子どもと話そう、お金のこと・おこづかいのこと 小学校低学年編【家庭でのお金の教育って?】

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子どもと話そう、お金のこと・おこづかいのこと 小学校低学年編【家庭でのお金の教育って?】

進級、進学のこの時期、親せきなどからお祝いやおこづかいをいただく機会が増えて、自分で買い物をしたがるお子さんもいることでしょう。保護者としては、お金の大切さや正しい使い方を学び、身につけてほしい、と思いますよね。前回に引き続き、お2人のお子さんにお金の教育を実践されたファイナンシャル・プランナーのたけやきみこ先生に、お金の教育、特に子どもへのおこづかいの渡し方についてお話をうかがいました。お金への興味・関心が高まる小学生への「定額制」のおこづかいの渡し方をご紹介します。

目次

おこづかいを通して、お金のとのつきあい方を知ろう

自分でやりくりできるのが定額制のおこづかい

前回ご紹介した「おだちん制」が板につき、子どもがきちんと仕事ができるようになってきたら、毎月同じ額のおこづかいを渡す「定額制」に移行できる時期といっていいでしょう。

保護者の方は、はじめは子どもに渡す金額に悩まれることが多いようです。周囲の情報ではなく、おこづかいを何に使いたいのか、そのためにはどれくらいの金額が妥当なのかを子どもと話し合ってみましょう。

「定額制」では、これまでと同じように仕事をしたうえで、毎月決まった日に決まった金額を渡します。次のおこづかいまでの間、子どもがお金を管理。その都度もらっていた「おだちん制」とは、ここが大きく違います。わが家では、おだちんから定額のおこづかいに移行したときは、歓声があがりました。まるでアルバイトから正社員になったかのような喜ぶ顔は忘れられません。

散財するタイプの子だと、すぐに使い切ってしまうこともあります。反対に、使うのがもったいなくて貯めてしまうタイプの子もいます。

「おだちん制」であれ「定額制」であれ、おこづかいで起こりがちなのが、「自分で買うもの」と「保護者に買ってもらうもの」があやふやになってしまうこと。ノートや消しゴムといった学用品は保護者が買い、マンガやお菓子は自分で買うなど、事前に細かくルールを決めておくとよいでしょう。また、保護者がその日の気分で「今日はマンガを買ってあげてもいいよ」などとルールを変更してしまうと、子どもが迷ってしまいます。一度決めたルールは、大人も子どもも守るように努めましょう。

決まった金額を、決まった期間でやりくりをする。欲しいものの優先順位を考え、我慢も覚えていく。定額制のおこづかいを通して、そんなお金の教育ができるとよいですね。

子どものうちにお金の失敗を

「自分のお金で自分の欲しいものを買う」という経験を重ねることも、お金の教育では大切なポイントです。

コンビニでジュースを買っても、ガチャポンばかりに使ってもOK。大人から見るとむだづかいのように見えますが、『飲みたいジュースがあったんだね』『自分で買えてよかったね』と声をかけてあげましょう。子どもはその声かけによって、「認めてもらえた」「(保護者が)見てくれている」と安心することができます。

もしも、子どもがお金を全部使い切って、落ち込んでいる姿があれば、『全部なくなっちゃったね、どうしてだろう?』と、聞いてみましょう。そこで子どもは、自分のお金の使い方を振り返り、よかったこと、悔しかったことが経験として積み重なっていきます。

子どものうちの失敗はまだまだ少額です。その失敗は保護者が解決できる程度のものです。しかし、大人になってからはそうはいきません。成功経験も重要ですが、子どものうちに失敗することこそが、お金の教育の肝と言えるでしょう。

貯金箱にお金を入れる女の子。

シンプルなおこづかい帳でお金管理を習慣に

おこづかいは渡しっぱなしはNGです。ほったらかしにしてしまうと、子どもがお金への興味を失ってしまいます。月に1度は子どもとおこづかいについて気軽に話し、おこづかいの状況を把握するようにしましょう。

そのためにも、おこづかい帳をつけることをおすすめします。おこづかい帳は項目が細かいと続かないので、銀行の通帳のようなシンプルなものでOK。もしも、おこづかい帳をつけるのが難しい場合は、ノートにレシートを貼るだけでも十分です。自分が何にお金を使っているのか把握し、理解するためのノートと思ってください。

毎月決まったおこづかいの金額を収入として記入し、お金を使ったら、支出として書き入れていく。この繰り返しです。お年玉やお祝いの図書カードなども、収入として書き入れましょう。手元のお金とおこづかい帳の金額が合わなくても、手元の残高に合わせて再スタートし、とにかくおこづかい帳を続けることを目標にします。

欲しかったものが買えたとき、あまりお金を使っていないとき、残高が少なくなってしまったとき……。お金の状況だけでなく、そのときの気持ちを子ども自身がおこづかい帳にメモしておきます。子どもと一緒に一喜一憂しながら、お金への愛着を深め、大人からはエールを送る。そんな関わりが、おこづかい帳を長続きできるコツだと思います。

お金の教育は時間がかかるもの

子どもが、おこづかいの金額アップを要求してきたら、まさにお金の教育のチャンス。なぜ金額をアップしてほしいのか、何が欲しいのか、これまでの実績をふまえてプレゼンしてもらいましょう。また、子どもから何も言ってこなくても、年に一度はおこづかいの金額について会議するとよいでしょう。

また、祖父母からのおこづかいやお年玉といった臨時収入についても子どもと共有し、おこづかい帳に記入していきましょう。ボーナスとして自分で管理してもらってOKです。本当に欲しいものを自分のお金で買うと、達成感が生まれます

もちろん、子どもが保護者に隠れてお金を使っていたり、お金を使ったことを黙っていることもあるかもしれません。子どもの行動には必ず理由があるので、しかる前に、なぜそうしたのか、どうすればよかったのか聞いてあげてください。

お金の教育はとにかく時間がかかるもの。一進一退しながら、お金とのつき合い方を学んでいる途中だと思って、気長に見守ってあげましょう。

この記事の監修・執筆者

SAKU株式会社代表。 たけや きみこ

ファイナンシャル・プランナーCFP®。お金に関する専門の編集制作プロダクション業とパーソナル・ファイナンス教育の必要性を発信するなどの講師業を行う。これまでにNHK情報番組あさイチ「子どものお金教育」、日本テレビnews every、静岡放送SBSラジオに専門家として出演。おもな著書『子どもの一生を決める おうちお金教育』(KADOKAWA)、『マンガでわかる!子どもにちゃんと伝わるお金の「しつけ」』(近代セールス社)、『一生お金に困らない子どもの育て方』(幻冬舎)など。

「子どもになにがあっても立ち直ることができる『生きる力』を身につけさせるには、お金の教育が必要不可欠である」が持論。

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