
シングルマザーで2人の息子さんを難関私立中高一貫校、そして公立大学医学部現役合格へと導いた藤田敦子さん。現在は一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会代表理事として、主に小学3年生までのお子さんのいるご家庭を対象に、“受験子育て”にまつわる相談を多く受けていらっしゃいます。
ここでは小学3年生までのお子さんのおられるご家庭向けに、親子関係や家庭学習、中学受験に関することなど、さまざまな視点から藤田さん流の“幸せな子育て&賢い子を育てる”ためのアドバイスを発信していきます!
取材・文/細川 麻衣子 写真提供/日本ぺたほめアカデミー協会
≪第4回(毎月1回公開/全12回)≫
今回は、中学の進路選択肢についてと、2人の息子さんの子育てを経て、中学受験を考えたときに大切にしたいことと、子どもが低学年のうちから始めておくとよいことを、藤田さんにお伺いしました。
小⇒中学の進路選択肢は大きく分けて4つ
まずは中学の進路選択肢についてです。
これは、お子さんのいらっしゃるすべてのご家庭に基本情報としてお伝えします。
『公立中学校』(市区町村立)
特徴
・学区(通学区域)に応じて自動的に進学(試験なし)
・無償(教科書も無料)
・地元の友達と一緒に進学できる
メリット
・費用が抑えられる
・地元とのつながりができる
注意点
・学力・生活態度など、生徒の幅が広く指導もばらつきがち
・進学指導に積極的な学校とそうでない学校がある
・学校を選ぶことができない
『私立中学校』(中高一貫校含む)
特徴
・独自の教育方針・カリキュラム(英語教育・ICT・探究学習など)
・中高一貫が多い(高校受験がない)
・入学試験あり(ペーパーテストのみの場合がほとんど)
メリット
・学習環境・進学指導が充実している
・同じ目的を持つ家庭・子どもが集まりやすい
・高校受験がないので、6年間で計画的な学びが可能(中高一貫の場合)
注意点
・学費が高い
・通学距離が長くなることも
・学校ごとのカラーや雰囲気が合うか慎重に見極めが必要
『公立中高一貫校』
特徴
・6年間を通した中高一貫教育
・入学試験あり(ペーパーテストだけでなく適性検査などある場合も)。高校受験はなし
メリット
・公立なので学費が安い
・高校受験のストレスがない
・長期的な視野で教育が受けられる
注意点
・入試倍率が高い(人気校は5~10倍も)
・カリキュラムが高度なため、ついていくのが大変なことも
・学校数が私立に比べると限られている
『国立中学校』(国立大学附属)※1
特徴
・教育実習や研究機関としての役割あり
・教育の質が高い
・応募者多数のため抽選や入学試験あり
メリット
・研究に基づいた最新の教育・授業が行われる
・授業が工夫されていて先進的な内容も多い
・私立より学費が安い
注意点
・中高一貫ではない学校も多く、高校受験が必要な場合も
・通学距離が長くなることも
・入試倍率が高い
※1:小中一貫教育の学校の場合、中学受験組は小学校からの内部進学者と合流する形になる。学校の特徴が❝教育の研究を目的としている❞ので、中学なら中学の教育の研究のために授業が展開される。あくまで3年間として完結し、高校受験が基本的には必要となる。一部、大学付属高校がある場合は内部進学できることもある。

このような進路選択肢があることをまずは知っておきましょう。
中学受験で私が中高一貫校をおすすめする理由
中学進学には、このように大きく分けて4つの選択肢がありますが、公立中学校以外は中学受験が必要です。
我が家の場合、息子は2人とも中学受験で中高一貫校に進学しました。我が家の結論としては、「中高一貫校に行ってよかった!(行かせてよかった!)」です。私としては、息子たちがやりたいことをできるような学校に進学させたい、という思いがありました。そういった点からも、希望する進路を目指すには、圧倒的に有利な条件が中高一貫校にあったのです。
私と息子たちが共に感じた、中高一貫校に行ってよかったメリットは以下です。
●同じ目標を持って集まってきた子(家庭)の集団なので、次の目標(就職を見据えた大学進学)に向かって共に切磋琢磨できる仲間が多くいること。
●6年間の一貫教育ならではの学習カリキュラム。中1中2で中学のカリキュラムを終え、中3から高2までで高校のカリキュラムが終わり、高3は演習が主となり浪人生と同じ土俵で戦えることとなり、基本的には現役合格を目指すペースで学習が進むこと。
●息子たちの通った学校は文化祭・体育祭・部活動など学習面以外の学校生活も充実していた⇒高校受験が無いので高校受験のための勉強は無く、全力でさまざまな経験を積みながら大学受験を目指す、というバランスが絶妙にとれた環境だったこと。
●中学生と高校生の距離が近いので、先輩にあこがれ、先輩を目指して頑張る! という、縦の良い関わりがあったこと。
●卒業後もOBのつながりなどが強固。大学生・社会人になったあとも、各所で仲間ができやすく心強いこと。
このように、中高一貫校だからこその体制と、学校の校風によって経験できたことが本当にたくさんありました。一概に「中高一貫が一番いい!」が全ての人の正解というわけではありませんが、少なくとも我が子が中高の学校生活で経験したことと、その後の進学(国公立大医学部へ現役合格)などを振り返ると、中高一貫校という選択肢はとてもよかったと感じています。
中学受験の親の心得、特に大切にしたいこと
お子さんが中学受験をする場合、保護者の方に心得ておいてほしい!最重要ポイントをお伝えします。
いちばん大切なことは、
我が子がその学校に通うことで、どんなふうに成長できるか(学習面・学校行事・部活動などから交友関係まで総合的に)を想像することです。より充実した学校生活を我が子がおくれるかどうか? を軸に、志望校や塾を決めていきましょう。この判断基準を常に意識することが最重要です。
次に学校を選ぶにあたって、考慮しておきたいポイントはコチラです。
私立中学校選びでチェックしておきたいポイント
●校風が我が子の性格・学習スタイルに合っているか
●家庭の教育方針や経済状況に合っているか
●通学の負担はどうか
●進学実績や卒業生の進路はどうか
●説明会・文化祭などで実際の雰囲はどうか
実際に我が子が通うと想像したときに、これらのイメージがどうか。現実的な範囲内か?など、詳細を確認することも大切です。
中受の学校選びで絶対にしてはいけないNG例
NGな例は、親のプライドで志望校を決めてしまうことです。
「難関校に通わせたい!」「偏差値〇〇以上の学校!」など保護者のプライドだけで志望校を決めてしまうことは絶対に避けましょう。勉強を頑張るのも、学校に通うのも保護者ではなく、我が子なのです。
実はこの思考は、高学歴の保護者にありがちで「うちの子だから行ける」「頑張れば受かるはず!」と、自分の経験をもとに判断してしまう傾向にあります。
子どもは子どもです。学習の得意・不得意はもちろん、性格や趣向なども違います。

まずは、なにごとにも❝子どもに合うかどうか❞を軸に考えるよう心得ましょう。
≪関連記事≫【偏差値って?】知っているようで知らない「偏差値」についてわかりやすく解説
中学受験を見据えて低学年から始めておくとよいこと
中学受験を考えているご家庭へ、子どもが低学年のうちからおすすめしたいことは、志望校の文化祭へ行くことです。9~11月は毎年中高校の文化祭シーズン。学校によっては予約制のところもありますで、夏頃から情報収集が必要です。また、文化祭は1年に1度しかありませんので、行ってみたい学校が複数ある場合、スケジュールがかぶってしまったり、当日風邪をひいて行けなくなってしまうこともありますので、低学年のうちから余裕をもって参加しておくとよいでしょう。
学校の様子を体感させることで、子どもが塾へ通う前に学校を気に入り、自然と勉強の目標を持たせることができますよ。
うちの場合は、早い段階で親子で志望校の文化祭へ行き、学校の雰囲気を息子たちにも体感させて「この学校に行きたい!」と思えるような楽しい体験を重ねました。「机が真っ白で大きいね!この学校に通えたら勉強が楽しくなりそう!」「食堂はきれいだし広いね」「温水プールだから一年中泳げるね♪」などと具体的に記憶に残るような会話もして、学校に行きたくなるようモチベーションをキープ! コミュニケーションをとりながら親子で❝子どもに合う&この学校に通いたい❞を叶える学校選びをしました。
また、文化祭は学校説明会※2と違って、生徒さん達の様子はもちろん、学校の校舎・施設を自由にたくさん見ることができる機会です。保護者の方はぜひ以下のポイントをチェックしてみてください。
【文化祭でチェックしておきたいポイント】
●どんな生徒さんがいて、どんな活動をしているか?リアルな校風を実際に感じる
●我が子がどんなふうに成長できそうか? 充実して過ごせそうか? を妄想!
実際に行った文化祭で、息子たちがお兄さんたちと触れ合っているあいだ、私は「学校楽しい? どんな勉強してるの?」など、生徒さんにたくさんの質問をし、❝我が子に合うかどうか?❞を見極めるための情報収集をしました!!
卒業した学校の文化祭では、「この中にうちの子がいてほしいな」と感じたことを今でも覚えています。
※2:主に毎年6月頃に開催される学校主催の説明会。教育方針をはじめとした学校生活についての詳しい説明を聞くことができる。当日は説明だけでなく、生徒とも触れ合える機会などをつくっている学校もある。
学校は無数にありますので、やみくもに行くのではなく、保護者の方が❝子どもに合う❞視点をしっかり考慮したうえで、実際に通える範囲内の学校をピックアップし、保護者の方が「ココなら通わせてよい」と思える学校へ行くようにしましょう。
今回は「中学受験を考えたとき、大切にしたいこと&低学年から始めておくとよいこと」をお伺いしました。
次回8月は、『育児に疲れているママへのサプリ(仮)』をお届けします。その後も学習や受験へのアドバイスをはじめ、子育ての悩み相談まで、さまざまなテーマで藤田さんにお話をお伺いしていきます! お楽しみに♪
この記事の監修・執筆者

一般社団法人日本ぺたほめ®アカデミー協会代表理事。ぺたほめ®医専アカデミー代表。日本心理学会認定心理士・日本心理学会正会員。同志社大学文学部心理学専攻卒業。
息子二人を洛星中学校・高等学校卒業後、京都府立医科大学医学部医学科現役合格(現在は二人とも現役医師)に導いたシングルマザー。現在は、ご自身の子育てで培った「ぺたほめ®教育法」で多くの保護者から教育・育児相談を受けている。
子どものやる気と自信を育てる「ぺたほめ7日間無料メール講座」
著書『受験も人生も楽しめる! 3~9歳 理系脳・運動脳が育つぺたほめ親子あそび』1,650円(税込)/小学館
著書『母親が変わればうまくいく第一志望校に合格させた母親がやっている子育て39』1,650円(税込み)/講談社
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