【ひき算には２つの意味がある！？】専門家が伝える、算数で役立つ大事なポイント

ひき算には、主に2つの意味がある

ひき算には、たし算のように、主に2つの意味があります。まず、次の文章題を見てください。

【問題1】　箱の中にはチョコレートが8個入っています。けんたさんはそこから3個取り出して食べました。チョコレートは何個残っていますか。計算式も答えましょう。

【答え】　5個　（式　8－3＝5）

このように「残りはいくつ？」とたずねられているので、ひき算を使えばいいと判断できますね。箱の中に残っているチョコレートの数をたずねているので、元の数からけんたさんが食べた数を差し引く式をつくります。

【前回の記事もチェック】たし算の２つの意味とは？

さて、次の文章題はどうでしょうか。

【問題2】　りえさんは、公園でどんぐりを8個拾いました。けんたさんは3個拾いました。どちらが何個多いですか。計算式も答えましょう。

【答え】　りえさんのほうが5個多い　（式　8－3＝5）

問題2もひき算を使って答えます。式は問題1と同じですが、引く意味が違います。

問題1は「残りはいくつか」という意味のひき算で、これを「求残」といいます。また、問題2は「違い（差）はいくつか」という意味のひき算で、これを「求差」といいます。

ひき算は、残りを求めるだけでなく、差を求めることもできるということを押さえることが大切です。

「求残」と「求差」のイメージをつかみましょう

たし算のときと同様に、ひき算をするときにも、場面のイメージがつかめるように絵やタイルのような半具体的なものをかいて数を量的なイメージでとらえるようにすると効果的です。

求残の意味のひき算は残りを求めるので、前出の問題１であれば次のような図で表すことができます。

また、求差の意味のひき算は差を求めるので、問題２であれば次のような図で表すことができます。

数を量としてとらえることに慣れていない幼児や小学１年生は、求差の考え方が難しい場合があるので、注意してください。

求残は、全体からある数を引くという「動き」がある計算です。「引く」「取る」という動きは具体的なイメージがつかみやすく、幼児でもわかりやすいのですんなりと理解できる子が多いです。一方で、求差は差を比べる計算なので「動き」がほとんどありません。そのため、求残に比べて、文章題の正解率が低いと言われています。差を求めるとき、まだ数字に慣れていない場合は、それぞれの個体を「1対1対応」させて、余りのあるほうが多いと判断させるとよいでしょう。

大人も求残と求差の意味の違いやその理解度の差を知っていると、お子さんと算数に取り組むときにとても役立つと思います。

「求残」「求差」を意識して、問題を解きましょう

それでは、次の問題は求残のひき算でしょうか。それとも求差のひき算でしょうか。意識して解いてみましょう。

【問題3】　駐車場に、自動車が6台止まっています。そこから2台の自動車が出ていきました。駐車場には自動車が何台残っていますか。計算式も答えましょう。

【答え】　4台（式　6－2＝4）

【問題4】　かなさんはえんぴつを5本持っています。ゆうとさんはえんぴつを3本持っています。どちらが何本多いですか。計算式も答えましょう。

【答え】　かなさんのほうが2本多い　（式　5－3＝2）

問題3が求残、問題4が求差の問題です。

いかがでしたか？　ひき算には、求残と求差の2つの意味があるということをきちんと押さえておけば、ほぼ心配はありません。

計算するときには、第2回で触れた、「数には量がある」ということを意識して、タイルのような半具体的なものを上手に利用するとよいでしょう。求残と求差の違いもよくわかるようになります。

低学年の算数の問題は、日常生活と密接に関係しているものが多いです。日ごろの生活体験の積み重ねが算数の深い理解につながります。「今クッキーを２枚食べたらいくつ残る？」「どちらのみかんが多いかな？」などとお子さんにたくさん声をかけながら、楽しんで計算をしてみてください。