「もしかしてこれが原因?」子どもの発信力を育む工夫【専門家監修】

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小学生になると、それまでの園や家庭での過ごし方と、大きく変化した環境に子どもたちは置かれます。小学校入学後は、 “自分のことを自分でしっかり伝えられる力”が大切になってきます。子どもが自分のことをきちんと先生や周りの人に伝えられるようになるために、家庭でできることは何なのでしょうか。

第1回目に続き、「自分のことを伝えられるようになる、声かけ」をテーマに、ハートフルコミュニケーション 代表理事・菅原裕子先生のお話を紹介します。

お話:菅原 裕子先生(ハートフルコミュニケーション 代表理事)

目次

自分のことをうまく伝えられない原因

「自分のことをうまく伝えられない」背景にはさまざまな要因がありますが、大きな原因としては、親との生活の中で、子どもがそのような訓練を受けていないことが考えられます。

訓練が不足しがちな家庭環境

まず、子どもが自分のことを伝えるために、十分な訓練ができない家庭環境の例を下記に挙げておきましょう。

  • 親との対話が少ない環境
  • 「こうしなさい」「あなたは〇〇だから」といったように、対話というより、親が一方的に話す環境
  • お子さんが自分のことを伝えたとき、「何を言っているの」「それはいいから早くしなさい」「違うでしょ、それはこうでしょ」などと、親に否定される、あるいは受け入れてもらえない環境

このような家庭環境の場合、なかなか子どもの対応力は育たないかもしれません。

子どもの気質も大きく関係する

一方で、親がどんなに子どもとの対話を心掛けるようにしていたとしても、子どもの伝える力が育つタイミングの違いがあります。これは「あまり積極的に表現しないおっとりした性格」「内気な性格」「言葉数が少ない」といった子ども自身の気質によるところも大きいためです。

ただ、子どもの気質が内気だろうと、自己主張が強い性格だろうと、親ができることは、お子さんに対し「我慢強く接すること、待つこと」です。「まず言葉を教える」「次に対話を始める」「そして問いかける」といった声かけを、日常の中で実践していってください。

子どもの心の成長とともに、言葉も成長していきます。小学校に入学してからはメキメキと言葉が成長します。お子さんがうまく自分を表現できなかったときでも、親は怒らずにいましょう。小学校入学後、「子どもがあいさつできない」「ありがとうと言えない」と悩んでいる親も多いですが、お子さんの心と言葉が育ち、自然に出るようになるのを待つ姿勢も必要です。どうか、怒らないで待ってほしいと思います。

今日から始めたい! 子どもが前向きになる声かけ

育児をしていると、壁にぶつかることも多いでしょう。日々のお子さんとの関わりの中で、ぜひ知っておいてもらいたいことを紹介します。

「リフレーミング」を実践しよう

子どもの気質はそれぞれ違います。わがままな子、内気な子、飽きっぽい子、人見知りの子といったように、親がお子さんの気質を否定的にとらえると、子どもは自分の心を見せることを嫌がるようになってしまいます。

親は、つい子どもの良くないところを見て、何とかしようとしがちです。そんなときは、ぜひ「リフレーミング」を実践してみてください。「リフレーミング」とは、“ものごとの捉え方=枠組み(フレーム)を意識的に変えること”で、ものの見方を変える、別の視点をもつという手法です。

「この子はわがままなんだから」と思ったら次の瞬間、心の中で「この子は自己主張できる子なんだな」と変換してみてください

同様にして、「飽きっぽいんだから」と思ったら、「それだけ好奇心が強くて、いろいろなことに興味をもてるんだな」と、「怒りっぽい」と思ったら、「自分なりのしっかりとした意見を持ってるんだな」と、「人見知り」と思ったら、「自分と相手は違う、親とも違う、身近な人ではないと知っている、観察力があるということなんだな」という具合です。

ついお子さんのよくないところを探して、そこを責めたりしがちですが、それは欠点の裏側にあるよいところや、お子さんの感受性をつぶすことにもなりかねません。欠点の裏側にあるその子のもつ輝きを見つけて、それをどう育てるのかを考えてみてほしいと思います。そうすれば、子どもは自分の中にある力を見つけて、どんどん広げていけるようになります。

前向きになる声かけのタイミング

子どもが前向きになる声かけでもっとも大切なのは、“適切なタイミング”です。

「できたときをとらえる」ことがとても重要です。「ごあいさつできたね」「きちんと言えたね」「最近、自分の気持ちが伝えられるようになったね」と、そのことをお子さんに伝えましょう。タイミングを逃さないことで、お子さんは「今のようにすればいいんだ」と理解し、次から再現しやすくなります。逆に、うまくできなかったときはそっとしておいてあげてください。

ただし、あまり大げさに声かけすると、かえって子どものやる気をつぶすこともあるので注意が必要です。子どもの気質によっては、褒められて伸びる子もいれば、「次はもっとやらないといけない」と負担やプレッシャーを感じてしまう子どももいます。

ですから、お子さんができたときに「きちんと言えたね」と事実を優しく伝えることが大切。ただ、静かに一言伝えるだけでよいのです。

親は「子どものモデルになる」

「親自身が表現して見せる」ことも大切です。例えばあいさつの場合、家庭内でお父さん、お母さんが「おはよう」と声をかけ合っているなど、親同士が日常的に声をかけ合う姿を見せたり、近所のかたに会ったときに「おはようございます」とあいさつしている様子を見せたりすることです。子どもは親の姿を見て、「こういう風に声をかけるものなんだな」と学習します。親が「子どものモデルになる」意識をもっていただきたいと思います。

親が日常的にさわやかに自己主張している姿=モデル(手本、見本)を見せることで、子どもは自分を表現する方法を学んでいきます。子どもと親との関わりももちろん大切ですが、親が周りのかたたちとどのように関わっているかを見せることも、非常に大切なのです。

よくお子さんを観察して、お子さんの気質を見極めること、また適切なタイミングで声かけをすることが重要になります。声かけのタイミングは、お子さんの力を育てるチャンスでもあるのです。子育てには、誰にでも当てはまる正解はないですが、だからこそ楽しいもの。ぜひ、楽しみながらお子さんといっしょに成長していっていただければと思います。

この記事の監修・執筆者

NPO法人ハートフルコミュニケーション 代表理事 菅原 裕子

有限会社ワイズコミュニケーション 代表取締役

人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成の仕事に携わる。従来の「教え込む」研修とは違ったインタラクティブな研修を実施。参加者のやる気を引き出し、それを行動に結びつけることで、社員と企業双方の成長に貢献。

1995年、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム-ハートフルコミュニケーション- を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップでこのプログラムを実施し、好評を得る。2006年、NPO法人ハートフルコミュニケーション設立。

ハートフルコミュニケーション
http://www.heartful-com.org/

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