【きょうだい喧嘩にもメリットはある?】すぐに止めなくていい理由とルールづくりとは?

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できればやめてほしいきょうだい喧嘩。「きょうだい仲良くしていてほしい」というのはすべての保護者の願いですが、そうもいかないのが現実。でも「きょうだい喧嘩はダメ」と決めつけることもありません。だって、子どもはきょうだい喧嘩によっていろいろなことを学んでいるのですから。

この記事では、きょうだい喧嘩が子どもの発達にもたらすメリットと、きょうだい喧嘩をほどほどにしてもらうためのルールづくりについて解説します。

文/マムズラボ

目次

きょうだい喧嘩のメリットとは?

「喧嘩にメリットなんかない」と思うかたもいるかもしれません。たしかに、憎み合ったり争ったりする行為にはメリットはありません。しかし、気を許せる親しい間柄同士で行う子どもの喧嘩は、子どもの社会性や情緒面の発達に大いに役立ちます。

子どもは、喧嘩そのものや、謝罪、仲直りなどの一連の流れから、さまざまなことを考え、体験し、学ぶのです。きょうだい喧嘩が子どもの発達にどのようなメリットをもたらすのか、3つの方向からご紹介します。

相手の視点で考えられるようになる

きょうだい喧嘩のメリットの1つ目は、「自分の視点だけでなく、相手の視点から考える力が育つ」ということです。

4歳前後になると、「心の理論」という、他者の気持ちを理解する心の成長がはじまります。いわゆる「他者視点」が備わってくるのです。これにより、きょうだい喧嘩を通して、相手の気持ちになってものごとを考えられるようになっていきます。

たとえば、自身が傷つくことを言われたとき、「なんであんなこと言ったのかな?」「言われたらイヤだな」「言っちゃいけないことなんだ」と、イヤだという気持ちを理解でき、他者への接し方へまで考えを発展させられるようになるのです。

感情のコントロールのトレーニングになる

きょうだい喧嘩は感情のコントロールのトレーニングにもなります。

喧嘩は本音をぶつけ合う言い争いです。きょうだい間で繰り返すことは、自分の怒りのパターンや性格を肌で覚えることにつながります。やがて、イヤだと感じたことの解決策を考えられるようになるでしょう。

つまり、自身の感情のコントロールが上手になるのです。外で感情を爆発させないようガマンしたり、きょうだい以外の他人との喧嘩を抑制したり、といったことにもつながります。

問題解決能力が身につく

さらに、問題解決能力を伸ばすことにもつながります。

きょうだい喧嘩のたびに「どうして喧嘩をしてしまったのか」「喧嘩を避けるにはどうしたらよいのか」「仲直りするにはどうしたらよいのか」といったことを考え、考えたことを実践していくことにより、子どもは、自分たちの力で問題を解決するにはどうしたらいいのかを学んでいきます。

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きょうだい喧嘩をしたときのオススメのルール例3つ

きょうだい喧嘩にメリットがあるといっても、決して野放しで好き放題に喧嘩させていいわけではありません。どちらかが手を出したり、物を投げたりなど、物理的に危険な状況になったと判断したら、ケガをする前に、すぐに保護者が介入して引き離してあげましょう。

下の子が2歳以下の場合はまだ少し難しいとは思いますが、子どもがある程度成長したら、きょうだい喧嘩にもルールをつくるのがオススメです。ルールを制定することで、子ども自身はルールに従って自分自身の行動を律する練習ができ、大人もルールを基準にぶれない対応ができるようになります。

きょうだい喧嘩のルールは、「これ」と決まっているわけではありません。ご家庭によってさまざまでいいのですが、原則として不公平感を持たせず、子どもが理解できるシンプルなルールを、保護者と子どもが話し合って決めるとよいでしょう。

たとえば、下記のようなものはいかがでしょうか。

ルール1:先に手を出したほうが負け!

先に手を出したほうが負けという明確なルールです。「かっとなって手を出した」は、社会では許されません。

このルールはどんなに腹が立っても暴力を振るってはいけない、という社会のルールを教えるとともに、子どもをケガから守るという効果があります。

子ども同士でも喧嘩が暴力へ発展すると多くの危険があります。とくに首から上への攻撃は、失明や首の神経損傷、脳の損傷などの大ケガを負うリスクもあります。
道具を使えばさらに危険度は高まります。

喧嘩が暴力に発展した場合、手を出すのはいけないことだとハッキリと伝えることが大切です。ただし、喧嘩自体に対しては、決して片方の肩を持たないよう気をつけなければなりません。暴力と喧嘩は分けて考える必要があります。

ルール2:先に謝ったり譲ったりしたほうが勝ち!

年齢の近いきょうだいで、小競り合いが絶えず、とにかく毎日の喧嘩を早く収めたいというときに使えるルールです。

このルールを設定した場合、保護者は喧嘩を見届け、まずは、勝った(=謝った)ほうをほめましょう。

「自分が悪かった、ごめんなさい」と折れるのは、大人にとっても至難の業です。ちなみに、このルールは夫婦喧嘩にも有効です。

ルール3:きょうだい喧嘩に年齢・性別は関係なし!

つい「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と上の子をガマンさせるようなことばを発していませんか。

上の子をガマンさせる声かけを繰り返していると、上の子は、ガマンしなくてもよいことでもガマンしたり、自分を否定したりするようになりかねません。また、下の子も「自分は譲ってもらって当然……」という考えを持つようになります。

お兄ちゃんお姉ちゃんとはいえ、たった数年の違い、まだ幼いのです。保護者も「喧嘩両成敗」という認識を持ち、子どもにも「年は関係ない」という気持ちを持たせることが大切です。

とはいえ、体の大きく知恵の回る上の子のほうが、喧嘩で有利なのは明らか。叱るときは「暴力を振るった」「だました」などの「やったこと」に対して叱り、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから」という「立場」を理由にした叱り方は避けるようにしましょう。

「女の子なんだから喧嘩しないで」「男の子なんだから譲ってあげなさい」という性別に依存した声かけもNGです。こちらも自分ではどうにも変えられない「立場」を理由にした叱り方です。

きょうだい喧嘩でぶつかり合いながら成長するのを見守ろう

人類史上、争いが途絶えたことはありません。大人同士だって、ときにはいがみ合ったり喧嘩をしてしまったりするものです。まだ幼い子どもに、「争わず仲良くしていなさい」というのは、考えてみれば無茶な話です。

どんなに仲良しきょうだいでも喧嘩はしてしまうもの。そして、喧嘩は決して悪いことばかりではなく、実はメリットもあります。それを理解していれば、少しはおおらかにかまえられるのではないでしょうか。喧嘩や仲直りを繰り返し、それぞれ影響し合いながら、きょうだいが育っていくのを見守っていきましょう。

この記事の監修・執筆者

曽田照子

作家/子どもへの言葉かけ、「子育てNGワード」の専門家。「言葉」を扱うコピーライター経験から、子育て中の子どもへの言葉かけに関心を持つ。
三人の娘の子育ての実感(成功も失敗も)を活かした書籍を執筆している。
『お母さん、ガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気をなくす言葉66』
『決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』

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