3年生の2月は親子関係の土台をしっかりと作る時期です。これは今すでに入塾されているご家庭も、これからのご家庭も、両方に言えます。子どもがこれから安心して受験勉強に向かうためには、❝安心して過ごせる、何かあったときに回復できる場所❞があることが不可欠です。
それは❝帰ったらホッと安心できる家(ママ&パパの存在)❞があるということ――これを忘れてはいけません。
❝子どもを潰してしまう親❞の特徴
❝子どもを潰してしまう親❞と言うと、「そんなことウチは絶対に無い無い~」、「それはドラマの世界でしょ」「そうとう厳しいご家庭だけにあること」と、自分には無関係だと決めつけてしまっている保護者の方がいらっしゃいますが、実はそうでもないようです。
お子さんが中学受験をするご家庭では、誰しもが当てはまる❝かも❞知れないのです。むしろ、我が子への愛情が深いママ&パパほど……実は陥りやすい傾向があります。
【❝子どもを潰してしまう親❞によくある言動】
□ 成績が上がると機嫌がいい(成績が良くないと不機嫌になる)
□ 今の成績ではダメだということを気づかせたくて「このままで大丈夫?」「塾のクラスが下がっちゃうよ?」「合格できないよ?」とよく言う
□ 競争心に火をつけたくて、他の子と比べる
□ 子どもから本気度や気合いが感じられず、「頑張りが足りないんじゃない?」と言う
□ 学習以外の生活面のことまで、全て塾の言う通りにしている
□ 学習習慣を身に付けさせたいので、塾や勉強の話題が多い
□ テストなどの結果を特に重視している
□ 「この学校だと世間的に恥ずかしい」「合格できたら羨ましがられる」という感覚で志望校を決める
□ 「あなたが塾に行きたいと言ったんだから、行きなさい」と、子どもに責任を取らせる言い方をする
□ 「高いお金を払ってるのだから、毎回塾に行くことは当たり前」と思っている&言う
上記がひとつでも当てはまるからといって、それが子どもを潰す親、というわけではありません。ただ、これまで私が相談を受けてきた、中学受験に悩んでいらっしゃるご家庭では、これらに当てはまる傾向が多々ありました。
チェック項目にひとつでも当てはまったなら、あなたはもしかして
○成績で感情が左右される親
○不安を子どもにぶつける親
○親の夢や考えを背負わせる親
かもしれないのです。
これらの言動は我が子の将来を気遣うがゆえのものです。しかし、そのまま続けてしまうと結果的に潰してしまう可能性がある、ということを忘れないでください。
気づいた今が、変われるチャンスなのです。
≪関連記事≫【中学受験を考えたとき】大切にしたいこと&低学年から始めておくとよいこと/藤田敦子さんの“賢い子”を育てるポジティブ教育法
よくある❝崩壊の始まり❞のサインとリアル
前出のチェックリストにある内容は、どれも我が子への愛情がゆえ。でも、これが続くと子どもにとっては、良い影響はひとつもありません。どんどん悪循環を引き起こし、最終的には中学受験もままならなくなるほどに―――。中学受験に臨む子どもとの向き合い方を間違え、❝崩壊❞といわれる状態にまでなった例をご紹介します。
【よくある❝崩壊の始まり❞のサインとリアル】
●4年生頃までは親の言うことには逆らわず素直に聞いていた子なのに、5年生後半〜6年生頃になり、急に親子バトルが勃発! 子どもが勉強しない→親が怒る→さらにやらない……の繰り返しでバトルが激化。高学年になればなるほど、周囲の学力も伸びてくるので、それと比べて勉強しない子どもの成績は、模試のたびに振るわず。その結果に親がさらに怒って、家庭の空気が最悪に……。
●「塾へ行く」と言って家を出たのに、「お子さんが欠席している」と塾から連絡が。その子に塾をずる休みした理由を聞くと「塾へ行って成績が下がると、お母さんも塾の先生も怒るから」……。❝怒られたくない❞という思いが、塾を内緒で休むという行動に出て、そのあとも無気力な状態になってしまいました……。
中学受験で途中離脱したり、実力が発揮できずに終わったりする場合、成績が原因ではなく、親子関係が先に壊れることが多いです。その根本には、保護者の❝焦り・怒り❞が子どもを潰す結果になるケースが、本当によくあるのです。
子どもは、親からの評価が悪いと感じると❝自分はできない・認められていない❞と受け取ってしまいます。そうなると、次第に自信を無くし、挑戦しなくなったり、全てのことに対して、なげやりに……。さらに、自我が強く出てくる高学年に差し掛かると「反抗」という形で表れてくるので、そんな子どもを前にして、教育観のずれなどから夫婦関係に亀裂が生じるようなこともあります。こうなると、もはや受験勉強どころではなく、家庭崩壊……といった、最悪の展開に発展することも。子どもの心には大きな傷ができてしまいます。
だからこそ、潰さない親になるための心得は重要です。
中学受験の壁を乗り越えるための準備
入塾したらこの先、「成績が下がる」「学習が思うように進まない」「塾に行きたくない」などさまざまな壁が確実に立ちはだかることでしょう。それを巡って❝親子ゲンカ❞もあることでしょう。
❝崩壊のサイン❞が見えてしまったときに、そこで初めて親子の関わり方を変えようとしても、修復にはかなり時間がかかります。ですので3年生2月の今、できることは
●子どもとの信頼関係を良好に! 親子の絆を深める!!
↑多くのご家庭を見てきて「これが出来ていれば◎(拍手!)」と、感じることです。
5年生後半から6年生で悩みを抱えるご家庭は多いのですが、原因は低中学年までの、お子さんとの関わり方にあります。だから私は、4年生までの保護者の方に「今、やってください」とお伝えしています。
【藤田敦子が実際に取り組んでいたこと】
❝子どもとの信頼関係を良好に、親子の絆を深める❞ためには、親子でいっしょに過ごす時間を楽しみ、わかちあうこと♪ 難しく考えなくてOKです!
●「ゲーム」こそ味方にして、勉強上手に育てる!
日常生活の中でならいっけん勉強のじゃまになるからと遠ざけてしまいがちな「ゲーム」を味方にしちゃう! とか。
➡【子どもが勉強上手になる秘策⁉】「ゲームを味方に!」3・4年生から始める、子どもとゲームの上手な付き合い方
●バーベキューや海釣り体験が結果的に中学受験を乗り切る力に!
休日は家族でお出かけをして楽しい時間を過ごすのも、中学受験を乗り越える力を養う、活動の秘技! とも言えます! 我が家は、バーベキューや海釣り体験に、繰り出していました!
➡【非認知能力を育てたら勉強が好きになる⁉】今すぐ実践してほしい“体験”
●6年生でも、夏期講習より水泳大会!
高学年になったら「塾があるから」と、すべてを諦めることが正解⁉ 私は違いました。6年生で、夏期講習と水泳大会を天秤にかけたときは、即答で水泳大会を選びましたよ! 塾の先生には驚かれましたが、子どもの意思を尊重することで、結果的に受験勉強にも身が入りました。
➡【睡眠×運動が大切!】学習に良い影響を与える❝勉強・睡眠・運動❞のバランスとは⁉
こうした経験をおおむね4年生までに積み重ねたことで、私は自然と息子たちとの信頼関係が出来ていました。塾に入った時点で、私自身「息子たちを信じよう!」と思えましたし、息子たちも同じ思いだったと大人になってから話をしたりします。
中学受験の入塾前までに親子コミュニケーションをたっぷりとることで、
●親は子どもを信じることができて必要以上に焦らず、心に余裕をもてるようになる
●子どもが困ったとき、安心して相談できる親になる
➡中学受験に向けて、お互いにとっての信頼&パワーチャージの関係に♪
これが、中学受験を乗り切るため、絶対と言ってよいほど、必要な土台です。
「頑張れ」がつらくなったときに掛けてあげたい、声かけOK術
学校の勉強に加え、塾も始まり、生活に変化があることで、子どもは毎日を過ごすだけでも精一杯。だからこそ、頑張っても結果が出ないことは、たくさんあります。まずはそれを、保護者の方が理解してあげることが大切です。
子どもにとっては頑張っていても、大好きなママやパパから「もっと頑張りなさい」と言われるつらさは……想像に堪えません。頑張っていないからできないわけではないのです。ここを見誤ると、子どもは追い詰められます。
【NGな声かけを❝OKな声かけ❞に】
●NG「もっと頑張りなさい」→ OK「今日はどこまでやれた?」「頑張ってるんだね!」
●NG「このままだと落ちるよ」→ OK「どうしたらやりやすくなるかな?」
●NG「○○ちゃんはできてるのに」→ OK「昨日よりできたところがあるね」
●NG「なんでできないの?」→ OK「どこが難しかった?」
●NG「あなたが塾に行きたいって言ったよね」→ OK「つらかったら、いっしょに考えよう」
言葉は、子どもの心を大きく左右します。「NGを言ってしまってるかも…」と心当たりがあるようでしたら、こんなふうに少し言い換えてから伝えてあげてください。
❝潰さない親❞になるには?
子どもが中学受験を乗り越えていくには、テストの点数や模試の結果よりも、子どもの毎日の取り組みの過程を、褒めて認めてあげることです。すると子どもは、「努力を見てもらえている」と感じ、これが安心につながります。
【子どもを褒めるポイント】
●自分から机に向かった
●テストの間違い直しをした
●自分で考えて行動した
●塾に行った!(これだけ⁉と思う方もいますが、スゴイことなんですよ~)
など。
それでもやはり「子どもの成績が伸びない…」「気合が入ってない…」と、保護者の方は心配や不安を感じるものです。そのときは子どもにぶつけるのではなく、大人=ご主人、先生、先輩ママなどに相談するようにしましょう。
中学受験で一番大事なことは、勉強を続けられる親子関係を壊さないことです。受験は長く苦しいときもあります。そのときに「つらい」と言える相手が親であることは特に重要です。「怒られるから言えない」となると親は敵になります……。ママやパパは、子どもにとって一番の味方でいてあげてください。この関係性ができることで、親子でいっしょに中学受験を踏ん張っていくことができると信じています。
次回、3月はついに連載最終回。ここまでお伝えしてきた藤田敦子さんの提唱する『ぺたほめ』子育ての総まとめと、「中学受験」そのものの❝経験❞について、藤田さんが今、保護者の方々に伝えたいことお届けします。お楽しみに♪
この記事の監修・執筆者
一般社団法人日本ぺたほめ®アカデミー協会代表理事。ぺたほめ®医専アカデミー代表。日本心理学会認定心理士・日本心理学会正会員。同志社大学文学部心理学専攻卒業。
息子二人を洛星中学校・高等学校卒業後、京都府立医科大学医学部医学科現役合格(現在は二人とも現役医師)に導いたシングルマザー。現在は、ご自身の子育てで培った「ぺたほめ®教育法」で多くの保護者から教育・育児相談を受けている。
子どものやる気と自信を育てる「ぺたほめ7日間無料メール講座」
著書『受験も人生も楽しめる! 3~9歳 理系脳・運動脳が育つぺたほめ親子あそび』1,650円(税込)/小学館
著書『母親が変わればうまくいく第一志望校に合格させた母親がやっている子育て39』1,650円(税込み)/講談社
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