このたび第32回小川未明文学賞贈呈式が、3月27日(水)株式会社Gakken本社にて開催されました。
553点の応募作品の中から、古都 こいとさん(東京都)の「如月さんちの今日のツボ」(長編作品)が大賞を、やす ふみえさん(千葉県)の「まよいねこトラと五万五十五歩」(短編作品)が優秀賞を受賞しました。
小川未明文学賞とは
小川未明文学賞は、上越市出身の児童文学作家、小川未明の文学精神を継承し、新しい時代にふさわしい創作児童文学作品を創出する目的で、平成3年に創設されました。
新潟県上越市と小川未明文学賞委員会が主催し、株式会社 Gakkenが第9回より協賛しています。
第32回である今回は、553点の応募作品の中から、古都 こいとさん(東京都)の「如月さんちの今日のツボ」(長編作品)が大賞を、やす ふみえさん(千葉県)の「まよいねこトラと五万五十五歩」(短編作品)が優秀賞を受賞しました。
大賞受賞者には、賞金100万円と記念品の『小川未明童話全集』(大空社)と「限定本 眠い町」(DVD付、架空社)が、優秀賞受賞者には賞金 20万円と同じく「限定本 眠い町」(DVD付、架空社)がそれぞれ贈られました。
大賞作品は今年の11月頃に、Gakkenより書籍として刊行される予定です。
小川未明文学賞の募集開始や過去の受賞作に関する情報は、ホームページよりご覧ください。
大賞「如月さんちの今日のツボ」あらすじ
主人公の如月青葉(きさらぎ あおば)は、中学2年生の男子。鍼灸師の父親と弟の黄介、碧との4人暮らし。母親は5年前に交通事故で亡くなっている。男ばかりの4人の暮らしも、それなりに楽しく過ごしているが、いくつかの出来事の中で、青葉は家族のなかでのつながりに気付いていく。
青葉は学校で美村(よしむら)という女子にぶつかってしまい、けがをさせてしまう。彼女はピアノの発表会をまえにして、腱鞘炎で悩んでいることを知る。帰宅後に、父親に腱鞘炎に良く効くツボを教えてもらおうとするが、素直に聞けずにいる。実は青葉だけが父親と血がつながっていないことを、ぼんやりと知っている。弟たちとの関わりの中で、少しずつ家族のつながりに思い至る4つの物語。さて…。
過去の大賞作品
第31回大賞「今日もピアノ・ピアーノ」
お母さんにゲーム機を没収されてしまった、小学6年生の海斗。うかない気持ちで塾に向かう途中、駅にあるピアノで美しい音をつむぐおじいさんに出会う。
「このピアノは、だれが弾いてもいいみたいだよ。」
翌日も、海斗はそのおじいさんとピアノが気になり、駅に向かうことに。学校や塾、習い事にいそがしい現代の小・中学生におくる、小さな「変化」の物語。
巻末には、国内にあるストリート・ピアノの場所や、主人公が作中で弾いている曲の譜面を紹介するコーナー「ピアノが弾きたくなったあなたへ」を収録。
第30回大賞「カステラアパートのざらめさん」
小学4年生のこのみは、拾った子猫を飼うため、お母さんと2人で住める「ペット可」の部屋を探していました。なかなか見つからず困っていたところに紹介されたのは、カステラのような見た目のアパート。そこの大家さんは、魔女なのではないかといううわさがある、ちょっと変わった人でした。
このみは、大家さんを「ざらめさん」と呼び仲よくしますが、ざらめさんには、とあるひみつが……。不思議なことが起こるたびに理由をさぐっていたこのみは、ある日、ざらめさんの不思議な能力を見せてもらうことになるのです。
第29回大賞「屋根に上る」
自宅の屋根に寝転がるのが好きな中学1年生の工藤皓(こう)。皓は夏のある日、祖父の弟子でもある大工の村田さん、そして村田さんの元へ通う小学校の時の同級生、一樹(いつき)と出会う。最初は一樹が苦手な皓だったが……。
第28回大賞「ぼくに色をくれた真っ黒な絵描き」
1960年代、芸術の都フランス パリ。家族を失い、ひとりになったジョアンは、父が働いていた理容店に引き取られることに。まわりから「お父さんのような理容師になってくれよ」と言われるたび、そうしなくちゃと思っていた。ある男と絵に出会うまでは……。
12歳の少年ジョアンの、色鮮やかな成長物語。
第27回大賞「湊町の寅吉」
江戸時代、賑わう新潟湊(みなと)。廻船問屋の息子の寅吉は、弟の文助といたずらをして遊ぶ毎日。しかし、質屋の金兵衛としたある約束から、湊祭りで文助と芝居に挑む事になってしまい―。
選考委員のねじめ正一氏からは「この小説はともかくテンポがいい。江戸の落語を聴いているような語りのテンポで、飽きさせない。」と評されました。
第26回大賞「スケッチブック 供養絵をめぐる物語」
ある出来事がきっかけで絵を描くことをやめてしまった小学6年生の紗理奈。
岩手県遠野の地で死者を描く風習「供養絵」と出会い、彼女が少しずつ成長していく様子が描かれます。
描く人と描かれる人、魂と魂とが共鳴する、ひと夏の再生の物語です。
選考委員のねじめ正一氏からは「物語を作ることを急がず、糸を手繰り寄せるように考えながら進めていく。(略)身に染み入る丁寧さである。」と評された、とても繊細かつ奥行きのある作品です。
第25回大賞「あした飛ぶ」
小学6年生の星乃は、お母さんと姫島へ引っ越してきたばかり。クラスになじめずにいる星乃だったが、ある日、はねに星マークが描かれているアサギマダラという蝶をつかまえて……。
第24回大賞「四年ザシキワラシ組」
おとなしい性格で、目立ちたくない小学4年生の小松君。ある日から、古い本棚に住むザシキワラシと話すようになり、そのせいでクラスの学級委員になってしまった。しかもその後、いろいろな問題が起こってきて……。
こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪