本屋さんや図書館で、たくさんある絵本の中からとっておきの1冊を見つけるのって難しいですよね。そんな子育て中のママ・パパにお送りするのが、「こそだてまっぷの絵本棚」。毎月、絵本のプロがテーマに合わせ、週替わりで各年齢向けに絵本をご紹介します。今月のテーマは「もぐもぐ 食べものの絵本」。子どもといっしょに楽しむもよし、大人のほっこりタイムに読むもよし。毎月のテーマ以外に、大人がついホロリとしてしまう1冊もお届けします。家族のそばに、いつも絵本がありますように…。
今月の絵本セレクトは、絵本専門士7期生・NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師で現役保育士の遠藤裕美先生です。
今週は、2~3歳児向けの絵本をご紹介します。
思わず食べたくなる! 2~3歳向けの食べもの絵本
◆『どうぶつクッキー』
作・絵/彦坂有紀 もりといずみ 定価/1,100円 (税込) 学研プラス
<あらすじ>
木版画で繊細に表現されたどうぶつのクッキーがたくさん出てきます。クッキーはこんがりいい色に焼けていて、どれも美味しそう! 「いぬさーん」と呼ぶと、「ワン ワン」と鳴き声で答えてくれます。
<オススメポイント>
「ぞうさんはどんな風に鳴くのかな?」と、親子で鳴き声を真似をしながら楽しく読めます。鳴き声を楽しんだ後には…パクッ! 絵本のクッキーに手を伸ばして食べてみたり、大人の口元へどうぞ~と食べさせてくれたり、お返しに子どもの口元にも。そんなやりとりで笑顔になれますよ。
◆『かける』
作/はらぺこめがね 定価/1,430円(税込) 佼成出版社
<あらすじ>
オムライスにケチャップ、かき氷にシロップ…など、“かける”をテーマにした身近な料理を目と耳で楽しめる絵本。リアルでおいしそうな食べものの絵はもちろんのこと、言葉のリズムも耳に心地よく響きます。表紙をめくった瞬間から、すっかり「かける」の世界に引き込まれているはず。
<おすすめポイント>
表紙を子どもたちに見せただけで、「カレーだ~!」という声があがる、人気の絵本です。2~3歳の子にもわかりやすいダイナミックなイラストに、ついついおなかが鳴ってしまいそう。「かきごおり このとおり」など、見事に韻を踏んでいて、リズミカルに読めるも楽しいですね。読み終わったあとは、いっしょに絵をじっくりと眺めながら、「これが食べたい」「今度、作ってあげるね」など、会話を広げてみて。
◆『あっちゃん あが つく たべもの あいうえお』
原案/みね よう 作/さいとうしのぶ 定価/1,980円(税込) リーブル
<あらすじ>
「あっちゃん あがつく あいすくりーむ」など、子どもの大好きな食べものが、五十音から濁点のつく「が」や「だ」まで、たっぷりと紹介されています。登場する食べものは、自然と顔がほころぶおいしそうなものばかり。かわいい食べものたちを存分に楽しみましょう。
<おすすめポイント>
巻末に譜面があるので、絵本に登場するフレーズをわらべ歌のように歌いながら読むこともできます。ユーモアたっぷりな絵本を真ん中に、親子の楽しい会話も弾みそう。また、ひらがなにも注目できるので、文字に興味をもち始めた時期から、自分の名前の1文字を見つけて喜んだりまで、長く楽しめる定番の作品です。
専門家イチオシ 今週の大人にもオススメの絵本
◆『あのね あのね』
作/えがしらみちこ 定価/1,430円 あかね書房
遠藤先生の絵本の思い出
園の行き帰り、男の子とママが「あのね、きょうね」とお話をする1冊。
仕事や家事を終えてお迎えの時間。わが家でも、長男が年少組に入園した頃、園からの帰り道に「てんとったの!」と話してくれたことがありました。「テントがあったの?」「ちあう(違う)」「てんとう虫がいたの?」「ちあう」と、まさにこの絵本の親子のように、子どもの言葉を受けてあれこれ推理をしていました。
結局、長男がこねこねする動作を見せてくれて、やっと「粘土のことか!」とわかりました。家までの短い時間でしたが、ゆっくりと子どもの「あのね」を聞くことができるすてきな時間だったんだな、と思います。
子どものかわいらしさや、子育てのかけがえのない時間を再認識できる1冊は、子育てにちょっぴり疲れた日にもオススメです。
次回(5月14日更新)は、3~6歳のお子さんにおすすめの食べもの絵本をご紹介します!
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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