Instagramで12.6万人のフォロワーを持つ、元小学校教諭の「アキ」さん。
多くの小学生ママから大人気なワケは?
オススメの教材、子育てについての考え方、フォロワーさんへの思いなどについて、こそだてまっぷ編集部がインタビューさせていただきました。
文/こそだてまっぷ編集部
自身の小学校教諭退職時の葛藤が、発信のきっかけに
ー Instagramやブログを始められたきっかけを教えてください。
私は、小学校教諭として10年間働いて、 育休明け2年目で退職したのですが、人生設計としては大誤算で…。60歳まで働き続けようと思っていたので、実際にやめると決断するまでにすごく葛藤したんですよね。
やめていいのか、やめない方がいいのか、ずっと悩んで悩んで……。最終的には、退職をするっていう希望を提出したのですが、その時に、私みたいに悩んでいる学校の先生ってたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思ったんです。
私も、自分と同じような人はいないだろうかっていうのをネットで検索しまくっていたんですよね。それで、自分がやめると決断した過程や気持ちをブログ記事に書くことで、誰か一人でも、ちょっと気持ちが楽になったなとか、前に進めるようになったなっていう先生がいらっしゃったらいいなと思って。
それが、ブログを始めたきっかけです。
ー 発信の内容が小学生のママ向けに変わっていった理由は?
そんな感じで、最初は学校の先生向けに発信していったんですけど、インスタをあげていると、先生よりも一般の小学生ママから自分が先生だった経験を求めていただけるというか、お子さんの勉強で悩んでいることとかを聞かれる機会が多かったんですよね。
実際にママ友からも、私が元小学校教諭だったということで、「こういう時ってどうすればいいの?」とか、相談を受けることも多くて。
もしかしたら、自分の持っている知識は、小学生のママさんたちのお役に立てるのかなって思ったんです。
そんな感じで、インスタの方では、勉強の方法だけでなく、なかなか保護者の方は知り得ないような学校の実情とか大変さや、「先生ってこういう思いでやってるんだよ」っていうところも発信するようになりましたね。
子育てに悩む小学生ママからの支持が増加
ー フォロワーはどのような方が多いですか?
初めは、私がまだブログの発信というものに慣れていなかったので、まずは「自分の思いを先生に届けたい」、「こういう人もいるんだよ」ということを、記事にあげたいっていう気持ちでやっていってたんです。
でも、徐々に自分の求められている立ち位置がわかってきたというか、先生向けの発信ももちろん需要はあるんですけれども、それ以上に小学生ママさんの悩みとかについて、「私だったらちょっと経験的にわかってるよ、知ってるよ」というのを、届けた方がいいのかなと。求められていた方に徐々にシフトしていったという感じです。
ときどき、小学校の現役の先生が「参考にしてます」と言ってくださることもありますが、今はフォロワーの方は、圧倒的にママさんの方が多いと思いますね。
ー ママさんたちからはどのような質問が届きますか?
大きく2つあって、1つ目はやっぱり勉強の方法や教え方、教材の選び方などですね。
たとえば、「算数の掛け算の筆算が苦手なんですが、どういう風に教えたらいいですか?」とか、「おすすめの教材はありませんか?」とか。「過去の投稿にまとまってるものはありませんか?」とかですね。
2つ目は、トラブルの相談ですね。たとえば、「下校中にお友だちともめて、泣いて帰ってきたんですが、こういう場合、担任の先生に連絡してもいいんでしょうか?」とか。あと、「こんな対応を担任の先生がしたのですが、これってありなんでしょうか?」とか。
やっぱり、学校の内情がよくわからないので、先生の対応に関することとか、先生に連絡してもいいかどうか、というジャッジなどを相談されることが結構ありますね。
元教諭であり、小学生ママでもある立場だからこそ言えること
ー 質問に対する返信で、アキさんが心がけていることはありますか?
私が心がけていることは、やっぱり元小学校教諭っていう、先生目線で伝えることと、それにプラスして、私にも小学生の子どもが2人いるので、 小学生ママの視点も必ず入れるように意識しています。
なぜかと言うと、先生目線だけだと、学校側の意見というか、上から目線と言いますか、少し押し付けがましくなってしまうんじゃないかなと感じているので。
だから、「いや、私も小学生の子どもがいるからわかるよ」「そういうことあるよね」っていう、共感を必ず入れるようにしています。
学校のことって、よくわからないから不安になるし、ちょっと疑った目線が入ってしまうこともあると思うんですよね。
だから、“元小学校教諭で小学生のママ”っていうポジションの私が、「学校としてはこういうこともあり得ますよ」と伝えると、「そうだったらもう仕方ないよね」とか、「ちょっと腑に落ちました」とか、ちょっとイライラがダウンしてくれることもあるんです。
私も現役の時には言えなかったことや、先生からは言えない部分について「学校としてはこうなんだよ」というのを伝えたくて。「こういう事情があって、先生自身も苦しんでるんだよ」っていうことは、これからも続けて発信していきたいなと思っています。
オススメする教材は、“余白多め”で“見た目が楽しそう”
― アキさんの教材選びの条件は?
まず、自分がやってワクワク楽しいって思えるかどうかです。
うちの子どもも含めて、「勉強が大好き!」というお子さんって、なかなかいないと思うんですよ。めんどくさいなって思ったり、 やりたくないなって思ったり、マイナスな気持ちがあるものを、どうやったらやりたいって思ってもらえるかが大事だと思っています。
ぱっと見て計算の問題がいっぱいのっていて、余白も小さくてっていうドリルは、基本的には選ばないです。見ただけで「うわ、楽しくなさそう」っていう拒否反応がうちの子だったら起きると思うので。
なので、やっぱり子どもが見て「楽しそう、やってみたい」と思えるような見た目のものとか、余白が狭すぎず書きやすい、取り組みやすいものを選ぶようにしています。
ー 現在お子さんが取り組んでいる教材でオススメのものはありますか?
子どもたちは2人とも進研ゼミ小学生講座の『チャレンジタッチ』を受講しています。それプラス、夏休み中は親子で脳トレみたいな感じで『賢くなるパズル』を楽しんでいました。
うちの子は、つまずくとあきらめちゃうタイプなんですけど、不思議と途中で投げ出さないで、最後まで頑張ってやり抜きたいって思えるドリルなんだなと私は思ってます。
粘り強さとか試行錯誤する力がつくというか。我が家は入門シリーズがちょうどよくて、子どもたちと一緒に楽しみながら、私の脳トレにもなっています。
あと、うちの子どもたちは算数は得意なんですけど、国語が苦手なので、『おはなしドリル 都道府県のおはなし 低学年』を今年の夏に買いました。
今、小4の息子が都道府県の勉強をやっているんですけど、ただ位置とかを覚えるだけじゃ楽しくないなと思っています。このドリルだと、興味があるものをピックアップできて、物語として楽しめるんですよね。お話のところを私が読み聞かせして、最後に子どもが下の問題を解くという、ちょっと甘いやり方でやってるんですけどね。
でも、親子で「へーなまはげってこうなんだねー」とかって言いながら楽しくやってます。
このシリーズは他にも結構持っていて、好きですね。
あとは、文を書くことが苦手なので、 『はじめての作文力ドリル』というのも気に入っています。
よくインスタの投稿にも載せているんですけど、これはフルカラーで描かれてますし、「これじゃなきゃダメ」というような絶対の正解がないので想像力も広がるし、どっちの言葉を入れたらいいか選択できるなど、言葉が苦手な子でもうまく学べるつくりだと感じています。
それと、『ドラゴンドリル』は、私が「やりなさい」って言わなくても、息子がハマって勝手にやってくれたので、ありがたかったです。
勉強をやっているはずなのに、そう感じさせないというか。ハマってまだ習ってない単元もやってしまっていて。
私が「まだそれ習ってないんじゃないの?」って言っても、先に進みたい、シール完成させたい、キラキラのあのイラストを見たい、って感じで何も言わなくても予習までしてくれてたので、このシリーズも大好きです。
ちなみに、『ドラゴンドリル』はアプリも気に入っています。
息子は、“戦う”ことが大好きなので、 敵を倒すために問題を一生懸命解きたいって思うようです。どこか出かけた時の待ち時間などに渡すと、遊んでいるように楽しみながら、勉強もしてくれるから親としては「ラッキー」と感じますね。子どもはゲームをしているという感覚の方が強いと思うんですけど、算数の力をアップできるので、 すごくいいなと感じています。
タイピング練習にオンライン英会話など、アキさんオススメの学習
ー その他にも小学生にオススメの教育アプリなどはありますか?
アプリではないんですが、タイピング練習が好きですね。
今は、学校でも1人1台タブレット端末を持つ時代ですし、授業を見ていてもタイピングする機会が多いから、打つのが遅いと授業に遅れちゃうというか、時間を取られてしまうので、家でも結構タイピング練習をしています。それは、すごくいいなって思ってるんです。
よく使っているオススメのものは、お寿司が出てくる『寿司打』です。あと、学校でもベネッセのタイピング練習を授業中にやっていると言っていました。
あと、子どもの勉強アプリではないんですけど、小学生ママさんは絶対使ったらいいよというのが、『チェックマス』っていう丸つけのアプリです。
スマホで写真を撮るだけで丸つけしてくれるんですよ。答えを配布しない学校も結構あると思うんですけど、親が問題を解かなくちゃいけないのは結構手間ですよね。
カメラでピッて撮れば全部解答が出てくるので、一瞬で丸つけできてオススメですよ。
あと、今日も娘がレッスンするんですが、オンライン英会話の『Kimini』はめちゃめちゃ推してます。オンラインだと送り迎えの必要がないし、好きな曜日と好きな時間を選べるのがいいですね。
それと、先生がめちゃめちゃ優しい。うちの娘なんて、最初の方は喋れなかったですし、ひどい時には日本語で答えることもあるんですけど、「違うよ」とか言わずに、「オッケーオッケー」みたいな感じで、優しく導いてくれて、英語を嫌いにならない接し方がすごいなと思っています。
私も受講してるんですけど、少しずつ会話できるようになってきました。先生が同じようにママさんだと、「娘さんがいるんだね」みたいな会話がすごく楽しいです。
あとは、復習用としてプリントが無料ダウンロードできるのがありがたいです。中学生になると、会話だけじゃなく、書くことが必要になって、小学英語とのギャップが激しすぎると問題になっているので、そこも補えるプリントをダウンロードできるっていうのはありがたいなって思います。
毎日レッスンを受けたとしても6,000円前後ぐらいなので、本当にこの質でこの価格でいいのかなって思っています。
子育てでは「押しつけない」を意識し、子どもの気持ちに寄り添いたい
ー 情報発信について、ご家族の反応はいかがですか?
夫も子どもたちも、「頑張れ」って全面的に応援してくれています。
子どもたちについては、勝手に写真を撮らないように気をつけています。家庭学習をしている時でも、「ちょっと撮ってもいい?」「インスタにあげてもいい?」って、必ず子どもに承諾を得て投稿しています。その時も「いいよいいよ」って言って、快く写真撮影に協力してくれますよ。
小6の娘は、「今日授業でこういう面白いことを学校の先生がしてくれたんだよ」っていう風に、情報をシェアしてくれることもあります。
ー 子育てで気をつけていること、信条みたいなものはありますか?
そうですね、「絶対にこれ!」っていうのはあまり思い浮かばないですね。
私自身が結構、「これでいいのかな?」とか迷って、軸がブレがちなタイプなんですよね。それもあって、我が家の家訓みたいな、「絶対これだけは譲れない!」みたいなものって、 私って意外にないかも……。
まあ、でもあえて言うなら「押しつけない」ですかね。「こうしなさい」とか、「勉強しなさい」「早くしなさい」とか、あんまり命令的なことは言わないようにしています。子どもの気持ちに寄り添う、と言うとちょっと格好つけすぎなんですけど。
親と子であってもそれぞれ別の人間なので、1人の人間として尊重しています。ママの意思を押しつけすぎないように、「自分がどうしたいのか?」という、子どもの意思を尊重してあげたいっていうのは、意識してるかな。できているかどうかはわからないですけど。
子どもたちには、本当に好きなことを見つけてほしい
ー 発信者として悩みに答える立場ですが、自身の子育てで悩んでいることはありますか?
小4の息子が反抗期というか反抗的だということに、今年の夏休み初めごろから頭を悩ませていまして。子どもの気持ちに寄り添うことと、「その態度はダメだよ」って毅然とするところとのバランスが、やっぱり私は軸がぶれてしまうんですよね。
これは甘えになるんだろうか、寄り添いなのだろうか、ここまで強く言ってもいいものか、っていうのをすごく悩んでいて。自分の軸がない分、親としての気持ちをどこまで伝えていいものか、色々試行錯誤しながら夏休みを過ごしました。
お互いの気持ちを伝え合いながら、ちょっとぶつかるというか、お互い言い合ったり、離れたりっていうのを繰り返していけば伝わっていくんだろうなと。成長の過程だから仕方ないなっていう風に、今は思ってはいるんですけど。
ー 教育方針について教えてください
本当に好きなことを見つけてほしいなっていうのが1番にあります。そのために、学校の勉強は最低限できるようにはなってほしいっていう、親の欲はやっぱりありますね。
だけど、うちは中学受験とかは無縁の地域なので、そういうお受験だとか、名門の高校に入ってほしいだとかは、全く考えていないです。
それより、子どもたちが「これをやりたい!」と思った時に、勉強ができないことが足かせになって、好きなことを諦めなくちゃいけなかった、っていう状況にはなってほしくないなと思っています。
だから、学校の授業は最低ラインとしてできるようになってほしいし、そのために私ができることはサポートしていきたいなと思っています。
子どもたちは2人とも算数が得意なんですよね。得意な教科はそのまま伸ばしてあげたいなって思っています。娘は、理科も得意ですし、他の教科も平均的によくできています。このまま自信を持って続けてほしいなって思います。
ー 最後に、子育てでママさんたちへオススメできることはありますか?
幼児期は、絵本の読み聞かせとか、言葉が喋れない赤ちゃんの時から、ずっと話しかけていました。まだ答えられなくても、「今日いい天気だよね」「うんうんうん」みたいに、ずっと 1人喋りで言葉をかけるなど、常に刺激を与えることは意識していました。
あと、夫にすごく感謝しているのは、私は苦手なんですけど、虫取りとか、海で遊ぶとか、そういうアウトドア系の遊びでいろんなところに連れて行ってくれたことですね。
虫とか、生き物とか、今も家に色々いるんですけど、そういう教科書だけでは学べないリアルな体験、のちに勉強とリンクする生の体験っていうのを、 幼児期に夫が一生懸命してくれたことで、今、娘は理科が得意なのかなっていう風に思ってます。
この記事の監修・執筆者
小学校教諭として10年働き、子どもが小学校入学と同時に退職。自分自身が育児と仕事の両立に悩んだ経験から、同じように悩みを抱える小学生ママさんや学校の先生に役に立てないかと発信を始める。
発信内容は「家庭学習」「勉強方法」「小学校生活」など、学校の担任には聞きづらいママのちょっとした悩みを解決する情報を投稿中。
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