5分でわかる育児休業給付金(育休手当)~条件や申請方法を解説~

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子どもが生まれたとき、ママ・パパのキャリアや収入を支えてくれるのが育児休業制度。2017年10月には育休期間が2年まで延長されましたが、なかには手続きを忘れて延長ができなくなったり、給付金をもらいそびれたりする人もいるようで……。ここでは、育休で「うっかり損をしない」ためのポイントをわかりやすく解説します。

漫画:hibik

目次

育休の基本4か条

5分でわかる【育児休業給付金】~申請方法や期間、延長の条件など、うっかり損をしないポイント解説

1.「育休」ってナニ?

育休つまり「育児休業」とは、子どもが満1歳になるまでは保護者が会社を休むことができるというもの。(育児・介護休業法より)

※「育児休業」と「育児休暇」は、言葉が似ているために混同してしまいますが、“育児休業は、法律に基づいている制度”“育児休暇は育児のために休暇を取ること”という大きな違いがあります。

2.取得できるのはどんな人?

育休を取得できるのは、

(a)1歳に満たない子どもを養育する労働者(要件を満たせば2歳まで)
(b)同一の事業主に1年以上継続して雇用されている
(c)子どもが1歳6か月になるまでの間に労働契約が更新されないことが明らかな人は除く

という条件を満たした人です。
正社員だけでなく、派遣社員やパートでも(c)の条件を満たせば育休を取得できます。

3.取得できる期間

基本的には、子どもが1歳になる日の前日まで。さらに、一定の条件を満たせば、最長2年まで延長できます。
ちなみに女性の場合、育休は産前産後休業が終了した後(出産の8週間後)からスタートになります。男性は子どもの出生直後から育休を取得できます。

参考:東京労働局「私の産休・育休はいつから?」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/kinto2/01/01/0103.html

4.育休の申請方法

育休開始予定日の1か月前までに会社に申し出る必要があります。

女性の場合、育休開始予定の1か月前というと、多くの場合は産休中です。出産直後のあわただしい時期に書類を準備するのは大変ですから、できれば出産前に準備や手続きを済ませておきましょう!
育休中にもらえる「育児休業給付金」を受け取るためには、別途申請が必要です(後述)。

※「予定日より早く子どもが生まれた」など特別な理由があるときは、1週間前まででOK。

「育児休業給付金」とは?6つのポイント

1.「育児休業給付金」とは?

育児休業中は、会社から給与が支払われないことが多いようです。そんな育休中の生活をサポートするために雇用保険から支給されるのが「育児休業給付金(育休手当)」です。

2.もらえる期間は?

育児休業給付金が支給されるのは、育休を取得している期間と同じです。育休が延長されれば、育児休業給付金の支給期間も延長されます。
なお、子どもが1歳になる前に職場復帰する場合は、復帰の前日までが支給対象期間となります。

3.受給の条件をチェック!

支給対象者となるのはこんな人

  • 育児休業の前の2年間、雇用保険に加入し、11日以上働いた月が1年以上ある
  • 育休開始時点で、育休終了後に離職する予定がない

また、育休中に働いたり、会社から賃金が支払われたりする場合は、下の条件も満たす必要があります。

  • 育休中の賃金が、休業開始前の給料の80%未満である。(1か月ごと算定)
  • 育休中の就業日数が1ヶ月ごとに10日以内である

4.支給金額はどのくらい?

育児休業給付金の支給金額

育児休業給付金の支給金額

  • 休業開始から6か月まで:育休前の賃金の67%(上限301,299円、下限49,848円)
  • 休業開始から6か月以降:育休前の賃金の50%(上限224,850円、下限37,200円)

育休中に賃金が支払われる場合、育児休業給付金は、休業開始前賃金の13%を超えると減額され、80%を超えると支給されません。

また、産休・育休中は健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料が免除されます。

5.申請方法は?

育休がスタートしてから申請手続きをおこないます。一般的には、本人が必要書類を会社に提出し、会社がハローワークに申請して手続きをするケースが多いです。希望すれば、会社を通さずに本人が支給申請の手続きをすることも可能です。

育児休業給付金 申請手続きの流れ

出産

産後休業8週間(女性のみ)

育休スタート
①会社所在地を管轄するハローワークに受給資格確認申請+初回の支給申請
※育休開始日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日まで

②支給決定通知書交付&次回支給申請書交付

③支給決定日から約1週間後に指定金融機関に振り込み(初回分)

④以後、2か月ごとにハローワークに支給申請
(電子申請による支給申請も可能。また、本人が希望すれば1ヶ月ごとの支給申請も可能)

⑤育休終了に伴い、支給終了

参考:大阪労働局「育児休業給付について」
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_hoken/hourei_seido/keizoku/ikuji.htm

6.初回の支給日は、いつ?

最初の育児休業給付金が支給されるのは、育休開始から2~3か月後(出産日から数えると4~5か月後)です。
給付金は2か月ごとにカウントされ、その翌月以降に振り込まれます。
例えば3月に出産した場合、産休が終わった5月に育休がスタートし、5~6月分の給付金が7月か8月に振り込まれるイメージです。

「パパ・ママ育休プラス」とは?

男性の育休取得を後押しするため設けられた「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。通常、育休を取れるのは「子どもが1歳になるまで」ですが、両親ともに育休を取得すると「子どもが1歳2か月になるまで」に延長できるというものです。
パパが「パパ・ママ育休プラス」を利用するためには、次の全てに該当する必要があります。

・ママが、子どもが1歳になるまでの間に育休を取得している
・パパの育休開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前である
・パパの育休開始予定日が、ママの育児休業の初日以降である

法律上の配偶者だけでなく、事実婚のパートナーもこの制度を利用できます。

参考:厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pd

「2人目」「延長」~こんなときどうする?

1.育休中に2人目を妊娠したら?

第1子の育休中に第2子の産休に入る場合、第2子の産前休業開始日の前日(産休を取得しない場合は出産日)に第1子の育休が終了します。そのため、第1子の育児休業給付は、産前休業開始日の前日(産休を取得しない場合は出産日)までの支給となります。

2.2人目以降の育児休業給付金の支給条件は?

条件は第1子と同じです。
第2子の育休開始時点で受給資格を満たしていれば、第2子の育児休業給付金を受け取れます。給付金を受け取るための条件として
「過去2年間のうち、雇用保険の被保険者期間(11日以上働いた月)が12か月以上ある」
というものがありますが、育休を取得した期間は除くことができ、最大4年さかのぼって算定することができます。

3.育休を延長したい!延長するための条件は? 給付金も延長される?

次のいずれかの場合、育休を延長できます。育休が延長されれば、給付金も延長されます。

(a)パパ・ママ育休プラスを利用すれば、子どもが1歳2か月になるまでの期間に延長できる
(b)(子の養育を行っている)配偶者の死亡や病気などで、(育休の対象となっている)子どもの養育が困難になった場合は最長2年まで延長できる※
(c)入所を希望したが保育園に入れなかったなどの理由があれば、最長2歳まで延長できる

(b)と(c)では、1歳になるときと1歳6か月になるときの2回、延長手続きが必要です。

注意点(ココに注意!)

  • 「保育園に入れない」という理由で育休を延長する場合、対象となるのは認可保育園や認定こども園であり、認可外保育施設は含まれません。
  • パパかママのどちらかが、子どもが1歳の誕生日の前日(再延長の場合は、1歳6か月になる前日)に育児休業を取得している状態でないと延長できません。
  • 保育園に入れず育休を延長する場合、子どもが1歳の誕生日の前日(または1歳6か月になる日の前日)時点で保育園に入れないことを証明する書類が必要です。入所希望日を誕生日(または1歳6か月になる日)にしてしまうと給付金の延長は認められません。

育休延長のメリットとデメリット

育休を延長することで「赤ちゃんと過ごせる時間が長く持てる」「保育園をゆっくり探せる」などのメリットがある反面、2年目は給料の50%しかもらえず「金銭面で損をする」と感じる人もいるでしょう。
たとえば9月に出産して1年で復帰する場合、翌年の9月に入れる保育園を探さなければなりません。しかし、延長すれば再来年の4月入園を目指すことができます。また、1年で職場復帰するとお給料は100%もらえても、毎月の保育料などを考えると必ずしも得だとは言えません。収支をシミュレーションし、家族のライフスタイルも加味して、どちらがお得なのかを考えてみましょう。

おわりに

育休の手続きは、主に会社を通して行われることから、行き違いなどでミスが起こってしまうことが多いようです。申請に必要な書類や手続きの期限などは、産休に入る前に自分でしっかりと把握しておきましょう。育休中は、できるだけ心に余裕を持って赤ちゃんとの生活を楽しんでくださいね。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

この記事の監修・執筆者

ブロガー hibik

ヒビック/5歳の男の子と2歳の女の子のママ。平日は会社員として働き、Instagramで育児絵日記公開中。

Instagram
https://www.instagram.com/hibik0511/

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