【進んで学ぶようになる!?】勉強好きな子どものひみつ

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【進んで学ぶようになる!?】勉強好きな子どものひみつ

小学校入学以降、勉強に意欲的に取り組むために、幼児期の今からできることはあるでしょうか。
また、勉強好きになる子の特徴は? 勉強をイヤイヤではなく、進んで取り掛かれると、どんなメリットがある?
教育評論家の石田勝紀先生に、お話をうかがいました。

お話/石田勝紀(教育専門家、一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事、Voicyパーソナリティ)

目次

自ら学べる子になると、主体性や非認知能力が高まる

「学ぶ」ことにおいての大切なポイントは、「自ら進んで行う」という点です。

「勉強」は、数多ある「学び」のうちのひとつです。

自ら進んで学ぶことによって主体性が育まれ、今後どんな分野に進んでも生かされる力、子どもの人生にとっての財産になるのではないでしょうか。

その意味では、長期的にみると自ら進んで行う内容が必ずしも勉強でなければならないわけではありません。

たとえば、野球が好きな子なら、一生懸命に野球をしていくなかで、結果として主体性が育まれていくことでしょう。

そこで身につけた力が勉強に向かうとは限りませんが、忍耐力や主体性などの非認知能力は高まっていきます。

そうは言っても、勉強は小学校から始まり高校を卒業するまで12年間の付き合いですから、勉強に関してつらい学校生活を送ることもなく、自分はできるという自信をつけて自己肯定感が上がり、保護者もイライラせずに見守ることができるなど、進んで勉強することによるメリットは大きいでしょう。

「勉強」嫌い・好きの差って?

勉強嫌いは大人がつくる

子どもが勉強嫌いになる原因は、ずばり大人の「押しつけ」です。

保護者からの「勉強しなさい」ということばの影響は強く、なんだか楽しくなさそう、強制されている、と思わせるマイナスの力が働きます。

大人は、つい子どもに集中して勉強させようとしがちな傾向がありますが、子どもにとっては「まじめ=つまらない」です。

小学校に入ると、どうしても長時間机に向かう押しつけ型の勉強が始まるため、それまでに家庭でできるのは、「勉強を勉強と思わせない」期間をできるだけ長く引っ張ることです。

「勉強を勉強と思わせない」ために、勉強をゲームやクイズ、なぞなぞのような「遊び」とイメージづける演出をするのがよいです。

子どもはゲームやクイズ、なぞなぞなどが大好きなので、ワクワクして乗ってきますよ。

演出の例として

  • ひらがなを書くときに、「何秒でできるかな?」とゲームにして、時間制限やヒントを加える
  • 国語の文章問題を「謎解き」のように演出する

などがあります。

まずは保護者が工夫して演出することで、子どもには「これは遊びのひとつなんだ」という意識が生まれ、むしろ楽しんで取り組むようになります。

勉強好きな子の共通点

勉強好きな子、勉強ができる子にはこのような特徴があります。

●勉強をおもしろい遊びのようなものととらえている

●知的好奇心が強い

●抽象度が高い

おもしろい遊びのようなものととらえてい

勉強好きな子は「やらねばならない勉強」という認識で勉強していません。

覚えた四字熟語を日常会話で使ってみたり、算数を謎解きのようにとらえていたりなど、遊びのツールとして活用しているように感じます。

たとえば、間違った問題に遭遇したとき、答え合わせをすると

伸びる子は、「なるほど!」「そうか!」などと言います。

伸びない子は、やる気のない態度で答えを写しているだけだったりします。

子どもたちにこの話をしたあとに答え合わせをすると、みんな「なるほどー!」と言います。

実は子どもたちはみんな“伸びたい”という思いをもっているのです。

知的好奇心が強い

わからない問題や間違いに対して、「なぜ?」という疑問をもち、「なんでこれが答え?」「なんでこの解き方?」「なんで間違ってるの?」と、突きつめて考えていきます。

これが理解できたときに、「そうだったのか!」という気づきから、さらに“おもしろい”という思いとの相乗効果が生まれて、また勉強に取り組みたくなるようです。

抽象度が高い

「抽象度」とは、物事を考えるときの視点の高さのようなもの。

「抽象度が高い」と、高い位置からふかんして物事を考えられるのです。

たとえば、国語の文章の一段落を読んで、「要するに」とまとめることができたり、

10問の計算問題をやったとき、「パターンがいっしょだ!」ということに気づけたりします。

抽象度が低いと「形が違うから別の問題」ととらえてしまい、余分な労力がかかってしまうのです。

抽象度は、同じものを見抜く力や、共通部分を見つけるコツをつかむと上がっていきます。

具体的には、保護者は子どもに「なんでだと思う?」「どこが似ている?」などと問いかけましょう。

尋ねられるとそこに意識が向き、共通部分をさがすようになります。

初めは「わかんない」という返事が返ってくるかもしれませんが、だいじょうぶです。

ここでは答えを出すことが目的ではないので、わかるまで問い詰めたりしないでください。

もし返答に困っているようなら、「お母さんは、ここが似ていると思うな」などと保護者の見立てを伝えてもよいでしょう。

ヒントになったり、「いや、そこじゃなくてここだよ」と子どもなりの意見が返ってくることがあるかもしれません。

一瞬でも「なぜ?」と意識が向くことが大事で、それを繰り返していくことで、だんだんと尋ねられなくても自分で共通部分をさがすことが身についていきます。

家庭での「仕組み」づくりで、自ら進んで勉強できる

「好きにさせる」のではなく「嫌いにさせない」という意識が大切

いちばんオススメしたいのは、ことばかけではなく「仕組み」で回すこと。

使うものは、手帳やノート、またはホワイトボードでもかまいません。

(1)1日ずつ、1週間分のスケジュールを書き込める形で作成

(2)「やることリスト」を1日分ずつ作成

 やることは、勉強(プリント学習や宿題など)や、ゲーム、お手伝い、片付けなど、なんでもOK

(3)「やることリスト」にポイントを設定

たとえば「ゲーム30分」は1ポイント、「宿題のプリント1枚」は3ポイント、「歯みがき」は2ポイントなど、子どもがやりたくないことはポイントを高く設定する

(4)「やることリスト」がひとつ終わったら、赤線で消してポイントをゲット!




これは、「勉強は嫌だけれど、ポイントは欲しい!」という子どもの気持ちを利用した仕組み。ゲーム性が高く、大概の子どもはやりたがります。

やらなければポイントはもらえませんが、マイナスになることはありません。

とくに、小学生以下の子どもたちは、自分の成長が見える化されていません。

たとえば、ゲームは、ポイントやダメージが数字で表示されたり、アイテムが手に入ったりと、見てわかるようになっていますよね。

勉強でも成長の見える化をすると、わかりやすく、おもしろいのでやりたくなるのです。

「○時になったから勉強しなさい」などと言わずに、むしろ「5のつく日だからポイントアップ!」などと、ゲーム感覚で楽しく取り組めそうなプラスの内容を考えてみましょう。

ゲーム感覚で続けることで勉強する習慣もつき、いつの間にか勉強もできるようになって、さらにやる気につながるという、保護者も子どももうれしい仕組みです。

ポイントを集めることにこそ楽しさがあるので、たまったポイントを商品として還元するのは、あまりオススメしません。

でも何か商品をという場合は、おこづかい(1ポイント=1円)にしてもよいでしょう。

自分がコツコツとためたポイントがお金になることで、とても大切に扱うようになります。

あるいは、ゲームの延長時間として使ったり、「ママPay」などと名前をつけたりしても楽しいですよ。

その子に合ったアプローチを ~石田先生からのメッセージ~

子育てに正解・不正解はありません。

でも、その子に合ったアプローチはあると思います。

「こうすると伸びるよ」というセオリーはありますが、子ども一人ひとりによって反応や対応は違うので、その子に合ったやり方を工夫する必要があるのです。

それがその子にフィットしているかの判断は、子どもの心の状態を見ること。

子どもの心が上を向いているか、下を向いているかという心の状態は、全部顔に出ます。

だから、子どものワクワクした表情を引き出す手法を考えて、試していきましょう。

「やりたい!」と心が動いてから実際に行動する(心⇒行動 の順番)と、「自分で進んでやる」ことになるため、どんどん取り組むようになるのです。

そのしかけをつくっていくのが保護者の役割です。

時間の都合や保護者の余裕などで、理想的な対応ができないこともあるでしょう。時には行動優先でやらせることがあってもだいじょうぶです。

ただ、トータルの割合としては、あくまでも「心⇒行動」という順番になるよう、子どもに働きかけることが原則であると、覚えておいてくださいね。

もちろん、保護者はたいへんだと思います。

でも、行動を変えさせるというアプローチをとってしまうと、子どもはやりたくないので、結果として、余計に時間も手間がかかる悪循環になってしまいます。

これを頭の片隅に置いて、何か一つからでもできれば、今よりも保護者の負担も軽くなっていくのではないかと思います。

この記事の監修・執筆者

石田 勝紀

20歳で起業し、学習塾を創業。これまで4000人以上の子どもたちに対し直接指導するかたわら、講演会やセミナーなども実施。また、2003年35歳で都内の私立の中高一貫校の常任理事に就任。2016年からは「カフェスタイル勉強会~Mama Café」というママ対象の子育て・教育の学びの会を全国で主宰。『子どもの自己肯定感を高める 10の魔法のことば』(集英社)、『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

公式サイト
http://www.ishida.online/

音声配信Voicy
https://voicy.jp/channel/1270

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