咳やくしゃみをしたときに“ジュワッ”。重い物を持ちあげたときに“ドキッ”。…そう、それは尿もれ。 産後ママの多くが尿もれについて人知れず悩んでいるといいます。みんなもホントにもれてるの? どうしてもれちゃうの? どうしたら治るの? そんな疑問にお答えします。
お話・監修:中村 綾子
イラスト:ふるえるとり
産後の尿もれ…。みんなホントにもれてるの?
第2子妊娠中のふるえるとりさん(https://twitter.com/torikaworks)も実は尿もれに悩むひとり。内容が内容なだけに誰にも相談できず、もしかして自分だけなの…? と孤独感を抱いたといいます。
では、世間のママたちの尿もれ事情は一体どうなっているのでしょうか!? 産後~6歳の子どもをもつママを対象に、尿もれに関するアンケートを行いました。
※アンケート調査: モニプラファンブログ「学研の幼児ワーク」編集部調べ(2019年7月実施/170名回答)
緊急アンケート!みなさん、ホントにもれてますか?
Q1 ずばり、尿もれしたことはありますか?
6割近くの女性が「ある」と回答。かなり高い確率で尿もれを経験した方がいることがわかります。
Q2 どんなときに尿もれしましたか?
聞いてみました! 尿もれ経験談
- 子どもと縄跳びをしたときに…。
- 仕事中にくしゃみをしてもれたときに、イスに染みていないかドキッとしました。
- 子供を抱っこしようとして力を入れたときに、「あっ」ってなりました…。
- お米など重たいものを持つときは緊張していました。
- 風邪をひいてしまって咳をするのに、一緒にもれてしまった。
- イスから立ち上がるときにもれた感覚が。産後すぐだったので、不正出血かと思いドキドキ…。
- 2人目まではなかったので、3人目を産んだ後に初めてもれたときは、驚きました。
- 花粉症でくしゃみをした瞬間に出てしまいました。
- 子どもと鬼ごっこをしているときにちょびっともれてドキッ。でも鬼ごっこやめるわけにもいかず…。
- トイレに行きたいとき、以前は我慢できていたのに、産後はギリギリまで我慢すると絶対もらしてました。
- 産後からは尿意の我慢がきかなくなり、きっかけもなくチョロッと出てしまうこともありました。
- 喘息で夜中に咳が止まらなくなりもれるので、いつも寝るときは夜用ナプキンをしていました。
- お宮参りの時に立ったり座ったりが多くてドキドキしました。
- トイレに行ったあとなのになぜか出てる感覚が…。
などなど…多数の経験談がっ! 多くのみなさんに尿もれ経験があるようです。
Q3 尿もれの悩みを相談した相手はいますか?
26%の人が誰にも言えず、ひとりで悩んでいたようです。それってとっても辛いですよね…(涙)。
女性泌尿器科の専門医に聞いた 尿もれの原因と対策
多くの産後ママが尿もれに悩んでいることがわかりました。ここからは女性泌尿器科の専門医、中村綾子先生にお話をうかがいます。
「産後の女性の3人に1人は尿もれを感じているといわれています。出産時に膣、そして骨盤底筋に大きなダメージを負うことが大きな原因。また、妊娠時、授乳時に分泌されるホルモンも産道をゆるませる働きをもつため、尿もれにつながります。ただし、産後1年ほどで改善することが多いので、以降も尿もれが続くようであれば対応が必要ですね」(中村綾子先生)
尿もれには3つのタイプがあります。
- 腹圧性尿失禁…咳、くしゃみをしたとき、運動をしたとき、重い物を持ったときなどに尿もれしてしまうタイプ。
- 切迫性尿失禁…急に尿意をもよおし、間に合わずに尿もれしてしまうタイプ。
- 混合性尿失禁…上の2つが両方起きるタイプ。
このうち、産後ママは「腹圧性尿失禁」であることが多いといいます。
「遺伝で尿もれしやすい方もいますし、高齢出産、経産婦、赤ちゃんが3500g以上だったケース、BMIの高い方、喫煙者も尿もれしやすいといわれています。また、慢性的な喘息の方も尿もれに悩むことが多いようですね」(中村綾子先生)
わたし、ゆるんでる? セルフチェックしてみよう
「尿もれする場合、自分の骨盤底筋がゆるんでいるのかを自分でチェックしてみましょう。まず膣に人差し指と中指の2本を第2関節まで挿入し、そのまま力を入れなくても指にしめつけがあるか、指を少し開いてもしめつけがあるかを指で感じてみましょう。しめつけがあれば大丈夫、なければ、膣と肛門周辺にある筋肉群・骨盤底筋がゆるんでいる証拠。対応が必要です」と、中村先生。
【メモ】
骨盤底筋とは…骨盤の底に連なる筋肉群。「おならを我慢するとき」「おしっこを我慢するとき」に動く筋肉のことです。
もしもゆるんでいるな…と感じたら、どうしたらいいのでしょうか? やっぱりすぐに病院へ行くべきでしょうか?
「尿もれがあなたの生活や気持ちにマイナス!と思ったときが、通院のタイミングです。泌尿器科が専門ですが、妊婦さんは産科でもOK。問診や検査をもとに診察し、加療します。また排尿時に痛みがあるときは、膀胱炎などの別の病気の可能性があるので医師に相談してください。
軽い症状の場合、尿もれパッドと骨盤底筋を鍛えるエクササイズでケアできます」(中村先生)
尿もれの基本ケアは、尿もれパッド&エクササイズ!
「尿もれする場合は、尿もれパッドを活用しましょう。生理用ナプキンやおりものシートを使用する方もいますが、かぶれることが多いので専用のものが安心です。下着が少し濡れる程度であれば薄いタイプを、外衣も濡れる方ならパッドタイプを。さまざまなサイズの尿もれパッドが販売されているので、もれる量にあわせて選んでください」(中村先生)
最近はドラッグストアにも各サイズが販売されていて身近になりましたよね! では、尿もれそのものを治すために自宅でできることはあるのでしょうか?
「ゆるんだ骨盤底筋を鍛えるエクササイズを行うことで、症状の改善が期待できます。早ければ1週間、遅くても1か月ほどで効果を実感できるはずです。妊娠中でも安定期であればエクササイズOKです。産後に備えて、骨盤底筋を鍛えておくのはおすすめです」(中村先生)
…というわけで、次回後編にてそのエクササイズを具体的に教えていただきます!
ふるえるとり
秋田県出身。現在東京都在住の2児の母。デザイナー経験を活かし、現在は育児の合間にイラストや漫画を描く日々。育児ネタのほかにシュールなテイストのキャラクターを描き自らの心を癒す。ほのぼのできる育児エッセイ本「母ちゃんだってほめられたい」も好評発売中。なぞめきキャラのLINEスタンプも人気!
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この記事の監修・執筆者
日本泌尿器科学会専門医。2007年横浜市立大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター臨床研修医を経て、2009年横浜市立大学泌尿器病態学に入局。みなと赤十字病院、横浜市立大学附属病院、藤沢市民病院勤務を経て、横浜保土ヶ谷中央病院に勤務。LUNAでは2013年より泌尿器科外来を開始。
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