幼稚園・保育園の年中にあたる4歳・5歳ごろになると、遊びや生活の中でさまざまなことばに出会い、その響きやリズムに興味を持ち始めます。
やがて、その意味や使い方にも関心を持つようになり、いろいろな場面でその言葉に繰り返し出会う中で、徐々に自分が使えることばとして獲得していきます。
ことばに関心を持ち始めた年中(4歳・5歳)の時期にオススメの本をご紹介します。
文/こそだてまっぷ編集部
年中(4歳・5歳)の心身の発達
年中(4歳・5歳)になると、想像力がより豊かになり、少し先を見通しながら目的を持って行動できるようになります。さまざまなものを作ったり、描いたり、試したりするようになりますが、自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験します。
また、友だちとのつながりが強くなることでけんかをすることもふえますが、そこから決まりの必要性に気づき、ルールを守ろうとする様子も見られるようになります。集団生活での経験を通し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができたりするようになっていきます。
身体的な発達の特徴
手先の器用さが増し、小さなものをつまむ、ひもを結ぶ、ぞうきんを絞るといった難しい動作も少しずつできるようになってきます。さらに、大人のサポートがあれば、のこぎりやかなづちなどさまざまな用具も扱えるようになります。
また、運動機能はますます伸び、縄跳びやボール遊びなど、体全体を協応させた複雑な運動にも取り組めるようになります。
精神的な発達の特徴
年中(4歳・5歳)になると、自分と他人との区別がはっきりとわかり、自我が形成されていきます。お友だちとの遊びも豊かになり、いっしょにいることの喜びや楽しさも感じるようになります。
しかし、周囲とのつながりが深まると、競争心やけんかも生まれます。悔しい思いを経験しながらも相手の主張を受け入れたり、逆に自分の主張を受け入れてもらうなど、他者と協調して生活することを学び始めます。
年中(4歳・5歳)に適した本の選び方
年中(4歳・5歳)になると、文字が人に何かを伝えたり、人とつながるために存在していることを、絵本の読み聞かせなどを通して自然と感じ取れるようになります。
また、絵本を見たり、物語を聞いたりすることで、ことばの楽しさや美しさに気づいたり、想像上の世界や未知の世界に出会い、さまざまな思いを巡らし、その思いなどを保護者やお友だちと共有することができます。
自分の思いや意志を積極的に表現しようとするこの時期には、ことばに対する感覚をきちんと養うために、美しいことばや適切なことばで表現されている本を選んであげましょう。
年中(4歳・5歳)にオススメの本15選
子どもは、本を通して楽しいことばや美しいことばに出会っていきます。読み聞かせで発せられる保護者や先生の声の響きや、音のリズムの楽しさ、美しさに気づき、それらを自分が使えることばとして徐々に獲得していきます。
年中(4歳・5歳)では、お話の世界を楽しみつつ、いろいろなことばに親しんだり、正しいことばの感覚を養えたりする本、韻をふんだ言い回しや繰り返しのことばでいっしょに声に出して読みたくなる本などがオススメです。
ねがいごと
『ねがいごと』は、もうすぐこの世界からさよならするときが近づいた猫のミィのお話です。
生命の誕生や終わりといったことに遭遇することも、子どもの心をより豊かに育てる大切な機会となります。年中(4歳・5歳)では、まだそのような経験をしたことがないお子さんも多く、お話を通して生命の大切さを伝えられる一冊です。
もりのかばんやさん
『もりのかばんやさん』は、「森のえほん」シリーズの第3弾、とってもキュートなかばん職人・ハリハリの物語です。
かわいらしい絵とやさしいストーリーで、年中(4歳・5歳)のお子さんなら、お話に夢中で入り込み、「自分はどんなかばんを作ってもらおうかな?」と、森の仲間の一員となって楽しめそうです。
おかしなおきゃくさま
『おかしなおきゃくさま』は、人気の『あめだま』を手がける、韓国を代表する絵本作家ペク・ヒナの魅力が詰まった絵本です。
ある雨の日、お姉ちゃんと留守番をしていたら、変な子どもが泣きながらやってきて…。個性的な人形や緻密なセットで表現される独特なファンタジーの世界に、年中(4歳・5歳)のお子さんはもちろん、大人も引き込まれていきます。ぜひ親子で楽しんでみてください。
おおかみさんいまなんじ?
『おおかみさんいまなんじ?』は、人気の伝承遊びが元になった絵本です。
「時間を教えてくれるおおかみが、夜中の12時になると追いかけてくる」という、子どもたちに人気の遊びを、保育界のカリスマ・中川ひろたかさんがスリリングな展開のお話に仕立てています。
読み聞かせのときには、「おおかみさん、いま なんじ?」「ああ よかった」というセリフを、子どもに言ってもらうと、きっと盛り上がりますよ。
おしごと
『おしごと』は、大人気の「かおはめ絵本」シリーズ第2弾です。
宇宙飛行士・アイドル・美容師など人気のお仕事の人になりきって遊べる絵本です。
保護者でもお子さんでもOKです。
しかけを開く前に、「やきたて うきうき! パンやさん」「やけて むきむき! うみで みんなを たすけるのは だーれだ?」と、ことば遊びをしながら、あてっこ遊びも楽しめます。
おつきさまのともだち 新版
『おつきさまのともだち 新版』は、お月様と、友だちの水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星が、おやつ食べ食べバス旅行に出かけるお話です。
陽気な惑星たちは「ぼくたち なかよし ぷらねっつ! すいきんちかもくどってんかい♪」と、太陽系の惑星の名前を順番に歌いながら、ウキウキ出発します。ぜひ親子でいっしょに歌ってみてください。
お月様が帰ったら、おやすみなさいをしたくなる…。月や星のきれいな季節にぴったりな絵本です。
どんぐりむらのいちねんかん
『どんぐりむらのいちねんかん』は、大人気シリーズ「どんぐりむら」の1年間の様子が紹介された絵本です。
5月には衣替えならぬ、ぼうしの洗濯があったり、芸術の秋にはみんなでかいた絵をかざったり…。
年中(4歳・5歳)ごろになると、日々の生活を通して、季節によって変化があるということに気づくようになります。どんぐりむらの1年を通して、四季折々の変化を知り、季節の行事についても学ぶことができます。
ショベルくんと あおい はな
『ショベルくんと あおい はな』は、環境問題にも気づけるやさしい絵本です。
朝から晩まで一生懸命働いて、建物をどんどん建てるきいろいショベルくんが、ある日小さな花に出会います。
年中(4歳・5歳)ごろになると、草花を育てる体験などを通し、生き物への温かな感情が芽生えます。このお話を読んで親子で感想を話し合い、生命を大切にする心を育んであげてください。
ふるふるフルーツ
『ふるふるフルーツ』は、リアルでみずみずしいイラストと、愉快なオノマトペが気持ちよい絵本です。
乳児期にも喜ばれるオノマトペですが、ことばを覚えていく年中(4歳・5歳)では、ことばの音が持つ楽しさや美しさに気づくようになり、自分でたどり読みをしたり、口に出して唱えて遊ぶという楽しみ方ができるようになります。
このような時期に、ことば遊びを楽しむ経験を積み重ねていくことも大切です。ぜひ親子でいっしょに、目で見て、声に出して、耳で聞いて楽しんでみてください。
けろけろいけの ひっこし
『けろけろいけの ひっこし』は、104匹のかえるたちが、住み慣れたけろけろいけを離れて、広い海へ引っ越すというお話です。
子どもは、絵本や物語などの中に登場する人物や生き物、生活や自然などを自分の体験と照らし合わせて再認識したり、自分の知らない世界を想像したりして、イメージを一層豊かに広げていきます。年中(4歳・5歳)のお子さんは、とてつもなく広い海をどのように想像するでしょうか。
かえるの紹介ページもあり、「でんぐりがえる」「くいしんぼがえる」など、1匹1匹表情の違う個性的なかえるを見つけるだけでも楽しい一冊です。
タヌタヌ探偵 水玉シーツ事件
『タヌタヌ探偵 水玉シーツ事件』は、謎を解きながら超絶技巧の絵さがしが楽しめる本です。
盗まれた水玉シーツを追って、変身が得意なタヌタヌ探偵と大冒険!! 事件が事件を呼ぶ異例の展開にハラハラドキドキです。物語の最後には、意外な秘密が明らかに…。はたして、無事に謎が解けるでしょうか? ぜひ親子で楽しんでくださいね。
ボンボとヤージュ
『ボンボとヤージュ』は、さがし絵も楽しい、主人公といっしょに本当の宝物について考えることができる宝さがし絵本です。
新米冒険家ボンボとヤージュがはじめての冒険に出発! でも、宝物とは何かに悩んでしまった2人は出会う人々に宝物について尋ねていきます。
カラフルな絵が美しく、ページをめくりながらボンボとヤージュをさがしつつ、まるで外国を旅しているような気持ちにさせてくれます。
にじいろでんしゃ はっしゃしまーす!
『にじいろでんしゃ はっしゃしまーす!』は、電車がいろいろな場所へ旅をする、乗り物のしかけ絵本です。
雨の日、お部屋で退屈していた子どもたちのところに、にじいろ電車がやってきて、みんなを乗せ空へと舞い上がります。不思議なトンネルをぬけると、そこには…。子どもの想像力を膨らませてくれる、楽しいお話です。
さがそ! ちくちくぬいぬい
『さがそ! ちくちくぬいぬい』は、緻密な刺繍で彩られた、今までにないさがし絵の絵本です。
ひげうさちゃんが大切なボールをさがして、真夜中の美術館や魔女のおうちなど13の世界を大冒険します。すべて布でできた絵の中には、刺繍やビーズ、リボンなど、さまざまな素材がかくれています。お子さんはもちろん、大人も美しい刺繍の世界を楽しめる一冊です。
おもちのかいすいよく
『おもちのかいすいよく』は、おもちのもーちゃんとちーちゃんが海に行くお話です。
いっぱい遊んでお昼寝したら、ちーちゃんがいません。どこに行ったのでしょう?
おもちのほかにも、おすしや野菜などいろいろな食べ物が登場します。みんなは海で何をしているでしょう? 現実にはない、「食べ物たちの世界」を存分に想像して楽しんでください。
【年中(4歳・5歳)】学びが深まるオススメの本・ワーク5選
年中(4歳・5歳)になると、物事を対比する能力が育ち、時間や空間などを認識できるお子さんもふえてきます。遊びの目的に沿って時間をうまく使ったり、自分で場所を選んだりして遊びを進めることができるようになります。
遊びや生活の中でさまざまなことに挑戦し、難しいことでも自分の力でやってみようと考えたり、工夫したりしながら、あきらめずにやり遂げる体験を通して達成感を味わい、自信を持って行動するようになります。
このような時期に、お子さんが「やってみたい!」と思えるような本をご紹介します。
マクドナルド・サーティワン アイスクリーム・不二家 おかねのドリル
『マクドナルド・サーティワン アイスクリーム・不二家 おかねのドリル』は、楽しみながらお金・お買い物の学習ができるドリルです。
大人気のお店の、あこがれの食べ物の写真がいっぱい出てきます。本物と同じサイズのおかねカードや、遊びながらお金の計算が学べるおかいものカード、やる気がアップするごほうびシールなど、学習をサポートするアイテムもいっぱいです。
おかいものカードを使ったり、お買い物ごっこをしたりして、親子で遊びながらお金の学習に取り組んでみましょう。楽しく学習することで、自然とお金や数字などに興味を示すようになります。
こども知能パズルプラス きせつワーク 3~4歳やさしい
『こども知能パズルプラス きせつワーク 3~4歳やさしい』は、有名国立・私立小学校への高い合格率を誇る小学校受験専門「フォレスト幼児教室」(東京都練馬区)室長の武田澄子先生が監修した、小学校入試で頻出の「季節問題」を楽しく学べるワークブックです。
季節にまつわる知識は、子どものうちから身につけておきたい教養です。また、幼いころから日本の美しい四季に触れることは、子どもたちの豊かな感性を育みます。
幼児にとって身近で興味を持ちやすい、くだものや野菜、虫などのいきもの、道具や風物詩などの生活と季節を結び付けて覚えられるようになっています。
小学校入試に興味があるかたはもちろん、受験は考えていなくても情操教育の一環として、ぜひ親子で一緒に取り組んでみてくださいね。
ディズニープリンセス なぞとき 4・5・6歳
『ディズニープリンセス なぞとき 4・5・6歳』は、大好きなディズニープリンセスと楽しく、筋道を立てて考える力を伸ばすドリルです。
プリンセスが登場する物語に入り込んで問題を解いたり、ディズニーのキャラクターたちといっしょに、与えられた条件から答えを推理したりしましょう。シールを使って、楽しみながら取り組める問題もあります。
少し難しい問題もありますが、ヒントを示してあげたり、おうちのかたもいっしょに考えるようにしたりして、ぜひ挑戦してみてください。なぞときを通して、条件を理解し、論理的に判断する力が身につきます。
4~6歳 へんしん! こうさく
『4~6歳 へんしん! こうさく』は、作品を使ったやりとり遊びが楽しめる工作本です。作品を作ることで手指の発達を促し、できた作品を使って遊ぶことでコミュニケーション能力や表現力などの非認知能力を育みます。
年中(4歳・5歳)になると、家庭や園での生活や体験を通して、心の中にさまざまなイメージを思い描いています。そして、身の回りのものに触れてそのイメージを膨らませ、ものを使い、何かになりきってごっこ遊びを楽しみます。
こちらの本では、ケーキ屋や消防士、歯医者など、あこがれの職業に変身できるアイテムや、大人がよく手にするグッズなどが作れます。思う存分変身して、なりきり遊びを楽しんでみてくださいね。
都道府県を形でおぼえる にほんちずワーク
『都道府県を形でおぼえる にほんちずワーク』は、北海道はタンチョウヅル、福井県は恐竜の化石など、名物に見立てたかわいい絵を見て、楽しく都道府県の形や名前を覚えられるワークブックです。
「おこめがおいしいワン! あきたいぬのあきたけん」など、リズミカルな名物フレーズつきで紹介しています。このフレーズを何回も口ずさむことで、自然に都道府県の名前とイメージが頭に入ってきます。途中まで保護者が言って、最後はお子さんが答える、と親子で言い合っても楽しそうですね。
「読書が好きな子」になるための保護者のサポート
年中(4歳・5歳)の子どもは、想像力がどんどん広がり、現実に体験したことと、絵本など想像の世界で見聞きしたこととを重ね合わせて考えたりします。また、さまざまなお話を聞いて、人だけではなくほかの生き物や動物、物にも心があると信じたりもします。
読み聞かせのあとに親子でお話の感想を言い合ったり、お話の続きを考えてみたり、保護者自身がお子さんと過ごす「お話の時間」を楽しめると、子どももどんどん読書の時間が好きになっていきます。
まとめ
年中(4歳・5歳)では、絵本の楽しみ方は子どもによって違います。その子なりの感じ方や楽しみ方で絵本や物語などの世界に浸り、そのおもしろさを味わっています。美しい絵に見入っている子、お話の展開に心躍らせている子、読んでくれる保護者の声や表情を楽しんでいる子など、さまざまです。
読み聞かせるときには、お子さんの様子を見ながら、そのような楽しさを十分に味わえるようにお子さんに合わせて読んであげましょう。
やがて文字を学び、自立して一人で本を読む日が訪れます。そのときまで、親子の特別な読書時間を楽しめるといいですね。
年中(4歳・5歳)のお子さんの本選びは「学研出版サイト」で
今回ご紹介した本以外にも、まだまだ素敵な本はたくさんあります。「学研出版サイト」では、対象年齢別や、ジャンル別での検索が可能です。お子さんが興味を示す本を見つけてくださいね。
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