「うちの子、もしかして発達が遅れている」後編 わだことみ先生の子育てお悩み相談室【4】

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子どもの「発達」に関するママ&パパの基本的な心構えについて教えていただいた前編。後編では、文字への興味の芽生えさせ方や、その際のワークの取り入れ方など、より踏み込んだケースについて、幼児教育研究家であり絵本作家のわだことみ先生に教えていただきます。

目次

ひらがなの読み書き、スタートの年齢の目安は?

 ひらがなを読み始めるのは、だいたい3歳くらい。ただ、文字というのは一度スイッチが入れば、親が驚くくらい一気に読めるようになるもの。スイッチが入る年齢に差があるだけなので、3歳でひらがなが読めなくても焦る必要はありません。4歳ぐらいで自分の名前を読むことができれば、問題ないと思います。
 
とくに男の子は文字に興味を持ってくれない子も多いと思いますが、その代わりにお子さんが興味のあるもの。例えば乗り物や昆虫、工作や迷路、または運動など、好きなことに積極的に取り組んでいれば大丈夫です。お子さんがワクワクして楽しい体験をすることが大切! お母さんは、ゆったりとした心で受け止めてあげてください。

文字に興味を持ってほしい時は?

 文字を書く楽しさを教えたい時にオススメなのは、お手紙。実際に誰かにお手紙を書いて、「相手に気持ちが伝わる楽しさ」がわかると、文字に対する興味がグッと上がります。そして書いた文字は、額縁に入れて飾ったり、シールを貼ったりして「作品」のように大切に扱ってください。そうすると、子どもはとても喜んでやる気がアップします。また、お子さんの手のひらや背中に、お母さんが指で文字を書いて「何のひらがなだった?」と聞く文字遊びも楽しいですよ。
 
書き順を間違ってしまったり、鏡文字になってしまうのも気になりますが、あまり口を出し過ぎると「文字を書くこと」そのものがイヤになってしまいます。まずは「正しく書く」より「楽しく書く」ことを目指しましょう。

鉛筆やはさみの使い方はどうやって教えたらいいの?

 どんなことでも最初は「失敗」するのが当たり前。お母さんは「失敗しないように」と事前に手を差し伸べてしまいがちですが、子どもの発達において、失敗から自分で学んでいくことの積み重ねが実は大切なんです。小さい失敗を重ねるからこそ、大きな失敗をしないようになる。それは勉強面でも人間関係でも同じことで、子どもの成長において、実は無駄に思えることが大切なのです。
 
鉛筆やはさみも、大人から見たら「え!?」と言いたくなるようなユニークな使い方をしていることがありますが、ケガをするような危険な使い方をしているのでなければ、大丈夫! この時期は「こうやって使うんだよ」と正しい使い方を見せたり、頭ごなしに直すように言わずに見守ること。「こんな使い方を思いつくなんて、頭がやわらかいんだな」と柔軟に受け止めましょう。
 
ただし、鉛筆で書くのが苦手というお子さんのなかには、筆圧が弱いせいで「書く」ことに苦手意識を持ってしまうケースが多く見られます。そういうお子さんは、濃いめの5Bや6Bを選んだり、短めの鉛筆を持たせてみると、一気に鉛筆が使えるようになるケースもあるので試してみてください。また、光沢があって鉛筆だと書きにくい紙よりも、画用紙のような書きやすい紙を選んだり、筆圧に左右されないマーカーで書かせてみるなど、いろいろ工夫するといいでしょう。お母さんも一緒に書くと、楽しいですよ。
 
はさみが上手に使えない場合は、使っているものがお子さんの手に合っていない可能性も。子ども用のはさみはどれも同じだろうと油断しないで、お子さんが握りやすい形のはさみを一緒に探してあげてください。

ワークはどうやって取り入れるのが効果的!?

 私はワークを監修する際、「お母さんとニコニコ楽しい時間を過ごしてほしい」という思いを込めています。お母さんは「先生」ではありませんから、基本的なスタンスは「教える」ではなく「一緒にやる」という気持ちで。ワークをやった時、いつもお母さんが笑っていたな、わたし/ぼくも楽しかったな、という思い出が、将来「勉強嫌いの子」にならないためのベースになるはずです。
 
そのためには、毎回楽しく始めて楽しく終わること。決して「答え」を「教える」のではなく、ヒントを上手に出していって、最後には子ども自身が「自分でできた!」という達成感を得られるようにしましょう。この時期の子どもにとって勉強は「絶対やらなければいけないこと」ではないので、挑戦したことをたくさんほめてあげてください。
 
5~6歳くらいのお子さんの想像力や発想力を伸ばしたい時には、ワークをお手本にして自分で迷路や物語を作らせてみるのもオススメです。ユニークでびっくりするような迷路や物語を作ってくれますよ。真っ白な紙から何かを作り出す、という経験をたくさんしてきたお子さんは、与えられた問題だけをやってきた子とは将来大きく差がつくはず。ワークはただ問題を解くだけではなく、何かを生み出す時の「ヒント」としても使ってみてください。

――ひらがなに興味を持たない、鉛筆を持つのが苦手、というのは、子どもの発達に問題があるのではなく、ひと工夫すると、解決できることかもしれません。子どもを「伸ばす」には、親も一緒に成長していくことが必要なんですね!!

この記事の監修・執筆者

幼児教育研究家、絵本作家 わだ ことみ

1958年生まれ、東北大学工学部卒業。
塾、予備校、幼児教室で幼児から高校生まで長年指導。
現在までに知育絵本、幼児向けの知育ドリル、絵本など300冊以上を執筆、
知育関連の雑誌、幼児番組、おもちゃ、アプリのアドバイザー、監修も務める。

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