大人のごはんとは形状も味つけもちがう離乳食。日々の家族の食事を作りながら、離乳食も完璧なものを作る余裕は、なかなかありませんよね。そんな忙しい保護者たちを悩みから救ってくれるのが、1週間分の食事をまとめて作るフリージング離乳食です。
今回は、「おいしくてかんたん!」「平日の料理が格段にラクになった!」「食わず嫌いだった子どもがパクパク食べてくれるようになった」などと、Instagramで話題沸騰中の離乳食アドバイザー、うたまるごはんさんにお話をうかがいしました。
監修/うたまるごはん 文/上野真依
食べるときはレンジでチンするだけ! 離乳食作りのストレスから解放される
はじめまして、うたまるごはんです。食品を凍らせて保存することをフリージングと言いますが、これまでフリージング離乳食というと、冷凍した食材を使って調理するものや、途中まで作って冷凍したものを、食べるときに焼いたり味つけしたりして作るものがほとんどでした。
私自身今年3歳になる娘がいるのですが、娘の離乳食がはじまったとき、これではなかなか平日の負担が減らないなと思ったので、1週間分の離乳食を休日にすべて仕上げた状態まで作り、フリージングすることにしました。
結果、これが大正解! 食べるときは電子レンジで温めるだけなので平日の離乳食を作る手間はほぼゼロ。1週間分の献立も作るときに決めてしまうので、「今日の献立は何にしようかな?」と考える必要もなくなりました。
1週間分の食材をまとめて作るので、食材ロスが減って食費を減らせるというメリットも。最近は食材の価格が高騰しているので、作りおきは特にオススメです。
休日に少しがんばれば、平日は離乳食作りのストレスから解放されて心に余裕が持てるようになるので、「子どもに対してイライラせず、やさしく接することができるようになった」と言ってもらえることも多いです。ぜひみなさんもトライしてみてくださいね。
効率よく作るための
フリージング離乳食かんたん3STEP
1週間分をまとめて作るとなると、かなり時間がかかるのでは? と思われるかもしれませんが、1週間分の献立に必要な食材をまとめて切っていっしょにゆでるなど、下ごしらえを効率よく行うことで、離乳初期や離乳中期なら1時間ほど、1日3回食になる離乳後期でも、慣れれば2時間ほどで作ることができます。
STEP 1
1週間分の食材をまとめて下ごしらえしたあとそれぞれ調理する
1週間分の献立に使う食材をまとめて切り、1つの鍋で同時にゆでてからそれぞれのレシピを作っていきます。これで調理時間を大幅にカット。効率よく作ることができます。
STEP 2
小分けのフリージング容器などに入れて1食分ずつ冷凍する
作り終わったら、1食分(または1つずつ)、小分けにしてから冷凍保存します。液状やペースト状のものは小分けにできるフリージング容器に、固形のものはラップに包んでから密封袋などに入れて保存します。
STEP 3
食べるときは1食分ずつ電子レンジでチンするだけ
冷凍するときに小分けにしているので、食べるときは1食分ずつ解凍して、盛りつければ完成です!
おいしく安全に食べるためのフリージングの基本
免疫力の弱い赤ちゃんに与えるものなので、衛生面には特に注意が必要です。フリージングをする際や食べるときなどに注意してほしい、5つのポイントを押さえておきましょう。
【フリージングのポイント】
1 食べるときは必ず再加熱する
冷凍する前に加熱していても、その後雑菌が繁殖する可能性もゼロではないので、自然解凍はせず必ず電子レンジで加熱して解凍します。
2 しっかり密封保存する
密封せずに冷凍すると、水分が抜けて乾燥し、品質が落ちてしまいます。密封容器のフタはしっかり閉め、ラップで包んだ食品は、さらに密封袋に入れて保存するのがオススメです。
3 粗熱を取ってから冷凍する
熱いうちに保存容器のフタをしてしまうと、フタの内側に水滴がつき、温度が下がる過程で雑菌が増殖してしまうことも。粗熱を取ってから密封して冷凍しましょう。
4 1週間を目安に使い切る
冷蔵より長持ちするとはいえ、冷凍であっても徐々に品質は悪くなります。免疫力が弱い赤ちゃんが口にするものなので、1週間以内を目安になるべく早く食べきるようにしましょう。
5 食品を扱う道具は消毒したものを使う
調理道具や調理した食品を入れる保存容器に雑菌がついていると、食中毒の原因に。食品を扱う道具はよく洗い煮沸消毒をするなど、除菌を心がけましょう。
おいしさアップ! フリージングの解凍テクニック
フリージングした料理は、食べるときに電子レンジで加熱します。ここでは、おいしく安全に食べるための解凍方法のポイントをご紹介します。
【解凍するときのポイント】
1 ラップに包んだまま加熱解凍する
ラップに包んで冷凍してあるものは、ラップごと電子レンジで解凍できます。ラップがぴったりついた状態で加熱すると蒸気がこもりやすいので、少しゆるめてから加熱するのがポイントです。
2 食べる分だけ加熱解凍する
一度解凍したものを再び冷凍するのは、傷む原因になるのでやめましょう。再冷凍しなくて済むよう、食べる分だけを解凍します。
3 ふんわりとラップをかける
ブロックタイプの保存容器や製氷皿で冷凍したものは、1食分ずつ小さめの食器(電子レンジ調理可のもの)に入れ、ふんわりとラップをかけて解凍します。
4 加熱解凍後はよく混ぜる
電子レンジで解凍すると、熱の通り具合が均一でない場合があるので、いったんかき混ぜてムラをなくすのが、おいしく食べるポイントです。
5 容器のフタをずらして加熱解凍する
耐熱性のある密封容器に入れて冷凍した場合は、熱で容器が変形するのを防ぐため、フタを少しずらして解凍します。蒸気弁がついているものは、弁を開ければそのまま電子レンジに入れてOK。
いざというときに慌てないために!
食物アレルギーの基礎知識と離乳食の進め方
食物アレルギーは、原因となる食べ物を摂取することなどで起こる、アレルギー反応のこと。からだを守る働きをする免疫が、食物を異物と判断して過剰に反応することで起こります。
軽い症状であれば、しばらくすれば落ち着くことがほとんどですが、赤ちゃんにアレルギー反応が出ると心配になってしまいますよね。
与えるときの注意点やアレルギーが出たときのサインを知っておき、いざというときに備えましょう。
【初めて与えるときの注意点】
1 初めての食材は1日1種類ずつ
アレルギー症状が現れた場合は、どの食物が原因になったかを特定できるようにするために、初めての食材は1日1種類ずつ試していきましょう。
2 ごく少量からはじめ、だんだん増やす
アレルゲンとなる食物をたくさん摂取するほど強いアレルギーが出る可能性が高くなるので、ごく少量からはじめ、少しずつ量を増やしていきます。
3 すぐ病院に行ける時間帯に与える
アレルギー症状が出たらすぐ病院に行けるように、初めての食物を摂取する際は、なるべく平日の午前中に与えるのがオススメです。
4 機嫌が悪いときに無理に与えない
アレルギー症状のひとつとして、体調不良のため機嫌が悪く見えることがあります。子どもの変化を見逃さないために、機嫌が悪いときは無理に与えないようにしましょう。
よくあるアレルギー症状をチェック!
こんな症状が出たら病院へ
食物アレルギーの症状としては、じんましん、嘔吐、下痢、せき、呼吸器症状などがあげられます。
食物アレルギーは、食物を摂取したあと2時間以内に症状が現れることが多いので、食後2時間は注意深く様子を見てあげるようにしましょう。
1、2回の嘔吐や下痢、軽い鼻水や鼻づまり、食後のせきやくしゃみ、口のまわりに赤いじんましんが出るなどの症状であれば、しばらく様子を見て、必要であれば病院を受診してください。
顔色が明らかに悪くぐったりしている、呼吸が苦しそう、唇やつめが紫色になっている、せきが止まらない、発疹やじんましんが全身に出る、食欲がなく水分がまったく取れないなどの症状が現れた場合は、すぐに病院を受診する必要があります。呼吸が苦しいなど緊急性が高い症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶなど早急な対処が必要です。
赤ちゃんは免疫力が弱いので、食物アレルギーや衛生面には十分注意し、楽しく離乳食作りができるといいですね。次回は、いよいよフリージング離乳食作りにチャレンジ! 基本のおかゆやパンがゆ、めん類の調理法をご紹介していきます。
この記事の監修・執筆者
離乳食・幼児食コーディネーター、離乳食アドバイザー。2歳の女の子のママ。Instagramを中心に、子どもも大人も楽しめる離乳食・幼児食のレシピを日々発信している。『うたまるごはんのかんたんフリージング』離乳食・幼児食(Gakken)が発売中。
Instagram
https://www.instagram.com/utamaru_gohan/
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