おすすめ図鑑&学力が伸びる活用術【専門家監修】

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近頃、大人気の図鑑。動物や植物といった定番のものだけでなく、楽しいテーマのものや、しかけのあるものなど、いろいろあるだけに、何がよいか悩みますよね。そこで、さまざまな図鑑の製作に携わっている東北大学の瀧 靖之先生にお話を伺いました。

目次

なぜ、図鑑は子どもの学力を伸ばす?

「私自身も、小さい頃から図鑑がいつもそばにありました」と話す瀧先生。図鑑でさまざまな知識を得ただけでなく、ひらがなを覚え、カタカナを覚え、英語も覚えたのだそうです。

人は、2~3歳になると、自分の世界の他に外の世界があることを認識できるようになります。そこで、さまざまな物に興味をもち始めます。いわゆる「知的好奇心」ですが、これが学力を伸ばす上でとても大切だといわれています。なぜならば、知的好奇心は集中力を高め、情報処理能力を育てることが明らかになっているからです。

図鑑は、この知的好奇心を刺激するのに絶好のツールといえます。普段から触れたり、見聞きしているものほど興味をもつことを「単純接触効果」といいますが、図鑑は世の中のことを幅広く知るのに最適です。例えば、白い蝶が飛んでいたとして、何も知らなければ「白い虫が飛んでいる」なのですが、知識があれば「モンシロチョウかな? モンキチョウのメスかな?」などと考え、もっと知りたくなるわけです。

そのためにも、図鑑は常に身近にあることが大切、と瀧先生。「図鑑=調べるもの」ではなく、時間のあるときにパラパラとめくる習慣があると、知らないうちに知的好奇心が刺激されていくのです。

図鑑を最大限に活用するポイント4

子どもにとって、図鑑が身近な存在になるには、保護者自身の図鑑との付き合い方が大切です。では、どんなことを心がけるとよいのでしょうか。4つのポイントをご紹介しましょう。

【ポイント1】本棚にしまい込んではいけない!

見た目も楽しく、情報も満載の図鑑を、本棚にしまい込んではもったいない! リビングのテーブルに置いておき、いつでもパラパラとめくって読めるようにしておくのがおすすめです。瀧先生自身も、幼少期は常に図鑑が食卓に置いてあったそう。先生はボロボロになるまで読み、壊れてしまうと同じものを買ってもらい、気に入った魚を切り抜くと読めなくなるので、また新しいものを買ってもらって…という日々を過ごしました。おかげで、幼稚園時代には惑星の並びを「水金地火木土天海…」と言って遊んでいたそうです。

【ポイント2】まずは保護者が楽しむ!

わが子が図鑑好きになってほしければ、まずは保護者が図鑑を楽しむことにつきます。保護者が楽しそうに図鑑をめくっていれば、子どもも自然に興味をもちます。やがて保護者のまねをして、自分で図鑑を手に取るようになるでしょう。今の図鑑は本当におもしろいので、試してみてください。昔は想像でしかなかったダイオウイカやリュウグウノツカイの写真が載っていますよ!

【ポイント3】子どもと一緒に楽しむ!

次に、子どもと一緒に楽しみましょう。夜寝る前の1日5分でもかまいません。子どもと一緒に図鑑をめくり、いろいろな会話を楽しんでみてください。「どっちが好き?」「これ、かっこいいね」など、なんでもOK。子どもとのコミュニケーションにも役立ちます。

【ポイント4】図鑑の世界と現実の世界をつなげよう!

例えば、魚の図鑑を子どもと楽しんだら、水族館に実物を見に行きましょう。図鑑の中の世界が、ちゃんと現実に存在していることを子ども自身が確かめることで、さらにわくわく感が高まります。これぞ究極の図鑑の楽しみ方です。

年齢別 おすすめの図鑑

図鑑には対象年齢がありますが、そこに縛られる必要はないと瀧先生は話します。実際に、先生の息子さんは、3歳のときでも幼児向けではない普通の図鑑を楽しんでいたそう。何度も読んでいるうちに「深海〇千メートルに生息する…」などと、普通に読んでいたのだとか。子どもの吸収力は本当にすごいので、大人がブレーキをかけるのはもったいないですよね。

一方で、最初から無理やり難しい図鑑を与えて、興味がなくなっても逆効果。保護者としてはさじ加減が難しいところですが、おおよその目安として「興味をもちやすいかも」という観点で、年齢別のおすすめ図鑑を聞きました。

3〜4歳児

「Move はじめてのずかん みぢかないきもの」講談社

保護者が読み聞かせしながら、親子で一緒に楽しむことができる図鑑です。絵や写真がたくさんあるので、子どもが自分でパラパラとめくるだけでもOK。中でも「みぢかないきもの」は、子どもに馴染み深い生き物がテーマ。親しみやすく、ファースト図鑑に最適です。

4〜5歳児

「めくって学べる きかいのしくみ図鑑」学研

「トイレのしくみは?」「自動販売機の中はどうなっているの?」など、身の回りの機械のしくみを解説する1冊。イラストをめくると、絵で仕組みがわかるようになっていて、大人も楽しく読めます。「めくって学べる」シリーズは、「もののしくみ」「乗り物のしくみ」「からだのしくみ」など、知っていそうで知らない、さまざまなテーマがあるので、子どもの好奇心に合わせて選んでみてください。

6歳以上(シリーズ対象年齢は3歳~中学生)

「LIVE 恐竜」学研

イギリスBBCの映像によるDVDが付いた、迫力満点のシリーズ。スマートフォンなどで画像をスキャンすると、映像が動きだす仕掛けもあり、図鑑の域を超えた図鑑といえます。誰も実物を見たことがない「恐竜」が動きだす様子は、何度も繰り返して見たくなる魅力があります。「LIVE」シリーズは他にも「動物」「魚」「宇宙」などたくさんあるので、コレクションしても楽しそう。

最近人気の個性派図鑑も必見

「うちの子は、いったい何に興味があるんだろう…」と迷ったら、ちょっとユニークな図鑑を選んでみるのも効果的。

「最強王図鑑 動物最強王図鑑」学研

24頭の動物がトーナメントでバトルを繰り広げる、シミュレーション図鑑。親子で予想しながら、ゲーム感覚で楽しめます。「最強王図鑑」シリーズは「水中」や「神話」「幻獣(モンスター)」など、めずらしいテーマのものもあります。ゲーム感覚で読んでいるうちに、自然と知識が広がるかもしれませんよ。

図鑑が好きになると、幸せなことがいっぱい!

「知るって、本当に楽しいことです」と瀧先生。「そうだったんだ!」「なるほど…」と思い、感動を経験すると、幸せな気分になりますよね。図鑑は、その最初の一歩に最適なツール。知る楽しさがわかると、将来、受験勉強をする時期が来ても、「苦痛な勉強」じゃなくなるでしょう。大人だって、今からでも遅くありません。子どもと一緒に図鑑をめくって、知的好奇心を刺激してみませんか。

この記事の監修・執筆者

東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター センター長 瀧 靖之

たき やすゆき/東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター センター長/東北大学加齢医学研究所教授/医師 医学博士

東北大学加齢医学研究所及び東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上る。

「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表している。

著書は、『生涯健康脳』(ソレイユ出版)『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)『脳医学の先生、頭の良くなる科学的な方法を教えてください』(日経BP)始め多数、特に『生涯健康脳』『賢い子に育てる究極のコツ』は共に10万部を突破するベストセラーとなっている 。テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、「NHKスペシャルアインシュタイン 消えた“天才脳”を追え」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など、メディア出演も多数。

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