打ち上げ花火には、科学の知恵が詰まっている!【花火のひみつ】

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夏には、各地で花火大会が行われます。家族で花火大会に出かけたり、お店で買った花火を楽しんだりすることもあるでしょう。

花火には、赤、黄、緑、紫など、さまざまな色があり、その色が変化することもあるのは不思議ですね。花火を見ながらお子さんとそんな話ができると、科学に関心をもつきっかけになるかもしれません。

“花火のひみつ”を探ってみましょう。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

どうしてさまざまな色の花火があるの?

筒で打ち上げる「打ち上げ花火」

花火大会で見られる花火は、主に「打ち上げ花火」と呼ばれる花火です。その名のとおり、火薬を入れた筒に花火玉を入れ、火薬を爆発させることで上空に打ち上げています。打ち上げる際に花火玉の導火線にも火がつき、上空で破裂するようになっています。
私たちは、花火玉が破裂したときに出す光や形、音を楽しんでいるというわけです。

打ち上げ花火をつくって打ち上げるのは、「花火師」と呼ばれる職人です。近年の花火大会では、どの花火をどのタイミングで打ち上げるかはコンピューターでプログラミングされ、会場の音楽ともマッチするようになっています。

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色の違いのポイントは「炎色反応」

花火玉の中には火薬が入っています。この火薬に火がつくと花火玉が爆発し、光を放ちます。ただし、火薬が燃えるときに出す光はオレンジ色(だいだい色)です。

実際の打ち上げ花火が、オレンジ色以外にもさまざまな色の光を放つのは、火薬に混ぜてある金属が燃えているからです。その金属は何種類かあり、種類によって放つ光の色が異なります。

金属が燃えるときに、決まった色の光を放つことを「炎色反応」といいます。

リチウムは赤、ナトリウムは黄、カリウムは紫、銅は青緑、カルシウムはオレンジ色、ストロンチウムは深い赤、バリウムは黄緑の光を放ちます。高校の化学の授業で炎色反応の実験をし、金属と光の色をゴロ合わせで覚えた記憶がある方もいるのではないでしょうか。

花火玉に使われる金属は、比較的安いストロンチウム、銅、ナトリウム、バリウムです。これらの金属によって、赤、青緑、黄、黄緑を出すほか、いくつかの金属を組み合わせることで、ピンク色や水色などを出すこともできます。

花火玉の構造はどうなっているの?

色が変わる打ち上げ花火

花火が爆発してから見えなくなるまでに、いくつかの色に変わる打ち上げ花火があります。これは、花火玉の構造によるものです。

花火玉の中には、「星」と呼ばれる小さな玉がいくつも入っています。「星」は、炎色反応を示す金属を火薬に混ぜて固めたものです。「星」の中に異なる金属を含む火薬を順番に入れておくことで、時間とともに花火の色を変えることができるのです。

ただし、具体的にどの金属をどれくらい混ぜているかは、それぞれの花火師が工夫しており、公表することはありません。企業秘密の事項なのです。

「割薬」と「星」の詰め方で形を決める

花火玉の中には、上空で花火玉を爆発させるための「割薬」という火薬が入っています。花火玉の中の「割薬」と「星」の詰め方を調整することによって、花火の形を変えることができます。

きれいな形の花火にするには、微妙な調節が必要で、外側の皮の厚さを均等にしないと花火の形がいびつになってしまいます。また、「割薬」が多すぎると全部の「星」に火がつかず、ところどころにヌケのある花火になってしまいます。

花火師は、見ている人の視神経に花火の色の感覚が残る【残像】も計算し、0.1秒単位で色が変化するように考えて花火玉をつくっているそうです。

花火は科学に裏づけられている!

美しく見える工夫とは

打ち上げ花火がきれいな形に見えるために、さまざまな工夫が施されています。

打ち上げ花火は、筒から上空に上がり、導火線から中心の割薬に火が届くと爆発します。花火玉が最も高い位置(上昇する速度が0になる地点)で爆発すると、花火がきれいな円形に見えますが、上昇している途中や落ちかけのときに爆発すると、つぶれた形になってしまいます。

そのタイミングを合わせるのは難しく、花火師は何度も試射をして打ち上げに使う火薬の量や花火玉の中の割薬の量を調整します。

こうした工夫のおかげで、私たちは美しい花火を鑑賞できるのです。
花火を見る際に、花火師の技にも思いを寄せてみてください。

身の回りのものを科学の目で見てみよう

私たちが当たり前のように楽しんでいる花火には、科学の知恵がいろいろと使われていることがわかりますね。

このようになにげないように見えても、身の回りの多くのものに科学の知恵が利用されています。

お子さんといっしょに花火を見るとき、あるいは花火で遊ぶときに、「どうして色が変わるのかな」など、“科学の目”で見るようにうながすと、科学への関心を育むことにもつながるでしょう。

興味関心が深まれば、自由研究のテーマにするのもよいですね。

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