【空間認識力】運動・絵画・危険回避…必ず役立つ!子どもの能力開発

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「空間認識力」というスキルを知っていますか?

この力は、建物の設計や機械のエンジニアリングなど、科学・技術・工学・数学などに関わる職業への適正にも大きく関わっています。また、空間認識力が数学的思考にも大きく影響するという研究も報告され、話題になっています。

そんな空間認識力を子どもの頃から高めるためには、親やまわりの大人はどのようなことに配慮したらよいのでしょうか。詳しくお話をお聞きしました。

お話:横山 洋子先生

目次

「空間認識力」は自分の命を守ることに直結する力

「空間認識力」とは、物体の位置や方向、大きさ、形状、感覚など、「物体が三次元空間に占めている状態を、すばやく正確に把握する能力」のことです。

例えば、机の上にある絵本を取ろうとする際にも使われます。「どれくらい机に近づいたらよいか」、「どれくらい手を伸ばせば届くか」などを判断して行動しているのです。

もし、「空間認識力」が低いとしたら、どのようなことが起こると考えられるでしょうか。

例えば、道路を走る車と自分との距離がつかめず、事故に遭う恐れがあります。「まだ、車は遠いから、渡れるかな」と歩き出した途端に激しいクラクションと急ブレーキ、ということも。

つまり、「自分の命を自分で守る」ためにもこの「空間認識力」はぜひとも必要な力なのです。

「空間認識力」があると、いいこといっぱい

では、「空間認識力」があると、どのようなことが期待できるのでしょうか。

けがをしにくくなる

いつも手足に打ち身の青あざを作っている人を見かけませんか?残念ながら、空間認識力が低いことが要因かもしれません。

  • 足元の物を認識できずにつまずく
  • 物との距離をとれずに机の角にぶつかる
  • 階段を降りる際、次の段差はどこにあるのか注意していないと、転倒してしまう
  • 水たまりをよけて歩いているつもりでも、バシャッと足を踏み入れてしまう

空間認識力があれば、その場の状況を瞬時に把握して判断できるので、けがをすることが少なくなるのです。

スポーツで活躍

たとえば球技では、ボールの速度や軌道を見極め、それに合わせて体を動かすことができるので、よいプレーができます。

他のプレーヤーがどこにいて、どのような動きをするかも把握できるので、サッカーやバスケットボール、バレーボールなどでも活躍できるでしょう。

球技だけでなく、対戦相手やチームの仲間との距離のとりかた、用具の扱いなど、多くのスポーツで空間認識力の高さが求められます。

絵がうまく描ける

絵は、3次元の立体物を2次元の平面に落とし込んだものです。

描く対象の形や位置関係を把握していなければ、立体物を紙の上で表現できません。

距離感や奥行きが感じられる絵を描くには、空間認識力が必要になります。

車の運転が上手になる

車を運転する場合、他の車と接触しないよう、気を配らなければなりません。また、歩行者や自転車、バイクの動きにも注意が必要です。さらに、停車している車が前にいたら、車線を変更してよけなければなりません。

つまり、道路上で、なにがどちらの方向にどれくらいの速度で動いているかを把握しながら、自分の車を運転しているのです。

「空間認識力」が高ければ、道路の状況を的確に理解することができ、難しい高速道路の合流も駐車もスムーズにできるでしょう。

迷子になりにくい

空間認識力が高いと、自分のいる位置が全体のどこなのかを把握できます。

ですから、例えば、大型ショッピングセンターで、今、何階のどのあたりにいるのかを把握できるので、元いた場所に戻ったり、待ち合わせ場所に向かったりすることができます。

また、案内図(2次元)を見て、身の回りの空間と結びつけることもできるようになります。

「空間認識力」は、体を動かすだけでも育まれる!

「空間認識力」は、難しいトレーニングをしなくても、体を動かすだけでも育まれます。自分自身が動いたとき、そのときの周りの物はどのように目に映るのかを認識するからです。

また、子どもが自分で動くほか、周りの人が子どもを動かして、空間を体験させることにも効果があります。

例えば、子どもを抱き上げ、「高い高い」をしますね。これも、実は、子どもに「高さ」という空間を経験させています。そして、「高い高~い!」という言葉も添えられているので、子どもは体と言葉で「高さ」をインプットすることができるのです。

空間を表す「言葉」と、何度も確かめを

体を動かすことに加えて、「前へおいで」「後ろにあるよ」「上を見てごらん」と、言葉で子どもに周りの空間を意識させると、さらに空間認識力を育むことにつながります。

道を歩くとき、道路を横断するときには、車の動きを目で追わせましょう。

車が止まっているか、車の近くを通り過ぎていないかなど、ものと人との距離感を何度も確かめる体験をさせます。

これらの行動が、危険に気づき、命を守ることにつながります。

「空間認識力」を育む、おすすめ遊び7選

全身運動

「身の回りの空間」を感じることが大切です。

例えば、走ることで、周りの景色の見え方が変わることを経験できます。そして、前後左右を知り、自分の動きを知ることができます。

それから「おにごっこ」もいいですね。追いかけたり、追いかけられたりしながら、相手との距離を体感できます。

また、「鉄棒」も効果的です。ぶら下がったり、世界を逆さに感じる経験をしたりすることにより、三半規管を刺激するのも効果があります。

キャッチボール

小さい子どもなら、足を広げて座り、柔らかいボールを転がすことから始めましょう。

ボールが自分へ向かってくることを感じ、手のひらでキャッチするのです。

相手へ向かって転がし、ボールが遠ざかるのも目で追って遊びましょう。

トランポリンやジャングルジムで遊ぶ

自分が立って見える世界より、上の視点から見ることができます。

上下に移動し、運動することによる見え方の違いで、縦方向の空間を認識し、自分の現在の位置を把握することにつながります。

影当て遊び

物にライトを当ててスクリーンになるものに映し出し、なにかを当てる遊びです。

ぬいぐるみも洗面器も、マグカップも向きによって影の形は変わります。

当てられなくても、そのおもしろさに気づくことで空間への意識が高まるでしょう。

だるまさんが転んだ

「はじめの1歩」から、徐々におにに近づき、おにが振り向いたら、静止する遊びです。スリルを感じながら、おにとの距離を縮め、だれかがおににタッチしたらみんなで逃げます。

おにはすぐ「ストップ!」をかけ、そこから決まった歩数で友達のもとにたどり着けたら、おにの勝ち。

「あともう少しでタッチできるところまで行ける」など、相手との距離が最大の関心ごとになる遊びです。

指示ゲーム

「これ」「あれ」「あっち」「そこ」という指示語ではなく、物の大きさや高さ、形状、位置関係を具体的な言葉で示しましょう。

右なのか左なのか、斜め前なのか、3歩後ろなのか…。空間を表す言葉を聞いて理解し、また、自分も使うようになることで、空間認識力はさらに高まります。

【例】「右側の大きな丸いお皿をしまってね。戸棚の上から4段目だよ。」

目隠し当てごっこ

タオルやアイマスクで目を隠し、壁を伝いながら一歩一歩ゆっくり歩いてみます。触りながら、「ここにスイッチがある」「ここにあるのは、絵本」などと確かめます。

いつもは視覚に頼って生活していることがよくわかるでしょう。「〇歩進んだから、そろそろ次の部屋のドアがあるぞ」など、気配を感じながら自分の位置を自覚する経験ができます。

ただし、必ず大人がつきそい、危険な物は予め片付けておきましょう。

積み木、ブロック、パズル、折り紙

積み木やブロックで立体物を構成して遊ぶことで、3Dを意識します。高いビルを作るためには、見えないところに土台を置かなければなりません。つまり、表からは見えない部分にも積み木やブロックがあることを理解しているのです。

パズルは、そのピースが平面上でどの位置にあるべきなのか、たった1か所しかありません。ピースを回しながら、ぴったりの場所を探すので、はまった際の達成感は、大きな喜びをもたらします。

折り紙は、平面の紙が立体にもなる遊びです。椅子やピアノなどを折って立てると、うれしさが膨らみますね。360度、あらゆる方向から眺めて楽しみましょう。

「空間認識力」を育てる効果大の教材とは?

無理なく、楽しく、空間認識力を育てるのにぴったりな教材をご紹介します。

学研の幼児ワーク「めいろ」5歳・6歳

<おすすめポイント>
いろいろな種類の「めいろ」が詰まったワーク。そのなかに「立体めいろ」という問題が出てきます。平面的なめいろだけでなく、立体的に描かれためいろにも取り組むことができます。

 
めいろのなかで、はしごをのぼったりおりたりして、上下の空間を感じながら取り組むことで、空間認識力を育みます。

こども知能パズル「くうかん」4~6歳

<おすすめポイント>
大きく「前後左右の認識」「視点移動」「空間把握」の3つの構成からなっています。

幼児期のお子さんが苦手とすることが多い、前後左右の判別について学んだり、違う方向からどう見えるかを考えることで、物の見え方を想像したりすることができます。

ニューブロック

  

<おすすめポイント>
子どもが手を使って創意工夫する活動を促し、「想像力」と「創造力」が養われます。また、つむ、立てる、つなげる、はめる、並べる、などの操作を通して、立体的なものに触れることで、空間認知力も育まれます。

教材やおもちゃ、遊びをうまく利用して、楽しく能力をのばしましょう。

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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