こんにちは。現役小学校教諭の舟山由美子です。
今回は、入学後に不安を抱いている「保育園児」の親御さんからのご相談にお答えします。
小学校入学前後に、「保育園出身者は○○」といった話が保護者の間に伝わることがあります。
今はだいぶ少なくなったようですが、それでもこのご相談のように、いまだにそうした話を耳にして不安になるかたもいらっしゃいます。
Q. 授業中にうろつく子は保育園からの子と聞いて不安に
はじめまして。保育園年長の女の子の母です。
わが家の娘は、よく言えば活発、悪く言えば落ち着きがない子です。最近はだいぶ落ち着きましたが、小さいころは、ちょっと目を離すとすぐどこかに行ってしまう子だったので、苦労しました。先日、義母から「I(うちの子)が落ち着きがないのは、保育園だからじゃないの?」と言われてしまいました。1年生で授業中にうろうろしている子は保育園の子が多いという話を義姉から聞いたようです。
また、すでに小学生の子どもがいる私の妹も、ママ友から同じような話を聞いたことがあると言っていました。
私自身、ちょっと不安になったので、保育士さんに聞いてみたところ「昔はわかりませんが、今は保育園でも入学前に学校生活をふまえて、いろいろ教えていっていますから大丈夫ですよ」とのこと。ただ、今のところはまだ、娘が落ち着く様子はないようです。
学校の先生から見て、保育園出身と幼稚園出身で、それほど授業態度が違うでしょうか? また、うちの子のようなタイプが、入学後に周囲に迷惑をかけないようにするには、今のうちからどんなふうに教えていけばいいでしょう。
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A. 幼稚園か、保育園かではなく、個人差の問題
お子さんの来春入学に向けて、いろいろ準備が始まった頃でしょうか。
このご相談は、今の時期だからこその内容かもしれません。実際に入学してしまえば、この悩みは解消すると思います。なぜなら親子ともに新たな段階(ステージ)に進むからです。そうなればそうなったで、思い悩む内容も別の新しいものになるのかもしれません。
いずれにしても、このご相談に対しては「保育園出身と幼稚園出身で授業態度に違いはなく、むしろ個人差のほうが大きい」という答えになると思います。
今は、入学前に保育園・幼稚園と連携したり、連絡を密に取り合ったりして、入学する児童に関する情報を学校で生かすようになっています。一時期言われた「小1プロブレム」という、学校生活になかなか適応できない児童が増えたころからその傾向が強くなったように思います。
でも、私が教員になったころは、どこの保育園・幼稚園の出身かがわかる書類があっても、さほど意識もせずに1年間を過ごし、1年生が終わるときになって次の学年へと書類を整理して引き継ごうとした頃になって、「この子は○○の保育園・幼稚園出身だったんだ」ということがわかったこともありました。
担任にも個人差があり、出身の保育園・幼稚園(と、その友だち関係)を意識している教員と、そうでない教員がいるのかもしれません。私は、あきらかに意識していないほうです。
意識したところで、その保育園・幼稚園に戻ることはできないし、子どもの成長の幅が大きいので、以前どうだったかというより、「今、この時をどう過ごすか」のほうが大切だと思うからです。
ただ、なんとなく、保育園出身だと「生活力がある」「あまりへこたれない」「人間関係を築くのがうまい」という印象がありますし、幼稚園出身だと「学校のリズムに慣れるのが早い」「話をきちんと聞こうとする」「友達を大事にする」という感じがします。でも、最初に書いたように個人差のほうが大きいので、あくまでも印象です。
ご相談文には、保育園に通うお子さんが落ち着かないと書いてありますが、それがどれくらいなのか、友だちとの関係はどうなのか、お母さんの言うことは素直に聞くことができるのか、保育士さんがどのように言っておられるのかがわかりません。
また、お子さんのことを心配して言ってきた人も、「義姉からの情報を聞いた義母」「ママ友からの情報を聞いた妹」ですので、ご相談者のごく近くにいらっしゃる方のみのようです。つまり相談者の身近な人たちの思惑や不安な気持ちでぐるぐるしている感じです。
ですからまずは入学に向けて、いつもお子さんを見ている保育士の方の意見を聞いてみてはどうでしょうか。入学したあとにも落ち着かない可能性があるとなったら、市区町村の「就学相談」に相談して、何らかの支援が受けられるようにすればよいと思います。
大切なのは「これからどうするか」という気持ちでお子さんと接することだと思いますよ。
この記事の監修・執筆者
ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。
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