
小学6年生の夏休み、宿題の数々も小学校の集大成として、心に残る作品を作りあげたいですね。
読書感想文に悩むご家庭も少なくないでしょうが、せっかくならお子さんが本当に読みたい本を題材にして書きたいもの。
今回は、そんな6年生(11歳・12歳)にぴったりの読書感想文の書き方と、おすすめの本をご紹介します。
文/こそだてまっぷ編集部
小学6年生(11歳・12歳)の読書感想文の書き方は?

小学校最後の読書感想文、できればお子さんひとりの力で書かせてあげたいですが、そううまくはいかないことも。
夢中になって読める本を一緒に選ぶことはもちろん、お子さんならではの発想を引き出す声かけなど、何気なくサポートができるとよいですね。
保護者が基本的な読書感想文の書き方を知っておくと、いざお子さんから質問を受けた時にも安心です。
読書感想文は、主に次のような流れで進めていくのがおすすめです。
1. お子さんが興味のある本を何冊か読んでみる
2. 気に入った一冊を選ぶ
3. 導入・本文・まとめなど、大まかな構成を考える
4. 感想文を書く際に必要な関連情報を調べる
5. 下書きをする
6. 清書をする
小学6年生(11歳・12歳)向け! 読書感想文の本の選び方

読書感想文の本選びで一番大切なのは、お子さん自身が「読みたい!」と思えるものを選ぶこと。
6年生ともなれば、複雑で長い文章も読み解くことができるようになります。ジャンルや学年に縛られすぎずに、お子さんの知的好奇心を大切にして選ぶようにしましょう。
お子さんが本選びに悩んでいるようなら、保護者がアドバイスしてあげましょう。
小学6年生のお子さんにぴったりな本を選ぶための3つのポイントをご紹介します。
①社会問題や科学、歴史などをテーマにしたもの
小学6年生になると、ニュースや社会の出来事にも関心を持つお子さんが増えてきます。環境問題、貧困、多様性、AI、宇宙、歴史上の人物の生き様など、現代社会が抱える問題や、人類の歩み、未来について深く考えさせてくれるような本を選んでみましょう。
これらをテーマにした本は、お子さんの知識欲を刺激し、多角的な視点から物事を捉える力を育んでくれます。本から得た学びを、自分自身の言葉で表現することで、社会への関心を深めるきっかけにもなります。
②哲学的な問いかけや、多角的な視点が得られる物語
物語を通して、人生や友情、家族、正義とは何かといった哲学的な問いを投げかける本もおすすめです。一見難しいように思えますが、子ども向けに分かりやすく書かれたものを選んでみてください。
また、同じ出来事を複数の登場人物の視点から描いた物語も、お子さんの共感力や想像力を高めてくれます。様々な立場や考え方に触れることで、物事を多角的に捉える力が養われ、より深みのある感想文につながるでしょう。
③登場人物に共感し、自分と重ね合わせられる本
小学6年生は、心境の変化が大きい時期でもあります。主人公が悩み、葛藤し、成長する物語は、お子さん自身の内面を見つめ直し、自己理解を深めるきっかけを与えてくれます。
友情、恋愛の始まり、将来の夢、進路の選択など、お子さんが直面しているテーマの本を選ぶと、読書体験が記憶に残るものになるでしょう。本の登場人物の経験を通して、お子さん自身が新たな気づきや学びを得られるような一冊を見つけてみてください。
小学6年生(11歳・12歳)の読書感想文におすすめの本12選
こちらでは、小学6年生(11歳・12歳)の読書感想文におすすめの本12選を紹介します。
5000キロ逃げてきたアーメット

1,650 円(税込)
『5000キロ逃げてきたアーメット』は、難民問題を通してえがかれる、友情と勇気と冒険の物語です。
主人公のクラスに転入してきたのは、ライオンのような瞳を持つ男の子。しゃべらないし、笑わないし、だれとも遊びません。彼がイギリスの学校にやってきたのには、理由があったのです……。
イギリスで“The Boy at the Back of the Class”というタイトルで2018年に発刊されるやいなや、各方面で高い評価を得た長編作品です。
「シリア難民」という大きな国際問題を純粋でひたむきな子どもの目線からとらえた物語と、ニュースを併せ見て感想文を綴れるとよいでしょう。
〇ウォーターストーンズ児童文学賞総合賞、ブルーピーター文学賞受賞
ぼくがスカートをはく日

1,650 円(税込)
『ぼくがスカートをはく日』は、秘密をかかえて生きる主人公と、まわりの人たちの物語です。
“今度、学校で演劇のオーディションが開催される。ぼくは、女神の役をやりたい。「男子が女子の役をやるんだって!」と言われるだろう。けれど、ぼくは自分らしく生きたい。12歳のグレイソンは、一歩、進みはじめます。
「ほんものの女の子になりたい。もっと自由に、自分らしく生きたい。」と願うグレイソン。自分はこうありたいと願う姿や、人には言えない秘密など、自分の心と深く対話をするきっかけとなる本でもあります。
○2019年度 厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財
○2016年全米図書館協会「レインボー・ブック・リスト」作品
ニルスのふしぎな旅 全5巻

1,100 円(税込)
『ニルスのふしぎな旅』は、小人にされた人間の子どもニルスと、旅の仲間である動物たちの、成長と冒険の物語です。
主人公のニルスは勉強が嫌いで、家の農場で飼っている動物たちをいじめるような、かなり悪い子どもです。そんなニルスは妖精を怒らせ、魔法で体を小さくされますが、同時に動物たちと話せるようになります。そして、思わぬアクシデントによって冒険の旅へ出ることに……。
そんなニルスも、動物たちの気持ちや悩みを知ることで、しだいに思いやりが芽生えていきます。
自然との共生や、動物への思いやりといったテーマに深く踏み込んだ本作は、自然や動物が好きというお子さんにもおすすめです。
スパイダーマン ソーシャル・ジレンマ 上・下

1,650 円(税込)
『スパイダーマン ソーシャル・ジレンマ』は、若者らしい悩みを現代的なモチーフを織り交ぜて描く、手に汗にぎるエンターテインメント小説です。
ニューヨークの平和を守るスパイダーマンである高校生のピーター・パーカーは、最近悪人たちの様子が以前と違うことに気づきます。それにはどうやら、かつて宇宙からやってきた隕石が関係しているようで……。
SNSやマイノリティへの視点など、現代に生きる子どもたちにとっても身近なテーマを、世界的ヒーローの活躍とともに描きます。
1962年にマーベルコミックに登場して以来、多くの人々に愛され活躍を繰り広げてきたスパイダーマンの新しいYA小説。ハラハラドキドキの物語が、お子さんの冒険心を刺激します。
K-POP・シークレット 1・2巻

1,540 円(税込)
『K-POP・シークレット』は、K-POPアイドルを目指す主人公が夢に向かって頑張るさまに勇気をもらえる、秘密の青春ストーリーです。
K-POPアイドル事務所のオーディションに合格した、高校生のキャンディス。韓国に渡り、デビューを目指してトレーニングに励みますが、練習生生活は想像を絶することばかり。それでも、夢を諦めたくないと自分を励まし、ひたむきに進む主人公の姿は、読む人の感動を誘います。
K-POPアイドル界の光と闇を描き、12ヵ国語に翻訳された話題作。K-POPアイドルの練習生という題材、現代的な作風のイラストなど、ワクワクした気持ちで手に取れる本です。
きまぐれ未来寄席

1,100 円(税込)
『きまぐれ未来寄席』は、現代の風変りな話がもしも未来に落語の演目になっていたら……?という「IF」を書いた短編集です。
遠く未来のお話。20世紀や21世紀の私たちが住む環境や、文化、慣習が「なんだかちょっと変わっているね」とおもしろおかしく伝わって、ショートショートのような落語になってしまったようです。
何気ないいつもの行動も、見方によっては、拡大解釈すればそう見えるかも?と、はたと立ち止まる視点を与えてくれる痛快な24編(席)が収録されています。
まるで本物の寄席のように、それぞれの物語には「マクラ」と言われる前段つき。本物の落語で演じられるような構成で作られているので、おうちの方をお客さんに見立ててお子さんに読んでもらうのも楽しそうですね。
出世できない孔子と、悩める十人の弟子たち。

1,210 円(税込)
「出世できない孔子と、悩める十人の弟子たち。」は、孔子の「論語」を青春群像劇として楽しく読みながら、どう生きるか学ぶことができる一冊です。
『論語』は約2,500年前、春秋時代の中国の思想家、孔子の言動を弟子たちがまとめたものです。その内容は現代にも通用するものが多いですが、どこか硬い印象を持っている方も少なくないのではないでしょうか。
本書はそんな『論語』を出世はできないけれど、理想を捨てない孔子と、そんな師匠の考えを学び、どう生きるか悩む若い弟子たちの物語になっています。
『論語』の言葉がに込められた思いを、物語を通じて知ることができます。
読めば「こういう風に悩むこと、あるよな……」と思わず感情移入する項目が誰しもあるはずの『論語』。少し背伸びした読書感想文が書けそうです。
お金と僕らの物語

1,210 円(税込)
『お金と僕らの物語』は、生きていくために必要な知識である「お金と人生」の指南書です。
主人公は「将来、必ずお金持ちになる」と決めている中学生の福澤正一。ある日、お金という概念の無い星から来たパルミンと出会います。お金について興味はあるけれど、きちんと学んだことがない正一と幼馴染の三人組とパルミンは、一万円札の顔でもある渋沢栄一。「夢七訓」にまつわる謎を解きながら、お金の謎を解き明かし、お金との付き合い方を学んでいきます。
単にお金の知識を伝えるだけの実用書にとどまらず、お金との関わり方や人生観までも考えさせてくれる、経済入門書です。
5分後に意外な結末ex クリムゾンに染まる宮殿

『5分後に意外な結末ex クリムゾンに染まる宮殿』は、笑い、恐怖、感動などの感情×ミステリー、SF、恋愛などのさまざまなジャンルを、それぞれ10ページ程度に閉じ込めた短編集です。
小学生から大人まで、幅広く支持されるベストセラーの最新作。収録されたストーリーは、タイトルの通り「意外な結末」を持つものばかりです。読んでいて「意外に思った」理由を紐解き、また印象に残った文章を読み解くことで、文芸作品の魅力に気づき、新たな扉を開くことができるかもしれません。
どれも短時間で読めるショート・ショートなので、試しにタイトルが気になった話をひとつ選んで読んでみるのがおすすめです。
それでも私が、ホスピスナースを続ける理由。

1,210 円(税込)
『それでも私が、ホスピスナースを続ける理由。』は、「働く人」のひとつのあり方を教えてくれる、ホスピス(終末期医療)ナースとしての実体験をもとにした連作短編集です。
もう治癒の見込みがない病人に行われる「終末期医療」に従事するホスピスナース。死の旅に出る人々と、その家族の姿を、著者が終末期医療の先進国であるアメリカで体験した実話をもとに物語化しています。
恋人を思う男性、日系2世の女性、生後14ヵ月の赤ちゃん……年齢も背景も異なる患者との出会いを描いた物語は、大切な人を見送る悲しみや、「死」に向き合う難しさだけではなく、ときに温かさや優しさを感じさせ、深く心に残ります。
主人公の働く姿を通して「ホスピスナース」という職業について知ることができるほか、「死」というものになじみのない子どもたちには、「死」「死別」について考えるきっかけとなります。
三ツ星シェフ部!
または、カリスマ料理人の俺が、なぜお子ちゃま部活の顧問になったか。

1,100 円(税込)
『三ツ星シェフ部! または、カリスマ料理人の俺が、なぜお子ちゃま部活の顧問になったか。』は、爽やかで痛快な、お仕事×青春部活ものストーリー。
カリスマシェフの一ノ瀬豪太は、ひょんなことから、高校の料理部の顧問になります。料理の腕はそこそこでも、精神がまだまだお子ちゃまの部員達を率いて、全国大会優勝を目指しますが道のりは遠く……。
個性的な部員4人と、部員たちと同等にやり合う豪太。彼らのやりとりに笑いながらも、気づけばだんだんと感情移入していくのが気持ちいい快作です。
料理人としての矜持は、料理やお菓子作りが好きなお子さんの心にもきっと響くはずです。
パパラギ

1,430 円(税込)
『パパラギ』は、100年後も残したい、より良く生きるためのメッセージをまとめた本です。
約100年前のドイツで出版され、「南国サモア島の族長が西洋文明について語った演説集」という形式で“文明社会が人間にもたらすもの”に警鐘を鳴らした本作。ほのぼのとした雰囲気の中にも、強い寓意性とメッセージがこめられています。
タイトルとなっている「パパラギ」とは「白人」を指すサモアの言葉で、文明社会で生きる人々を意味しています。本書で語られるのは、サモア島の族長であるツイアビが、ヨーロッパを旅しながら見てきたパパラギの生活。
本書で語られるパパラギたちの言動は、現代の私たちと似通ったところも多く、環境破壊や経済格差といった「SDGs(持続可能な開発目標)」にもつながる同内容を実感的に学ぶことができます。
小学6年生(11歳・12歳)が読書感想文を書く際のポイント
小学6年生(11歳・12歳)が読書感想文を書く際に知っておきたいポイントについて解説します。
①読みながらメモを作成する
読書の感想を忘れてしまわないよう、ノートなどにメモを取りながら読みましょう。
読書感想文では、読んだ自分がどのように思ったかがとても大切。深く感銘を受けた箇所には付箋を貼るなどの工夫をしてもよいでしょう。後から最も感動した点を中心として、感想を線でつないでみると、自分の心の動きが分かり、まとめる際に便利です。
読んだときの新鮮な感想が、読書感想文のテーマを定めるのに大いに役立ちます。
②本の内容と自分の意見を分けて書く
本に書いてあったことは「事実」として、自分が思ったことや考えたことは「意見」として、はっきりと分けて書きましょう。
たとえば、作文のはじめではこの本を選んだ理由(意見)を、中盤では本の内容(事実)を中心としながら、感想は感想と分かるように最小限の記述とし、最後に自分がこの本にどのような感銘を受けたか、この本から受けたインスピレーションからどのようなことを考えたか(意見)に文字数を割くようにしてみましょう。
③人に読んでもらう
一通り書き終わった後は、一度おうちの方が目を通してあげましょう。
「なんでそう思ったの?」など感想を掘り下げる質問や、「○○の場合は、こういうことがあったよね」などお子さんの経験とつなぐような声かけがあると、新たな視点に気づくことができます。
また、夏休みの序盤に読書感想文を書いておくと、
小学6年生(11歳・12歳)の作文力を高めるドリル3選

読書感想文を完成させるには、お話を読んで理解する読解力、自分の考えを正しく表現できる豊富な語い力、そしてそれを書いて伝える作文力が必要です。これらの力は、たくさん本を読むことで鍛えられます。さらに、ワークブックやドリルなどにも取り組めば、より効果的に伸ばすことができるでしょう。
小学6年生(11歳・12歳)に適したおすすめの教材を紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
必ず書ける あなうめ読書感想文 改訂版

青木伸生(監修)
定価 1,210円 (税込)
『必ず書ける あなうめ読書感想文 改訂版』は、感想文をどのように書いたらよいのか悩んだときにおすすめの一冊です。テンプレート文章の空いている箇所に、自分が読んだ本に出てきたセリフや主人公の名前、自分の考えなどを記入していくと文章が完成します。
そのまま感想文として提出してもよいですが、このような文章例を参考に、自分で考えたオリジナルの文章に挑戦してみると、よりおもしろい感想文になるでしょう。
はじめての作文力ドリル 小学高学年用

1,320 円(税込)
『はじめての作文力ドリル 小学高学年用』は、ご家庭での作文学習におすすめのワークブックです。作文を書く際に必要な「ことばのルール」、「発想」、「構成」の3点について、かんたんな問題から徐々にステップアップしながら学んでいきます。
カラーイラストと問題のおもしろさで、勉強という感覚ではなく、ゲームや遊びのように取り組める問題集です。
作文力ドリル 作文の基本編 小学高学年用

1,210 円(税込)
『作文力ドリル 作文の基本編 小学高学年用』は、オールカラーの見やすいドリルで基礎力を高めるとともに、おすすめの書き出しや、比喩などの表現ワザ、ドラマをマネした展開など、すぐに使える作文のヒントも満載のよくばりな一冊。
読書感想文の書き方もさまざまな文例つきで5パターン紹介しているので、自分に合った読書感想文の書き方が見つけられます。賞への入選を目指す人向けの少しハイレベルなテクニックも紹介。
定番ロングセラーのリニューアル版で、実績もお墨付きです。
まとめ
夏休みの大きな課題となりがちな読書感想文。保護者も子も頭を悩ませることも多いかもしれません。
しかし、家族でいっしょに「面白かった本を他者に紹介する」「読書体験を通じて得た考えを他者に伝える」という視点で取り組んでみると、読書感想文に書く内容が明確化できるだけでなく、互いに考えもしなかった思いが共有できて面白いですよ。
せっかくのお休み。図書館などの涼しい場所でたくさんの図書に触れ、読書の楽しさに触れてみてくださいね。
「学研出版サイト」には、読書感想文に適した本だけでなく、小学6年生(11歳・12歳)のお子さんが興味を持つ本がたくさんそろっています。ぜひお子さんとご活用ください。
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