【ノーベル賞ってなに?】2026年の発表は10月5日~12日

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【ノーベル賞ってなに?】2026年の発表は10月5日~12日

毎年10月になると世界中の注目を集めるノーベル賞。2026年は10月5日から12日にかけて、6分野の受賞者が発表されます。
そもそもノーベル賞は、なぜつくられたのでしょうか。また、どんな人が受賞してきたのでしょうか。今回は、ノーベル賞の歴史や代表的な受賞者、日本人受賞者の研究について紹介します。

目次

アルフレッド・ノーベルの遺言でつくられたノーベル賞

スウェーデンの発明家・実業家アルフレッド・ノーベル

ノーベル賞は、スウェーデンの発明家・実業家アルフレッド・ノーベルの遺言をもとにつくられました。
ノーベルは1833年にスウェーデンで生まれ、化学者、発明家、実業家として生涯に355件の特許を取得しました。その代表的な発明のひとつが、1867年に特許を取得したダイナマイトです。

当時、爆薬として使われていたニトログリセリンは威力が大きい一方、扱いが難しく、事故も起きていました。ノーベルはニトログリセリンに珪藻土(けいそうど。植物性プランクトンの化石などからできた土)を混ぜて、より扱いやすい爆薬を開発しました。ダイナマイトは鉱山やトンネル、道路などの工事に利用され、産業の発展にも役立ちました。

一方で、爆薬は軍事目的にも利用され、戦争の兵器としても使われるようになりました。1888年、ノーベルの兄ルートヴィヒが亡くなった際には、新聞が誤って「アルフレッド・ノーベルが死んだ」と報道し、「死の商人、死す」という内容の記事を掲載したことで、ノーベルは大きなショックを受けたとされるエピソードは有名です。

「人類に最大の利益をもたらした人」に贈るノーベル賞

ノーベルにとって、「死の商人」と呼ばれたことが、自分が死んだときに世の中からどのような評価を受けるのかを考えるきっかけになったといわれています。
1895年、ノーベルは遺言を残し、財産の大部分を基金として運用して、その収益を「人類に最大の利益をもたらした人」に贈る賞にするよう定めました。対象となったのは、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5分野でした。

ノーベルが1896年に亡くなった後、遺言に基づいて準備が進められ、1901年に最初のノーベル賞が贈られました。

なお、現在は5つのノーベル賞に加えて、「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」があります。この賞は1968年にスウェーデン国立銀行の創立300周年を期して設立されたもので、ノーベルの遺言に記された賞ではありません。1969年から授与されています。経済学の研究を通じて、人々の暮らしや社会、経済の仕組みについての理解を深めることに貢献した人をたたえる賞です。

ノーベル賞の種類と内容

毎年、受賞者は各賞最大3名までです。2025年までに、経済学賞を含めて633回の賞が贈られています。

≪関連記事≫【イグ・ノーベル賞ってどんな賞?】受賞者・兒嶋朋貴先生に聞く探究のおもしろさ

受賞者の発表と授賞式はいつ?

発表は毎年10月

ノーベル賞の受賞者は、毎年10月に発表されます。
2026年は10月5日(月)から12日(月)まで、次の日程で発表される予定です。各賞の発表は、ノーベル賞公式のデジタルチャンネルでライブ配信されます。

ライブ配信サイト:https://www.nobelprize.org

2026年のノーベル賞発表の日程

授賞式はノーベルの命日である12月10日

ノーベル賞の授賞式は、世界の人々のために大きな功績を残した人々をたたえる、世界的に注目される式典です。毎年12月10日、アルフレッド・ノーベルの命日に、スウェーデンのストックホルムで、物理学、化学、生理学・医学、文学、経済学の受賞者にメダル、賞状、賞金が贈られます。2025年のノーベル賞の賞金は、1つの賞につき1100万スウェーデン・クローナ(SEK)でした。日本のお金にすると、約1億7,000万~1億8,000万円に相当します。

受賞者はスピーチで、これまでの研究や活動への思い、受賞の喜び、人類の未来への思いなどを語ります。その後には晩餐会が開かれ、受賞者や招待客が食事や音楽を楽しみながら栄誉を祝います。なお、ノーベルの遺言により、平和賞だけはノルウェーのオスロで授賞式が行われます。

ストックホルムの晩餐会会場
オスロの市庁舎

ノーベル賞はどうやって決まる?

ノーベル賞は、誰でも受賞できるものではありません。世界各国の大学教授や研究者、過去の受賞者など、決められた推薦資格を持つ人が候補者を推薦します。推薦された人の中から、各賞を担当する選考機関が候補者を調べ、最終的な受賞者を決めます。

選考では、候補者の研究や活動がどのような成果を生み、人類にどのような利益をもたらしたのかなどが検討されます。選考の詳しい内容や候補者については、受賞者が発表されるまで秘密にされています。
そのため、毎年10月の発表まで、誰が受賞するのかはわかりません。発表の瞬間には、世界中から大きな注目が集まります。

歴代の受賞者

歴史に名を残す受賞者

ノーベル賞は1901年の第1回から120年以上の歴史があります。人類にすばらしい功績を残した受賞者の中から、各分野で歴史に名を残した人物を紹介します。

まず、1921年に物理学賞を受賞したドイツ出身のアルベルト・アインシュタイン博士です。
アインシュタイン博士といえば、時間や空間、重力の関係を説明した「相対性理論」が有名ですが、ノーベル賞の受賞理由は相対性理論ではありません。光が物質に当たったときに電子が飛び出す「光電効果」を説明する理論などへの貢献が評価されました。

女性研究者として歴史的な存在となったのが、ポーランド出身のマリー・キュリー博士です。1903年に物理学賞、1911年に化学賞を受賞しました。
1903年の物理学賞は、マリー・キュリー博士、夫のピエール・キュリー博士、そしてアンリ・ベクレル博士の3人に贈られました。
キュリー博士は放射線の研究を進め、ポロニウムやラジウムの発見、ラジウムの分離などに取り組みました。異なるふたつの分野でノーベル賞を受賞した最初の人物でもあります。

文学の分野では、アメリカのアーネスト・ヘミングウェイ氏が1954年に文学賞を受賞しました。代表作『老人と海』などで知られています。

パキスタンのマララ・ユスフザイ氏は2014年に平和賞を受賞しました。子どもや若者への抑圧に反対し、すべての子どもが教育を受ける権利を訴えて活動したことが評価されました。17歳での受賞は、現在もノーベル賞史上最年少です。

このように、ノーベル賞には、自然の仕組みを明らかにした研究者、文学を通して人間や社会を描いた作家、平和や教育のために活動した人など、さまざまな受賞者がいます。

日本人の受賞者・研究

日本からも、これまで経済学を除くすべての分野でノーベル賞受賞者が誕生しています。

日本人として初めて受賞したのは、湯川秀樹博士です。1949年に物理学賞を受賞しました。
湯川博士は、原子核の中で陽子や中性子を結びつけている力について研究し、その力を伝える粒子の存在を理論的に予測しました。この考えは、後の素粒子物理学の発展につながりました。

2008年には、下村脩博士がオワンクラゲから「GFP(緑色蛍光たんぱく質)」を発見・研究した功績で化学賞を受賞しました。
GFPは、青色の光を受けると緑色に光る性質を持つたんぱく質です。この性質を利用して、細胞の中で特定のたんぱく質がどこにあるのかなどを観察できるようになりました。現在では、生物学や医学の研究に欠かせない道具のひとつとなっています。

山中伸弥博士は、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。分化した細胞を、さまざまな細胞になれる状態へ戻せることを発見した功績が評価されました。
この研究から生まれたのが「iPS細胞」です。皮膚などの細胞に特定の遺伝子を働かせることで、さまざまな種類の細胞になれる状態に戻せることを示しました。再生医療や病気の仕組みの研究、新しい薬の開発などへの応用が進められています。

2016年に生理学・医学賞を受賞したのは大隅良典博士です。細胞の中にある物質を分解し、再利用する「オートファジー」の仕組みを明らかにしました。
酵母を使った実験によって、オートファジーが起こる仕組みや、それに必要な遺伝子を明らかにしました。この研究は、細胞が内部の物質をどのように処理し、再利用しているのかを理解する基礎となりました。

2018年、本庶佑博士は、免疫の仕組みを利用したがん治療につながる研究で生理学・医学賞を受賞しました。
免疫細胞には異物や病原体を攻撃する働きがありますが、必要以上に働かないようにするブレーキの仕組みもあります。本庶博士は、免疫細胞にある「PD-1」というたんぱく質の働きを明らかにしました。この発見をもとに、免疫のブレーキを外してがん細胞を攻撃しやすくする「免疫チェックポイント阻害薬」が開発され、がん治療の新しい方法につながりました。

2019年には吉野彰博士が化学賞を受賞しました。リチウムイオン電池の開発に貢献したことが評価されました。
リチウムイオン電池は、電池の中をリチウムイオンが移動することで充電と放電を繰り返します。小型・軽量で繰り返し使えるため、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車など、さまざまな機器に利用されています。
吉野博士は1985年、正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素材料を使うことで、現在のリチウムイオン電池につながる基本構造を完成させました。

2025年には、坂口志文博士と北川進博士が受賞しました。
生理学・医学賞を受賞した坂口博士は、免疫が自分自身の体を攻撃しないように調整する「末梢免疫寛容」に関する研究で受賞しました。
坂口博士は1995年、免疫反応を抑える働きを持つ「制御性T細胞(Treg細胞)」を発見しました。免疫は病原体などから体を守る一方、誤って自分自身の細胞を攻撃すると病気につながります。制御性T細胞は、ほかの免疫細胞の働きを抑え、免疫が自分の体を攻撃しすぎないよう調整する役割を担っています。この発見は、自己免疫疾患などの仕組みを理解する研究や、免疫を利用した治療法の研究につながっています。

化学賞を受賞した北川進博士は、リチャード・ロブソン博士、オマール・M・ヤギー博士とともに「MOF(金属有機構造体)」の開発に貢献したことが評価されました。2025年の化学賞は、3人の共同研究者に贈られています。
MOFは、金属イオンと有機分子からつくられる、内部に小さな空間を持つ材料です。その空間に特定の物質を取り込めるため、水を空気中から集めたり、二酸化炭素を回収したり、さまざまな気体を貯蔵したりする用途が期待されています。

日本に関係する受賞者・団体

受賞年分野名前受賞理由日本との関係
1949年物理学賞湯川秀樹博士原子核の力についての理論的研究に基づき、中間子の存在を予言した日本生まれ・受賞時日本国籍
1965年物理学賞朝永振一郎博士量子電磁力学の基礎的研究により、素粒子物理学の発展に大きく貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
1968年文学賞川端康成氏日本人の心の本質を繊細に表現した優れた文学作品を生み出した日本生まれ・受賞時日本国籍
1973年物理学賞江崎玲於奈博士半導体におけるトンネル効果を実験的に発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
1974年平和賞佐藤栄作氏太平洋地域の安定への貢献と、核兵器不拡散条約(NPT)への署名に尽力した日本生まれ・受賞時日本国籍
1981年化学賞福井謙一博士化学反応がどのように進むかを説明するフロンティア電子理論を発展させた日本生まれ・受賞時日本国籍
1987年生理学・医学賞利根川進博士抗体の多様性を生み出す遺伝的原理を発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
1994年文学賞大江健三郎氏人間の苦境を描いた、詩的な力を持つ文学作品を生み出した日本生まれ・受賞時日本国籍
2000年化学賞白川英樹博士電気を通す高分子(導電性高分子)を発見・開発した日本生まれ・受賞時日本国籍
2001年化学賞野依良治博士化学反応で特定の形の分子をつくり分ける「キラル触媒による水素化反応」の研究に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
2002年物理学賞小柴昌俊博士宇宙からやってくるニュートリノの検出により、ニュートリノ天文学を開拓した日本生まれ・受賞時日本国籍
2002年化学賞田中耕一氏生体高分子の同定・構造解析のための質量分析法を開発した日本生まれ・受賞時日本国籍
2008年物理学賞南部陽一郎博士素粒子物理学における自発的対称性の破れの仕組みを発見した日本生まれ・受賞時米国籍
2008年物理学賞小林誠博士自然界に少なくとも3世代のクォークが存在することを予言する、対称性の破れの起源を発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
2008年物理学賞益川敏英博士自然界に少なくとも3世代のクォークが存在することを予言する、対称性の破れの起源を発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
2008年化学賞下村脩博士緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と開発に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
2010年化学賞鈴木章博士有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリングの研究に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
2010年化学賞根岸英一博士有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリングの研究に貢献した日本生まれ・受賞時米国籍
2012年生理学・医学賞山中伸弥博士成熟した細胞を初期化し、さまざまな細胞になれる状態へ戻せることを発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
2014年物理学賞赤﨑勇博士明るく省エネルギーな白色光源を可能にした、効率のよい青色発光ダイオードを発明した日本生まれ・受賞時日本国籍
2014年物理学賞天野浩博士明るく省エネルギーな白色光源を可能にした、効率のよい青色発光ダイオードを発明した日本生まれ・受賞時日本国籍
2014年物理学賞中村修二博士明るく省エネルギーな白色光源を可能にした、効率のよい青色発光ダイオードを発明した日本生まれ・受賞時米国籍
2015年生理学・医学賞大村智博士線虫による感染症に対する新しい治療法の発見に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
2015年物理学賞梶田隆章博士ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動を発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
2016年生理学・医学賞大隅良典博士細胞が不要な物質を分解・再利用する「オートファジー」の仕組みを発見した日本生まれ・受賞時日本国籍
2017年文学賞カズオ・イシグロ氏人間の記憶や喪失、愛を繊細に描いた優れた文学作品を生み出した日本生まれ・受賞時英国籍
2018年生理学・医学賞本庶佑博士免疫の働きを利用してがんを治療する方法につながる、免疫のブレーキに関する研究を行った日本生まれ・受賞時日本国籍
2019年化学賞吉野彰博士リチウムイオン電池の開発に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍
2021年物理学賞真鍋淑郎博士地球の気候を物理的にモデル化し、地球温暖化を予測する研究を行った日本生まれ・受賞時米国籍
2024年平和賞日本原水爆被害者団体協議会核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使われてはならないことを証言によって示した日本の団体
2025年生理学・医学賞坂口志文博士免疫が自分自身の体を攻撃しないようにする「末梢免疫寛容」に関する発見を行った日本生まれ・受賞時日本国籍
2025年化学賞北川進博士金属有機構造体(MOF)の開発に貢献した日本生まれ・受賞時日本国籍

まとめ

2026年のノーベル賞は、10月5日の生理学・医学賞を皮切りに、10月12日の経済学賞まで、6分野の受賞者が発表されます。
ノーベル賞は、科学分野の発見だけでなく、文学や平和などの分野でも人類に大きな影響を与えた功績をたたえる賞です。

受賞者が発表されたときは、「誰が選ばれたのか」だけでなく、「何を成し遂げたのか」「それによって私たちの生活や社会がどう変わったのか」に注目すると、受賞の理由がよりわかりやすくなります。


2026年は、どのような研究や活動が世界から評価されるのでしょうか。10月のノーベル賞発表に注目してみましょう。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

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