【専門家監修】子どもの友だち関係にモヤモヤ!友だちの少ない子は4タイプに分けられる?

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子どもが集団生活を送るうえで、避けては通れない「友だち」の存在。
新しい友だちと、ちょっとしたことでケンカをしてしまう…。
園や学校で友だちの輪に入っていくことができていないみたい…。
子ども同士の関係に、大人がどこまで入っていくべきなのか、悩んでいるママパパも多いことでしょう。
そんなママパパが直面しているお悩みに、教育評論家の親野智可等先生がアドバイスを送るこちらの連載。最終回の今回は、「友だち関係」について教えていただきました!

文/須藤美紀

目次

うちの子はどのタイプ?友だちが少ない子を4つのタイプに分類!

子どもが友だちと仲よく遊んでいると安心するし、一人で遊んでいると不安になる。それは保護者として当然の思いなのですが、まずは友だちが少ない子には4つのタイプがあることを知っておきましょう。

  1. 友だちが欲しいけれどできない。でも、友だちから避けられているわけではない。
  2. 友だちが欲しいけれどできない。しかも、友だちから避けられているようだ。
  3. 友だちといるより1人でいるほうが好き。でも、状況に応じて人と協力したり仲よくしたりすることはできる。
  4. そもそも友だちをまったく欲しがらない。一緒に遊んだり協力したりする気もない。

1の「友だちが欲しいけれどできない。でも、友だちから避けられているわけではない。」というタイプの場合、子どもの消極的な性格が原因となっていることがほとんど。先生に相談しながら気の合う友だちを見つけてもらって、徐々に遊びの輪に入れてもらうような環境を作ってあげられるといいですね。

友だちの輪に入る方法は、ロールプレイで練習するのがオススメです。親子で役割を決めて、「仲間に入れて」「一緒に遊ぼう!」など、声に出す練習をするとよいですね。「今はダメ!」と断られることもありますから、その場合の心の準備もしておきましょう。

2の「友だちが欲しいけれどできない。しかも、友だちから避けられているようだ。」というタイプは、避けられる理由を探る必要があります。理由がわかったら、改善に努めましょう。それがその子の成長のためにもなります。

3の「友だちといるより1人でいるほうが好き。でも、状況に応じて人と協力したり仲よくしたりすることはできる。」というタイプは、じつはまったく問題がありません。みんなと遊ぶことがストレスになる子もいるのです。必要なときに集団生活に対応することができているなら、「この子は1人でいるのが楽しいんだな」と受けとめてあげましょう。

4の「そもそも友だちをまったく欲しがらない。一緒に遊んだり協力したりする気もない。」というタイプは発達障害の可能性もありますので、早めに専門家に相談しましょう。もし、発達障害あるいはグレーゾーン等に該当することがわかれば、それに応じた指導を始めることができます。

【事例1】気の合わない友だちとはどう付き合う?

年長のわが子は、たくさんの友だちと仲よくしたいタイプ。気の合わない友だちとどうやって付き合ったらいいのか、悩んでいるようなのですが、どのように声をかけてあげたらよいのでしょうか?

子どもの話を聞くと、つい大人は「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスをしてしまいますが、それが実行できないからこそ、子どもは悩んでいるはず。これでは、ただの「お説教」にしか聞こえません。

子どもに限らず、自分の話を聞いてもらって溜め込んだものを吐き出すだけで、ストレスは軽減されますよね。まずは、たっぷり話を聞いて共感してあげましょう。そうすれば、園や学校での子どもの環境もわかるし、先生に相談が必要な状況かどうかも判断できるはずです。

そして、子どもの思いをしっかりと受けとめたうえで、「本当にイヤなときには、無理をして友だちと遊ばなくてもいい」ということも、教えてあげられるといいですね。

【事例2】友だちにマウントを取ってしまう子、どう声をかける?

「自分のほうが上手」「自分のほうが折り紙をかわいく折れた」など、子どもが友だちにマウントを取ってしまいます。今後の関係性が心配なのですが、どうしたらよいでしょうか?

「人と比べて自分のほうが優れている」という思いは、向上心の表れだと言えます。向上心は子どもが才能を伸ばしていくための原動力ですから、おうちで「あの子より自分のほうが上手」などと言っている分には、とりあえず軽く共感してあげてOK。

ただし、おうちの人が子どもを褒めるときに、「〜くんより上手だね!」という言い方をするのは、絶対にやめましょう。

日頃から「大好きだよ」「お父さんとお母さんのところに生まれてきてくれてありがとう」など、子どもの存在自体を肯定する言葉をたくさんかけ、結果が出なくても頑張りを認めてあげることをくり返しましょう。すると、自己肯定感が高まり、他者に対してマウントを取る必要もなくなります

子どもの頑張りを認めたうえで、「友だちの上手なところも見つけてあげよう!」と声をかければ、友だちの長所を見つける習慣が身に付きますよね。それでも友だちに対してマウントを取ってしまうときは、「同じことを言われたらどう思う?」と、いっしょに考えるようにしましょう。

【事例3】周りにからかわれて悲しんでいる友だちへの対応は?

周囲からのちょっとした「からかい」に悲しんでいる友だちのことで、子どもが悩んでいるようです。周囲に流されない強くてしなやかな心を持ってほしいと思っているのですが、親としてどう声をかけたらよいでしょうか?

お子さんが、自分の力でからかわれている子を助けてあげるのが理想ですが、それが難しい状況なら「先生に相談できるかな?」と子どもと話し合ってみましょう。状況によっては、おうちの人から先生に伝えてもOKです。傍観者でいることは、結果的に加害者を助けることになりますから、何かアクションを起こせるといいですね。

自分がからかわれる側になることを心配しているようなら、ロールプレイで切り返し方を練習!「ランドセルを持て」と言われたら「じゃんけんで決めよう」と返すなど、いろいろなケースをシミュレーションしておきましょう。

くり返しになりますが、友だちとの関係を良好に保つには、なによりも親子の関係をよくすることが重要です。おうちの人との関係が良好で自己肯定感の高い子は、友だち関係で多少トラブルがあっても大丈夫ですし、いじめの加害者になる確率が圧倒的に低いというデータもあります。

一方で、いじめの加害者は、保護者から攻撃されているケースが非常に多いです。保護者との関係のストレスが、自分より弱い人間に向かってしまうのでしょうね。

子どもに期待するあまり、保護者の理想を押しつけてしまう気持ちもわかりますが、その前に子どもが楽しんで「やりたい!」と言うことを力いっぱい応援し、子どもの話をたくさん聞いてあげましょう。保護者が子どもを全力で受けとめてあげることが、子どもと友だちとの良好な関係性にもつながるのです。

おすすめの書籍

友だちと円滑なコミュニケーションを取るために、親野先生がオススメしてくれた親子でのロールプレイ。そのロールプレイのお供にオススメなのが、親野先生監修の「おやくそくのれんしゅうちょう」です。

『一生役立つルールとマナー おやくそくのれんしゅうちょう』(学研プラス)

「友だちに謝る」「友だちを助ける」「苦手な友だちとの付き合い方」など、子どもに覚えておいてほしいコミュニケーションの方法が、具体例とともにたっぷり取り上げられています。

『一生役立つルールとマナー おやくそくのれんしゅうちょう』(学研プラス)

お子さんとゆっくり話をして、友だち関係を良好にするためのツールとしてもぜひご活用ください♪

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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