パズルで遊びながら自然に伸ばす! 「10歳からの地頭を育てる問題集」著者・北村先生にその秘訣を聞いてみた

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数々の人気パズルを作成し、子どものみならず大人も夢中にさせるパズルを世に送り出してきた北村先生。
考えることが楽しさに変わるパズルが人気を博し、現在は書籍や雑誌のほか、新聞、テレビ番組に向けたパズル作りにも取り組まれています。
パズル作家だからこそわかる、パズルを解くだけで地頭を育てる方法とは⁉ 現代社会を生き抜くために不可欠な❝自分の頭で考える❞力を育む術をうかがいました。

目次

算数は好きではなかったけれど、「算数パズル」を解く過程が楽しかった 

ー--先生がパズルに興味を抱いたきっかけを教えてください

北村先生:中学生のころですね。幼少期からジグソーパズルを解いたりすることも好きでしたが、学校図書にあった“算数パズル”と出会ったのがパズルにのめりこんでいったきかっけといえます。算数や数学が好きだったわけでも勉強が好きだったわけでもないんです。でも、計算とか算数的な考え方が入ったパズルに色々な視点から向き合い、あーでもない、こーでもないと考える過程が楽しかったのを覚えています。解けたときはさらに嬉しいですが、この過程は今でも楽しいと思います。この算数パズルがきっかけですね。好きな教科を聞かれたら、主要教科の中では“算数”と答えると思います。

ー--パズル好きの少女が作家になっていくわけですが、制作したパズルの数は今どれくらいありますか?

北村先生:それがちょっと本当に数えてないんでわからないんです。大体5万個は超えているかなとは思っていますが、正確な数はわからないです。作り始めてから20年程経っているので……相当な数まで増えました。特にこのパズル! という思い入れがあるわけではないのですが、パズル作家として活動しはじめてから、これまで未開拓だった分野のパズル作成のご依頼をいただくこともあるので、あらたにルールを調べたり考え出したりして作る作業をしているときは「また、できることが増えた」とは思いますね。ジャンルが開拓された感じがあります。

パズル作成歴20年! こだわりは“解けそうなパズル”作り 

ー--“できる”が増えるのは大人でも嬉しいですよね。では、先生がパズルを作成する時に心がけていることはありますか?

北村先生:まず第一に、パズルの問題文を読んだ時点で難しいとか理解できないことがあると嫌になると思うので、できる限り簡単に説明できるようにしています。取り組んでみよう! と思えるパズルですね。あとは、手数が多いとやっぱり難しいのかなとも思いますので、どんなお子さんにも、最初はとっつきやすく、解けるかも、やってみようかなと思えるパズルになるよう心がけています。

そして、実際にパズルに挑戦した時に、解けたという感覚というか快感というか、成功体験をちゃんと得られるようにしようと思っています。そうじゃないと楽しくないなと思うので。

ー--問題につまずいた際はどうしたらよいですか?

北村先生:私自身、パズルを作成している過程で、よいパズルが思い浮かばないなと思った時はパタッとやめて散歩に出るとか寝るとか……。あとは、料理を作るなどまったく別のことをして気分転換をしています。私は朝と夜作業することが多いので、朝行き詰まったら夜に持ち越したりします。でも、この過程を経て完成した時には、難易度やおもしろさ、色々な要素が全部そろったという喜びがこみ上げます。

解くことだけがパズルじゃない! 実は大切な“解く過程”

ー--パズル作りをはじめて、ご自身が伸びたなと思うことはありますか?

北村先生:文章をつくることは得意ではなかったのですが、パズルの問題文をわかりやすく、興味をひくような表現で書くことを繰り返す中で学びを得たなと思います。あとは、パズルを作る中で思考するときの脳の働きに興味をもつなど、視野が広がったと思います。

ー--本書では、パズルを解くことで地頭力が育つといわれていますが、パズルのどの要素が力を伸ばしてくれるとお考えですか?

北村先生:まず、“地頭がいい”ということは“考えることができること”だと私は思っています。これができないと、例えば、わからないことに突き当たった時に、何をどう考えたらいいのかわからず、パニックになってしまうかもしれません。

この時、考えることができる、つまり地頭がいいと言われる子は、自分の力で考えることができるのです。まずはこれ、次はこれ、と整理しながら問題解決へと自分を進めていけるのです。

本書には、この考える力・地頭を構成する次の5つの要素を鍛えるパズルを掲載しています。

  • 垂直思考力……わかっていることを一つずつ積み上げ、筋道を立てる力。
  • 水平思考力……枠にとらわれずに柔軟に考え、ひらめく力。
  • ふかん力………物事を多方面から観察し、全体をつかむ力。
  • 推理力…………状況をしっかり分析し、鋭い直感で真実を見抜く力。
  • 試行錯誤力……好奇心旺盛に楽しみながら、とにかくやってみる力。

パズルを楽しみながらこの5つの力を鍛え、地頭力を伸ばしていただけたらと思います。中にはかわいいキャラクターも登場し、キャラクターどうしのおしゃべりを楽しむ場面があるので、リラックスした気持ちで取り組めると思います。

パズルは、レベル別になっているので、先述の通りはじめは簡単なパズルで“解けた”“できた”を経験して欲しいですね。もちろん、一つ一つのパズルのタイトルを見て、興味を持ったパズルから挑戦していただいてもいいと思います。

何から考えるかとか、どういう方法で考えていくかといった問題との向き合い方をいろいろと試していってほしいですね。「考え方のヒント」を参考に、ぜひ自分の頭で考えることを楽しんでもらいたいです!

ー--親子で一緒に解くのも楽しそうですね

北村先生:そうですね。解き方はひとそれぞれなので、どうやってその答えにたどり着いたかを一緒に話すのも、違う見方を知るきっかけになり楽しめると思います。

答えは間違ってても別にいいんです! 答えが間違っていたからといって、がっかりする必要は全くなくて、答えを出すために自分で考えられたかどうかの方がずっと大事です。なので、お子さんが全然前に進めないようでしたらさりげなくヒントを出すのはいいと思うんですけど、どちらかというとわからないお子さんと同じ目線で一緒に考えて解いていく方がいいと思います。こう考えるのはどう?と、答えではなくあくまで考え方の方向性に対して少しヒントをあげる感じですね。この考えるという答えにたどり着くまでの過程に自頭を育てる要素が詰まっています!

ですから、ただただパズルに取り組んでもらうだけで、自然に地頭がよくなるようにはできてるのかなと。物語のような設定があったり、キャラクターも登場したりするので、構えず楽しみながら取り組めると思います。

北村良子著 定価1,540円(税込)

累計発行部数50万部超えの著者、北村良子氏が手掛ける『10歳からの地頭を育てる問題集』。地頭を構成する力を5つに分解し、それぞれの力が鍛えられる問題を掲載。わからない問題でもすぐに解答解説を見るのではなく、どのように考えれば問題が解けるのか「考え方のヒント」が載っている! 自分の頭で考えることを楽しむ1冊。

北村先生:有名なパズルをちょっと加えてみたり、私のオリジナルを加えたりして、バランスよく脳全体を鍛えられるようなパズルが詰まっています。繰り返し楽しく解けるようにさまざまな仕掛けがあるのでぜひご覧ください! 

この記事の監修・執筆者

パズル作家 北村良子

1978年生まれ。有限会社イーソフィア代表。パズル作家としてWEBで展開するイベントや、企業のキャンペーン、書籍や雑誌などに向けてパズルを作成する一方、考える力や思考実験などをテーマとして執筆活動を続けている。WEBでは、IQ脳.net(https://iqno.net/)、老年若脳(https://magald.com)などのサイトを運営している。「論理的思考力を鍛える33の思考実験」「論理的な人の27の思考回路」「楽しみながらステップアップ!論理的思考力が6時間で身につく本」「考える力を鍛える論理的思考レッスン」など著書多数。「10歳からの地頭を育てる問題集」(Gakken)が発売中。

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