毎日毎日「片づけなさい」と叱っていてもなかなか子どもは変わってはくれません。
叱るのではなく、子どもが片づけをしやすくなる工夫をしてみてはいかがでしょうか。
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
叱ってもよくはならない
「うちの子は片付けができなくて困る」というお悩みをよく聞きますが、口で叱るだけでよくなるということは絶対にありません。
少しでも片付けやすくする工夫をしてあげるといいと思います。
私が家庭訪問したある和風の家で見た工夫を紹介します。
その家では和室の押し入れの襖が外してあり、押し入れの中には収納ボックスが整然と並んでいました。
収納ボックスにはもともと蓋がついていたのですが、その蓋も外してありました。
そして、それら全部にラベリングをしてありました。
例えば、粘土、ブロック、カード、ピカチュー、などです。
「その他」と書いてあるのもいくつかありました。
このラベリングはとても効果的で、子どもでも「粘土」と書いてあるところにブロックは入れにくいものです。
書いてないと何でもどんどん入れてしまい、訳がわからなくなってしまいます。
襖をなくせば手間が省ける
私が「なぜ襖を取ってあるんですか?」と聞いたら、次のような回答でした。
襖があると収納ボックスが目に見えないので、片づけへの意欲が高まらない。
しかも、収納ボックスを探すために襖を開けなければならない。
襖を開けたところに収納ボックスがあるとは限らず、そこになければその襖を閉めて、また反対側の襖を開けなければならない。
収納ボックスを見つけて、その中に物を入れたら、また襖を閉めなければならない。
こういったことで、ひと手間ふた手間……、というように手間が増えて、片付けが苦手な子にとっては非常にめんどくさいことになる。
子どもの立場に立った工夫が大切
お母さんが言うには、この工夫をしてからは子どもも片付けがしやすくなったようで、叱る回数が減ったそうです。
もちろん、見た目から言えば襖があった方がいいのです。
でも、そちらは目をつむって、子どもの片付けやすさの方を重視するようにしたそうです。
できるだけ、手間を減らしてワンタッチ収納に近づける工夫が大事ですね。
このような、子どもの立場に立った工夫があるのとないのとではかなり違ってくると思います。
それまで10分かかっていた片づけが、ちょっとした工夫によって5分でできるようになるかもしれません。
それによって片付けがしやすくなれば、今まで片付けで叱っていたのが、反対に片付けでほめられるようになるかもしれません。
万事において、叱る前にひと工夫を
私の経験ですと、「片付けができない」と嘆いている割には、親ができることをしていない例が多いです。
嘆いたり叱ったりしているよりは、ほんの少しでも合理的な工夫をして、片付けやすくしてあげるのも手です。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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