10月のこそだてまっぷの絵本棚の2回目は、「いろんな秋を感じる」をテーマにした絵本をご紹介します。
秋と言えば、旬のおいもやどんぐりなど…いろいろなものが思いつきますね。みなさんも、絵本を読んで秋を感じてみてはいかがでしょうか。
今月の絵本セレクトは、絵本専門士で、NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師、現役の保育士でもある、遠藤裕美先生です。
“秋を感じる”がテーマのオススメ絵本!
◆2~3歳児向け! 『おいもさんがね・・』
作・絵/とよたかずひこ 935円 童心社
【あらすじ】
毎回子どもたちの大好きな食べものが登場するとよたかずひこさんの「おいしいともだち」シリーズ。今回は秋の味覚おいもさんが主人公です。
土の中から出てきたおいもさん。「よいしょ よいしょ よいしょ おきろよ おきろ」と、つるを引っ張るとそこにはまだ眠そうなおいもさんがずらり! すっぽーんと抜けたと思ったら、お水の中に落ちてしまったからたいへん。でも、「しんぱい ごむよう!」。あたたかな結末にほっこりです。
【オススメポイント】
表紙に描かれたすてきなスマイルのおいもさんに、始まる前からみんなも思わず笑顔に! おいもがおいしい季節に子どもたちと読みたくなる一冊です。
「よいしょ よいしょ よいしょ おきろよ おきろ」
自分のツルを引っ張って仲間たちを起こすおいもたち。繰り返しのことばが続くので、すぐに子どもたちも同じリズムで「よいしょ」と力が入っているようでした!
「おいしいともだち」シリーズのお楽しみのひとつが「しんぱい ごむよう」のシーン。今回もすてきなお助けが登場するのですが、この場面が大好きな子が多く、手をパーにして同じポーズで「しんぱい ごむよう」と言って楽しんでいます。あったかーい結末にほっこりしてくださいね!
◆3~4歳児向け! 『どんぐりむらのぱんやさん』
作・絵/なかや みわ 1,320円 Gakken
【あらすじ】
どんぐりむらにある、とっても人気のパン屋さん。お店のパパとママは、子育てをしながら朝早くからお仕事をがんばっています。
お休みの日に子どもたちと遊園地に行く約束をしていましたが、新作のパン作りが難航して行けそうにありません…。ガッカリする子どもたちでしたが、ママとパパを手伝いたいと、こっそり新作のパンに挑戦します! どんなパンができたのかな…!?
【オススメポイント】
おいしそうなパンが並ぶ「どんぐりむらのぱんやさん」。人気なのはうれしいのですが、子育てと仕事の両立は本当にたいへん! 子どもたちが楽しみにしていた遊園地に行けなくなってしまう場面では、読んでいる大人はどんぐりママとパパに、子どもたちはこっぺとぷっぺに、同化してしまうのではないでしょうか。見ていた子どもたちも、思わずシーンとなっていました。
でも、ガッカリしているだけのこっぺとぷっぺじゃありません! ママとパパを手伝いたいと、パン作りに挑戦します。すてきな思いが詰まったパンには、「食べたーい」という声が上がりましたよ♪
どんぐりむらシリーズは、どんぐり新聞や切って遊べるお楽しみがついています。読んだあとも、どんぐりむらの世界観を楽しめること間違いなしです!
◆4~5歳向け! 『やきいもするぞ』
作/おくはら ゆめ 1,540円 ゴブリン書房
【あらすじ】
森は落ち葉だらけで、畑はおいもだらけ。「やきいも するぞ」というりすのかけ声に、「やきいも するぞ エイエイオー!」と、森の動物たちも叫びます。おいしいやきいもを食べたあとには、ブォー! プウ~! プリッ! 楽しいおなら大会の始まりです。特別ゲストにもビックリ‼
【オススメポイント】
リズミカルなことばが魅力のひとつ! 声に出して読んでいると、見ている子どもたちはもちろん、読み手もすごく楽しくなる絵本です。「やきいもするぞ エイエイオー!」と気合を入れて始まったやきいも作り。動物たちが一致団結している様子に、みんなが引き込まれ、仲間になったような気持ちでワクワクを共有していました。
おなら大会では、動物たちの個性豊かなおならに子どもたちの笑いがとまりません! 気持ちのいい終わり方も大好きです。読み手のおうちのかたもいっぱい楽しめますように…☆
おなら大会で登場する特別ゲスト、実は早い段階からしっかり参加しているんですよ。すみからすみまで、絵もじっくりと楽しんでみてくださいね!
◆大人向け! 『まいごのどんぐり』
作/松成真理子 1,430円 童心社
【あらすじ】
どんぐりが大好きなコウくん。中でも、おしりに「ケーキ」と書かれたどんぐりはコウくんの大切などんぐりです。いつもいっしょに遊んでいた2人ですが、ある秋の日、コウくんはかばんからケーキを落としてしまいます。コウくんは一生懸命探すのですが見つからず…。2人の気持ちがていねいに描かれていて、胸を打つ一冊! すばらしい季節の描写にも注目です。
【オススメポイント】
物語の前半では、コウくんとケーキのほほえましいやりとりが描かれていて、お互いが大切な存在だということが伝わってきます。それだけに、コウくんとケーキがなればなれになってしまう展開には、胸がしめつけられる思いでした。ただ、悲しい気持ちでは終わりませんので、2人の未来を見守ってみて下さいね。
初めてこの本に出会ったのは、絵本がいっぱい置いてあるカフェでした。のびのびと描かれた絵に惹かれて手にとったのですが、読んでいたら涙があふれてきてとまらず。怪しいお客に…。心を揺さぶられるってこういうことなのかな…と感じた絵本でした。
次回(10月29日更新)は、「ハロウィン」をテーマにした絵本を紹介します。お楽しみに!
この記事の監修・執筆者
絵本専門士7期生。NPO法人「絵本で子育て」センター認定絵本講師。現役保育士として、絵本を取り入れた保育を実践している。地域の読み聞かせボランティアの経験も多数。保育雑誌や書籍にて、絵本のセレクトや、執筆も行っている。監修書に『年齢別! 子育てママ&パパの頼れる絵本193』(ユーキャン)。
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