【教師不足】教師の労働環境や子どもへの影響

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【教師不足】教師の労働環境や子どもへの影響

令和3年5月1日時点では、小・中学校で合計1,701人もの教師が不足しており、小学校の担任を副校長先生が務めるなどの代替状況になっているのをご存知でしょうか。
どうして教師が不足してしまうのか、文部科学省と日本教職員組合の資料を基に見てみましょう。

文/マムズラボ

目次

小・中学校で合計1,701人もの教師が不足している

文部科学省が令和4年1月に発表した、「教師不足に関する実態調査教師不足に関する実態調査」によると、令和3年5月1日時点の小・中学校で合計1,701人もの教師が不足していました。

さらに、小学校の学級担任の代替状況に目を向けると、本来担任ではない職務の教師が学級担任を代替しているケースは474件でした。

どうしてこれほど教師が不足してしまうのでしょうか。

教師不足の2つの原因

「教師不足」の発生要因として各教育委員会が認識している事項については、アンケート調査によると、「見込み数以上の必要教師数の増加」「臨時的任用教員のなり手不足」の2つが挙げられました。

見込み数以上の必要教師数の増加

まず、「見込み数以上の必要教師の増加」について見てみましょう。
これは、どのくらいの数の教師が必要になるのかという「見込み」以上に、必要な教師の数が増加してしまったということです。
必要となる教師の人数について例年の傾向はわかるものの、都市部の一部地域では急激な人口増加によって学級数が増えており、正確な教員不足数をあらかじめ予測することは難しいといえます。

臨時的任用教員のなり手不足

「臨時的任用教員のなり手不足」という観点ではどうでしょうか。
「臨時的任用教員」とは、各教員免許状を有しており、産休や育休そして病気休職などになった教師の代わりに、それぞれの休暇期間に応じて教師として勤務する教師のことです。
この「臨時的任用教員」の必要数が、見込みより増えてしまったこと、さらに臨時的任用教員として講師名簿に登録している人の減少が、「教員不足の主な原因のひとつ」であるとアンケートの結果わかりました。

なぜ臨時的任用教員への登録者数が減ったかというと、臨時的任用教員の正規採用が進んだこと、多くの人が他の学校や民間企業等に就職している点が挙げられます。
また、教員免許更新制によって、手続きの負担や免許更新講習の未受講による免許失効などで教員免許保持者が少なくなっていたことも原因ではないかと半数以上の自治体が原因として認識していました。
教員免許更新制については、2022年7月1日に廃止になったため、今後は免許失効による教員候補者の減少は防ぐことができるでしょう。

労働時間の長さも教師不足の原因か

教員不足の原因は他にも考えられるかもしれません。

さらに、日本教職員組合が行った、「2021年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」に目を向けると、教師の労働時間の長さも教員不足の要因のひとつと言えそうです。

教師の労働時間が長すぎる

調査結果を見てみましょう。

日本教職員組合が行った調査によると、2021年1学期における通常の1週間の「教員の勤務日(月~金)における学校内の勤務時間」は、小学校の場合1日平均で10時間32分にのぼります。
1日の所定労働時間は7時間45分なので、2時間47分もの時間外労働を行っている計算です。

さらに、この調査で、多くの教師が時間外労働だけではなく自宅にも仕事を持ち帰っていることが明らかになっています。

小学校教師の自宅での仕事時間は1日平均47分
そこに学校内の勤務時間の10時間32分を加えると、11時間19分も仕事をしていることになり、時間外労働時間はなんと3時間34分にのぼります。

教師不足で実際にどんな影響があるの?

では、実際に教師不足で小学校にどんな影響があるのでしょうか。

編集部員の3年生の息子が通っている小学校では、1年生の時に担任の先生が病欠し副校長先生が担任の代わりをしました。
臨時というお話でしたが新任の先生が来ることはなく、そのまま2年生への進級まで半年以上も副校長先生が担任を務めることに。
教科担任の先生など、臨時でクラス担任になる先生がいたのですが、たまたま産休や病欠が重なってしまったと説明がありました。

コロナ禍ということもあり、運動会などの行事は全て中止になったとはいえ、副校長先生は校務だけではなく教員の指導や関係各所との調整など、さまざまな対応が求められ多忙を極める中で、1年生の担任を持つというのはとても大変だったと思います。
実際に役員の仕事で学校からメール連絡を頂くのが21時を過ぎていたこともあり、学校の運営に大きく支障をきたしてはいなかったものの、長時間労働が続いていたようです。
多忙中で担任を持つということは、児童の教育だけではなく副校長先生ご本人の健康にも影響を与える心配もありました。

長時間の労働時間が常態化している中で教師が不足すると、一人ひとりの先生により負担がかかることになります。
日本の小学校は、教師が長時間労働を行っているだけではなく、国際的にみて1学級あたりの児童生徒数が多く、この2つが質の高い教育を推進するうえでも大きな課題となっています。
特に、これからの教育で重視されている教育は、一人ひとりの児童生徒が主体的に探究的に対話を通して深く学ぶことを重視しています。
そのためには教師が授業準備に時間をかけられるように、教師の仕事環境を整備することが求められるでしょう。

<出典>
文部科学省「教師不足に関する実態調査教師不足に関する実態調査」
https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-1.pdf
日本教職員組合「2021年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」
https://www.jtu-net.or.jp/news/2021hatarakikatacyousa/

この記事の監修・執筆者

学研ホールディングス特別顧問、学研教育総合研究所 客員研究員 髙橋良祐

東京都の公立小学校教諭、教育委員会、港区教育長などを歴任、2012年10月に退職。2013年4月から、学研ホールディングス特別顧問、学研教育総合研究所客員研究員。豊富な経験から適切なアドバイスなどを発信している。おもな著書(共著):「新しい授業算数Q&A」(日本書籍)「個人差に応じる算数指導」(東洋館出版)

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