お子さんは、お茶碗やお椀を正しく持っていますか?
小学校で給食当番になれば、1年生でも、ご飯や汁物をよそうようになります。
現役小学校教諭の舟山由美子先生は、「お茶碗やお椀を正しく持つ練習」と「ご飯をよそう練習」を家庭で取り入れることを提案されています。
練習のコツを伺いました。
給食当番のときに、お椀のふちをつまむように持って味噌汁を配膳する子がいます。
私の故郷では、この持ち方は、お墓にお茶をかけるときにやるので、その話もして「あぶないし、ふだんの生活ではやらないようにすること」と、正しい持ち方を教えています。
また、給食当番になって初めて“よそう”経験をする子もいるようで、本人もあせりながらがんばるものの、とても時間がかかることがあります。
こんなとき、現場の先生は、「おうちで、1回でも経験しているといいのになぁ」と思ったりします。
また、よそったご飯をしゃもじで上からパタパタと叩くのを、おうちでも目にしているらしく、それがかっこよく見えるようで、その動作だけは“おまじない”のように必ず何回も行う子もいて、これもまた時間がかかってしまいます。
余裕があるときは、とてもほほえましくかわいい姿なのですが、決まった時間の中で準備しなければならないので、「パタパタは1回だけ!ルール」を申し渡したときもありました。
ご家庭でご飯や汁物をよそうことを、入学準備のひとつとして、ぜひ取り入れてみてください。そして、よそう練習をするときに、正しい持ち方を意識することも伝えましょう。
ごはんをよそう練習
ごはんをよそう練習をする際は、次のことをポイントとして、お子さんに教えてあげるとよいでしょう。
1. お釜が熱いので触らないように注意します。
給食はバットに入って配られますが、ご家庭では炊飯器に入っていることが多いと思いますのでご注意ください。
2. 正しい持ち方で茶碗を持ちましょう。
茶碗の上側のふちに親指を置き、残りの指を茶碗の底に添えるように持つようにしましょう。
茶碗のふちだけを持つと、茶碗を落としたり、熱いご飯が指に触れてヤケドをしたりすることがあります。指がご飯に触れると衛生的にもよくありません。
お子さんには、なぜ正しい持ち方にしたほうがいいのかを伝えましょう。
3. しゃもじに裏表があることを教えます。
これが、実は一番大事かもしれません。
給食当番でしゃもじの裏側を使ってよそう子を見かけます。
子どもにとって初めて使う道具です。しゃもじの持ち方も教えてあげましょう。
4. ごはんは2回に分けてよそいます。
いっぺんによそわず、2回に分けてよそうとよいことを教えてあげましょう。
1回目、しゃもじでお茶碗にごはんを軽くよそい、2回目で、量を調整します。
ただし、1年生ぐらいだと3~4回くらいかかってもOKにしています。
5. 家族の分のご飯をよそいます。
お父さん用の茶碗、子ども用の茶碗で大きさが違います。それぞれの大きさに合わせて量を調整することができるか見てあげてください。
6. 茶碗は相手に両手で差し出す。
落とさないように、また相手が受け取りやすいように、ていねいに渡しましょう。
はじめから上手によそえるわけはありません。少しくらい周りを汚してしまっても必ずほめてあげてください。
そして、よそってもらったご飯を受け取るときは「ありがとう」の言葉をかけることを忘れないでください。
教室でも、配膳された給食を「ありがとう」と受け取る子がいます。そんなときは「おうちでもそうしているのね」とほめます。
みんなが行う仕事ではあっても、やはり「ありがとう!」の言葉があるとうれしいものです。
こんな言葉がとびかう教室はいいクラスですよね。
汁物をよそう練習
汁物をよそう練習は、ごはんよりも少し難しくなります。
1. 鍋の取っ手以外は熱いので、触れないように注意します。
2. ごはんと同様に正しくお椀を持ちます。
3. 2回に分けてよそいます。
1回目で、具を含めてすくい入れます。
このとき家族のお椀で具の種類や量に偏りが出ないよう、考えながらすくうように声をかけてあげてください。
2回目で、汁を注ぎ入れます。
教えてもらって経験をしておけば、それほど難しいことではありません。
家族の役に立ってほめられて、うれしい思いも味わえます。
はじめはヒヤヒヤするかもしれませんが、思い切って手伝わせてみると、きっと子どもは自信がつくと思いますよ。
この記事の監修・執筆者
ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。
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