夏休みを前に、保護者のみなさんが気になるのはお子さんの「自由研究」ではないでしょうか。「自由研究って何をやったらいい?」「保護者は手伝ったほうがいい?」「そもそも自由研究って、いったいどういう意味があるの?」といった疑問があるかもしれません。低学年の場合は、自由研究がない学校もありますが、全学年を通して取り組ませる学校もあります。【夏休みの宿題】に引き続き、清水智先生に夏休みの自由研究について保護者の関わり方をアドバイスしていただきました。
文/こそだてまっぷ編集部
自由研究は小学校3年生からが多い
夏休みの宿題の一環として「自由研究」に取り組むのは小学校3年生からという学校が多いです。その理由は、3年生から社会科と理科が始まるからだと考えられます。3年生の理科の教科書には「自由研究」という単元があり、これを学ぶのが7月ごろです。3年生以上は理科の授業で「自由研究のまとめ方」「自分の考えをまとめる方法」などを学習した上で夏休みの自由研究に取り組みます。
学校によっては、1年生から夏休みの自由研究を行うところもあります。1、2年生にも自由研究に取り組ませる学校があるのは、自由研究を通して夏休みにいろいろな体験をしてほしい、新しい気づきを見つけてほしいといったねらいがあると考えていいでしょう。
求められているのは問題解決型の学習
3年生以上の自由研究に求められているのは、いわゆる問題解決型の学習スキルです。問題解決型の学習スキルとは、自ら課題や疑問を持って自ら解決していく学習のことを言います。具体的には、問題発見力、計画力などの力を伸ばす学習です。これらの力は、お子さんが日常生活や、将来、社会に出て問題場面に遭遇した際に、問題を主体的に解決するために必要な力です。
自由研究は、通知表での学力評価の対象にはなりませんが、「夏休みの宿題」で出される基礎的学習とは異なる視点での問題解決能力を養うことができます。
前回の記事はこちら≫【低学年の保護者必読!】知っておくとラク♪な夏休みの宿題のポイント
そのテーマを選んだ動機が書かれているかが重要
小学校の教員が、自由研究として提出された子どもたちのレポートのどこを見るのかというと、最も重要視するのは「なぜ、そのテーマを選んだのか」という動機づけの部分です。たとえば、実験の結果が失敗だったり、思っていたような成果が得られなかったりしても、そのテーマを選んだ“きっかけ”がしっかり書かれていれば問題ありません。レポートの中身よりも、むしろ、それをテーマにした動機を言語化して書けているかどうかのほうをチェックします。動機づけは、問題解決型の学習の第一歩になるのでとても大切です。
テーマ選はお子さん自身が「やってみたい」と思うこと
保護者のみなさんが気になるのは「では、自由研究で何をすればいいの?」ということではないでしょうか。言葉どおり“自由”なわけですから、本人がやりたいことなら何をやってもかまいません。たとえば、下記のような例があります。
・アサガオなどの植物の成長を観察するレポート(※宿題として必須の場合もある)
・生活や地域について調べたレポートなど生活科や総合学習の分野に関するもの
・自由工作など図工の分野に関するもの ……など。
前述のように、自由研究はお子さん自身が「やってみたい」という動機を持つことが重要なので、保護者が「これをやりなさい」と押しつけるのは避けましょう。
そうはいっても低学年のお子さんが自分でテーマを見つけるのは難しいかもしれません。もし本人が「ぜひ、これをやりたい」と希望するテーマが見つからなければ、自由研究に関するWEBサイトなどを参考にしてもいいでしょう。それらを通して、新しい体験や気づきを獲得できるならOKです。
最近は、インターネットでワークシートなどをダウンロードできて、フォーマットに記入していくだけで提出できるタイプのものもあります。市販の自由研究キットなどを活用するのもひとつの方法です。
このようなものを利用する際でも、そのまま提出するだけでなく、お子さんが「なぜ、そのテーマを選んだか」といった動機を書けると理想的です。本人が書くことができない低学年の場合は、保護者が話を聞き取って書き添えたり、保護者自身の感想を書き加えたりするなどして関わるといいでしょう。
自由工作は、親子でいっしょに楽しもう
自由工作に挑戦するお子さんも多くいます。最近は自由研究のコンクールなどに出展する学校もあります。その場合を除けば、保護者が自由工作を手伝ってもかまいません。むしろ、親子でいっしょにもの作りを体験する時間を楽しんでください。大切なのは、「小1の夏休みにこんな自由研究をやった」「お父さんやお母さんといっしょに○○を作った」という体験や思い出なのです。
成長を見つけてほめる絶好のチャンスに
お子さんの自由研究には、保護者が積極的に関わりましょう。時間にゆとりがある夏休みだからこそ、親子がいっしょになって楽しい体験を共有できるチャンスです。そして、お子さんの努力の過程や成長したところを見つけて認めてあげましょう。たとえば、お子さんが何かの実験に取り組んでいたら、そのときの写真を撮ったり、工作を手伝いながら「去年は上手にできなかった接合の部分がきれいにできるようになったね、すごいね!」とほめたりしながら、いっしょにこの時間を楽しんでください。
夏休みが終わって、お子さんがわくわくしながら学校に持っていける自由研究になるように保護者がしっかりサポートしましょう。
この記事の監修・執筆者
東京都の公立小学校教諭として13年間勤務し、その間、主幹教諭として校長や副校長のサポートも行う。2014年度からは世界自然遺産小笠原諸島父島にある小笠原小学校にて環境教育に取り組む。2019年度より現職。教育ICTコンサルティング事業にも従事し、GIGAスクール構想の推進を現場レベルから行っている。
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