カレーのヒミツ[おうちで食育*食べて話そう]

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「カレー」はお子さんに大人気のメニューのひとつですね。
「日本のカレーはどうやって生まれたの?」「日本で進化したカレーって?」など、“食”への興味がわいて、知識が広がることを目指して、今回は「カレーのヒミツ」をご紹介します!

文/こそだてまっぷ編集部

目次

インドで「カレー」を注文したらどうなる?

インド料理はたくさんのスパイスを使うのが基本

カレーはインドで生まれました。でも、インドで「カレーをください」と注文したら、お店の人は困ってしまうかもしれません。
インドの料理は、肉や野菜、豆などさまざまな材料に、ターメリックやしょうが、こしょう、シナモン、にんにく、マスタードなど、たくさんの香辛料の中から、数種類を組み合わせてつくるのが特徴です。スープがあるものもないものもあります。ひとつひとつの料理に名前はありますが、実は、「カレー」という名前の料理はありません。

江戸時代末期に、ヨーロッパから伝来

16世紀から18世紀ごろにインドに進出したヨーロッパの国々の人が、香辛料がきいたインド料理を、まとめて「カリール」「カリ」と呼ぶようになりました。日本には江戸時代の終わりにヨーロッパからカレーが伝わり、明治時代以降に「カレー」と呼ばれるようになったのです。

日本でも、外国のかたから「和食をください」と注文されたら、何を出せばいいのかわかりませんよね。つまりインドでカレーを頼むのも、それと同じようなことだというわけです。

たくさんの香辛料が並ぶインドのスパイス専門店

日本のカレーはどうやって生まれたの?

インドにカレー粉はない⁉

カレーが生まれたインドには、日本ではおなじみの「カレー粉」と呼ばれるスパイスはありません。先述したとおり、料理の素材と数種類の香辛料を、その都度混ぜ合わせて使うからです。
では、カレー粉はどこで生まれたのでしょうか? カレー粉を発明したのはかつてインドを植民地としていたイギリスです。イギリス人は、より簡単にインド料理を再現しようと工夫しました。そして完成したのが、調理しやすいように、あらかじめ数種類の香辛料を調合したカレー粉です。カレー粉は、小麦粉でとろみをつけるシチューのような料理に入れて食べられるようになりました。そのため、イギリスのカレーにはとろみがあります。

やがて、手軽なカレー粉はイギリスで大人気となり、ほかの国へも広まっていきました。日本にカレーが伝わったのは、江戸時代末期。開国とともにカレー粉と、のちにカレーと呼ばれる料理がイギリスから入ってきたのです。
ちなみに、1872(明治5)年に出版された『西洋料理通』には、煮込んだ肉や野菜にカレー粉を入れ、小麦粉でとろみをつけるイギリス風のカレーが紹介されています。

カレーはかつて、なかなか食べられない高級料理だった!

みんなに愛されるカレーになるまで

明治時代になって少しずつ広まっていったカレー。主にイギリスから高価なカレー粉を輸入してつくっていたこともあって、一般家庭ではなかなか食べることができない、西洋料理店で食べるような高級料理でした。

その後、1905(明治38)年に、初めて国産のカレー粉がつくられました。つくったのは、今でいう「薬局」だった大阪の「大和屋」(現在のハチ食品)。漢方薬に使っていたウコンやトウガラシなどを使って、カレー粉をつくったのです。
そして「大和屋」に続き、次々と国産のカレー粉が発売。安く食べられる食堂が増えると、カレーはみんなが食べられる身近な料理になりました。
明治時代の後半になると、海軍の食事にカレーが取り入れられました。一度にたくさんつくることができ、栄養バランスもよいので船での食事として重宝されたのです。海軍でつくり方を覚えた人たちが家族に教え、全国に広まったともいわれています。

ルウやレトルトが国内で発売

1926(大正15)年、カレー粉に小麦粉などを加えた粉末のカレールウ「ホームカレー粉」が「浦上商店」から発売。より手軽にカレーがつくられるようになりました。
そして1968(昭和43)年、世界初の温めるだけで食べられるレトルトカレーが「大塚食品」から発売されました。今では宇宙食にも使われているレトルトカレーは、日本で生まれた大発明です。

世界に広がる日本風のカレー

地域の特色を生かしたアレンジに注目!

その後カレーは進化し、カレーライスだけでなく、カレーパンやカレーうどん、カツカレーなどが登場。さらに、ほかの食べ物と組み合わせた新しいメニューも次々に開発されました。
近頃では、日本各地の特色を生かしたご当地カレーも人気です。有名なものは、さらさらした香辛料の風味が豊かなスープに大ぶりの野菜をたっぷり入れた「スープカレー」(北海道札幌市)。ほかにも、カツカレーの上にソースをかけ、キャベツの千切りを付け合わせにした「金沢カレー」(石川県金沢市)、カレーライスの上にチーズと卵をのせてオーブンで焼いた「門司港焼きカレー」(福岡県北九州市)などがあります。

海外進出する“和食としてのカレー”

インドで生まれて、イギリスを経て日本に伝わったカレーと呼ばれる料理。今では代表的な和食のひとつとなり、世界へも広がっています。
海外には約159,000店もの和食レストランがあります。世界で人気がある和食といえば、すしや天ぷら、ラーメンが有名ですが、カレーも人気。
たとえば、日本国内で全国展開しているカレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」は、1994年に初めてアメリカ・ハワイに出店しています。その後、インドをはじめとしたアジア各国、アメリカなどでも店舗を拡大。ついには日本のカレーのルーツであるイギリスにも出店しました。ほかにも、金沢カレーの専門店「ゴーゴーカレー」は、アメリカやブラジルに出店。開店の日には行列ができる店舗もありました。

いかがでしたか? 子どもも大人も大好きなカレーには、こんな歴史があったのですね。
お子さんとカレーライスを食べながら話題にして、おうちで楽しい“食育”の時間を過ごしてくださいね!

※(外務省調べにより、農林水産省において推計。2021年9月公表)

北海道札幌市の「スープカレー」
石川県金沢市の「金沢カレー」

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