「友だちに押されてケガをしたのに」小学校トラブル実例 その1

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「友だちに押されてケガをしたのに」小学校トラブル実例 その1

〈第1回 小学校低学年でよくあるトラブル〉

小学校に入学すると、大人の目の届かないところで子どもたちだけで行動することが多くなり、友だちとのトラブルが起こりやすくなります。本サイトが実施したアンケ―ト(※)では、お子さんが1~2年生のときに友だちとのトラブルを経験したご家庭は約82%。その内訳は「子ども同士で仲直りできるくらいの軽いものならあった」(約37%)、「深刻なトラブルがあった」(約45%)となっており、予想外の事態になることも少なくないようです。

(※2021年12月25日~2022年1月5日、有効回答54件)

文:遊文社(小林 洋子)

目次

今回はアンケートに寄せられた先輩ママパパの体験から、小学校低学年でよくあるトラブル実例3つをご紹介します。都内児童相談所で19年勤務した経験を持つ家族問題カウンセラー・山脇由貴子さんから、それぞれのケースについてアドバイスをいただきました。

「幼稚園・保育所と小学校では、生活が大きく変わります。就学前の子どもたちは常に大人がいる環境で過ごしていますが、学校へ行くと急に『子ども同士ですべてやりなさい』と言われます。子どもが自分で友だちをつくるのは大変なことです。戸惑いやトラブルもあると思いますが、大人が不安になりすぎず、いろいろな経験を通じて親子で話し合っていきましょう。」(山脇さん)

事例① 友だちに押されて高所から落ち、骨折

[トラブルの内容]学童の自由遊び時間に、友だちに押されて棚から落下

8歳のときの夏、学童保育所の自由遊び時間での出来事です。学童に迎えに行くと、息子が部屋の隅で泣いていました。家に連れて帰ろうと車に乗せると大号泣。話を聞いてみると、棚にのって遊んでいるときに同学年の友だちに押されて落ち、それから腕が痛いとのこと。学童の先生には痛いことは伝えたけど、棚にのるのはいけないと怒られて終わったということでした。そのまま病院へ連れて行くと、骨折していることが判明しました。

[解決方法・反省点など]わが子の態度を責められてモヤモヤ…… 

骨折について学童に伝えましたが、謝罪もなく、逆に息子の態度が悪かったと責められました。納得がいかず、話し合いの場を設けてもらいましたが、結局、「納得がいかないのであれば学童をやめてください」と言われてしまいました。共働きで近くに親族もいないため、学童をやめることは無理であり、泣く泣く受け入れるしかありませんでした。

息子へは「棚にのるなど、悪いとわかっていることはしないように」と伝えました。学童には再発防止策などを考えてもらうようにお願いもしましたが、親の見えないところでは、子どもたちは違う顔を持っていることがあり、あまり強くは言えない部分があります。

[山脇さんからのアドバイス]相手に「気をつけてほしい」と伝えるのは必要なこと

小学校や学童保育所にはいろいろな子どもがいます。中には乱暴な子もいれば、人との関係づくりが下手な子もいます。骨折という大きいけがであれば、医師に診断書をもらい、加害側の家庭に治療費を負担してもらうのが妥当なケースもあります。事例①のケースも、わが子に非があっても、学童保育所や相手の親御さんから子どもに「気をつけてほしい」と伝えてもらうのは必要なことです。「うちの子にも注意をするので、お互いに気をつけてみていきましょう」という姿勢で話し合いましょう。

それでも乱暴がなくならないときは、わが子に危ない友だちとは距離を置き、「大人のいないところで2人きりにならないように」といった具体的な対処法を伝えるのも一案です。自分にとって安全な人・危険な人を識別して、安心して付き合える友だちと仲良くすることも、子どもにとって必要な「生きる力」の1つです。

事例② 大人の見ていないところで、たたくなどの乱暴

[トラブルの内容]公園で遊んでいて、ブランコを投げられた

同じマンションの住民で、毎日遊ぶ同級生の男の子がいます。大人の目の届かないところで息子をたたいたり、つねったりすることがあり、たまに見ると注意していますが、本人はふざけているつもりなのか、繰り返ししてきます。

小学1年の夏休みのある日、息子が大きなたんこぶを作って帰ってきました。どうしたのかと尋ねたら、「公園で遊んでいたら、相手の子がブランコを持ち上げて自分に目がけて投げてきた。僕は泣いちゃった。でも友だちはブランコが悪いと言って謝らなかった」とのことでした。

[解決方法・反省点など]学校の先生にお話し、相手の子から謝罪があった

そんな危ないことをして、謝りもしないなんて!……とさすがに怒りを感じ、学校に直接お話しにいきました。息子は「わざとじゃないよ」と相手をかばっていましたが、「遊びの延長だとしても悪いことは悪い!」と息子にも伝えました。先生が間に入ってくれて、相手の子には謝ってもらいました。親御さんにも伝えたそうですが、謝罪はありません。

この件は親が見ていないところで起きたことなので、小学校1年生くらいでは、放課後の遊びも親同士が交代で見ていないとダメなのかなとも思いました。今回は同じマンションの子ということもあり、今後の関わりを考え、相手の家に直接話に行くことはできませんでした。

[山脇さんからのアドバイス]遠慮せずに、学校の先生に相談しましょう

乱暴な子というのは、家庭で親から同じようなことをされているケースがよくあります。大人の見ていないところでたたく、つねるというのも、父親・母親からそのようにされていて、それぐらいは何とも思わないという家庭なのかもしれません。

このような場合は、事例②の保護者のかたのように、学校の先生によく見てもらえるようにお願いするのが一番です。学校の先生から、相手の親御さんに「子どもに注意をしてほしい」と伝えてもらいましょう。しつこく繰り返されるときも、そのつど学校に相談してください。我慢したり、「先生に迷惑かも……」と遠慮をしたりする必要はありません。大変ではありますが、そうしなければ相手の子に「友だちには乱暴なことをしてもいいんだ」という間違ったメッセージを与えてしまいます。

事例③ コンビニのお菓子をめぐってトラブルに

[トラブルの内容]友だちがお菓子を買ってくれたのに、相手の親から非難が……

小学2年の秋ごろ、息子が同級生の友だちから学校帰りに「コンビニでお菓子買ってあげる」と言われ、100円のお菓子を買ってもらい、わが家で遊んでいました。その後、相手の親が「自分の子どもが強制的にお菓子を買わされた」と勘違いして、家を訪問してきて怒られ、やるせない気持ちでいっぱいです。

大人は現場を見ておらず、子どもの話を聞いただけなので、本当のところはわかりません。ただ、子どもたちはどちらも「相手の子が買ってあげた」と言っているにもかかわらず、相手の親が自分の子どもの話を聞かず、「あんたの家の子どもが強制的に買ってくれと言ったんだろう!」としか言いません。もう関わりたくないという気持ちです。

[解決方法・反省点など]あまり関わらず、お金や物のやりとりをしないように諭す

息子には「相手の子にあまり関わらないように」と言いましたが、小学校が一緒なので難しいとも思います。「お金や物のやりとりはしないように」という話もしました。相手の家庭については、こちらの話を聞かず、状況を理解しようとしない限り、何を言っても無駄と感じてしまいます。しっかりとした証拠がない限り、適当にあしらうしかないかなと思います。

[山脇さんからのアドバイス]むやみに、お金や物の貸し借りをしないように注意を

小学校に上がると、お金や物の貸し借りについてのトラブルも多くなります。友だちをつくるのが苦手で、嫌われる不安が強い子どもは「何かを買ってあげる」「ものをあげる」といった行動で、友だちの関心を引こうとすることがあります。

トラブルを防ぐためには、家庭で日頃からお子さんに「友だちから何かを買ってあげると言われても、断ろうね」と話しておきましょう。また、友だちに何かをあげると言われたときも「お母さんかお父さんに1回聞いてみるね」と返事をし、親御さんから相手の家庭に連絡をして「本当にいただいてもいいものでしょうか?」と確認するとよいでしょう。同時に、こちらから友だちに何かを買ってあげたり、むやみにものをあげたりしないように、ということも伝えます。

事例③の場合はコミュニケーションが難しい相手のようでしたが、基本的にはお子さんがよく遊ぶ友だちを把握し、親同士も知り合いになっておくと安心です。何かあったときには連絡を取り合い、子どもたちを見守っていきましょう。

→お友だちトラブル実例集は、第2回「難しいトラブルにどう対処する?」に続きます。

この記事の監修・執筆者

家族問題カウンセラー 山脇 由貴子

女性の生き方アドバイザー。都内児童相談所に心理職として19年間勤務。2006年出版のいじめ問題の核心に迫る『教室の悪魔』(ポプラ社)がベストセラーになり、全国各地で講演活動を行う。現在は個人の心理オフィスで心理相談を受けながら、テレビ等のメディアでも子ども、教育、家庭、女性の生き方などについて情報を発信。

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