外出先で唐突に「買って買って」と駄々をこねられたら、多くのママパパは「困った」「なんとかしなければ」と思うことでしょう。周囲の迷惑にならないよう配慮が必要ですが、最も大切なのは子どもにどう対応するかです。
本記事では、「買って買って」と言われたときの対処方法や、買い与えるのにオススメのタイミングなどをご紹介します。
文/マムズラボ
本当に欲しいの? 子どもの「買って買って」の理由とは?
子どもの「買って買って」はなぜ発生してしまうのでしょうか。その理由はひとつではありません。
「欲しい」という気持ちの表れ
乳児期が終わり、幼児期に入ると、子どもは徐々に自我が芽生え、自己主張ができるようになってきます。すると必然的に、「これが食べたい」「あれが欲しい」とおねだりすることがふえるもの。
「買って買って」とねだるのは、「自分はこれが欲しい」という自己主張の表れであり、子どもの心が健やかに成長している証拠でもあるのです。
「甘えたい」という気持ちの表れ
ねだっているモノが「欲しい」わけではなく、要求がどこまで通るか、自分が無理な要求をしても存在を否定されないか、いわゆる「試し行動」と呼ばれる、愛情確認の場合があります。そうした「買って買って」は、子どもの心の奥に眠っている「甘えたい」という気持ちが行動として表出したものです。
この場合、ママパパが適切ではない対応を取ると、かえって子どもの試し行動を増幅させる恐れがあるため、ときにはきっぱり断ることも大切です。
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子どもに「買って買って」と言われたときの対処方法
ただ「買わない」と答えるだけでは、子どもはひたすら「我慢」を強いられるだけで、自分の主張は通らないものと学んでしまいます。
とは言え、子どもが欲しがるモノをすべて買い与えることが正しいわけでもありません。ママパパはどのように対応すればよいのでしょうか?
買わない理由をしっかりと伝える
とくに外出先で「買って買って」と駄々をこねられた場合、どう対応すればよいのか困ってしまいますよね。ひとつの対応方法として考えられるのが「〇〇だから買わない」と子どもに買わない理由を伝えることです。
以下のような流れで、子どもに買わない理由をしっかりと伝えましょう。
欲しい気持ちに共感する
「そうね、欲しいね」「こういうのが好きなんだね」とお子さんの気持ちに寄り添うことばをかけてあげましょう。「欲しい」という気持ちに共感してもらえるだけで満足できることもあります。
ただし、その場しのぎのつもりで言ってしまいがちな「今度買ってあげるね」はNG。次回は買ってもらえるということを、子どもはしっかり覚えています。次のタイミングで買わなかった場合、結果的にママパパが嘘をつくことになってしまうので避けましょう。
買わない理由を説明する
欲しい気持ちに共感したうえで、「値段がとても高いから、すぐに買うことは難しい。安く買えるところをさがさせて」「もう少し大きくなってから使うモノだから、そのときに買うね」など、今は買わない理由を説明しましょう。
「まだ幼いから話してもわからない」と決めつけてはいけません。子どもが理解できるように、納得できるように、ゆっくりと落ち着いた口調で説明してあげてくださいね。
いずれ買い与えるつもりなら「いつ買おうか? クリスマスにする? 誕生日にする?」と「買う買わない」ではない、別の選択肢に話題をずらすのも有効です。
環境を変える
子どもが泣き叫んでしまっているときは、環境を変えましょう。欲しいモノが子どもの視界に入っていると、いつまでも気持ちを切り替えられません。購入するか否かにかかわらず、いったん子どもの感情をリセットすることを優先します。
子どもが動かないようなら、抱きかかえてその場から離れるのがいちばん早いかもしれません。
わかってもらえたらお礼を言う
子どもが、買えない理由に納得したり、納得はせずとも我慢したりすることができたら「わかってくれてありがとう」と、ことばと態度の両方で子どもにしっかりと伝えることが大切です。
買ってほしいというのは子どものわがままかもしれませんが、買わないのは大人の都合です。自分の気持ちを抑えて大人の都合に合わせてもらったことに対して、大人は敬意を払うといいですね。
「買って買って」を事前に封じる
対応よりも確実なのは、そもそも「買って買って」が出てくる前に対策をしておくことです。
欲しがりそうなモノを視界に入れない
たとえば「お菓子売り場を通るたびに買って買って攻撃が炸裂する」ならば、子どもといっしょに買い物に出かけたときはお菓子売り場に近づかないことがいちばんです。
大人だけで買い物にいくか、ネットスーパーや通販を上手に使うことをオススメします。
あらかじめルールを決めておく
「買って買って」が発生する前にあらかじめルールを決めておくのもひとつの方法です。
どのような場合はダメで、どのような場合ならよいのか、子どもと話し合ってルールを決めておきましょう。また、出かける前にルールの確認をするとさらによいですね。
「買って買って」と言われたら「いつ」「どんなとき」に買ってあげる?
突然の「買って買って」はダメとわかっていても、「子どものおねだりに負けて買ってしまう」のは子どもを喜ばせたいという愛情の表れですよね。
あらかじめ決めたルールに従って、あるいは、なぜ欲しいのか、何に使うのかなど、子どもから聞いたうえで買い与えるのもひとつの選択肢です。
それでは、どのようなときなら子どもに買い与えてよいのでしょうか? オススメのシーンをご紹介します。
クリスマスや誕生日などのイベント時
別のおもちゃを買い与えた直後など、タイミング的によくない場合や、少し値が張るモノについては、「今は〇〇で買えないから、クリスマスプレゼントにどうかな?」と、買い与えるタイミングを提案してみましょう。 これは将来の見通しを立てたり、我慢をしたりといったことの練習にもなります。
また、お年玉を使って自分で買わせるのも一案です。自分のお金で欲しいモノを買う経験は、お金の使い方の勉強にもなります。
目標を達成したとき
心理学では「外発的動機づけ」と呼びますが、「これができたら、あれを買ってもらえる」とご褒美がモチベーションになるならば、購入を約束するのも悪くはありません。
ただし、これは、子どもが自分で立てた目標を達成したときだけに限定するのがベストです。 ママパパが「これができたら買ってあげるよ」とモノで釣ってしまうと、目標がご褒美にシフトして、ご褒美なしだとがんばれなくなる可能性があります。
あらかじめ買ってよいモノを決めておく
「〇〇円以下の本」や知育玩具など、値段やモノの種類によっては、突然おねだりされても購入する、と決めておくのもよい方法です。
「家にある本をすべて読み終わっている」「家にあるパズルをすべて完成させている」という場合であれば、書籍とパズルはイレギュラーでも購入するというご家庭もあります。
どんなモノならよいのか、いくら以下ならよいのか、子どもと話し合って決めておくのがいいでしょう。月何回までと頻度も決めておくと予算内に収まって安心です。
「買って買って」は子どもの成長のチャンスでもある!
対応に困る、子どもの「買って買って」攻撃。でもこれが出てくるのは、子どもが順調に成長しているからなのです。上手にアプローチして子どものさらなる成長につなげることができれば理想的ですが、うまくいくときばかりではありません。
ママパパのほうが泣きたい気持ちになるときだってあるでしょう。そんなときは、心の中で「これも成長の一過程」と唱えてみると、少しは穏やかにやり過ごせるかもしれません。
この記事の監修・執筆者
作家/子どもへの言葉かけ、「子育てNGワード」の専門家。「言葉」を扱うコピーライター経験から、子育て中の子どもへの言葉かけに関心を持つ。
三人の娘の子育ての実感(成功も失敗も)を活かした書籍を執筆している。
『お母さん、ガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気をなくす言葉66』
『決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』
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