子どもに「こうしてほしい」と思って伝えても、子どもにうまく伝わらないのか思った通りにならないことって多くありませんか。
もしかすると、その伝え方に原因があるのかも。
親野智可等先生に、今すぐ使える指示のコツと具体例を伺いました。
「何て言うの?」と言われても…
親子で散歩中に近所のおばさんに会ったとします。そういうとき、子どもが自ら進んで挨拶してくれれば親としては助かります。
でも、そういう子ばかりではありません。シャイな性格で、挨拶の言葉がなかなか出てこない子もたくさんいます。
こういうとき、「挨拶しなきゃダメでしょ。○歳にもなって挨拶もできないなんて、ママ恥ずかしいよ」などという言葉は百害あって一利なしです。
もちろん、こういうひどいことを言うママは少ないでしょうが、「ほら、なんて言うの?」とか「挨拶は?」などと半ばキレ気味に叱ってしまうママはけっこういるのではないでしょうか?
これだと、子どもは緊張してしまい、どうすればいいのかよけいわからなくなってしまいます。
頭の中で、「何て言えばいいんだろう?おはようございます、かな?いや、もう昼に近いから「こんにちは」かな?」などと瞬時に思い巡らしているかも知れません。
思いきって「こんにちは」と言って、ママに「違うでしょう。朝は『おはようございます』でしょ。まったくあんたは何言ってるの」と言われてしまうかわいそうな子もいます。
『こんにちは』って言おう
なかなか挨拶の言葉が出ない子には、『こんにちは』って言おうと具体的に教えてあげてください。
そうすれば子どもは言いやすいです。それで言えたらほめてあげましょう。その繰り返しでだんだん言えるようになります。
この例だけではなく、親が子どもにやらせたいことがあるとき、それをうまく伝えていないことが多いように思います。
「疑問形」で言ったり「抽象的」に言ったりするので、子どもにわかりにくいのです。それで、何をどうすればいいかわからないのです。
ですから、子どもにやって欲しいことは、「具体的」に「指示」することが大切です。
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疑問形をやめて具体的に指示する
いくつか例を挙げていきますので参考にしてください。
「こぼしたとき、どうしたらいいの?!」(疑問形)
↓
「ティッシュで拭き取って」(具体的に指示)
「明日の仕度、いつするの?!」(疑問形)
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「今から明日の仕度をするよ。用意、始め」(具体的に指示)
「いつになったら宿題を始めるの?!」(疑問形)
↓
「5:31になったら宿題を始めよう」(具体的に指示)
「いつまで食べてるの?!」(疑問形)
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「6:45までに食べ終わるよ」(具体的に指示)
「勝手にどこに行くの?!」(疑問形)
↓
「ここにいてね」(具体的に指示)
「なんで歯を磨かないの?!」(疑問形)
↓
「さあ、歯を磨いてスッキリしよう」(具体的に指示)
「ほら、何て言うの?」(疑問形)
↓
「『ぼくも入れて』って言ってみよう」(具体的に指示)
抽象的な指示をやめて具体的に指示する
「はやくしなさい」(抽象的)
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「7時51分までにやっちゃおう」(具体的に指示)
「ちゃんと噛みなさい」(抽象的)
↓
「30回ずつ噛もう」(具体的に指示)
「行儀よく食べなさい」(抽象的)
↓
「背筋を伸ばして食べよう」(具体的に指示)
「テレビからもっと離れなさい」(抽象的)
↓
「テレビを見るときはこの線まで下がろう」(具体的に指示)
「部屋がゴミだらけじゃないの!」(抽象的)
↓
「ゴミを50個拾うよ。用意、ドン」(具体的に指示)
「脱いだ靴下が散らかってるでしょ!」(抽象的)
↓
「脱いだ靴下は洗濯機にいれるよ」(具体的に指示)
いかがでしたか?
参考になる具体例がきっとあると思います。お子さんへの声かけをぜひ意識してみてくださいね。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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