【“防災かくれんぼ”ってなに?】かくれんぼ日本代表と学ぶ防災テクニックとは?[専門家監修]

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【“防災かくれんぼ”ってなに?】かくれんぼ日本代表と学ぶ防災テクニックとは?[専門家監修]

9月1日は防災の日。防災の日を中心に8月30日〜9月5日は防災週間で、避難訓練や引き取り訓練を行う保育園・幼稚園、小学校も多く、防災に関心が集まる時期ですね。子ども向けの防災に関する取り組みは、起震車による地震訓練や消火器を使った消火訓練、防災に関する絵本の読み聞かせなど、様々な形で行われていますが、今回ご紹介するのは、子どもが大好きなかくれんぼと防災がコラボレーションした「防災かくれんぼ」です。どのようなかくれんぼなのか、かくれんぼ初代日本代表で、日本かくれんぼ協会 代表理事の高山勝さんに伺いました。

文/こそだてまっぷ編集部

目次

かくれんぼで防災テクニックを身につけよう

Q. 「防災かくれんぼ」は、どんなかくれんぼなのでしょうか?
A. かくれんぼの動作が災害時に役立つことから企画した、オリジナルのかくれんぼです(高山さん)

防災かくれんぼ

かくれんぼの動作が災害時に役立ちます

「かくれんぼでは“止まる”と“動く”動作を繰り返します。また、周囲の状況を見て、自分がどう動くかとっさに判断します。こうしたかくれんぼの特性が、災害時の避難に役立つことから“防災かくれんぼ”を企画し、日本防災士会と協力してイベントを行っています。地域の防災士の方と相談しながら、その地域ならではの災害を想定し、かくれんぼのルールやミッションをアレンジするので、かくれんぼを楽しみながら、実践的に役立つ防災知識を身につけることができます」

災害シーン別にミッションをクリアしていきます

「参加者はまず、避難時に取るべき行動や、身近な防災グッズの使い方についてレクチャーを受け、クイズに挑戦します。そして、地震や津波、火事などの災害を鬼に見立てた防災かくれんぼがスタートします。会場には洗濯かごや洗濯用ロープ、座布団などのアイテムが用意されています。正しいアイテムを選んで、災害によって異なるルールにしたがって身をかくして災害から逃げて、ゴール地点を目指します。
例えば鬼が地震のときは、参加者は頭を守るのがルールです。座布団を選んで頭を守りながら鬼に見つからないようにかくれてゴールに進みます

防災かくれんぼ

「そして、津波が想定され、川の氾濫が心配な地域では、子どもは大人といっしょにかくれるのがルールです。アイテムは洗濯ロープを選び、大人と子どもを結んで流されないようにしてから逃げます」

防災かくれんぼ

鬼が火事の場合は、タオルなどを選んで口を覆い、身を低くしながらかくれます。地上階に近い場所は出入り口を開けて逃げますが、高層階の場合は窓を閉めて煙が入らないようにして、体を低くして助けを待つのがゴールになります。
ほかにも、足をくじいたという設定で三角巾で片足を固定し、固定していない足だけで逃げるなどのシチュエーションで行うこともあります。参加した子どもたちからは、『災害が起きたときにどうすればいいか、わかりやすくイメージできました』『かくれんぼを楽しんでいるうちに、防災知識が身についたと思います』など、うれしい反響があります。これからも、もっといろいろな場所で防災かくれんぼを行っていきたいと考えています」

様々な子ども向けのオリジナルかくれんぼを制作しています

「かくれんぼはルールがシンプルで、いろいろな学びと組み合わせがしやすいので、オリジナルのかくれんぼをつくって、たくさん遊んでほしいです。日本かくれんぼ協会では、お子さん向けのイベントとして、ビーチクリーンとかくれんぼを合わせて、鬼からかくれながら海岸のゴミを拾って、拾ったゴミによる得点を競う“ビーチかくれんぼ”や、キッズスマホのGPSの見守り機能を使って、山にかくれたかくれんぼ日本代表を見つける“次世代GPSかくれんぼ”などを実施してきました。参加者は子どもも大人もみんな真剣に、楽しく取り組んでくれました」

≪関連記事≫【11月5日は津波防災の日・世界津波の日】津波を知って備えよう!

世界選手権も行われているかくれんぼ

Q. 競技としてのかくれんぼについて教えてください
A. 世界選手権も行われていて、日本も参加しています!(高山さん)

かくれんぼ世界選手権

日本代表は世界ランク9位です!

「世界中にいろいろな種類のかくれんぼがあり、2010年からは競技として世界選手権も行われています。ずっと『なんでもいいから、世界一になりたい』と思い続けていて、低めの身長とよい視力が生かせることを探していたところ、競技としてかくれんぼが行われていることを知りました。2017年にイタリアで開催されたかくれんぼ世界選手権(Hide And Seek World Championships)に、初めて参加しました。いろいろな国から集まった、年齢も職業も様々な人たちと真剣に、無我夢中になって競い合うのは本当に楽しい経験でした。鬼からかくれる緊張感、得点できたときの喜びは忘れられません。世界各国から80チームが参加した2025年大会の日本の順位は9位です。日本かくれんぼ協会はかくれんぼ世界選手権本部公認の日本予選開催機関で、今後も日本代表を決める予選を実施します。たくさんの人に興味を持ってほしいですね」

ルールは缶蹴りに似ています

「かくれんぼ世界選手権のルールは日本の缶蹴りに似ています。缶の代わりにマットが置かれて、鬼に見つからずにマットにタッチできれば得点です。鬼は大会側が用意して、参加者は全員かくれるプレーヤーです。参加チームは20チーム。1チーム5人で、各試合ごとに各チームのプレーヤーが1人参加します。1試合10分で5試合の合計得点で順位が決まります。チームごとに異なる色のTシャツやビブスを着用して、鬼に見つかって色を宣言され、マットにタッチされたら失格です。鬼より先にマットにタッチできれば得点です」

これであなたもかくれんぼの達人に!

かくれんぼで強くなるためには、鬼をよく観察することです。かくれんぼ日本代表とはいえ、はじめて会う鬼なら、最初の1〜2回は負けてしまうこともあるかもしれません。でも、10回、20回とやれば、負ける気はしません。それは、鬼がプレイヤーを探す癖、視界の右側から見ていくのか、木の上に登って探すのか、どんな順番でどこを見るのかを観察しながら、目に入らないところにかくれて、鬼の意識に上らないところをついてマットを目指すからです。鬼をよく見て、鬼がどう考えてプレーヤーを探すのか、その気持ちを想像することも役立ちます。ぜひ参考にして、かくれんぼの達人になってくださいね」

今回は、防災知識を身につけるための防災かくれんぼについて、また、競技としてのかくれんぼについてかくれんぼ初代日本代表の高山勝さんに伺いました。「楽しく防災を学ぶ方法として、“防災かくれんぼ”の取り組みを広げていきたいです」と高山さん。今後、様々な場所で参加できるようになるのが楽しみですね。

写真提供/一般社団法人 日本かくれんぼ協会

この記事の監修・執筆者

初代⽇本代表/⼀般社団法⼈ ⽇本かくれんぼ協会 代表理事 ⾼⼭ 勝

かくれんぼを通じたコミュニケーション促進や運動能⼒向上、地域活性化を実現するイベ ント企画運営団体、⽇本かくれんぼ協会の代表理事。2017年にかくれんぼ世界選⼿権(Hide And Seek World Championships)に初参加。得意技は無⾳移動。

日本かくれんぼ協会

https://japan-kakurenbo.com

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